この記事のまとめ
- 老健とは、利用者さんの在宅復帰に向けてサービスを提供する介護施設のこと
- 老健に向いている人は、チームケアや医療・リハビリに興味がある人
- 身体的な負担が少ないことや給与が高いことが老健で働くメリット
老健への転職を考えている方のなかには、「老健の仕事内容を知りたい!」「どんな人が老健に向いてるの?」と考える方もいるのではないでしょうか。
老健は、利用者さんの在宅復帰に向けてサービスを提供する施設です。この記事では、老健の仕事内容や向いている人の特徴、働くメリットをご紹介します。老健への転職を考えている方やチームケアに興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
老健(介護老人保健施設)とはどんな施設?
老健に向いている人の説明に入る前に、老健の特徴を解説します。
老健に対する自分のイメージと合っているか、ぜひ確認してみてくださいね。
老健とは
老健とは、正式名称を「介護老人保健施設」といい、利用者さんの在宅復帰を目的として、医療的なケアや身体機能向上のためのリハビリ・身の回りのお世話などを行う施設です。
老健の利用者さんは、退院後まだ自宅で生活するのが難しい状態にあり、要介護度1以上の認定を受けた方が対象。介護職をはじめ、医師や看護師、リハビリ職、栄養士など、さまざまな職種が専門性を発揮して、利用者さんをチームでケアしているのが老健の特徴です。
老健と特養の違い
特養とは、特別養護老人ホームの略称です。
特養と老健では、主に利用者さんの介護度や利用目的、利用期間が異なります。
老健 | 特養 | |
利用者さんの介護度 | 要介護1~5の方 | 主に要介護3~5の方 |
利用目的 | 利用者さんの在宅復帰 | 利用者さんの長期的な生活の場 |
利用期間 | 基本的に3~6ヶ月 | 長期入居可 終身利用する方もいる |
特養は、主に介護度が高い方が介護サービスを受けながら長く暮らすための施設です。前述のとおり、老健は在宅復帰に向けて医療ケアやリハビリ生活上のお世話を行う施設となっており、特養とは利用目的が異なります。
また、特養では介護が中心のため介護職がメインでケアを行いますが、老健では医療職やリハビリ職などの多職種が連携しながら利用者さんをケアを行うことも、違いといえるでしょう。
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老健で働く介護職員の仕事内容
老健で働く介護職員の主な業務は、日常生活のサポートを中心とした基本的な身体介助です。たとえば、摂食サポートや口腔ケアなどの食事介助や、入浴介助、排泄介助などが挙げられます。老健では在宅復帰を目指しているため、利用者さんができることはなるべく本人の力でできるようサポートするのが介護職の役割です。
また、施設によっては介護職員が利用者さんの通院に同行したり、心身の機能を向上させるレクリエーションの企画・実施をしたりすることもあるようです。老健ではリハビリに力を入れているので、日常的なレクリエーションはデイサービスや特養と比べて少ない傾向にあります。しかし、毎日リハビリに励む利用者さんにとって、レクリエーションやイベントはリフレッシュにつながる大事なもの。開催するときは、利用者さんが楽しめる企画を考えるのも介護職の大切な仕事です。
老健の仕事内容については、「老健の仕事内容を解説!介護職員の1日の流れや働くメリット・デメリット」で詳しく紹介しています。
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老健で働くのに向いている人の特徴
老健の介護職は、下記のような方に向いているといえます。
- 汎用的な介護スキルを高めたい人
- リハビリや医療の観点を学びたい人
- コミュニケーション能力が高くチームでケアをしたい人
- 気持ちの切り替えが早くできる人
- 在宅復帰の支援に興味がある人
下記でそれぞれの内容を詳しく説明するので、老健への転職を考えている方は、自分の希望にマッチするかを確認してみましょう。
汎用的な介護技術を高めたい人
老健では身体介護の機会が多く、排泄介助や入浴介助、移乗介助など基本的な介護技術を一通り学ぶことができます。老健は認知症の方が利用する場合もあるため、認知症ケアやコミュニケーションスキルも身につけることができるでしょう。汎用的な介護技術を身につけたいという方は、やりがいをもって働ける環境といえるでしょう。
リハビリや医療の観点を学びたい人
先述のとおり、老健は多くの専門職が連携して働いている施設です。特に介護職は、看護師やリハビリ職から医療的な観点で指示を受けることが多いので、介護の視点を広げたいという方に向いているといえます。
また、リハビリ職から介助方法のアドバイスをもらえることもあるようです。実際に老健で勤務していた方のお話では、「筋力が衰えた方や麻痺のある方の介助方法などについて、専門的に教えてもらえてよかった」という声も。専門的な観点から人間の身体の仕組みを正しく理解して、介護スキル向上に活かすことができます。
コミュニケーション能力が高くチームでケアをしたい人
老健では、医師やリハビリ職といった他職種とコミュニケーションをとって、利用者さんに適切なサービスを提供する必要があります。介護スタッフ同士も決められた時間までに業務が終わるよう、お互いに協力しあいながら業務を進める力が必要です。個人で淡々と仕事をするよりチームケアに興味があるという方に適した環境といえるでしょう。
老健では利用者さんが3~6ヶ月で利用者さんが入れ替わるため、短期間で利用者さんの顔を覚えたり、信頼関係を構築したりする必要もあります。そのためコミュニケーション能力のある方は、老健で活躍しやすいでしょう。
気持ちの切り替えが早い人
先述したように、老健は利用者さんの入れ替わりが早いため、環境の変化に上手く順応できる方や、気持ちの切り替えが早い方が向いています。
また、老健では認知症の利用者さんもいるため、拒否や暴言を受けることも。症状の影響だと考えて、真に受けすぎずに切り替えられる人の方が、働きやすいといえるでしょう。
在宅復帰の支援に興味がある人
在宅復帰の支援に興味がある方は、老健での業務に向いているといえます。入院している方や施設で生活する方のなかには、「住み慣れた家に帰りたい」とこぼす方も。老健は、そのような利用者さんの希望を叶えられる点で、やりがいを感じられる職場です。長期的なケアよりも、利用者さんが回復していく姿にやりがいを感じる方は老健に向いているといえるでしょう。
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老健で働くメリット
ここでは、老健で働くメリットをまとめています。
「転職の決め手が欲しい!」という方は、ぜひチェックしてみてください。
身体的な負担が比較的少ない
老健の利用者さんは要介護度1以上の認定を受けた方で、要介護度3以上の方を主に受け入れる特養よりも自立度が高い利用者さんも入居しており、比較的介護の負担が少ない傾向があります。
たとえば排泄介助の場合、老健は特養よりもおむつ交換が必要な利用者さんが少なく、トイレ誘導が中心になることも多いようです。
とはいえ、施設によっては介護度の高い利用者さんがいることもあります。「身体的な負担は減らしたいけど、介護スキルは上げたい!」という方には適した環境です。
医療やリハビリに関連する知識がつく
先述のとおり、老健では多くの職種と連携して利用者さんのサポートを行うため、介護以外の知識も得られます。
老健で得た知識は、別の施設に転職した際にも活かすことが可能です。医療やリハビリの観点から利用者さんの状態をアセスメントしたり、利用者さんに最適なケアを提供できるようになったりするので、介護職としてのスキルアップを図れます。
医師や看護師に医療的な対応を任せられる
老健では医師や看護師が勤務しているので、利用者さんの状態で気になることがあれば確認・相談できるのが大きなメリットです。
また、利用者さんの体調が急変したなどの緊急時は、医師・看護師が中心に対応します。基本的に介護職は看護師の指示に従って対応するので、緊急時対応のプレッシャーを軽減できる点が老健で働くメリットです。老健は夜間にも看護師が勤務しているので、夜勤時の精神的な負担も少ないといえます。
利用者さんが回復していく様子を見届けられる
先述したように、老健は利用者さんの在宅復帰を目的としているため、利用者さんが回復する様子を間近で見届けることができます。利用者さんが介護サービスを通して元気になっていく姿は、大きなやりがいにつながるでしょう。
また、利用者さんの入れ替わりが早く、たくさんの方と出会えるのが老健の特徴。「短い期間のなかで信頼関係を築けたときは嬉しい」という声もあり、多くの方とコミュニケーションをとれるのもメリットの一つです。
介護施設の中で平均給与が高め
老健で働く介護職の給料は、他の介護施設と比べると高めです。厚生労働省の「令和4年度介護事業者処遇状況等調査結果(p.122)」によると、老健に勤める常勤介護職の平均給与は33万9,040円でした。年収にすると約407万円となり、特養に次いで2番目に高くなります。介護施設のなかで給与額が高い傾向にあることも、老健で働く大きなメリットになるでしょう。
老健で働く介護職員の給与については、「老健の給料はどれくらい?介護職員の平均給与と年収アップの方法を解説」で詳しく解説しているのでチェックしてみてください。
出典
厚生労働省「令和4年度介護事業者処遇状況等調査結果」(2024年3月4日)
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老健の仕事のやりがいを介護職の体験談と一緒に紹介!働くメリットも解説
老健以外の介護施設に向いている人の特徴
ここでは、老健以外の施設に向いている方の特徴をご紹介します。
ほかの介護施設への転職と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
特別養護老人ホーム(特養)に向いている人
特養は、利用者さんの長期的な生活の場としてサービスを提供する施設です。特養の利用者さんは、要介護度3以上の方が中心で、認知症の方もいます。
特養の介護職に向いている人の特徴は、下記のとおりです。
- 利用者さんに長期的に関わりたい人
- 看取りの経験を積みたい人
- 身体介護のスキルを身につけたい人
- 体力に自信がある人
- 忙しい環境でテキパキと業務を進めるのが性に合っている人
先述のとおり、特養は長期的な入居が可能な施設です。そのため、利用者さんと密に関わりながらケアを行いたいという方は、特養での働き方が合っているかもしれません。認知症の方を介護する機会や看取りに対応する機会もあるので、介護スキルを磨きたい方にも良い環境といえるでしょう。
特養は老健と比べて利用者さんの介護度が高く身体介護の機会が多いため、体力に自信がある人にも向いています。
また、特養では決められたスケジュールの中でテキパキと業務を進める力が必要です。「暇な時間がある職場は、時間が進むのが遅く感じて苦手…」という方には適した環境といえます。
有料老人ホームに向いている人
有料老人ホームは民間企業が経営しているため、会社によって入居対象者やサービスの特色が異なります。向いている人の特徴も施設によりけりなので、参考までにご覧ください。
- 接遇やマナーがしっかりしている人
- 幅広く介護スキルを身につけたい人
- 教育体制を重視する人
- 管理職へキャリアアップしたい人
有料老人ホームは「接遇」が重視される施設が多いため、今までに接客業の経験がある人や、接遇スキルのある人は活躍しやすい環境です。
会社によってはキャリアプランや教育体制が充実しているところもあります。また、有料老人ホームでは事業拡大に伴って施設長のポストが空くこともあるので、ほかの施設と比べると昇進のチャンスが多い傾向にあるでしょう。
有料老人ホームは介護サービスを提供する「介護型」と外部の介護サービスを利用する「住宅型」、自立した高齢者を対象とする「健康型」の3種類に分けられます。運営元の会社によって特色が異なるので、会社独自のサービス提供に対応できるような柔軟性がある人だと、より馴染みやすいでしょう。
デイサービス(通所介護)に向いている人
デイサービスとは、自宅で生活しており、要介護度1以上の認定を受けた方が利用できる介護施設です。
デイサービスの介護職に向いている人の特徴として、下記のような例が挙げられます。
- 利用者さんとの会話を楽しみたい人
- レクリエーションが好きな人
- 夜勤ができない人
- 身体的な負担が少ない現場で働きたい人
デイサービスの利用者さんは比較的自立度が高い人が多いので、コミュニケーションが取りやすく、介護を行ううえで身体的な負担が少ない傾向があります。そのため、これから介護スキルを身につけていきたい方や、身体的な負担が少ない仕事をしたい方におすすめです。
デイサービスで働く介護職の仕事は、食事介助や入浴介助といった基本的な身体介護のほか、レクリエーションの企画・実施が中心。無資格・未経験可の職場も多く、ほかの職種から介護職へのキャリアチェンジを考えている方にもおすすめの職場です。
グループホームに向いている人
グループホームは認知症の方に特化した施設で、アットホームな雰囲気が特徴です。9人ごとのユニット単位で介護を行っており、比較的小規模な施設といえます。
グループホームに向いている人の特徴は、下記のとおりです。
- 相手のペースに合わせられる人
- 一人ひとりの利用者さんを深く理解して向き合いたい人
- 認知症ケアに携わりたい人
- 体力に自信がない人
- 未経験で介護を始める人
グループホームで働くには、相手のペースに合わせられる我慢強い人が向いているといえます。認知症の方が自分たちで日常の家事をこなし、症状の進行を遅らせるのがグループホームの目的。そのため介護職は、利用者さんを見守り、できないところを適切に見極めてサポートすることが求められます。
認知症を患う利用者さんとの意思疎通が難しいと感じる場面も多くあるので、怒ったり面倒がったりせず、丁寧に対応できる穏やかな人が向いているといえるでしょう。また、認知症ケアに触れて介護の幅を広げたい人にとっても、グループホームは学びの多い職場です。
老健に向いている人に関するよくある質問
ここでは、老健に向いている人に関してよくある質問にQ&A方式でお答えしていきます。老健の介護職についてもっと知りたい方は、ぜひご覧ください。
老健の仕事ってきついの?
老健で働く介護職の仕事は、夜勤があったり利用者さんの入れ替わりが激しかったりする点で、きついと感じる方がいます。また、老健の介護職は医療・リハビリ専門職と連携して業務を行う必要があるため、専門用語が飛び交う場面もあり、慣れるまでは大変だと感じるかもしれません。老健への転職を考えている方は、職場環境が自分と合っているか確認してみましょう。老健に向いている人の特徴については、「老健で働くのに向いている人の特徴」で詳しく解説しています。
老健と特養ではどちらの方が働きやすいの?
老健と特養にはそれぞれ働きやすいポイントがあり、どちらの方が良いと一概に判断することはできません。老健と特養の特徴を調べ、自身に合った職場を選ぶことが重要です。たとえば、特養の入居対象は、主に要介護度3以上の認定を受けた方。対し老健は、要介護度1以上の認定を受けた方が入居対象で、自立度の高い利用者さんも入居しています。そのため、老健のほうが介護職にかかる身体的な負担が比較的少ないといえるでしょう。老健と特養の違いに関しては、「老健と特養の違い」で詳しく解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
老健で働くために必要な資格はある?
老健で働くために必須の資格はありませんが、介護職員初任者研修以上の介護資格を有していることが望ましいでしょう。老健では夜勤のある職場が多く、単独で身体介護を行わなければいけないこともあります。単独で身体介護を行うには初任者研修以上の資格が必要なので、資格を有していると業務の幅を広げることが可能です。
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まとめ
老健とは、退院後も自宅での生活が難しい方の在宅復帰を目的として、介護サービスを提供する施設です。老健では、介護職をはじめ、医師や看護師、リハビリ職など、多くの職種が連携して仕事をしています。そのため老健の介護職には、チームケアや医療ケア・リハビリに興味がある人が向いているといえるでしょう。
老健の介護職の仕事は、食事介助や入浴介助、排泄介助などの身体介護を中心に、利用者さんをサポートすること。特養と比較して身体的な負担が少ないことや、平均給与が比較的高いことが老健で働くメリットといえます。
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