介護福祉士に8万円の賃上げ?ずるいと言われた処遇改善の現実と給料の今後

介護職の給料 2026年8月18日
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この記事のまとめ

「介護福祉士に8万円支給されるって本当?」と気になる方もいるのではないでしょうか?2019年~2024年5月に運用されていた介護職員等特定処遇改善加算では、「介護福祉士に8万円が支給される」と話題になりました。この記事では、過去に実施された介護職員等特定処遇改善加算の実情や、現行の介護職員等処遇改善加算について解説します。給与アップを目指している介護職の方は、ぜひご一読ください。

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目次

介護福祉士だけに8万円が支給される制度があった?

2019年10月から2024年5月まで、介護職員等特定処遇改善加算という制度が実施されていました。この制度の目的は、介護福祉士など技能のある介護職員の給料を引き上げることです。なお、現在は「介護職員等特定処遇改善加算」は廃止され、「介護職員等処遇改善加算」に統合されています。

介護職員等特定処遇改善加算は、「事業所で働く勤続10年以上の介護福祉士1人以上に、月8万円程度の賃上げを行うこと」を加算の算定根拠としたため、「介護福祉士だけに8万円が支給される」と思った介護職員の方もいたのではないでしょうか?

当時、「介護福祉士以外にも介護職員として頑張っている人はいる」「介護福祉士ばかりずるい」といった不満の声が上がりましたが、実際には介護福祉士だけでなく、他の介護職員の賃上げにもつながる制度でした。

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介護職員等特定処遇改善加算はどんな制度だった?

介護職員等特定処遇改善加算の目的は、スキルのある介護職員の評価を給料に反映し、人材の確保を図ることでした。介護福祉士の処遇改善に力を入れたのは、専門性の高い介護職員を増加させるためです。

介護職員等特定処遇改善加算は、キャリアパス要件や職場環境等要件などを満たすことで取得できました。加算は2段階に分かれており、事業所が受け取れる介護報酬の金額は、専門性の高い介護人材を多く配置していると高くなる仕組みです。

事業所が受け取った介護職員等特定処遇改善加算は、「経験・技術のある介護福祉士」「そのほかの介護職員」「介護職員以外(ケアマネジャーや看護職など)」に配分されました。「経験・技術のある介護福祉士」の平均処遇改善額を、ほかの職員より高くするのが配分のルールです。

介護職員等特定処遇改善加算について詳しくは、「介護職員等特定処遇改善加算とは?算定要件や実績、廃止後の新制度を解説!」の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。

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実際に介護福祉士の給料は月8万円上がった?

介護職員等特定処遇改善加算によって、実際に介護福祉士の給料が月8万円上がったわけではありません。そもそも、介護福祉士のなかでも勤続10年以上の方などを中心に評価する制度なので、介護福祉士の資格だけで8万円アップを目指すのは難しかったようです。

厚生労働省の「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.106)」によると、特定加算導入前の2018年における介護福祉士の平均給与は、31万3,920円でした。
同省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.231)」によると、特定加算を取得する事業所の2020年における介護福祉士の平均給与は、33万8,340円となっています。特定加算を導入した事業所の介護福祉士の給与は、2.5万円ほど上がった可能性があるでしょう。

また、同省の「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料(p.10)」によると、2023年10月に特定加算を取得している事業所は、全体の73.2%。特定加算より後に導入された「介護職員等ベースアップ等支援加算」の算定率は全体の88%でした。
特定加算は算定する事業所がほかの加算より少なく、制度の恩恵を受けられない介護福祉士も一定数いたことがうかがえます。

介護福祉士の給与8万円アップが実現しなかった理由

介護職員等特定処遇改善加算によって、給与8万円アップが実現した介護福祉士は少ないのが現実です。以下で、その理由を解説します。

制度のルールや取得手続きが煩雑だったから

介護職員等特定処遇改善加算は、制度のルールや算定のための手続きが複雑なことから、取得する事業所が少なかったようです。

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.97)」によると、事業所が介護職員等特定処遇改善加算の届け出を出さなかった理由として、事務作業が複雑なことや配分の仕組みを作るのが難しいことが挙げられています。

ほかの介護職員や他職種にも配分したから

介護職員等特定処遇改善加算は、配分のルールを守ることで、介護福祉士以外の介護職員やほかの職種への配分も認められていました。

介護職員等特定処遇改善加算のイメージ

引用:厚生労働省「介護人材の処遇改善等(改定の方向性)(p.29)」

配分のルールは、下記のすべてを満たすことです。

  • 「1.経験・技能のある介護職員(勤続10年以上の介護福祉士など)」において月額8万円の処遇改善もしくは、全産業平均水準の年収440万円以上を設定・確保する
  • 「1.経験・技能のある介護職員」は「2.他の介護職員」より処遇改善額を高くする
  • 「3.その他の職種」の処遇改善額は、「2.他の介護職員」の2分の1を上回らない

原則として、スキルのある介護福祉士の給与を最低1人は、「月額8万円アップさせる」もしくは「年収440万円以上に設定する」必要がありました。

給与改善の要件を満たさなければならないのは、「勤続10年以上の介護福祉士1人だけ」だったことや、介護福祉士以外への配分もできたことから、実際に8万円の給与アップにつながった人は少なかったといえます。なお、勤続10年の考え方は、介護施設や事業所の裁量で判断されました。

現在はどんな制度がある?今後給与は上がるの?

介護職員の処遇改善は継続されており、今後も給与は上がる見込みです。新たな制度によって処遇改善加算を取得しやすくなったことで、賃上げできる事業所や対象者が増えました。

以下で、現在適用されている処遇改善の制度について解説します。

2024年に介護職員等処遇改善加算が新設された

2024年6月から、それまでの3種類の処遇改善加算を一本化した「介護職員等処遇改善加算」が運用されています。

この介護職員等処遇改善加算も、介護業界の人材不足を解消を目的とした制度です。介護職員を中心に、介護事業所に従事する職員の処遇改善を目的としています。

介護職員等処遇改善加算のイメージ

引用:厚生労働省「介護職員の処遇改善:TOP・制度概要」

「介護職員等処遇改善加算」はI~IVに分けられており、加算Iが最も加算率が高く、より多くの要件を満たすことで上位の加算を取得できる仕組みです。

介護職員等処遇改善加算の基本的な算定要件は、以下の3つです。

  • キャリアパス要件
  • 月額賃金改善要件
  • 職場環境等要件

介護職員等処遇改善加算を配分する際は、「加算の算定額に相当する賃金改善を行う」「前年度からの加算増加分以上の賃金改善を行う」「原則として加算以外の部分で賃金を下げない」という条件を満たさなくてはいけません。加算以外の部分で賃金を引き下げる場合、特別事情届出書の提出が必要です。
加算IとIIの算定要件は、介護福祉士の配置割合や賃金改善に関するものなので、加算IやIIを取得する事業所では、特に介護福祉士の評価が高いと予想できます。

制度が一本化されたことで、仕組みが分かりやすくなったり、書類の様式が簡素化されたりしたので、事業所が加算を取得しやすくなったようです。

2026年の介護報酬改定により介護職の賃上げが見込まれる

2026年6月の介護報酬改定(期中改定)によって、介護福祉士を含む介護職の給与は今後さらに底上げされる見通しです。この介護報酬改定により、処遇改善加算が拡充されました。

最新の制度では、加算率アップに加え、処遇改善加算IとIIに上位区分が新設されています。従来の要件に加えて、「ケアプランデータ連携システムの利用」や「生産性向上推進体制加算の取得」などの条件を満たす事業所は、より加算率の高い処遇改善加算を算定可能です。

上記の措置は、介護従事者に対して月1万円の賃上げができる水準。さらに、生産性向上や協働化に取り組む事業所の介護職員は、上位加算の取得の効果として、プラスで月7,000円程度の賃金アップが期待できます。
加算率アップと上位加算の取得に加え、事業所が2,000円の定期昇給を行えば、介護職員は最大月1.9万円ほど給与が上がるかもしれません。

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処遇改善手当とは?2026年度介護報酬改定でどうなる?加算の要件も解説

介護職以外の介護従事者も給与アップの可能性がある

2026年6月の介護報酬改定では、介護職以外の介護従事者にもベースアップを行うための見直しが実施されました。

前述した加算率アップによる1万円の賃上げは、加算を取得する事業所の職員を幅広く対象としています。また、これまで介護職員等処遇改善加算の対象外だった「居宅介護支援・介護予防支援」「訪問看護」「訪問リハビリテーション」が算定対象のサービスに加わりました。この見直しにより、処遇改善加算の恩恵を受けられる介護従事者は増えると予想できます。

ただし、加算配分の比率は事業所に委ねられていることや、介護職員への配分を基本とする制度であることから、実際にどの程度の処遇改善が実現するかは職場や職種によって異なるでしょう。
介護事業所には、どのように職員に処遇改善加算を配分するか明確にする義務があるので、自身の賃金について気になる方は上司に確認してみると良いかもしれません。

処遇改善手当以外で給与アップを目指す方法

「給与アップのためにできることはある?」と気になる方に向けて、処遇改善手当以外で介護職が給与アップを目指す方法を、以下にまとめました。

  • 資格を取得する
  • キャリアアップする
  • 夜勤に入る回数を増やす
  • 転職する

資格を取得したり役職に就いたりすることによって、給与が上がる介護事業所は多くあります。また、夜勤に入ると深夜帯に割増賃金が適用されるため、回数を増やすことで給与アップを望めるでしょう。
「資格手当が付かない」「働き方を変えて給料アップを目指したい!」という方は、ほかの職場に転職するのも選択肢の一つです。

介護職員の給与アップについて、詳しくは「2026年介護職員の給料は上がる?補正予算や報酬改定について解説!」の記事もご参照ください。

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介護福祉士の処遇改善に関するよくある質問

ここでは、介護職員の処遇改善についてよくある質問にお答えします。

介護福祉士が10年以上勤続すると手当が付きますか?

10年以上勤続した介護福祉士に手当が付く決まりはありません。職場によっては、介護福祉士の資格保有者や、長く勤続した職員に手当が付くこともあるようです。また、職員の指導やマネジメントといった、リーダー的な業務をこなしている職員に手当が付くこともあります。手当の種類や金額は職場によって異なるので、確認してみましょう。
介護福祉士の資格手当について気になる方は、「介護福祉士の資格手当の相場は?取得すると給与がいくらアップするのか解説」の記事もチェックしてみてください。

介護福祉士に8万円が支給されるのは嘘ですか?

2019年10月から「介護福祉士へ8万円支給される」と話題になった介護職員等特定処遇改善加算は、すでに廃止されています。
厚生労働省の「介護人材の処遇改善等(改定の方向性)(p.29)」によると、介護職員等特定処遇改善加算は、「公費1000億円程度を投じて、勤続年数10年以上の介護福祉士に対し、月額平均8万円相当の処遇改善を行う」という制度でした。しかし実際には、事業所が加算を取得しなかったり、介護福祉士以外の職員の賃上げにも加算を配分できたりしたため、8万円満額の賃上げが実現した人は少なかったようです。
2026年の介護業界の処遇改善については、この記事の「現在はどんな制度がある?今後給与は上がるの?」にまとめています。

まとめ

2019年10月から施行された「介護職員等特定処遇改善加算」という制度により、「勤続10年以上の介護福祉士には、月額8万円が支給される」と話題になりました。しかし、「介護福祉士だけ8万円支給されるのはずるい」という声もあり、職場の判断によっては、ほかの職員に分配することも可能になったようです。

現在は、「介護職員等特定処遇改善加算」は廃止されており、3種類の処遇改善加算を一本化した「介護職員等処遇改善加算」が運用されています。介護業界は今後もベースアップを目標に動く方針のため、職員の給与アップが期待できるでしょう。

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執筆者

  • 「レバウェル介護」編集部

    お役立ち情報制作チーム

介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点

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※この記事の掲載情報は2026年8月18日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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