介護福祉士に8万円の現実は?現在の特定処遇改善について解説

介護職の給料 2022年8月2日
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「勤続10年以上の介護福祉士の給与が8万円アップするかも」と期待したのに、「やっぱり実現しなかった」と感じている方もいるようです。国が出した「勤続10年以上の介護福祉士に8万円程度の処遇改善を行う」といった施策案は、「介護職員等特定処遇改善加算」として実施されています。この記事では、介護職員等特定処遇改善加算の制度を詳しく解説。現実はどう実施されているのか、誰に配分されているのかを説明します。

目次

介護福祉士に8万円は支給された?

数年前、厚生労働省から「介護サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士に、公費1000億円程度を投じて、月額平均8万程度の処遇改善を行う」との施策案が発表されました。このことから、「介護福祉士の給与が8万円アップする」といった情報が、介護業界に広まったのでしょう。

とはいえ、「介護福祉士を対象とした8万円の処遇改善は、本当に施行されたの?」と疑問に感じている介護士さんは多いかもしれません。しかし、「介護福祉士に8万円を支給する」という施策は実際に実現しています。ただ、「介護福祉士以外にも介護職で頑張っている人はいる」「実力がなくても実年数で給与が上がるなんて不公平」といった介護職員の声もあったため、「介護福祉士以外の職員にも事業所の判断で分散して配分しても良い」という規定になりました。

勤続10年以上の介護福祉士の人数によって加算率が算定されますが、介護福祉士以外の職種への配分も認められたために報酬が分散し、介護福祉士1人に対する報酬額が少なくなってしまいました。そのため、制度が施行されても給与アップを実感できない介護福祉士さんも多いようです

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「勤続10年の介護福祉士に8万円」の現実は?

「勤続10年の介護福祉士に8万円支給」の施策案は、2019年10月から「介護職員等特定処遇改善加算」という制度で実施されています。

「介護職員等特定処遇改善加算」は、サービス区分や各事業所の勤続10年以上の介護福祉士の人数に応じて、介護報酬の加算率を算定して各事業所に処遇改善額が支給される制度です。配分対象者は、「1.経験・技術のある介護職員」「2.そのほかの介護職員」「3.そのほかの職種」の3つ。配分率は下記のいずれかを選択するように定められています。

  • 「1.経験・技術のある介護職員」において月額8万円の改善、もしくは全産業平均年収440万円以上を設定・確保する
  • 「1.経験・技術のある介護職員」は「2.そのほかの介護職員」の2倍以上にする
  • 「3.そのほかの職種」は、「3.そのほかの職種」の2分の1を上回らないこと

引用:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について」(2022/07/28)

勤続10年以上の介護福祉士に、8万円支給する施策だったのでは?」と疑問に思う介護福祉士さんもいるかもしれません。しかし、現実は介護福祉士1人に8万円を支給するのではなく「経験豊富な介護福祉士の人数に応じて報酬を算定するけど、介護福祉士の給料を8万円程アップするか、ほかの職種に配分するかは各事業所に任せるね」といった、制度となりました。また、勤続10年の考え方も、介護施設や事業所の裁量で判断しても良いとされています。介護職員特定処遇改善加算については、「介護職員特定処遇改善加算とは?介護福祉士の給料アップについて解説」の記事でも分かりやすく解説しているので、あわせてご覧ください。

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ケアマネにも支給される

厚生労働省は、「2019年度介護報酬改定について」において「ほかの介護職員などの処遇改善に、この処遇改善の収入を充てるよう柔軟な運⽤を認める」と定めています。そのため、加算対象施設の施設ケアマネは給料アップした方もいるかもしれません。施設ケアマネは、特定処遇改善の加算対象に入ってはいないものの、配分対象には設定されているため、各介護施設や事業の裁量によって「3.そのほかの職種」として支給される可能性もあります。実際に支給されているかは、勤めている職場に聞いてみると良いでしょう。

ただし、居宅介護支援事業所は、特定処遇改善加算の対象外となっているため居宅ケアマネへの支給はありません。「加算対象事業である訪問介護などのために働いているのに、加算されてないの?」と思う居宅ケアマネの方もいるかもしれませんが、介護福祉士が優遇されるのは、それだけ人材不足が深刻化しているからなのでしょう。

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介護職員の給与は実際に上がったの?

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、2021年4月1日~2021年9月30日の間で給与を引き上げた介護施設は、49.7%です。そのため、約半数の介護施設や事業所の給与が引き上げられているといえます。また、1年以内に引き上げる予定としている介護施設・事業所は13.7%。介護報酬による給与アップだと一概にはいえませんが、多くの介護施設・事業所で給与が引き上げられている傾向にあります。

取得要件を満たしていない事業所では加算されない

介護職員等特定処遇改善加算は、算定要件を満たしたうえで届出を出さないと、介護報酬に加算されません。そのため、すべての介護福祉士・介護職員が貰えるわけではないのです。算定要件を満たすには、下記のすべてをクリアする必要があります。

  • 処遇改善加算の(1)~(3)のいずれかを取得していること
  • 処遇改善加算の職場環境等要件に関して複数の取り組みを行っていること
  • 処遇改善加算に基づく取り組みを、ホームページなどで明確にしていること

上記を満たしていない介護施設・事業所は、介護職員等特定処遇改善加算は算定されません。したがって、条件を満たしていない事業所の介護福祉士・介護職員への配当はないといえます。

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、2021年時点で介護職員等特定処遇改善加算の届出をしている介護施設・事業所は72.8%です。このデータを見ると、約7割の介護施設や事業所では、介護職員等特定処遇改善加算によって給与がアップをしていると考えられるでしょう。介護職員等特定処遇改善加算の算定要件にある処遇改善加算については「介護職員処遇改善加算って何?という方に!わかりやすく簡単に解説します!」の記事をご覧ください。

介護福祉士の処遇改善に関するよくある質問

ここでは、介護福祉士の処遇改善に関するよくある質問を紹介します。

パート職員も配分対象になりますか?

厚生労働省の「令和4年度介護報酬改定について」には、配分対象の職員の雇用形態は明記されていません。また、「2019年度介護報酬改定について」には「柔軟な運用を認める」と記載があるため、パート職員やアルバイトも配分対象になります。ただし、配分の有無や割合は、各介護施設や事業所の判断によるので、勤め先の責任者に確認してみましょう。詳しくは「介護職員処遇改善加算の対象職員とは?誰の給料がアップするのか解説します」の記事を参考にしてみてください。

2022年の介護報酬改正で9,000円は貰えるの?

2022年の10月から始まる介護報酬の新加算(介護職員等ベースアップ等支援加算)は、常勤換算から算出される介護職員1人当たり、9,000円の賃上げに値する額が加算される制度です。厚生労働省の「令和4年度介護報酬改定について」には、「事業所の判断により、介護職員だけではなく、ほかの職員の収入改善に充てるように柔軟な運用を認める」と定められています。そのため、事業所の判断により介護職員だけでなく、介護職員以外の職種の給与アップにも繋がるかもしれません。詳しくは「介護職員の給料の今後は?9000円アップ?2022年からの処遇改善も解説」の記事もご覧ください。

まとめ

数年前、国は介護職員の人材確保のために「勤続10年以上の介護福祉士に月額平均約8万円の処遇改善を行う」といった施策案を発表しました。実際には、加算率は「勤続10年以上の介護福祉士の数」から算出されるのに対し、配当対象は「事業所の判断によって、ほかの職員への運用も認める」としたため、報酬が分散し、思ったような給与アップに繋がっていないのが現実です。

また、介護職員等特定処遇改善加算は、すべての介護施設や事業所が貰えるわけではありません。条件を満たしたうえで届出を出さないと加算されないので、給与の引き上げを全く実感していない介護士さんもいるでしょう。「何年も勤めているのに給与が上がらない」「業務内容に対して給与が低いと感じる」といった場合は、転職を検討するのも一つの選択肢です。

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