
この記事のまとめ
- 特定処遇改善加算により、勤続10年以上の介護福祉士の給与が上がった
- 特定処遇改善加算は廃止され、介護職員等処遇改善加算へ移行された
- 介護職員等処遇改善加算は、介護従事者の給与を上げるための制度
「同じ職場で勤続10年以上の介護福祉士の給料は上がる?」と気になる方もいるのではないでしょうか。介護職員等特定処遇改善加算の効果もあり、介護福祉士の給与はアップしました。制度が廃止された2024年6月以降も、賃金改善は続いています。この記事では、「介護職員等特定処遇改善加算」の対象者や効果を解説します。2024年6月施行の「介護職員等処遇改善加算」についてもまとめたので、ぜひ参考にしてください。
介護福祉士とはわかりやすくいうとどんな資格?取得方法や試験概要を解説!目次
勤続10年の介護福祉士の給与が上がるって本当?
これまで、介護職員等特定処遇改善加算により、勤続10年以上の介護福祉士の賃金アップが重点的に行われてきました。
勤続10年の介護福祉士の賃金改善の金額
2019年10月に創設された介護職員等特定処遇改善加算により、勤続10年以上の介護福祉士をメインに、介護従事者の給与アップが図られてきました。介護職員等特定処遇改善加算による、勤続10年以上の介護福祉士の賃金改善の金額は、職場によって異なります。
介護職員等特定処遇改善加算の適用は2024年5月まで
介護職員等特定処遇改善加算は、2024年5月に終了しました。これは、2024年の介護報酬改定で、介護従事者の処遇改善に関する加算が見直されたためです。
見直しにより、2024年5月まで適用されていた「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」という3つの加算は、「介護職員等処遇改善加算」に一本化されました。
介護業界の給与水準は依然として全産業の平均に追いついておらず、人材確保の取り組みの一つとして、今後も処遇改善は続く見込みです。
2024年6月から運用されている「介護職員等処遇改善加算」については、「2024年6月開始の「介護職員等処遇改善加算」とは?」で後述するので、あわせてチェックしてみてください。
出典
厚生労働省「介護職員の処遇改善:TOP・制度概要」(2026年7月22日)
厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」(2026年7月22日)
今の職場に満足していますか?
▼関連記事
処遇改善手当とは?2026年度介護報酬改定でどうなる?加算の要件も解説
介護職員等特定処遇改善加算とは?
介護職員等特定処遇改善加算とは、勤続10年以上の介護福祉士の処遇改善を重点的に行うことを前提とした、介護報酬の加算です。職種ごとの配分ルールの範囲内で、ほかの介護職員や介護従事者の賃金改善に配分することも可能。2019年10月に創設された介護職員等特定処遇改善加算は、2024年5月まで運用されていました。
2019年に介護職員等特定処遇改善加算が創設された理由
2019年に介護職員等特定処遇改善加算が創設されたのは、介護人材の確保・定着を図るためです。技能のある介護職員の給与アップや、働きやすい職場環境の整備を行い、介護人材の定着率を上げることが目的でした。
「勤続10年の介護福祉士」に該当する人
介護職員等特定処遇改善加算の配分における「勤続10年」の捉え方は、介護事業所の判断に委ねられていました。そのため、「同じ職場で介護福祉士として働いた期間のみで計算」「ほかの事業所の経験年数も合算」「介護福祉士取得前の実務経験も合算」など、職場が決めたルールで配分されていたようです。
特定処遇改善加算の配分方法をはじめ、介護事業所の給与に関するルールは、職場ごとに異なる部分が大きいでしょう。
介護職員等特定処遇改善加算の効果
介護職員等特定処遇改善加算は、勤続10年以上の介護福祉士について、「月額平均8万円相当の賃金改善」または「年収440万円以上になるよう処遇改善を行うこと」を算定根拠としました。こちらの「月額8万円の賃金改善」もしくは「年収440万円以上」という条件は、事業所のうち1人が満たせば問題ありませんでした。
厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.231) 」によると、介護職員等特定処遇改善加算が開始される以前の2019年における介護福祉士の平均給与は、31万9,950円です。介護職員等特定処遇改善加算開始後の2020年における介護福祉士の平均給与は、33万8,340円でした。
特定処遇改善加算が創設される前と後の、介護福祉士の給与差は約2万円です。実際に8万円給与アップした介護福祉士は少ないため、「思ったより給与が上がらない」と感じた方もいるかもしれません。
介護職員等特定処遇改善加算は、職種ごとの配分ルールに基づき、介護事業所のスタッフ全体の賃金改善に使われました。そのため、加算を取得した事業所の給与は、勤続10年以上の介護福祉士だけではなく、介護職員全体やほかの職種も上がったようです。
出典
厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2026年7月22日)
2024年に介護職員等特定処遇改善加算が廃止された理由
介護職員等特定処遇改善加算が廃止されたのは、制度を簡素化し、処遇改善加算の効果を得られる人を増やすためです。
2024年5月までは、「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」という3種類の処遇改善加算があり、制度が複雑化していました。「事務作業が煩雑」「制度設計が分かりにくい」といった理由で、加算を取得しない事業所も一定数あったようです。
厚生労働省の「介護職員等特定処遇改善加算の請求状況」によると、介護職員等特定処遇改善加算の取得率は約7割と伸び悩み、恩恵を受けられない介護従事者も少なくありませんでした。介護職員等処遇改善加算への一本化の目的は、現状を打破し、加算を取得しやすくすることです。
特定加算についてさらに詳しく知りたい方は、「介護職員等特定処遇改善加算とは?算定要件や実績、廃止後の新制度を解説!」の記事もご覧ください。
出典
厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」(2026年7月22日)
厚生労働省「令和元年度介護報酬改定について」(2026年7月22日)
2024年6月開始の「介護職員等処遇改善加算」とは?
2024年6月から運用されている「介護職員等処遇改善加算」は(l)~(lV)に分かれており、最も加算率が高いのは加算(l)となっています。介護職員等処遇改善加算には職種間の配分ルールがないため、事業所内で柔軟な配分が可能です。
いずれの区分で加算を取得する場合も、加算(lV)の加算額の半分以上を、月額賃金の改善に充てなければなりません。
厚生労働省の「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方 並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)(p.3)」には、介護職員等処遇改善加算の支給方法について、以下のように記載されています。
賃金改善は、基本給、手当、賞与等のうち対象とする項目を特定した上で行うものとする。(中略)安定的な処遇改善が重要であることから、基本給による賃金改善が望ましい。
引用:厚生労働省「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方 並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)(p.3)」
介護職員等処遇改善加算の取得に伴う賃金改善は、どのような方法で行うのか明確にしなければいけません。安定的な処遇改善を行うために、基本給アップによる加算の配分が推奨されているものの、一部は手当や賞与による支給も可能です。
出典
厚生労働省「介護職員の処遇改善:TOP・制度概要」(2026年7月22日)
▼関連記事
2026年介護職員の給料は上がる?補正予算や報酬改定について解説!
2024年の報酬改定で勤続10年の介護福祉士の給料は上がった?
2024年は、前述の処遇改善加算の見直しに加えて加算率の引き上げも行われ、介護福祉士の給料が上がりました。
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(p.17)」によると、「介護職員等処遇改善加算」開始前の2023年における介護福祉士の平均給与は33万7,160円です。これに対し、2024年における介護福祉士の平均給与は35万50円で、前年より1万円以上アップしました。
なお、調査対象の介護福祉士の平均勤続年数は10.4年です。
同じ職場で勤続10年の介護福祉士の給料は今後上がる?
2026年6月に介護報酬の臨時改定があり、処遇改善加算の拡充が行われました。2027年は、3年に一度の介護報酬の定期改定の時期です。介護職員を中心に介護従事者の賃上げの動きは近年活発なので、今後も給料アップが期待できます。
現行の介護職員等処遇改善加算は、3つの旧加算の問題を解消した形で引き継ぐ制度です。「技能のある介護職員」の評価を継続するために、勤続年数10年以上の介護福祉士の処遇改善は今後も続くと考えられるでしょう。
介護職員等処遇改善加算の配分については、「介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員に重点的に配分することとするが、事業所内で柔軟な配分を認める」と規定されています。
また、加算(lll)は、「資格や勤続年数等に応じた昇給の仕組みの整備」が取得の要件。加算(l)は、「介護福祉士をはじめとする経験・技能のある介護職員を、事業所内で一定割合以上配置していること」が要件です。
「技能がある介護職員への配分に重点が置かれている」「上位の加算を取得するためには技能のある職員の配置が必要」という点から、勤続年数10年以上の介護福祉士の処遇改善は、介護事業所のなかでも優先順位が高いといえます。
ただし、介護職員等処遇改善加算の具体的な配分方法を決めるのは、介護事業所です。実際に処遇改善の効果をどれくらい得られるかは、勤務先の評価制度などによって異なるでしょう。
出典
厚生労働省「介護職員の処遇改善:TOP・制度概要」(2026年7月22日)
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2026年7月22日)
▼関連記事
介護福祉士なのに資格手当がつかない?金額の相場や取得するメリットを解説
介護福祉士の資格手当の相場は?取得すると給与がいくらアップするのか解説
2022年における勤続10年の介護福祉士の平均給与
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.271、p.367)」によると、2022年における勤続年数別の、介護福祉士と介護職員全体の平均給与は以下のとおりです。(介護職員等特定処遇改善加算および介護職員等ベースアップ等支援加算を取得している事業所のデータ、百の位以下切り捨て)

参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.271、p.367)」
2022年における勤続10年の介護福祉士の平均給与は、33万5,590円。勤続15年の介護福祉士の平均給与は、35万6,300円でした。介護福祉士の平均給与は、勤続年数を重ねるごとに増加しています。また、介護職員全体の給与と比較して、介護福祉士の給与は高い傾向にあるようです。
介護福祉士として給与を上げるには、同じ職場で勤続年数を重ねてスキルアップすることが効果的といえます。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2026年7月22日)
▼関連記事
介護士(介護職員)の給料は?平均給与や年収アップの方法、処遇改善の状況
介護福祉士になる方法
介護福祉士になるには、介護福祉士国家試験への合格が必要です。介護福祉士試験の受験資格を得る主な方法は、「実務経験ルート」「養成施設ルート」「福祉系高校ルート」の3通りあります。
働きながら介護福祉士の取得を目指す場合は、「介護等の実務経験3年+介護福祉士実務者研修修了」で受験資格を満たせる「実務経験ルート」で取得を目指すと良いでしょう。
介護福祉士の受験資格を得る方法は、「介護福祉士の受験資格を得るルートを解説!必要な実務経験や試験概要は?」の記事で解説しているので、あわせてご一読ください。
▼関連記事
社会人として働きながら介護福祉士になるには?資格取得のルートを解説!
勤続10年の介護福祉士の給与に関するよくある質問
ここでは、勤続10年の介護福祉士の給与について、よくある質問に回答します。「処遇改善加算で給料は上がるの?」と気になっている方は、ぜひご一読ください。
勤続10年以上の介護福祉士の年収はどれくらい?
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.367)」によると、2022年における勤続10年の介護福祉士(月給制・常勤)の平均給与は、33万5,590円です。12を掛けて平均年収を算出すると、約403万円となります。
介護福祉士の勤続年数別の平均給与は、「2022年における勤続10年の介護福祉士の平均給与」でご紹介しているので、あわせてチェックしてみてください。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2026年7月22日)
介護福祉士の処遇改善の最新情報を教えてください!
2026年6月に臨時で介護報酬改定が行われたため、介護福祉士の処遇改善が期待できます。この改定は、介護職員を含む介護従事者に、月額1万円のベースアップが可能な水準の措置です。さらに、介護ロボットの導入や業務効率化に取り組む事業所の介護職員には、月7,000円を追加で支給できる水準の措置も。事業所が2,000円の定期昇給を行えば、月に最大1万9,000円ほど、介護福祉士の給与アップが期待できます。
働きやすい環境づくりやIT化に力を入れている事業所は、新設された上位の処遇改善加算を取得できるため、介護福祉士の収入アップにつながるチャンスといえるでしょう。
出典
厚生労働省「介護職員の処遇改善:TOP・制度概要」(2026年7月22日)
まとめ
2019年10月から2024年5月まで、介護職員等特定処遇改善加算により、勤続10年以上の介護福祉士の給与アップが図られてきました。介護職員等特定処遇改善加算の効果もあり、介護福祉士の平均給与は制度開始前後の1年間で約2万円上がったようです。
介護職員等特定処遇改善加算は2024年5月で終了しましたが、これを引き継ぐ新たな加算として「介護職員等処遇改善加算」が創設されました。
介護職員等処遇改善加算は、「資格や勤続年数等に応じた昇給の仕組みを整備する」「介護福祉士をはじめとする経験・技能のある介護職員を、事業所内で一定割合以上配置する」など、加算区分に応じた算定要件があります。
加算を算定する事業所において、勤続10年以上の介護福祉士の処遇改善は今後も続くと考えられるでしょう。
「今の給料・待遇に不満がある」「経験を活かして転職したい」という方は、レバウェル介護(旧 きらケア)にご相談ください。介護業界に特化した転職エージェントのレバウェル介護(旧 きらケア)では、介護求人を豊富に取り扱っています。
そのため、介護職員等処遇改善加算(l)を取得している職場や、スキルのある職員を評価する仕組みがある職場などを紹介可能です。「介護福祉士としてのキャリアを考えたい」「ケアマネジャーを目指したい」という方の相談にも対応しています。
サービスはすべて無料なので、「今と違う条件や働き方を選べる?」と気になる方は、ぜひ利用してみてくださいね。
今の職場に満足していますか?
執筆者

「レバウェル介護」編集部
お役立ち情報制作チーム
介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点


