老健の仕事内容を解説!介護職員の1日の流れや働くメリット・デメリット

介護の仕事 2024年3月19日
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老健への転職を考えている方のなかには、「老健で働く介護職の仕事内容が知りたい!」という方もいるでしょう。老健での仕事は、利用者さんの身体介護や生活サポートに加え、ほかの専門職との連携や記録業務など多岐にわたります。
この記事では、仕事内容や1日のスケジュール例をご紹介。老健の介護職として働くメリットやデメリット、向いている人の特徴についてもまとめました。老健での仕事に興味がある方はぜひご覧ください。

老健とはどのような施設?仕事内容や給与は?転職時のポイントも徹底解説!

目次

老健(介護老人保健施設)で働く介護職の仕事内容

老健で働く介護職員の仕事内容は、主に身体介助や日常生活のサポートです。
利用者さんの在宅復帰を目的としている老健では、身体機能回復のためにリハビリ専門職や看護師など、多くの職種が働いています。自立支援を意識し、ほかの職種と連携して利用者さんのサポートをしていくことが、老健で働く介護職員の重要な仕事です。

食事介助

食事の際に、利用者さんの摂食サポートや口腔ケアといった介助を行います。介護職員が食事の配膳を行うことも。利用者さんごとにアレルギー対応やとろみ食など食事内容が異なることもあるため、適切な食事を配膳することが大切です。

入浴介助

シャワー室までの誘導や、入浴が難しい利用者さんの洗体、洗髪といった入浴介助を行います。利用者さんができない部分を手伝い、自立を促すのが介助のポイントです。
また、介護職が入浴介助を行う際は、入浴前に体温や脈拍などの体調をチェックしたり、脱衣場・浴室を適温に保ったりすることも重要。入浴後、必要な利用者さんには看護師の指示で軟膏を塗ることも仕事内容の一つです。
なお、老健における入浴の頻度は国の基準で週2回以上と決められています。すべての利用者さんが基準の回数入浴できるように、1週間単位で調整して実施する施設が多いようです。

排泄介助

利用者さんをトイレまで誘導し、お手伝いが必要な場合は排泄の介助まで行います。老健は車いすの利用者さんが中心で、寝たきりの方は特養よりも少ない傾向です。特養に比べるとおむつ交換の対応頻度が少なく、トイレ誘導が中心になるでしょう。
利用者さんによっては、排泄介助は精神的に負担と感じる方もいるかもしれません。介護職員は、少しでも負担を軽くできるよう、日ごろから利用者さんとの距離を縮めておくことが必要です。

起床・就寝介助

起床時・就寝時の介助や更衣・整容のお手伝い、声かけを行うのも、介護職の仕事内容の一つです。決まった時間に起床・就寝の声掛けを行い、利用者さんの誘導や着替えのお手伝いをします。自身で更衣・整容できる方については、できるだけ見守りながら必要な手助けのみ実施し、自立を促すことも必要です。

移動・移乗介助

日常生活での歩行や、車いすの方がベッドや車いす間を移動する際の移乗介助を行います。
杖や歩行器を使ってご自身で歩ける方については、できるだけ転倒しないよう職員が見守ったり、一部の介助をしたりして移動をサポートすることも必要です。

レクリエーションの企画・実施

老健では、介護職員が利用者さんの身体機能の向上につながるようなレクリエーションを企画から実施まで担当します。特養やデイサービスと比べるとレクリエーションの頻度は少ない傾向があるため、業務の割合としてはレクリエーションの企画・実施よりも介助やリハビリ補助の方が大きくなるでしょう。

老健のレクリエーションでは、体操や塗り絵といった利用者さんの身体機能回復につながる活動を中心に、季節のイベントのように準備が必要な企画を開催することもあります。
イベントやレクリエーションはリハビリに励む利用者さんのストレス発散の場になるので、実施する際は利用者さんに楽しんでもらえるような企画を考えることが大切です。

記録業務

利用者さんごとに、実施した介護の内容や医療ケア、リハビリについて記録しておくのも介護職の仕事内容の一つです。老健は、看護師やリハビリ職など、ほかの職種と一緒にチームで利用者さんのケアを行います。利用者さんが必要なケアを受けられるよう、正確かつ客観的に記録することが重要です。

他職種との相談・連携

介護職以外の、リハビリ専門職や看護師との相談・連携も大切な仕事内容の一つです。
先述のとおり、老健は介護サービスだけでなく医療的なケアやリハビリも実施しています。入居期間は原則3ヶ月と短く、利用者さんの入れ替わりも定期的に発生するため、細やかな情報共有と職員間の相談が必須です。

たとえば、介助していて気づいた利用者さんの状態をリハビリ職に共有するなど、細やかな連携をすることで、効果的なリハビリ計画の作成に貢献できることがあります。また、老健ではリハビリ職から「介助時に気をつけてほしいことを」を共有されることも。リハビリ職ならではの、専門的な視点を取り入れ、介助に活かすことが可能です。現場の介護職には、他職種と相談・連携しながら主体的にケアに関わることが求められるでしょう。

夜勤の仕事

介護職の夜勤の仕事内容は、決まった時間に排泄介助や体位交換を行ったり、定期的に見回りをして安否確認を行ったりするなど、多岐にわたります。
夕食・朝食の食事介助や起床・就寝介助を行い、夜間に利用者さんからナースコールで呼び出されたら、都度対応したりするのも夜勤の仕事。また、日中にできなかった書類の作成やレクの準備を夜間に行う場合もあります。

老健の夜勤には看護師が配置されるため、医療的なことで利用者さんに異変があった場合は、看護師を中心に対応するのが基本です。職員が複数配置されていれば、交代しながら仮眠を取ることもできます。

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老健(介護老人保健施設)の1日のスケジュール

老健で働く介護職の1日のスケジュール例と仕事内容をご紹介します。日勤と夜勤で1日の流れは異なるので、ぜひ参考にしてください。

日勤の場合

午前9時出勤。夜勤からの申し送り
午前10時バイタルチェックと入浴介助
午前11時昼食の準備。食事のための離床介助
正午昼食。食事介助
午後12時30分交代で休憩
午後1時見守り
午後2時専門職が行うリハビリの付き添いおよびサポート
午後4時夕食の準備。食事のための離床介助
午後5時夕食。食事介助
午後6時退勤。夜勤への引き継ぎ

日勤の主な仕事内容は、食事介助や移動・移乗介助、排泄介助などの身体介護です。
加えて、記録業務やリハビリ補助といった他職種との連携が多い傾向にあります。

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夜勤の場合

午後5時出勤。日勤からの申し送り
午後6時夕食。食事介助
午後7時就寝準備
午後9時消灯。1時間おきに巡回
翌午前5時30分起床介助
翌午前7時30分朝食。食事介助
翌午前8時30分日勤への申し送り
翌午前9時退勤

老健の介護職員が夜勤に入る際は、消灯後に利用者さんの巡回を行いながら、交代で仮眠や休憩することができます。老健では看護師も夜勤に入るのが特徴です。利用者さんの体調が急変したときは看護師の指示に従って対応するので、精神的にも落ち着いて休憩をとれるようです。
老健の夜勤については、「老健の夜勤は大変?楽?介護職の仕事内容や勤務時間、メリットを解説!」の記事でも解説しているのでご一読ください。

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老健(介護老人保健施設)で働くメリット

老健で働くメリットには、身体的負担の少なさや幅広い知識を得られることが挙げられます。下記の内容を参考に、老健で介護職として働くメリットを確認しましょう。

特養より身体的な負担が少ない傾向にある

先述したように、老健の利用者さんは在宅復帰を目的としており、介護度が低い傾向にあります。そのため、特養に比べると老健での勤務は身体的な負担が少ないといえるでしょう。
とはいえ、施設によっては介護度の高い利用者さんが数名いることも。「身体の負担は減らしたいけれど、介護の腕は落としたくない」という方にとって、バランスの取れた働き方ができる施設といえます。

医療やリハビリに関する知識を得られる

老健では専門職との連携やサポートを通じて、ほかの施設では身につけづらい医療知識やリハビリに関する知識を得られます。利用者さんが楽になる姿勢や栄養価の高い食事について知ることで、他職種との連携がスムーズになり、より質の高いサービスを提供することが可能です。医療的ケアやリハビリに対して理解できるようになると、介護のスキルアップにもつながるでしょう。

幅広い職種が在籍している

老健では、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーションにおける専門職が在籍しています。医師や看護師も常駐しているので、緊急事態が発生した際もすぐに専門職の指示を仰げることがメリット。職種間の連携を強化すれば、利用者さんへ充実した介護サービスを提供できます。

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老健(介護老人保健施設)で働くデメリット

老健で働く介護職員の仕事内容は、特養やデイサービスと比べてイベント企画が少なく、医療寄りのサービスが多い傾向にあります。老健で働く介護職のデメリットは以下のとおりです。

利用者さん向けのイベント企画は少ない

先述のとおり、老健は利用者さんの在宅復帰を目指しているため、イベントやレクリエーションの実施が少なめです。利用者さんに楽しい時間を提供したいと考えている方は、特養やデイサービスのようなレクリエーションが多い施設形態の方が向いているかもしれません。

医療寄りのサービス提供になる

老健にはリハビリ専門職や看護師が在籍しており、ほかの介護施設と比較すると医療寄りのサービスを提供しています。ほかの施設形態から老健に転職すると、介護の方向性の違いに戸惑うこともあるかもしれません。特養のように、介護依存度の高い方への身体介護を中心に利用者さんをサポートしたい方は、ミスマッチを感じる可能性があります。

長期にわたる介護ができない

老健の入居期間は、3~6ヶ月です。老健は特養とは違い、長期にわたる介護を目的としていないため、利用者さんの入退所が頻繁に行われます。そのため、一人ひとりに長期的なサポートを行いたいと考えている方には不向きな可能性があります。老健での勤務を決める前に、介護業務のどのようなポイントにやりがいを感じるかを見極めることが重要です。

老健(介護老人保健施設)で働く介護職の給料

厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.122)」によると、老健で働く介護職の平均給与(常勤・月給の者)は33万9,040円です
施設形態別の比較は以下の表にまとめました。

常勤非常勤
介護老人保健施設33万9,040円28万7,360円
特別養護老人ホーム34万8,040円21万1,260円
訪問介護事業所31万5,170円21万9,390円
デイサービス27万5,620円16万8,170円
グループホーム29万1,080円20万410円

参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査(p.122)

老健で働く介護職の平均給与は、特養に次いで高いことが分かります。また、非常勤の場合は老健が最も高いという結果に。老健の給与は他の施設形態よりも高い傾向にあるので、安定的な収入を得ながらやりがいを見つけたり、ワーク・ライフ・バランスを実現したりすることができるでしょう。

老健(介護老人保健施設)の勤務に向いている人

医療的ケアに携わりたい人やリハビリを行いたい人、高齢者を手厚くサポートしたい人は、老健での勤務に向いているといえます。ここでは、老健で働く介護職の仕事内容を踏まえて、老健で働くのに向いている人の特徴を詳しくまとめました。

医療的な視点からケアに携わりたい

老健はほかの介護施設と異なり、医師の指示に基づいて業務を行えます。医療ケアのサポートをすることで、働きながら介護技術に磨きをかけられる職場環境です。医療的な視点から知識を吸収し、介護サービスに反映させたい方に向いているでしょう。

リハビリテーションに取り組みたい

老健で働くことで、リハビリテーションに関する知識に触れることができます。リハビリを通して介護の視野を広げたい、技術を向上したいと考えている方にも、老健はぴったりの職場です。利用者さんの状態が改善してできることが増えていく様子を見守れると、仕事のやりがいにつながるでしょう。

高齢者の在宅復帰を支援したい

老健では介護職がケアプランを作成するため、利用者さんの生活を支えていきたいと考える人に向いています。頻繁な入退所はありますが、多くの利用者さんの健康を支援できることは社会の役に立っていると実感できるはずです。老健でやりたい業務を実現できる場合は、介護職として長期活躍できるでしょう。

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老健の仕事内容についてよくある質問

老健の仕事内容についてよくある質問に回答します。老健の仕事に興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。

老健の仕事が向いている人の特徴は?

老健の仕事は、医療的ケアに興味がある方やリハビリテーションの知識を身につけたい方が向いています。在宅復帰に向けたサポートに力を入れたいという方もやりがいを感じられる職場です。老健の仕事が向いている人の特徴は、「老健の勤務に向いている人」で詳しく解説しているので、老健で働きたいと考えている方は、チェックしてみてください。

老健で働く看護師の仕事内容は?

老健で働く看護師の仕事内容は、利用者さんの健康管理や医師の指示に基づく医療行為、服薬介助、診察補助、記録、リハビリテーションの補助などです。医療行為の例を挙げると、褥瘡処置やインスリン注射、経管栄養、点滴、喀痰吸引など。また、排泄介助は基本的に介護職が行いますが、看護師がサポートすることもあります。

老健の仕事ってどのような仕事をするの?

老健の仕事は、食事介助や入浴介助、排泄介助、移乗介助などの身体介助から、レクリエーションの企画・実施、緊急対応など多岐にわたります。
老健の介護職員は在宅復帰を目的とした施設のため、リハビリスタッフや看護師、医師との連携も欠かせません。老健の仕事内容は「老健の仕事はきつい?介護老人保健施設が大変な理由と働くメリットを解説!」の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

まとめ

老健(介護老人保健施設)とは、介護を必要とする高齢者が一時的に入居し、リハビリテーションを中心にサービス提供を行う施設です。特養と同様に利用者さんの身体介護や日常生活のサポートを行いますが、老健の利用者さんは在宅復帰を目的としているため、介護職の身体への負担は比較的少ないといえます。

また、老健では理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、医師、看護師などの多くの専門職が在籍しているので、連携することで質の高い介護サービスを実現することが可能です。リハビリや医療ケアに取り組みたい方は、老健で介護職として働くのに向いているといえるでしょう。

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執筆者

  • 「レバウェル介護」編集部

    お役立ち情報制作チーム

介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点

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※この記事の掲載情報は2024年3月19日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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