
この記事のまとめ
- 介護職員等特定処遇改善加算は、勤続10年以上の介護福祉士を評価する制度
- 介護職員等特定処遇改善加算の導入により、介護従事者の平均給与は上がった
- 介護職員等特定処遇改善加算は2024年5月に廃止され、新加算に移行した
「介護職員等特定処遇改善加算って何?」と気になる方もいるのではないでしょうか。介護職員等特定処遇改善加算とは、経験・技能のある介護福祉士などの賃金改善を行うための制度です。この記事では、介護職員等特定処遇改善加算の目的や算定要件、配分ルールを解説。2024年に開始した「介護職員等処遇改善加算」の概要や、2026年の介護報酬改定の内容もまとめたので、介護業界の処遇改善が気になる方はご覧ください。
目次
介護職員等特定処遇改善加算とは?
介護職員等特定処遇改善加算とは、2019年10月から2024年5月まで運用されていた、介護報酬の加算制度です。勤続10年以上の介護福祉士の処遇改善を重点的に行うため、創設されました。
介護職員等特定処遇改善加算は、区分(I)と区分(II)の2種類で、より算定要件が厳しい区分(I)のほうが加算率が高い仕組みです。各事業所が取得できる加算の区分は、介護福祉士の配置割合などの算定要件によって決まります。
介護職員等特定処遇改善加算の目的
介護職員等特定処遇改善加算が創設された目的は、勤続年数が長い介護福祉士の処遇改善を行い、技能のある介護職員の離職を防ぐことです。技能のある介護福祉士の賃金改善を重点的に行うことに加え、ほかの介護従事者の処遇改善を行う目的もありました。
また、介護職員等特定処遇改善加算を取得するには、職場環境等要件を満たす必要があります。このことから、介護従事者の賃金改善だけではなく、働きやすい職場環境を作ることも重視していたことがうかがえるでしょう。
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介護職員等特定処遇改善加算の廃止と制度の一本化
介護職員等特定処遇改善加算は、2024年5月をもって廃止され、同年6月からは「介護職員等処遇改善加算」へと移行しました。
介護事業所の処遇改善に関する加算は「介護職員処遇改善加算(2012年4月~)」「介護職員等特定処遇改善加算(2019年10月~)」「介護職員等ベースアップ等支援加算(2022年10月~)」の3つありました。複雑だった制度の簡素化と現場での柔軟な運用を目指し、2024年6月以降は新しい加算制度へ一本化されています。
また、2026年の介護報酬の臨時改定では、介護職員等処遇改善加算の拡充として、上位区分の新設や加算率の引き上げが実施されました。
新制度の詳細や2026年最新の処遇改善加算の状況については、後述する「2024年新設の「介護職員等処遇改善加算」とは?」で解説するので、あわせてご確認ください。
出典
厚生労働省「令和元年度介護報酬改定について」(2026年9月14日)
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介護職員等特定処遇改善加算の支給対象
介護職員等特定処遇改善加算の支給対象になるのは、加算を取得する事業所で働く人です。介護事業所が加算を取得するための要件については、後述の「介護職員等特定処遇改善加算の算定要件」でチェックが可能です。
ここでは、介護職員等特定処遇改善加算の職種間の配分ルールや、対象外の介護サービスを解説します。
介護職員等特定処遇改善加算の配分ルール
厚生労働省の「介護職員等特定処遇改善加算に関する基本的考え方並びに 事務処理手順及び様式例の提示について (p.3)」によると、2019年10月に介護職員等特定処遇改善加算が創設された際は、以下のような配分ルールでした。
- 原則として「経験・技能のある介護職員」のうち1人以上は、賃金改善にかかる費用の見込み額が月額平均8万円以上または、改善後の賃金の見込み額が年額440万円以上であること
- 「経験・技能のある介護職員」の賃金改善にかかる費用の見込み額の平均は、「他の介護職員」の賃金改善にかかる費用の見込み額の平均の2倍以上であること
- 原則として「他の介護職員」の賃金改善にかかる費用の見込み額の平均は、「その他の職種」の賃金改善にかかる費用の見込み額の平均の倍以上であること
- 「その他の職種」の改善後の賃金の見込み額は、年額440万円を超えないこと(すでに賃金が年額440万円を上回る職員は配分の対象外)
介護職員等特定処遇改善加算は、「技能のある介護福祉士>そのほかの介護職員>そのほかの介護従事者」という優先順位で配分されます。
なお、「経験・技能のある介護職員」と「他の介護職員」に関する具体的な配分ルールは、介護職員等特定処遇改善加算の創設時と2021年4月以降で異なります。

引用:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について(p.109)」
2021年4月の介護報酬改定で、「経験・技能のある介護職員の賃金改善額(費用の見込み額)の平均は、他の介護職員の平均より高くすること」に緩和されました。
一方で、「他の介護職員の賃金改善額(費用の見込み額)の平均は、その他の職種の平均の2倍以上が原則」というルールは、2019年10月から2024年5月まで変更されませんでした。
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介護職員等特定処遇改善加算における職員の区分
前述のとおり、介護職員等特定処遇加算における職員の区分は、「経験・技能のある介護職員」「他の介護職員」「その他の職種」の3種類あります。
「経験・技能のある介護職員」とは、主に介護福祉士の資格を有する勤続10年以上の介護職員のことです。勤続10年の具体的な考え方は介護事業所に委ねられています。
厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.81)」によると、「ほかの法人における経験も含める職場」と「所属している法人等での経験のみで計算する職場」は半々くらいでした。同資料(p.85)を見ると、36.2%の事業所は、「勤続5年以上10年未満」の介護職員も技能のある職員に含めていたことが分かります。
また、「他の介護職員」とは、上記に該当しない勤続10年未満の介護職員や、介護福祉士の資格を持たない介護職員のこと。「その他の職種」とは、介護職員以外の介護従事者で、ケアマネジャーや生活相談員、看護職員、事務職員などです。
介護職員等特定処遇改善加算を配分した職員の範囲
厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.72)」によると、介護職員等特定処遇改善加算を配分した職員の範囲は、「経験・技能のある介護職員」92%、「そのほかの介護職員」85%、「そのほかの介護従事者」53.3%となっています。
同資料(p.76)によると、介護職員以外で配分された割合が高い職種は、看護職員や生活相談員、事務職員です。
出典
厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2026年9月14日)
介護職員等特定処遇改善加算をもらえない人
介護職員等特定処遇改善加算を取得していない介護事業所で働く人は、支給の対象にはなりません。また、利用者さんの介護に直接携わる職員の処遇改善を行うことが目的なので、対象外のサービスがあります。
厚生労働省の「介護職員等特定処遇改善加算に関する基本的考え方並びに 事務処理手順及び様式例の提示について(p.11)」によると、以下の介護保険サービスを提供する事業所は、介護職員等特定処遇改善加算を取得できません。
- 訪問看護・介護予防訪問看護
- 訪問リハビリテーション・介護予防訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導・介護予防居宅療養管理指導
- 福祉用具貸与・介護予防福祉用具貸与
- 特定福祉用具販売、特定介護予防福祉用具販売
- 居宅介護支援・介護予防支援
福祉用具専門相談員や居宅ケアマネジャーなどは、介護職員等特定処遇改善加算をもらえません。なお、上記の介護保険サービスは、介護職員等特定処遇改善加算の算定要件の一つである「介護職員処遇改善加算」の対象外です。
出典
厚生労働省「令和元年度介護報酬改定について」(2026年9月14日)
厚生労働省「令和3年度介護報酬改定について」(2026年9月14日)
▼関連記事
介護職員等処遇改善加算の対象職員は?配分ルールや要件、旧加算との違い
介護職員等特定処遇改善加算の算定要件
介護職員等特定処遇改善加算を取得するためには、次の3つの要件すべてを満たす必要があります。
- 介護職員処遇改善加算(I)~(III)のいずれかを取得している
- 職場環境等要件に関する複数の取り組みを実施している
- 処遇改善加算の取り組みの見える化を行っている
「見える化」とは、処遇改善加算に基づく取り組みをWebサイトへの掲載などで明確にすることです。
介護職員等特定処遇改善加算の算定要件の各項目について、以下で解説します。
介護職員処遇改善加算(I)~(III)の取得とは
介護職員処遇改善加算(I)~(III)の算定要件は、下記のとおりです。
| 処遇改善加算(I) | 処遇改善加算(II) | 処遇改善加算(III) |
| キャリアパス要件1~3すべて+職場環境等要件を満たす | キャリアパス要件1と2+職場環境等要件を満たす | キャリアパス要件1または2+職場環境等要件を満たす |
参考:厚生労働省「令和4年度介護報酬改定について(p.3)」
「キャリアパス要件」と「職場環境等要件」について、詳しく見てみましょう。
キャリアパス要件
厚生労働省の「令和4年度介護報酬改定について(p.3)」によると、介護職員処遇改善加算におけるキャリアパス要件は、以下の3つとなっています。
- 1.職位・職責・職務内容等に応じた任用要件と賃金体系を整備すること
- 2.資質向上のための計画を策定して研修の実施又は研修の機会を確保すること
- 3.経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること
簡単にいうと、キャリアパス要件1は、「仕事内容や責任に応じたキャリアアップ制度と賃金表の整備」です。キャリアパス要件2は「スキルアップの機会の確保」、キャリアパス要件3は「スキルに応じた昇給や定期昇給を行うための制度づくり」を指します。
なお、キャリアパス要件に当てはまる制度がある場合は、就業規則に明記するなどして、すべての介護職員に周知しなければなりません。
職場環境等要件の区分
処遇改善加算における職場環境等要件とは、「賃金改善を除く、職場環境等の改善」を行うことです。介護職員等特定処遇改善加算が新設された2019年時点の、職場環境等要件の区分は、「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」「その他」の3つでした。
2021年4月の介護報酬改定で、職場環境等要件の区分は改定され、以下の6区分になりました。
- 入職促進に向けた取組
- 資質の向上やキャリアアップに向けた支援
- 両立支援・多様な働き方の推進
- 腰痛を含む心身の健康管理
- 生産性向上のための業務改善の取組
- やりがい・ 働きがいの醸成
職場環境等要件を満たすためには、資格取得支援や働き方の改善、ICTの活用などが必要です。介護職員処遇改善加算(I~III)を取得するには、職場環境等要件に1つ以上取り組む必要があります。
また、介護職員等特定処遇改善加算を取得するには、職場環境等要件に関する複数の取り組みを実施しなければなりません。
厚生労働省の「介護職員処遇改善加算及び介護職員等特定処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(p.10)」によると、2021年度は、6区分のうち3つの区分において、それぞれ1つ以上の取り組みを行うことが要件でした。
2022年4月からは、介護職員等特定処遇改善加算を算定するには、6区分の各区分ごとに1つ以上の取り組みを行うことが必要になりました。前述したように、処遇改善加算の取り組みの見える化を行うことも要件です。
特定処遇改善加算(I)と(II)の算定要件の違い
介護職員等特定処遇改善加算(I)と(II)は、介護福祉士の配置に関するルールが違います。介護職員等特定処遇改善加算(I)を取得するためには、介護福祉士の配置等要件を満たさなければなりません。
介護福祉士の配置等要件を満たせるのは、主にサービス提供体制強化加算のIまたはIIの区分を算定している場合で、具体的な条件はサービスごとに異なるようです。介護職員等特定処遇改善加算(II)のほうが取得しやすい一方で、加算(I)のほうが加算率が高くなっています。
出典
厚生労働省「第208回社会保障審議会介護給付費分科会(持ち回り)資料」(2026年9月14日)
厚生労働省「令和元年度介護報酬改定について」(2026年9月14日)
厚生労働省「令和3年度介護報酬改定について」(2026年9月14日)
介護職員等特定処遇改善加算の加算率
ここでは、介護職員等特定処遇改善加算の加算率や、加算額の計算方法を解説します。
介護サービス種別の加算率
介護職員等特定処遇改善加算の加算率は、介護サービスごとに設定されています。
厚生労働省の「「介護職員等処遇改善加算」の加算率」によると、2023年の介護職員等特定処遇改善加算(I)および(II)の加算率は、以下のとおりです。
| サービス区分 | 介護職員等特定処遇改善加算(I) | 介護職員等特定処遇改善加算(II) |
| 訪問介護 | 6.3% | 4.2% |
| 訪問入浴介護 | 2.1% | 1.5% |
| 通所介護 | 1.2% | 1.0% |
| 通所リハビリテーション | 2.0% | 1.7% |
| 特定施設入居者生活介護 | 1.8% | 1.2% |
| 認知症対応型通所介護 | 3.1% | 2.4% |
| 小規模多機能型居宅介護 | 1.5% | 1.2% |
| 認知症対応型共同生活介護 | 3.1% | 2.3% |
| 介護福祉施設サービス(特養) | 2.7% | 2.3% |
| 短期入所生活介護 | 2.7% | 2.3% |
| 介護保健施設サービス(老健) | 2.1% | 1.7% |
| 介護医療院 | 1.5% | 1.1% |
参考:厚生労働省「「介護職員等処遇改善加算」の加算率」
介護職員等特定処遇改善加算の加算率が最も高いのは、訪問介護でした。反対に、通所介護(デイサービス)は、加算率が最も低くなっています。
出典
厚生労働省「第233回社会保障審議会介護給付費分科会資料」(2026年9月14日)
介護職員等特定処遇改善加算の計算方法
特定処遇改善加算の加算額は、事業所の「1ヶ月の介護報酬の総額(処遇改善加算を除く)」に「該当サービスの加算率」を掛け合わせて算出します。
例:訪問介護事業所・特定処遇改善加算(I)の場合
1ヶ月の介護報酬が500万円の事業所の場合は、「500万円×6.3%=31万5,000円」
上記の場合、1ヶ月あたり31万5,000円が特定処遇改善加算として事業所に支給されます。事業所はこの報酬を原資として、介護福祉士を中心とする対象職員へ、配分ルールに基づいて給与を上乗せする仕組みです。
介護職員等特定処遇改善加算の実績
ここでは、介護職員等特定処遇改善加算の実績を解説します。介護従事者の処遇はどのように変化したのかチェックしてみましょう。
介護職員等特定処遇改善加算の取得率
厚生労働省の「介護人材の処遇改善等(改定の方向性)(p.24)」によると、制度開始の2019年10月に介護職員等特定処遇改善加算を取得したのは、処遇改善加算を取得している事業所の58.3%、対象サービス全体の53.8%でした。
また、2023年4月に介護職員等特定処遇改善加算を算定したのは、処遇改善加算を取得している事業所の77.0%、全体の72.3%です。
介護職員等特定処遇改善加算を取得する事業所は、少しずつ増えていきました。しかし、職種間の配分ルールの複雑さといった理由から、加算を取得しない事業所も一定数あり、取得率は7割台に留まったようです。
出典
厚生労働省「第233回社会保障審議会介護給付費分科会資料」(2026年9月14日)
介護職員等特定処遇改善加算による賃金改善の方法
介護職員等特定処遇改善加算による賃金改善は、「安定的な処遇改善が重要であることから、基本給による賃金改善が望ましい」と、厚生労働省から周知されています。
厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.68)」によると、実際の賃金改善の方法は、「賞与等の支給金額の引き上げ・新設」が最多の59.8%、次いで「各種手当の引き上げ・新設」が53.7%でした。「定期昇給を実施」は17%、「給与表を改定して賃金水準を引き上げた」は10.8%と少なめです。
介護職員等特定処遇改善加算を、賞与や一時金という名目で配分する場合、月々の給与が上がるとは限りません。賃金改善は複数の項目に分けて行うこともあるため、「月給が上がった」と実感できた人ばかりではないと考えられます。
出典
厚生労働省「令和元年度介護報酬改定について」(2026年9月14日)
厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2026年9月14日)
介護職員等特定処遇改善加算による給与アップの金額
以下では、介護職員等特定処遇改善加算の導入が、介護従事者の実際の給与にどのような効果をもたらしたのかを解説します。
介護職員等特定処遇改善加算による介護福祉士の賃金改善
介護職員等特定処遇改善加算(I)および(II)を取得する事業所における、介護福祉士(月給・常勤)の勤続年数別の賃金改善の状況は、次のとおりです。
| 勤続年数 | 2020年の平均給与 | 前年比 |
| 5年(5年~5年11ヶ月) | 31万5,910円 | +1万7,470円 |
| 10年(10年~10年11ヶ月) | 34万6,350円 | +2万1,340円 |
| 15年(15年~15年11ヶ月) | 36万8,190円 | +2万1,960円 |
| 20年以上 | 40万6,000円 | +1万8,090円 |
参考:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.283)」
介護職員等特定処遇改善加算を導入した事業所では、勤続10年、15年の介護福祉士の平均給与が2万円以上アップしたようです。また、勤続5年の介護福祉士の平均給与も、約1万7,000円アップしています。
介護職員等特定処遇改善加算による介護従事者の賃金改善
介護職員等特定処遇改善加算を取得している事業所では、介護福祉士以外の給与も上がったようです。介護従事者の給与が加算の取得前後でどのように変化したのか、確認してみましょう。
| 職種 | 2020年の平均基本給(前年比) | 2020年の平均給与(前年比) |
| 介護職員 | 18万3,450円(+3,250円) | 32万5,550円(+1万8,120円) |
| 看護職員 | 23万7,230円(+2,000円) | 38万3,560円(+6,710円) |
| 生活相談員・支援相談員 | 21万4,670円(+3,400円) | 35万5,150円(+1万1,180円) |
| 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、機能訓練指導員 | 22万9,610円(+3,260円) | 36万4,040円(+9,310円) |
| 介護支援専門員(ケアマネジャー) | 21万8,130円(+3,220円) | 36万2,510円(+1万1,070円) |
| 事務職員 | 20万4,650円(+1,800円) | 31万2,470円(+7,870円) |
| 調理員 | 18万4,800円(+2,270円) | 27万2,400円(+6,960円) |
| 管理栄養士・栄養士 | 20万9,760円(+2,680円) | 32万2,010円(+8,820円) |
参考:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.205)」
介護職員等特定処遇改善加算を取得した事業所の平均基本給は、すべての職種でアップしたことが分かります。また、手当や一時金による処遇改善が多いため、平均給与で見たときの上がり幅が大きいようです。
介護職員や相談員、ケアマネジャーの平均給与は、介護職員等特定処遇改善加算の影響もあり1年で1万円以上アップ。加算の趣旨のとおり、介護職員の平均給与が最も上がったようです。なお、平均給与は、基本給(月額)+手当(月額)+一時金(10~3月の支給金額を6で割った金額)となっています。
出典
厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2026年9月14日)
賃金改善以外で行われた介護従事者の処遇改善
先述したように、「介護職員等特定処遇改善加算」を算定するためには、複数の職場環境等要件を満たす必要があります。
厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.102)」によると、介護事業所が2021年に新たに実施・強化した取り組みとしては、以下のようなものがあります。
- 経営理念やケアの方針、人材育成の方針の明確化(入職促進に向けた取組 )
- 資格取得や研修の受講の支援(資質の向上やキャリアアップに向けた支援)
- 有給休暇が取得しやすい環境の整備(両立支援・多様な働き方の推進)
- 介護職員の身体的な負担を軽減するための取り組み(腰痛を含む心身の健康管理)
- ICTや介護ロボットなどの活用による業務量の軽減(生産性向上のための業務改善の取組)
- ミーティング等によるコミュニケーションや、職員の意見を業務に反映させる取り組みの実施(やりがい・働きがいの醸成)
「有給休暇を取得しやすい環境の整備」「ミーティングの実施や、職員の意見を業務に反映させる取り組み」は、8割以上の介護事業所で実施されています。
職場環境等要件を6つに細分化し、すべての区分に取り組むことを「介護職員等特定処遇改善加算」の算定要件とした効果もあり、介護業界は働きやすい環境の整備が進んでいるようです。
出典
厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2026年9月14日)
2024年新設の「介護職員等処遇改善加算」とは?
2024年6月から「介護職員等処遇改善加算」の運用がスタートしました。前述のとおり、介護職員等処遇改善加算とは、「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」という3つの制度を統一した加算です。
新加算は特定加算などの旧加算の要素を引き継いでいる
事業所の裁量で柔軟に運用できるのが介護職員等処遇改善加算の特徴で、「介護職員等特定処遇改善加算」のような細かい配分ルールは設けられていません。しかし、「介護職員等特定処遇改善加算」の要素も引き継いでいるため、経験や技能のある介護職員の処遇改善は優先度が高くなっています。
厚生労働省の「介護人材確保に向けた処遇改善等の課題(p.59)」「令和8年度介護報酬改定の概要(p.1)」によると、介護職員等処遇改善加算(I・イ)は、旧加算である「介護職員等特定処遇改善加算(I)」に対応。介護職員等処遇改善加算(II・イ)は、「介護職員等特定処遇改善加算(II)」に対応する内容です。
出典
厚生労働省「第248回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料」(2026年9月14日)
介護職員等処遇改善加算は2026年6月に拡充された
介護職員等処遇改善加算は、2026年6月施行の介護報酬の臨時改定で見直しが行われました。
2026年の介護職員等処遇改善加算の変更点
2026年の介護報酬改定に伴う、介護職員等処遇改善加算の大きな変更点は3つです。

引用:厚生労働省「令和8年度介護報酬改定の概要(p.1)」
1つ目の変更点として、処遇改善加算の配分対象が従来の介護職員から、ケアマネジャーや生活相談員、看護職員などを含む介護従事者全般へと本格的に拡大されました。
2つ目の変更点は、これまで処遇改善加算の対象外だった訪問看護(介護予防含む)・訪問リハビリテーション(介護予防含む)・居宅介護支援・介護予防支援が、加算を算定できるようになったことです。
3つ目の変更点は、業務の生産性向上や協働化に取り組む事業所を評価する上乗せ区分として、加算I(ロ)・II(ロ)が新設されたこと。加算Iと加算IIはそれぞれ、(イ)(ロ)の2段階の構成で、加算I(ロ)が最上位の加算です。
2026年6月時点の介護職員等処遇改善加算の加算率
厚生労働省の「令和8年度介護報酬改定の概要(p.2)」をもとに、主な介護サービスにおける介護職員等処遇改善加算(I)~(IV)の加算率をまとめました。
| サービス区分 | 加算I(イ) | 加算I(ロ) | 加算II(イ) | 加算II(ロ) | 加算III | 加算IV |
| 訪問介護 | 27.0% | 28.7% | 24.9% | 26.6% | 20.7% | 17.0% |
| 訪問入浴介護 | 12.2% | 13.3% | 11.6% | 12.7% | 10.1% | 8.5% |
| 通所介護 | 11.1% | 12.0% | 10.9% | 11.8% | 9.9% | 8.3% |
| 通所リハビリテーション | 10.3% | 11.1% | 10.0% | 10.8% | 8.3% | 7.0% |
| 特定施設入居者生活介護 | 14.8% | 15.9% | 14.2% | 15.3% | 13.0% | 10.8% |
| 認知症対応型通所介護 | 21.6% | 23.6% | 20.9% | 22.9% | 18.5% | 15.7% |
| 小規模多機能型居宅介護 | 17.1% | 18.6% | 16.8% | 18.3% | 15.6% | 12.8% |
| 認知症対応型共同生活介護 | 21.0% | 22.8% | 20.2% | 22.0% | 17.9% | 14.9% |
| 介護老人福祉施設・短期入所生活介護 | 16.3% | 17.6% | 15.9% | 17.2% | 13.6% | 11.3% |
| 介護老人保健施設 | 9.0% | 9.7% | 8.6% | 9.3% | 6.9% | 5.9% |
| 介護医療院 | 6.2% | 6.6% | 5.8% | 6.2% | 4.7% | 4.0% |
参考:厚生労働省「令和8年度介護報酬改定の概要(p.2)」
いずれの加算区分を取得する場合も、旧加算において同じ要件を満たしたときより、加算率が高くなるように設定されています。
2026年6月から介護職員等処遇改善加算が新設されたサービスの加算率は、以下のとおりです。
| サービス区分 | 加算率 |
| 訪問看護 | 1.8% |
| 訪問リハビリテーション | 1.5% |
| 居宅介護支援・介護予防支援 | 2.1% |
参考:厚生労働省「令和8年度介護報酬改定の概要(p.2)」
新設されたサービスで最も加算率が高いのは「居宅介護支援・介護予防支援」の2.1%で、居宅介護支援事業所で働くケアマネジャーの処遇改善が期待されます。なお、訪問看護と訪問リハビリテーションは、介護予防も同じ加算率です。
2026年の介護報酬改定の詳細は「処遇改善手当とは?2026年度介護報酬改定でどうなる?加算の要件も解説」の記事で解説しているので、ぜひご参照ください。
出典
厚生労働省「介護職員の処遇改善:TOP・制度概要」(2026年9月14日)
▼関連記事
2026年介護職員の給料は上がる?介護報酬改定と2027年に向けた議論
介護職員等特定処遇改善加算に関するよくある質問
ここでは、介護職員等特定処遇改善加算に関するよくある質問に回答します。「特定加算や新加算について確認したい」という方は、ぜひご一読ください。
介護職員処遇改善加算と介護職員等特定処遇改善加算の違いは?
旧制度である「介護職員処遇改善加算」と「介護職員等特定処遇改善加算」の主な違いは、処遇改善を行う対象者と配分ルールです。介護職員処遇改善加算は、現場で働く介護職員全体の給与の引き上げを目的に、幅広い職員に配分されました。
一方、介護職員等特定処遇改善加算は、勤続10年以上の介護福祉士などの経験・技能のある職員の賃金改善を重点的に行うための制度。該当の職員の賃金改善額をほかの職員より大きくするため、配分ルールが設けられていました。
なお、2024年6月以降、2つの加算は「介護職員等処遇改善加算」に一本化されています。詳しくは、この記事の「2024年新設の「介護職員等処遇改善加算」とは?」をご覧ください。
福祉・介護職員等特定処遇改善加算とは?
「福祉・介護職員等特定処遇改善加算」とは、障害福祉分野で働く方の処遇改善を行うための、障害福祉サービス等報酬の加算です。「経験・技能のある障害福祉人材>そのほかの障害福祉人材>そのほかの職種」という優先順位で配分されます。
なお、2024年6月の障害福祉サービス等報酬改定により、「福祉・介護職員等特定処遇改善加算」は廃止に。障害福祉分野の処遇改善に関する加算は、「福祉・介護職員等処遇改善加算」に一本化されています。
出典
厚生労働省「福祉・介護職員の処遇改善」(2026年9月14日)
職場が処遇改善加算を取得しているか確認する方法は?
自分の勤務先が加算を取得しているかどうか知りたい場合、毎月の給与明細を確認する方法が確実です。手当の項目に「処遇改善手当」などの名称が記載されていれば、事業所が加算を取得しており、自分にも支給されていることが分かります。明細で判別できない場合は、事業所の担当者に直接問い合わせてみましょう。
また、「介護サービス情報公表システム」で確認することも可能です。事業所名を検索すると、加算の取得状況を閲覧できる場合があります。
出典
厚生労働省「介護サービス情報公表システム」(2026年9月14日)
まとめ
介護職員等特定処遇改善加算とは、経験・技能のある介護福祉士などの賃金改善や職場環境の整備を目的に、2019年に創設された制度です。算定要件を満たして加算を取得する事業所に対し、処遇改善のための報酬が上乗せで支給されます。
2019年から2020年の1年間で、介護福祉士の平均給与は2万円近くアップしており、一定の効果があったと考えられるでしょう。
介護職員等特定処遇改善加算は2024年5月に廃止され、同年6月から「介護職員等処遇改善加算」という新加算の運用がスタートしています。
さらに、2026年6月には介護報酬の臨時改定が行われ、介護職員等処遇改善加算の枠組みを維持しながら、上位区分の新設や加算率の引き上げが実施されました。対象職種も、介護職員だけでなく、ケアマネジャーや生活相談員などを含む介護従事者全般へと本格的に拡大されています。
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執筆者

「レバウェル介護」編集部
お役立ち情報制作チーム
介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点



