勤続10年の介護福祉士の給料がアップする!?特定処遇改善加算の条件

介護職の給料 2022年8月31日
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上を指差す介護士のイメージ

2019年10月に、経験・技能のある介護職員を対象とした特定処遇改善加算が創設されました。この特定処遇改善加算は、介護福祉士のような専門的な技術や経験を持つ介護職員の離職ゼロを目指すために作られた制度です。しかし、特定処遇改善加算が適用されるには、勤続10年や、介護福祉士の資格取得など、いくつか条件を満たさなければなりません。どんな条件を満たせばいいのか、こちらでわかりやすく解説していきます。

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目次

勤続10年の介護福祉士と認められる条件

特定処遇改善加算を得られるのは、基本的に「勤続10年の介護福祉士」とされています。そのため、特定処遇改善加算の対象になるには、まず介護福祉士の資格が必須です。

しかし「勤続10年」という条件は、それぞれの事務所によって裁量が異なります。簡単に言うと、事業所によっては同じ職場で10年以上働いていなくても、前職を含めて勤続10年だったり、医療機関などでの経験が認められたりすれば、条件を満たしたとみなされる場合もあるということです。また、「勤続10年の介護福祉士」という条件に該当する人材がいない場合、その他の介護職員や職種であっても、事業所の裁量によって加算対象とされることがあります。

勤続10年以上なら誰でも対象になる?

特定処遇改善加算は、必ずしも「勤続10年以上なら誰でも対象になる」というわけではありません。「勤続10年以上」という条件はあくまでも目安です。勤続年数が10年以上でも、スキルや仕事ぶりに不安がある介護福祉士は、特定処遇改善加算の対象にはなれません。

つまり逆を言えば、勤続年数が10年に満たなくても、現場のリーダーとなれるだけの技能があると認められれば特定処遇改善加算の対象になれる、ということです。

正社員だけでなくパートも対象になる?

介護福祉士の中には、パートのような非常勤で働いている方もいます。パートとして働く方は、特定処遇改善加算の対象になるのか、不安に思っているのではないでしょうか。実は、厚生労働省の公式Webサイトには、対象となる介護福祉士の雇用形態について明確には記載されていません。
正職員として働く介護福祉士に限るとも、10年以上働いている正職員に限るとも、どこにも書かれていないのです。そのため、パートでも特定処遇改善加算の対象になれるかどうかは、現状では各事業所に裁量が委ねられています。パートでも特定処遇改善加算を得られるのか気になる方は、勤め先の事業所に直接確認してみると良いでしょう。

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出典:厚生労働省「介護人材の処遇改善について」(2020年5月13日)

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特定処遇改善加算とは

そもそも特定処遇改善加算とは、優れた経験や技能のある介護福祉士に介護報酬をさらに加算して支給し、介護離職ゼロを目指すための制度です。
すべての介護職員の昇給を行うのではなく、経験・技能のあるベテランの職員やベテランと同等のスキルを持つ介護福祉士に重点を置き、長く働くことで給料が上がる仕組みを作ることで、介護人材の定着を図っています。

特定処遇改善加算が作られた経緯

超高齢社会の日本において、介護業界の深刻な人手不足は社会的な課題の一つです。
厚生労働省によると、2025年には約245万人の介護職員が必要になると見込まれており、介護人材のニーズは今後ますます高まっていくことが予想されています。
しかし、介護の仕事は「身体的・精神的に負担が大きい割に給料が低い」というイメージが強く根付いており、介護職員の定着率が伸び悩んでいるのが現状です。
そこで国は、介護職員の定着率アップと離職率ゼロを目指し、特定処遇改善加算制度を新設。
従来の介護職員処遇改善加算にプラスし、特定処遇改善加算をさらに支給することで介護福祉士の給料アップ、やりがいを持てる職場づくりを促進しています。

出典:厚生労働省「第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数」(2020年5月13日)

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介護福祉士の給料はアップするのか

特定処遇改善加算によって、介護福祉士の給料がアップすることは間違いありません。しかし、残念ながら必ず「月8万円貰える」ということはないようです。

独立行政法人福祉医療機構の調査によると、月8万円支給される事業所の割合はわずか3.6%。一番多い割合で、2万円台が28.1%。次いで、3万円から5万円が20.1%です。

特定処遇改善加算は、従来の処遇改善加算に上乗せして支給されます。そのため、その土台となる従来の処遇改善加算を取得している事業所でないと介護報酬を受け取れません。
さらに、事業所によって加算率が異なるので、介護福祉士1人に一律8万円も支給するのは難しいようです。介護福祉士として10年以上働いていて、給料が大幅アップするかもしれないと期待している方は、処遇改善手当が少し増える程度だと思っていたほうが無難かもしれません。

出典:独立行政法人福祉医療機構「2019 年度介護報酬改定 (介護職員等特定処遇改善加算) アンケート」(2020年5月13日)

特定処遇改善加算の問題点

特定処遇改善加算には「介護職員内の配分のバランスが難しい」という問題点があります。配分対象となる職員は、次の3つに分類されるので、ご覧ください。

1.経験・技能のある介護職員
2.その他の介護職員
3.介護職員以外

特別処遇改善加算は、対象の介護福祉士も支給方法も、事業所が自由に決めて良いことになっています。そのため、加算額を全て1の経験・技能のある介護職員に配分することもできますし、2のその他の介護職員や3介護職員以外の職員に配分することも可能です。
ただし、1の経験・技能のある介護職員のうち1人以上は、月8万円の給料アップ。または年収見込み額が440万円以上にならなくてはなりません。また1、2、3の平均の処遇改善加算額が、1は2の2倍以上、3は2の1分の1を上回らないことが定められてます。

こういった配分バランスが難しいと感じている事業所が多く、現場が混乱してしまっているという問題があるようです。

特定処遇改善加算の支給方法

特定処遇改善加算は、事業所が各自治体に申請を行います。
介護報酬として支給されたお金を対象の介護福祉士に配分するので、個人で支給の申請手続きなどをする必要はありません。
また、支給方法は特に決まっておらず、毎月給与に上乗せして支払われることもあれば、ボーナスとして支払われることもあります。

特定処遇改善加算の算定方法

加算見込み額の計算方法は、以下のようになります。

各事業所の介護報酬(処遇改善加算分を除く)×各サービスの新加算ⅠまたはⅡ=特定処遇改善加算見込み額

介護サービスごとに特定処遇改善加算の加算率は異なり、同じ新加算Ⅰを取得しても、事業所によって加算率が違うのが特徴です。

サービス別の加算率

特定処遇改善加算の加算率は、施設ごとに異なるのが特徴です。
自分が勤める事業所の加算率はどれくらいなのか、確認してみましょう。

・訪問介護 新加算Ⅰ 6.3% 新加算Ⅱ 4.2%
・通所介護 新加算Ⅰ 1.2% 新加算Ⅱ 1.0%
・グループホーム 新加算Ⅰ 3.1% 新加算Ⅱ 2.3%
・介護老人福祉施設(特養) 新加算Ⅰ 2.7% 新加算Ⅱ 2.3%
・介護老人保健施設(老健) 新加算Ⅰ 2.1% 新加算Ⅱ 1.7%

なお、訪問看護や訪問リハビリテーション、福祉用具貸与、居宅介護支援などは特定処遇改善加算の対象外になります。

出典:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について ~介護職員の更なる処遇改善~」(2020年5月13日)

介護福祉士になるには

介護福祉士になるには、国家試験に合格しなくてはなりません。
介護業界唯一の国家資格である介護福祉士の資格は、無資格・未経験からでも取得を目指せますが、国家試験を受験するには、受験資格を満たす必要があります。
こちらでは、受験資格を得る代表的な方法を3つご紹介します。

養成施設に通う

1つ目の方法は、介護福祉士の養成施設に通うことです。
高校や大学を卒業した後、養成施設として指定されている専門学校に通うことで、受験資格を得ることができます。
1年から2年ほどで修了することができる養成施設を卒業していれば、国家試験で実技試験を受ける必要がなく、筆記試験に合格することができれば介護福祉士として登録されますよ。
未経験や無資格からでも介護福祉士を目指せる、最短ルートです。

福祉系の高等学校を卒業する

2つ目の方法は、福祉系の高等学校を卒業することです。
こちらも卒業できていれば実技試験は免除されるので、筆記試験を通過することができれば介護福祉士として登録されます。
ただし、特例高等学校の場合は、卒業後に9ヶ月以上の実務経験を積むことが必要です。

3年以上の実務経験を積む

3つ目の方法は、介護職員として3年以上の実務経験を積むことです。
介護福祉士実務者研修を修了した上で、3年以上の実務経験があれば、養成施設や福祉系の高等学校を卒業していなくても、受験することが可能です。
こちらも実技試験も免除され、筆記試験を通過することができれば介護福祉士の資格を得られます。

出典:厚生労働省「介護福祉士の概要」(2020年5月13日)

まとめ

・勤続10年の介護福祉士と認められる条件は、事務所の裁量によって異なります
・特定処遇改善加算は、ベテランの介護職員の処遇改善を図るために新設された制度
・勤続10年の介護福祉士全員に月8万支給されることはないが、給料は多少増える
・特定処遇改善加算の加算率は事業所によって異なり、支給方法も違う
・介護福祉士になるには、養成施設や福祉系の高等学校を卒業する、実務経験を積むといった方法がある

特定処遇改善加算は、現場のリーダーになれるだけのスキルや専門的な能力のある介護福祉士に支給されます。
現在の待遇や給料に不満がある方は、介護福祉士の資格を取得し、特定処遇改善加算を得られる条件を満たしましょう。

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※この記事の掲載情報は2022年8月31日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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