
この記事のまとめ
- 介護報酬の単位とは、介護保険制度で定められた介護サービスの報酬のこと
- 介護報酬の単位の変動は、介護従事者の収入や処遇改善に大きく関わる
- 介護報酬の単位は、介護報酬改定のタイミングで3年ごとに変動する
「介護報酬の単位とは何?」と気になっている介護職員の方もいるのではないでしょうか。介護報酬の単位とは、介護保険制度で定められた、介護サービスに対する報酬のことです。介護サービスの種類や時間、人員配置、利用者さんの要介護度などで単位数が決まります。この記事では、介護報酬の単位や介護報酬改定で何が起こるかなどについて解説します。近年の介護報酬改定の動向も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
目次
介護報酬の単位とは
介護報酬の単位とは、介護保険制度で定められた、介護サービスに対する報酬のことです。提供したサービスの種類や時間、人員配置、利用者さんの要介護度などによって単位数が決められています。
WAM NETの「介護報酬の算定構造 介護サービス(p.2)」をもとに訪問介護の例を挙げると、30分以上1時間未満の身体介護を提供した場合の介護報酬の単位は、387単位です。
介護報酬の1単位は、約10円。1単位あたりの単価は地域によって異なり、人件費や物価が高い大都市は、基準である10円よりも高く設定されている場合があります。
一般企業のモノやサービスの価格は企業が決定しますが、介護サービスの財源は介護保険料や税金のため、介護サービスの価格は国が定めています。
出典
WAM NET「介護保険事務処理システム変更に係る参考資料(確定版)(令和7年3月28日事務連絡)」(2025年5月15日)
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介護報酬改定で何が起こるの?
介護報酬は、介護事業所の運営やスタッフの給料に影響を及ぼします。介護サービスに適切な対価を支払うために、定期的に「介護報酬改定」を行い、介護報酬の見直しを図るのも国の役割です。
質の高い介護サービスを安定して提供するためには、介護報酬改定が欠かせません。たとえば、「需要は大きいが供給が少ないサービスや、政策として重視していきたいサービスの報酬を上げる」「サービスに対する経費がそれほどかからず、事業者にとってのメリットが大き過ぎるサービスの報酬を下げる」などの改定が考えられます。
これまで、過剰なサービス提供を防ぐために一部サービスの基本報酬を引き下げたり、介護職員の確保や定着を図るために処遇改善加算を引き上げたりなど、さまざまな改定が実施されてきました。
介護報酬は介護事業者の収入に直結するので、介護従事者の収入や処遇改善にも大きく関わってきます。そのため、介護報酬改定は、介護業界で働く方にとって見逃せないトピックといえるでしょう。
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これまでの介護報酬改定の内容
2000年に介護保険法が施行されて以来、基本的に3年ごとに介護報酬改定が行われています。介護報酬改定では、サービスの基本報酬の改定だけではなく、取り組みを評価する加算や処遇改善加算などに関する取り決めも実施。介護業界の動向が反映されるのが特徴です。
2003年→全体で2.3%ダウン
2003年度の介護報酬改定では、全体で2.3%介護報酬の引き下げが行われました。自立支援を進めることを目的に改定を実施。特別養護老人ホームなどの施設サービスの報酬は引き下げられた一方で、在宅介護を支える居宅介護支援や訪問介護の報酬は引き上げられました。
出典
厚生労働省「平成15年度介護報酬見直しの概要」(2025年5月15日)
2005~2006年→全体で2.4%ダウン
2005年10月と2006年度の改定では、介護報酬が全体で2.4%引き下げられました。軽度者向けのサービスの報酬は抑えられましたが、在宅生活を送る要介護3~5の中重度者へ向けたサービスに対する報酬はアップ。介護や医療が必要になっても、住み慣れた自宅や地域で生活するための環境整備が進められました。
出典
厚生労働省「平成18年度介護報酬等の改定について -概要-」(2025年5月15日)
2009年→全体で3%アップ
2009年度の介護報酬改定では、在宅は1.7%、施設は1.3%報酬がアップし、全体で3.0%のプラス改定が行われました。介護従事者の離職率が問題となり、処遇改善のための緊急特別対策として、介護報酬の全体的な引き上げが決定されたようです。
出典
厚生労働省「福祉・介護人材確保対策」(2025年5月15日)
2012年→全体で1.2%アップ
2012年度の介護報酬改定の改定率は、在宅が1.0%、施設が0.2%で、全体で1.2%のプラス改定でした。地域包括ケアシステムの推進を目指し、引き続き在宅や自立支援サービスを重視する方向で、介護報酬が調整されました。また、介護職員の処遇改善についてさらに議論がなされ、「介護職員処遇改善加算」として処遇改善加算が誕生したのもこの年です。
出典
厚生労働省「平成24年度介護報酬改定について」(2025年5月15日)
2015年→全体で2.27%ダウン
2015年度の介護報酬改定では、増大する介護ニーズに対応するために、9年ぶりに報酬の引き下げを敢行。そんななか、地域包括ケアシステムの構築を進める動きとして、「短時間・一日複数回訪問」や「通い・訪問・泊まり」といった、介護サービスを組み合わせて提供する包括的なサービスに対して、強化加算が新設されました。
また、介護職員処遇改善加算に新たにキャリアパス要件が追加され、労働環境の改善を行った場合に加算が上乗せされるように。介護職員の賃金改善と職場環境の改善を推し進めるべく、処遇改善加算の制度が更新されました。
出典
厚生労働省「平成27年度介護報酬改定について」(2025年5月15日)
2018年→全体で0.54%アップ
2018年度の介護報酬改定は、0.54%のプラス改定。超高齢者社会において、国民一人ひとりが適切なサービスを受けられるよう、介護の提供体制の整備を重視する方向で、制度の見直しが行われました。具体的には、「医療と介護の連携強化」「重度化防止の推進」「ICTの活用」を評価する加算の新設などにより、持続可能な介護体制の構築が進められたようです。
出典
厚生労働省「第158回社会保障審議会介護給付費分科会資料」(2025年5月15日)
2019年10月→全体で2.13%アップ
2019年10月の改定では、処遇改善や消費税率アップへの対応のために、全体で2.13%介護報酬が引き上げられました。具体的には、処遇改善分1.67%、消費税対応0.39%、補足給付0.06%となっています。
また、介護職員等処遇改善加算を新設し、勤続10年以上の介護福祉士など、高度なスキルや経験がある介護職員の賃金改善を図りました。
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2021年→全体で0.70%アップ
2021年度の介護報酬改定は、0.70%のプラス改定でした。このうち0.05%は、新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な評価として位置づけられています。新型コロナウイルス感染症拡大や大規模災害の発生の状況から、「感染症や災害への対応力強化」を図ることが新たな方針として盛り込まれました。
また、これまでの改定でも重視していた「地域包括ケアシステムの推進」「自立支援・重度化防止の取組の推進」「介護人材の確保・介護現場の革新」「制度の安定性・持続可能性の確保」についても、報酬改定によりさらなる改善を目指します。
出典
厚生労働省「令和3年度介護報酬改定について」(2025年5月15日)
2024年→全体で1.59%アップ
2024年度の介護報酬改定は、全体で1.59%のプラス改定でした。1.59%の内訳は、介護職員の処遇改善分として 0.98%、そのほかの職員の処遇改善を実施するための水準として0.61%です。
1.59%引き上げのほかに、処遇改善加算の一本化による賃上げ効果と、光熱水費の基準費用額の増額で、介護施設の増収効果がプラス0.45%見込まれています。処遇改善加算が「介護職員等処遇改善加算」に一本化され、加算率がアップしたため、賃金改善が実施される介護職員は多いと考えられるでしょう。
また、看取りへの対応強化や質の高いケアマネジメントの実施なども加算で評価されるため、介護従事者全体の処遇改善が期待できます。
出典
厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」(2025年5月15日)
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次回の介護報酬改定はどうなる?
次回の介護報酬改定は2027年度の予定で、すでに介護報酬改定に向けた議論が始まっています。超高齢社会で介護のニーズが高まっているため、人材不足の対策としての「人員配置基準の柔軟化」や「介護保険制度の安定性・持続性確保」などが議題となるでしょう。
介護報酬改定は、介護職員の収入を含め、介護業界全体に関わる重要なトピックです。次の改定がどうなるか、常に動向をチェックしていきたいですね。
出典
厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関する審議報告」(2025年5月15日)
介護報酬の単位に関するよくある質問
ここでは、介護報酬の単位に関するよくある質問に回答します。介護報酬改定に関心がある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
介護報酬の1単位はいくらですか?
介護報酬の1単位の単価は、約10円です。1単位あたりの単価は地域区分によって上乗せされる場合があり、人件費や物価が高い大都市では高く設定される傾向があります。詳しくはこの記事の「介護報酬の単位とは」で解説しているので、ぜひご一読ください。
介護報酬の仕組みとは?
介護報酬とは、介護保険の保険者である市区町村から事業所に支払われる、介護サービスに対する報酬のことです。介護報酬の財源は、公費である介護保険料・税金と利用者負担なので、介護サービスの価格は国が一律で決定する仕組みがあります。
まとめ
介護報酬の単位とは、介護保険制度で定められた、介護サービスに対する報酬のことです。1単位の単価は10円が基準ですが、人件費や物価が高い一部の地域では、10円より高く設定されています。
事業所に支払われる介護報酬の金額は、提供するサービスの種類や時間、人員配置、利用者さんの要介護度などによって決まる仕組みです。介護サービスの財源は国が定めた介護保険のため、介護サービスの価格のもととなる介護報酬の単位は、国が定めています。
介護業界を取り巻く環境は日々変化しており、時代の流れに対応する制度設計にするためには、介護報酬改定が欠かせません。介護保険法は2000年に施行され、以来基本的に3年ごとに介護報酬改定が行われています。介護報酬は介護事業者の収入に直結し、介護従事者の収入や処遇改善にも大きく関わるため、報酬改定は介護職員にとって見逃せないトピックといえるでしょう。
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「レバウェル介護」編集部
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介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点


