ケアマネジャーになるには最短で何年?介護支援専門員の受験資格を解説

介護の資格 2024年8月19日
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この記事のまとめ

「ケアマネになるにはどうすれば良いの?」「ケアマネになるには何年かかるの?」と気になる方もいるでしょう。ケアマネになるには最短で5年程度かかります。ケアマネになる方法は、ケアマネ試験の受験資格を満たし、合格することです。この記事では、ケアマネになるまでにかかる期間やケアマネ試験の受験資格を解説します。試験概要もまとめたので、ケアマネジャーを目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。

ケアマネジャー(介護支援専門員)とはどんな仕事?業務内容や役割を解説!

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目次

ケアマネジャー(介護支援専門員)とは?

ケアマネジャー(介護支援専門員)とは、ケアを必要とする人が適切な支援・介護を受けられるようにサポートする職種です。ケアマネの仕事は、ケアプランを作成したり利用者さんの相談に応じたりすること。介護施設や医療機関などと連携しながら、ケアマネジメントを行います。

ケアマネジャーは、介護保険制度上は「介護支援専門員」という名前ですが、略称で「ケアマネ」と呼ばれるのが一般的です。

ケアマネになるには?

ケアマネになるには、下記の手順を踏む必要があります。

詳しくは、この記事の「ケアマネになるには?基本の流れ」で後述するので、最後までご覧ください。

ケアマネが活躍できる職場

ケアマネの職場は、特養・老健などの介護施設、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、病院などです。居宅介護支援事業所で働くケアマネは「居宅ケアマネ」と呼ばれ、介護施設で働くケアマネは「施設ケアマネ」と呼ばれます。ケアマネの活躍の場は幅広いため、自分に合った職場を見つけやすいでしょう。

ケアマネが働く職場は、「ケアマネージャーの就職先は?どのような仕事をするの?」の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。

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ケアマネになるには最短で何年必要?

ケアマネになるには、介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)への合格が求められます。受験資格としては、「特定の国家資格等に基づく実務経験」もしくは、「相談援助業務等の実務経験」を満たすことが必要です。そのため、資格取得にはある程度の年数がかかります。

ここでは、ケアマネになるには最短で何年必要なのかを、保有資格別に解説します。

介護福祉士からケアマネジャー受験資格を得る場合

介護福祉士からケアマネになるには、最短で5年かかります。これは、ケアマネ試験の受験資格として「特定の国家資格等に基づく実務経験を5年以上(かつ900日以上)積むこと」が求められるからです。介護福祉士は、特定の国家資格に該当するので、資格を取得してから5年経てば、ケアマネ試験を受験できます。

介護福祉士の資格を保有していて、ケアマネ試験の受験を考えている方は、介護福祉士としての実務経験の年数を確認してみましょう。日数の算定に雇用形態は関係ないため、通算5年以上(かつ900日以上)という条件を満たせば、パートなどの非常勤スタッフも試験を受けられます。また、試験日の前日までに実務経験の要件をクリアできれば問題ないので、申し込み時点では受験資格を満たしていなくても、「見込み受験」として申し込みが可能です。

なお、介護福祉士の資格登録をする前に介護業務を行った期間は、ケアマネ受験のための実務経験には含まれません。また、資格取得から5年以上経っていても、育児休業などの休業期間は従事日数として算定できないので、900日以上働いた実績があるかの確認が必要です。ケアマネになるための実務経験の計算方法は、「ケアマネ受験資格の計算方法を解説!パートの従事期間は実務経験に入る?」の記事で解説しています。

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無資格からケアマネジャー受験資格を得る場合

無資格・未経験の方が介護福祉士を取得してケアマネになるには、最短でも7~8年かかります。前述のとおり、介護福祉士がケアマネ試験を受験する場合、「5年の実務経験」が必須です。

そして、介護福祉士の資格を実務経験ルートで取得するには、「介護現場で3年以上の実務経験」と「介護福祉士実務者研修の修了」が必要。福祉系高校ルートの場合も3年かかります。介護福祉士養成施設に通う場合は、最短2年で介護福祉士になれるでしょう。

上記のように、ケアマネ試験の受験に必要な実務経験の年数を合わせると、最短でも7~8年程度かかる計算になります。

介護未経験からケアマネ試験の受験資格を得るには、「介護職員初任者研修→介護福祉士実務者研修→介護福祉士」の順番で資格を取得するのがおすすめです。「介護職員初任者研修」と「介護福祉士実務者研修」には受講要件が設けられていないため、誰でも受験できます。

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看護師・社会福祉士がケアマネジャー受験資格を得る場合

看護師や社会福祉士からケアマネになるには、最短で5年かかります。受験資格である「特定の国家資格等」には、看護師・准看護師や社会福祉士が含まれます。介護福祉士と同様に、「5年以上(かつ900日以上)の実務経験」を積むことで、看護師や社会福祉士もケアマネ試験を受験可能。実務経験の計算方法も介護福祉士と同じです。

ケアマネジャーの資格取得に興味がある看護師の方は、「看護師からケアマネジャーになるには?転職するメリット・デメリットを解説」の記事もチェックしてみてください。

介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)の受験資格

ケアマネ試験の受験資格の画像

ケアマネ試験の受験資格を得るには、次のどちらかの要件を満たさなければなりません。

  • 指定の国家資格等に基づく業務に通算5年以上(かつ900日以上)従事
  • 施設などで相談援助の業務に通算5年以上(かつ900日以上)従事

以下で、それぞれの要件について解説します。

国家資格等に基づく業務に通算5年以上従事している

ケアマネを受験するための「国家資格等に基づく業務」の実務経験として認められる資格は、以下のとおりです。

  • 医師
  • 歯科医師
  • 薬剤師
  • 保健師
  • 助産師
  • 看護師
  • 准看護師
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 社会福祉士
  • 介護福祉士
  • 視能訓練士
  • 義肢装具士
  • 歯科衛生士
  • 言語聴覚士
  • あん摩マッサージ指圧師
  • はり師、きゅう師
  • 柔道整復師
  • 栄養士、管理栄養士
  • 精神保健福祉士

上記の資格に基づく実務経験が通算5年以上あれば、ケアマネ試験を受験できます。なお、該当する資格を保有していても、事務作業や教育などをしていて資格に基づく業務に携わっていない期間・日数は、実務経験に含まれません。

施設などでの相談援助業務に通算5年以上従事している

「相談援助業務」の要件でケアマネ試験を受験できるのは、以下のいずれかの職種として実務経験を積んだ方です。

  • 生活相談員:特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人福祉施設、介護予防特定施設入居者生活介護
  • 支援相談員:介護老人保健施設
  • 相談支援専門員:計画相談支援、障害児相談支援
  • 主任相談支援員:生活困窮者自立相談支援事業

上記の職種に従事し、通算5年以上の実務経験があれば、ケアマネ試験の受験が可能です。「相談援助を行う職種に転職して実務経験を積めば、未経験から5年で受験資格を満たせるの?」と思うかもしれませんが、生活相談員や支援相談員になるには、実務経験や社会福祉士の資格などが求められる場合が多くなっています。そのため、無資格・未経験から該当の職種に就くのは難しい傾向にあるでしょう。

ケアマネ試験の受験資格変更について

ケアマネの受験資格は、これまでに2015年と2018年に変更されています。変更点は以下のとおりです。

  • 保有資格による試験の免除がなくなり全員共通の問題になった(2015年)
  • 無資格による介護の実務経験が無効になった(2018年)
  • 国家資格以外の介護の実務経験が無効になった(2018年)

2014年までは、看護師など指定の国家資格の保有者は、ケアマネ試験の一部科目が免除されていました。しかし、ケアマネの質向上を目的として、2015年から解答免除が廃止に。現在は、資格の有無に関わらず、受験者全員が同じ問題を解かなければいけません。

また、2017年までは、無資格で介護の実務経験が10年以上、初任者研修修了者は実務経験が5年以上あれば、ケアマネ試験を受験できました。しかし、変更後は特定の資格を保有していない方の介護の実務経験は、受験資格として無効になっています。2018年以降は、特定の国家資格等に基づく業務や相談援助業務に5年以上(かつ900日以上)従事しなければ、ケアマネ試験の受験資格を得られなくなりました。

これまでの変更では、ケアマネ試験の内容が難しくなったわけではなく、受験資格の条件が厳しくなり、受験のハードルが上がりました。受験資格が変更されたときは、例年より合格率が低下しましたが、その分合格者のレベルが上がり、ケアマネの質が上がったと考えられるでしょう。

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ケアマネになるには?基本の流れ

ケアマネジャーの資格は、「介護支援専門員実務研修受講試験への合格」と「介護支援専門員実務研修の修了」を満たせば取得できます。最短でケアマネジャーになるには、計画的にキャリアップすることが大切です。

ケアマネになるまでの流れを以下にまとめたので、ケアマネジャー資格の取得を考えている方は、ぜひチェックしてみてください。

1.実務経験を積んで受験資格を満たす

ケアマネ試験を受験するには、「介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)の受験資格」で解説したように、介護福祉士などの特定の国家資格等に基づく業務や相談援助業務の実務経験が5年以上(かつ900日以上)必要です。
受験申し込みの時点で実務経験が足りない場合も、試験までに実務経験を満たせる見込みがあれば、「実務経験見込証明書」を提出して受験できます。受験資格の対象となる資格を取得してから最短でも5年以上かかるので、ケアマネジャーになりたい方は、計画的に資格を取得してキャリアアップすることが重要です。

2.必要書類を提出して受験申込みをする

介護支援専門員実務研修受講試験に申し込みをする際に提出する書類は、「受験申込書」「実務経験証明書の内容確認等に必要な添付書類」「実務経験証明書または実務経験見込証明書」です。ほかにも、複数の事業所で働いた方は、「従事日数内訳証明書」の提出が求められます。実務経験証明書は、働いている介護施設や事業所に依頼して作成してもらいましょう。

ケアマネ試験は、職場のある都道府県で受験するのが基本です。申し込みに必要な書類(願書)は、各都道府県の実施団体や市町村、社会福祉協議会などで受け取れます。都道府県によって、提出書類や申込受付期間は異なるため、自分が受験する自治体のWebサイトなどから早めに確認しておきましょう。

公益財団法人 社会福祉振興・試験センターの「介護支援専門員」には、各都道府県のケアマネジャー試験の担当課がまとめられています。

ケアマネ試験の受験手続きについては、「ケアマネジャーの試験手続きとは?受験の申し込み方法や提出書類を解説!」の記事で解説しているので、あわせてご一読ください。

3.介護支援専門員実務研修受講試験に合格する

ケアマネになるには、介護支援専門員実務者研修受講試験に合格しなければなりません。介護支援専門員実務研修受講試験は、年に1回、10月ごろに実施されます。

以下では、ケアマネ試験の概要や合格率を解説するので、受験の準備や試験勉強の参考にしてみてください。

ケアマネ試験の概要

ケアマネ試験の概要は以下のとおりです。

実施時期年1回
※例年10月に実施
申し込み時期5月上旬ごろ~7月上旬ごろ
※都道府県により異なる
受験地職場のある都道府県、もしくはお住いの都道府県
試験形式五肢複択方式で出題され、マークシート形式で解答
試験時間120分
(点字受験者180分、弱視等受験者156分)
試験範囲介護支援分野25問、保健医療福祉サービス分野35問の全60問(配点は各1点)
合格基準各分野で正答率70%

ケアマネ試験の申し込み日程などは、実施する都道府県によって異なるので、自身が受験する地域のケアマネ試験の概要を確認しておきましょう。

ケアマネ試験の正答率70%とは、介護支援分野で17点、保健医療福祉サービス分野で24点です。しかし、ケアマネ試験の合格点は、その年の試験問題の難易度によって補正されます。合格点は毎回同じではないため、この点数を取っても不合格になる場合もあるでしょう。

ケアマネ試験の合格率と難易度

厚生労働省の「第26回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」によると、近年のケアマネの試験の合格率は以下のとおりです。

実施回(実施年度)合格率
第26回(令和5年度)21.0%
第25回(令和4年度)19.0%
第24回(令和3年度)23.3%
第23回(令和2年度)17.7%
第22回(令和元年度)19.5%

参考:厚生労働省「第26回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について

過去5年間のケアマネ試験の合格率は20%前後となっています。実施回によって差はあるものの、全体的に合格率が低く、ケアマネ試験の難易度は介護系の資格の中では比較的高めだといえるでしょう。そのため、合格するには準備をしっかりと行う必要があります。

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4.介護支援専門員実務研修を修了する

介護支援専門員実務研修受講試験に合格したあとは、「介護支援専門員実務研修」を受講します。ケアマネ試験に合格しただけでは、ケアマネジャーとして働くことはできないので注意が必要です

介護支援専門員実務研修では、ケアプラン作成などに関する知識を、講義と演習で合計87時間学びます。
都道府県によって受講時間の増減はありますが、「前期研修(8日間)」「実習(3日間)」「後期研修(7日間)」で構成されるのが基本です。研修の最後には「修了評価」が実施され、研修内容が身についているかチェックされます。なお、研修には定員があるので、スケジュールを確認して早めに申し込むようにしましょう。

介護支援専門員実務研修の内容

介護支援専門員実務研修の前期課程では、ケアマネジメントを行ううえで必要な視点や専門知識、技術などを習得します。実習では、ケアプラン作成や利用者さんの課題を明確にするためのアセスメントを実施。後期課程では、前期課程や実習を振り返ったり、グループワークでケアマネジメントの知識や技術をより高めます。

厚生労働省の「介護支援専門員実務研修各科目のガイドライン(p.1)」を参考に、前期課程と後期課程の研修科目の一部を紹介します。

【前期課程の研修科目】

  • 介護保険制度の理念・現状およびケアマネジメント
  • 自立支援のためのケアマネジメントの基本
  • 相談援助の専門職としての基本姿勢及び相談援助技術の基礎
  • 人格の尊重及び権利擁護並びに介護支援専門員の倫理
  • ケアマネジメントのプロセス

【後期課程の研修科目】

  • 生活の継続及び家族等を支える基本的なケアマネジメント
  • 脳血管疾患のある方のケアマネジメント
  • 認知症のある方及び家族等を支えるケアマネジメント
  • 高齢者に多い疾患等の留意点の理解
  • アセスメントおよび居宅サービス計画等作成の総合演習

上記の研修科目はあくまで一部であり、ほかにも、大腿骨頸部骨折や心疾患などの症例に応じたケアマネジメントの実践演習も行います。

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5.研修修了証明書を提出してケアマネとして登録する

修了評価に合格すると研修修了書を受け取れます。必要書類をそろえて、研修終了日から3ヶ月以内にケアマネの登録申請を行いましょう。ケアマネとして働く場合は、登録申請と同時に介護支援専門員証の交付申請も必要です。

6.介護支援専門員は5年ごとに更新をする

ケアマネの資格取得後は、5年ごとに更新が必要です。更新のための研修内容は、ケアマネとしての実務経験がある場合と、実務経験がない場合で異なります。詳しくは、「ケアマネ資格を更新しないとどうなる?必要な手続きや研修、失効時の対処法」の記事で解説しているので、ぜひご一読ください。

令和6年度のケアマネ試験のスケジュール・受験料

ここでは、東京都福祉保健財団ケアマネジャー専用サイトの「令和6年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験」を参考に、東京都のケアマネ試験のスケジュールと受験料を紹介します。

受験要項の取り寄せ:5月ごろ
申込期間:2024年6月3日(月)~6月30日(日)
受験票発送:9月24日(火)ごろ
試験日:10月13日(日)
合格発表:11月25日(月)予定
受験手数料:12,548円(この内148円は振込手数料)

試験日程は全国統一ですが、都道府県によって申し込みのスケジュールや受験料は異なるので、受験する地域の情報スケジュールを事前にチェックしておくことが大切です。

また、ケアマネ試験のスケジュールは年度によっても異なります。上記は参考として、Webサイトから最新のスケジュールを確認しておきましょう。

ケアマネジャーの業務内容

ケアマネジャーの業務内容は、ケアプランの作成やモニタリングの実施、サービス担当者会議の開催、要介護認定の代理申請などです。ここでは、ケアマネジャーの業務内容を紹介するので、ケアマネを目指す方は参考にしてみてください。

ケアプランの作成

介護を必要とする人が介護サービスを受けられるように、「ケアプラン(介護サービス計画書)」を作成します。ケアマネは、利用者さんやご家族に、生活環境や身体状態、希望する生活などをヒアリング。利用者さんが充実した日常生活を送れるよう、現状の課題を明確にし、「どのサービスがどのくらいの頻度で必要なのか」という具体的な計画を立てます。ケアプランは利用者さんの状態に合わせて変える必要があるので、定期的な見直しが必要です。

モニタリングの実施

サービスの利用を開始してからも、定期的に利用者さんのもとを訪問し、「サービスは適切か」「目標はどれくらい達成できているか」などをモニタリングします。居宅介護支援のケアマネジャーのモニタリングの頻度は、要介護の方は月に1回、要支援の方は3ヶ月に1回程度です。

サービス担当者会議の開催

サービス担当者会議とは、ケアマネが作成したケアプランの原案を元に、ケアプランを完成させるために話し合う会議のことです。各介護事業所の担当者、利用者さん本人やご家族などの関係者を集めて今後のサービスを検討します。ケアマネは司会として会議を進め、関係者の話や事前に確認した主治医の意見を参考に、ケアプランを確定させます。利用者さんやご家族から了承を得ることで、ケアプランを更新して新たなサービスを開始することも可能です。

給付管理票などの作成と管理

介護サービスを提供する事業者は、国民健康保険団体連合会(国保連)に対して介護給付を請求します。このとき、ケアマネが介護給付費の管理を担当し、国保連に提出する「給付管理票」などの各種書類を作成します。給付管理の請求は毎月10日に定められており、締め切りに間に合うように書類を用意しなければなりません。

要介護認定の代理申請

ケアマネは、要介護認定や要介護度引き上げの認定の代理申請も行います。要介護認定の申請は、利用者さんやご家族が行うこともできますが、慣れない作業なので「よく分からない…」という方もいるでしょう。その場合、ケアマネが代理申請をすることで、スムーズに要介護認定の申請ができます。

要介護認定を決める訪問調査の実施

自治体から依頼を受けて、介護サービスを希望する人の要介護度を決めるための訪問調査を行います。申請者の自宅を訪問して情報を収集し、その結果を書類にまとめて報告するのが、ケアマネの仕事です。

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ケアマネになる3つのメリット

ケアマネになるのは難易度が高いと感じるかもしれませんが、ケアマネだからこそ得られるやりがいもあります。ここでは、ケアマネになる3つの魅力をご紹介するので、自分がケアマネになるとメリットを感じられるか、考えてみましょう。

1.自分の仕事次第で利用者さんのQOLを高められる

自分の作成したケアプランをもとに介護サービスが提供されるため、利用者さんの状態やご家族のQOLを高められることに、やりがいを感じるケアマネもいるようです。また、利用者さんから直接感謝の言葉をかけられることが、仕事のモチベーションにつながる場合もあるでしょう。

2.介護職員と比べて身体的な負担が少なめ

ケアマネの仕事は、事務作業が多く、現場の介護職員と比べると身体的な負担が少ない傾向にあります。ケアマネと介護職員を兼任する場合は、身体的な負担に大きな差はないかもしれません。しかし、ケアマネ専任として働く場合は、夜勤がなく体力的な負担が少ないでしょう。身体的な負担が少ないケアマネの仕事は、年齢を重ねても無理なく長く続けられる傾向にあります。

また、日勤のみのケアマネは、夜は自由に過ごすことが可能です。家族と過ごしたり、趣味を楽しんだりと、ワーク・ライフ・バランスをとりながら働けるでしょう。

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3.ケアマネになると収入アップが期待できる

ケアマネジャーの資格を保有する方は、介護職員の中でも給与が高い傾向があります。

厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.157)」によると、介護職員の保有資格別の平均給与は、以下のとおりです。

保有資格平均給与
無資格268,680円
介護職員初任者研修300,240円
介護福祉士実務者研修302,430円
介護福祉士331,080円
社会福祉士350,120円
ケアマネジャー(介護支援専門員)376,770円

参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.157)

ケアマネジャーの資格を保有する介護職員の平均給与は、376,770円です。無資格から働き始めてケアマネになれば約11万円、介護福祉士からケアマネになれば約5万円の給与アップを目指せます。

現在、介護職として実務経験を積んでいる方は、将来のキャリアパスとしてケアマネの資格を取得することを検討してみるのも良いでしょう。

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ケアマネジャーに向いている人の特徴

ケアマネジャーに向いている人の特徴を以下で紹介します。「自分がケアマネに向いているか分からない」という方は、当てはまる特徴があるかチェックしてみましょう。

  • 計画的に行動できる
  • 責任感が強い
  • コミュニケーション能力が高い
  • 事務作業が苦にならない
  • 複数の業務を並行して進められる
  • 新しい知識を学ぶ意欲がある
  • 相手の立場になって考えられる

ケアマネは、介護施設の担当者と日程を調整したり、各機関と交渉をしたりするなど、外部とのやり取りが多い仕事です。そのため、スケジュール管理能力やコミュニケーション能力、責任感が必要になるでしょう。外部とのやり取りだけでなく、書類作成などの事務作業も多いので、マルチタスクを上手に処理する柔軟性も求められます。

また、3年ごとに改正される介護保険制度など、ケアマネは常に最新の介護の知識や制度について学習しなければなりません。資格を取得してからも、新しく学んでスキルアップすることに喜びを感じられる方は、楽しみながらケアマネの仕事を続けられるでしょう。

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【体験談】ケアマネジャーの仕事のやりがい

ここでは、実際にケアマネとして働いている人が感じているやりがいを紹介します。

難病の方の支援を行った際、13の事業所と連携しました。利用者さま・ご家族も含め、皆でチーム一丸となってサポートでき、感謝の気持ちでいっぱいになったことは、一生忘れません。

出典:レバウェル/現場スタッフ紹介 

思っていた以上に利用者さまから時間外の連絡や訪問があり、大変に感じました。電話をかけられない状態の方が入院先のベッドからお電話をかけてくださったこともありました。 大変なこともありますが、利用者さまから「ありがとう」の言葉をいただくと、やはりやりがいを感じます。

出典:レバウェル/現場スタッフ紹介

ケアマネとして働く方は、利用者さん一人ひとりに親身に対応できる点や、ご家族と協力しながら支援できる点に大変さを感じつつも、大きなやりがいも感じているようです。利用者さんから感謝の言葉をもらえるなど、人の役に立つ実感もやりがいにつながるでしょう。

ケアマネジャー求人の探し方

ここでは、ケアマネジャーの求人の探し方と注意点を紹介します。ケアマネジャーだけではなく、介護職員として就職・転職する場合も、自分に合った求人を探すことは大切です。介護業界の仕事に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

どのような求人に応募するかを考える

求人を探すときは、どのような求人が自分に合っているのか考えることが重要です。介護求人には、「経験者優遇」の求人もあれば、「未経験者歓迎」の求人もあります。「経験者優遇」といった記載がある求人は、ベテランを求めていることが多いので、未経験者が選考に通る可能性は低いでしょう。

また、ケアマネジャーの求人は、特養・老健などの介護施設、居宅介護支援事業所、地域包括支援センターなど、さまざまな種類の施設や事業所が出しています。職場によって、細かな仕事内容や利用者さんとの関わり方に違いがあるので、どのように利用者さんをサポートしていきたいかを考え、求人を探すのがポイントです。
雇用形態や待遇はもちろん、介護職員との兼務や施設の規模、在籍しているケアマネの人数などをチェックするのも忘れないようにしましょう。未経験者が先輩ケアマネのいない職場に入職すると、困ったときに頼れる人がいないという事態になりがちです。求人情報だけで把握できないことがあれば、面接の際に確認しておきましょう。事前に職場見学をして、施設・事業所の雰囲気を確認するのも効果的です。

求人探しは、現職を退職する前に始めるのがおすすめ。退職してから求人探しをすると、焦りから妥協してしまい、転職してから後悔してしまうこともあります。働きながら転職活動をすれば、金銭的に余裕があるため、自分に合った職場かどうかを落ち着いて検討できるでしょう。

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就職・転職活動の手段を考える

就職や転職活動をするための手段は、「転職サイト」「ハローワーク」「転職エージェント」などがあります。

転職サイト

転職サイトは気軽に大量の求人を検索できるため、どのような求人があるのかをざっと確認するのに便利です。給与の相場を確かめたり、施設同士を比較したりするのに使いやすいでしょう。しかし、転職サイトでは、応募や面接日程の調整などを自分で行うため、複数の求人に応募し同時進行する場合、億劫になってしまうこともあるようです。

ハローワーク

ハローワークは全国各地に拠点があり、どの地域にお住まいの方でも利用しやすいのがメリットです。地元企業の求人を多く扱っているので、地元で就職したい人にもおすすめできます。求人はハローワーク内に設置されたパソコンや紙のファイルで探しますが、分からないことがあれば窓口の職員に質問することも可能です。応募したい求人が決まったら、窓口で申し込みを行い、面接に持参する紹介状を書いてもらいます。
ただし、在職中の方はハローワークに登録や求人のチェックまではできますが、応募することはできません。ハローワークで転職活動をする場合、現在の仕事を退職する必要があります。

転職エージェント

転職エージェントは、仕事を探す求職者と人材を求める企業をマッチングするサービスです。専任の担当者がマンツーマンでサポートを行うので、疑問や希望を伝えやすいのがメリット。転職エージェントのサービス内容は、カウンセリングや求人提案、選考対策、企業とのやり取りの代行など、さまざまです。

面接日程の調整や交渉などはエージェントの担当者が行ってくれるので、自分で企業とやり取りする手間がかかりません。非公開求人も多数取り扱っているため、転職サイトでは見つけられない求人への応募も可能です。転職エージェントのサービスには、入社後のアフターフォローも含まれており、困ったことがあればすぐに相談できます。

介護業界で転職するための手段は、「介護求人の探し方とは?探し始めるタイミングや良い職場か見極める方法」の記事で解説しているので、あわせてご一読ください。

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ケアマネジャーに関するよくある質問

ここでは、ケアマネジャーに関するよくある質問に回答します。ケアマネジャーの資格取得を目指している方は、ぜひご覧ください。

ケアマネジャーは国家資格ですか?

ケアマネジャーは国家資格ではありません。しかし、ケアマネ試験を受けるためには、国が定めた国家資格等にもとづく実務経験か、相談援助業務の実務経験が必要です。そのため、ケアマネジャーの資格自体は国家資格でなくとも、求められる知識やスキルの専門性は高い資格といえます。ケアマネジャーが国家資格になる可能性については、「ケアマネジャーは国家資格なの?受験資格や介護支援専門員の将来性を解説!」の記事で解説しているのでチェックしてみてください。

ケアマネジャー資格は廃止されるの?

ケアマネジャーの資格が廃止される予定はありません。ケアマネは、受験資格の変更により受験者数が減少したことや、AIの進化で不要になるかもしれないという不安から、「廃止されるかも」という噂があるようです。しかし、あくまで噂であり、ケアマネの資格が廃止される予定はありません。詳しくは、「ケアマネの資格は廃止される?試験の受験資格の変移や将来性を解説」の記事で解説しているので、ぜひご一読ください。

ケアマネジャーの年収はどれくらい?

厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.119)」によると、ケアマネジャーの平均給与は361,770円。12ヶ月分として計算すると、ケアマネジャーの平均年収は4,341,240円です。介護職員の平均給与は317,540円、平均年収は3,810,480円なので、ケアマネジャーと介護職員の年収には53万円ほどの差があります。ケアマネジャーの年収は介護業界の中でも高い傾向にあるといえるでしょう。なお、実際の給料は職場によって異なるので、あくまで参考としてご覧ください。ケアマネジャーの年収については、「ケアマネジャー(介護支援専門員)の平均年収は?給料アップの方法も解説」の記事でも解説しています。

看護師はケアマネジャーになれるの?

看護師として5年以上の実務経験があれば、介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)を受験できます。看護師は、ケアマネ試験に合格して研修を受講すれば、ケアマネジャーになることが可能です。また。准看護師として5年以上の実務経験がある方も、ケアマネ試験を受験できます。この記事の「ケアマネになるには最短で何年必要?」で解説しているので、ご一読ください。

ケアマネの受験資格が得られるのは介護福祉士を取得して何年目?

ケアマネジャー試験の受験資格が得られるのは、介護福祉士を取得してから最短で5年目です。実務経験は資格登録日以降で計算されます。なお、出産や介護などで休業している期間は、従事日数に含まれません。自身の従事日数が分からない方は、職場に確認すると良いでしょう。

ケアマネジャー試験は受験資格による科目免除があるの?

ケアマネジャー試験の受験科目は全員共通で、科目が免除になる人はいません。以前は、保有資格に応じて一部の科目が免除されましたが、2015年にケアマネ試験の受験資格が見直されたため、現在はどの資格を保有していても試験が免除されることはありません。ケアマネジャー試験の科目免除が廃止されたのは、ケアマネジャーの質を高め、利用者さんがより良いサポートを受けられるようにすることが目的です。受験者全員が同じ試験を受けることで、ケアマネジャーのスキルが保たれています。

まとめ

ケアマネになるには、介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)への合格と、介護支援専門員実務研修の修了が必要です。ケアマネ試験の受験資格を得るには、特定の国家資格等に基づく実務経験または、相談援助の実務経験を5年以上積まなければなりません。
そのため、ケアマネになるには、介護福祉士や看護師、社会福祉士などの資格を保有している場合は最短で5年、無資格・未経験の場合は最短で8年程度かかります。キャリアプランを立てる際は、資格取得にかかる期間を把握しておくと良いでしょう。

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執筆者

  • 「レバウェル介護」編集部

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※この記事の掲載情報は2024年8月19日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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