社会福祉法人・医療法人・株式会社の違いは?介護職の給与やメリットも解説

転職ノウハウ 2023年9月29日
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この記事のまとめ

「社会福祉法人と医療法人の違いが知りたい」という方もいるでしょう。社会福祉法人と医療法人は、どちらも非営利法人ですが、事業の目的が異なります。この記事では、社会福祉法人・医療法人・株式会社の違いを解説。介護職員がそれぞれの法人で働くメリットや給与事情もご紹介します。「介護施設で働きたいけど、職場の選び方が分からない」という方は参考にしてください。

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目次

社会福祉法人・医療法人・株式会社の違いとは?

社会福祉法人・医療法人・株式会社の違いは、法人格と事業目的です。表にまとめたので確認してみましょう。

社会福祉法人医療法人株式会社
法人格非営利法人非営利法人営利法人
事業目的安定で継続的な社会福祉事業の運営病院・常勤医師のいる診療所・老健の開設と運営利益の最大化事業内容は自由に設定可能

社会福祉法人と医療法人が非営利法人なのに対して、株式会社は営利法人です。それぞれの法人は、事業目的に応じた法人格を取得しています。

医療・福祉・介護施設の法人格の違い

医療・福祉・介護施設の法人格は、営利法人と非営利法人に分けられます。以下で営利法人と非営利法人の例を見てみましょう。

営利法人非営利法人
株式会社
合同会社
合名会社
合資会社
社会福祉法人
医療法人
協同組合NPO法人

営利法人は、会社の得た利益を株主に分配するのが特徴です。株式会社のほかにも、合同会社や合名会社などが営利法人に分類されます。
非営利法人は、利益の分配を目的としていないので、分配金はありません。ただし、労働の対価である給与の支払いは行われます。医療法人や社会福祉法人だけではなく、NPO法人なども非営利法人です。

事業の運営目的の違い

株式会社は営利法人なので、利益を上げることを目的として事業を運営します。
これに対して、社会福祉法人や医療法人の運営する介護・医療施設は、人命救助や介護サービスの提供が主な事業。そのため、公益性や安定性、事業の継続性が求められます。社会福祉法人や医療法人は、利益ではなく、地域の福祉や医療ニーズを満たすことが事業目的です。

社会福祉法人と医療法人の事業目的の違い

社会福祉法人と医療法人は、どちらも利益を目的としない非営利団体ですが、事業内容が違います。社会福祉事業を行うことを目的に設立されるのが社会福祉法人です。一方で、医療法人は、「病院、医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設」の開設を目的として設立されます。

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社会福祉法人とは?

社会福祉法人とは、社会福祉法の規定に基づき、自治体の認可を受けて設立される非営利法人です。前述したように、社会福祉事業を行うことを目的に運営されます。

社会福祉法人の種類と対象施設

社会福祉法人は、社会福祉法第2条に定められている、第一種社会福祉事業および第二種社会福祉事業を行います

第一種社会福祉事業第二種社会福祉事業
特別養護老人ホーム児童養護施設障害者支援施設救護施設保育所訪問介護デイサービスショートステイ

第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業の違いは以下で解説します。

第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業の違い

第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業の違いは、利用者さんへの影響の大きさです。利用者さんへの影響が多い第一種社会福祉事業は、利用者さんの生活を保護するために、経営を安定させる必要があります。一方、利用者さんへの影響が比較的低い第二種社会福祉事業は、公的規制の必要性が低いとされており、民間企業の参入も可能です。

利用者さんの生活に関わりが深い「第一種社会福祉事業」を行うのは、行政および社会福祉法人が原則で、都道府県への届け出が必要。特別養護老人ホームといった入所施設サービスは、利用者さんが生活を続けるために経営の安定が求められるので、第一種社会福祉事業に該当します。

利用者さんへの影響が比較的小さい「第二種社会福祉事業」は、経営主体の制限がないため、届け出を行えば法人格を問わず運営できます。第二種社会福祉事業に分類されるのは、訪問介護やデイサービス、ショートステイといった在宅サービスです。

社会福祉法人の割合が高い福祉・介護施設

厚生労働省の「平成29年社会福祉施設等調査の概況(p4)」によると、老人福祉施設の76.6%、障害者支援施設等の65.1%、児童福祉施設等の44.9%を社会福祉法人が経営しています。社会福祉法人は、地域の福祉ニーズに寄り添った多くの施設を運営しているのが特徴です。

社会福祉法人の事業内容

社会福祉法人は、社会福祉事業のほか、公益事業と収益事業を行うことができます。
公益事業とは、「子育て支援事業」「入浴、排せつ、食事等の支援事業」「介護予防事業、有料老人ホーム、老人保健施設の経営」などを指します。収益事業とは、「貸ビル」「駐車場」「公共的な施設内の売店の経営」です。

介護職員が社会福祉法人で働くメリット

ここでは、介護職員が社会福祉法人で働くメリットをご紹介するので、参考にしてください。

転勤がなく住み慣れた地域で安定して働ける

社会福祉法人は、地域に密着したサービスを提供しているため、遠方への転勤がありません。そのため、住み慣れた地域で働き続けたい人におすすめの職場です。

福利厚生や教育制度が充実している

規模の大きい社会福祉法人は、福利厚生が充実している傾向にあります。資格取得支援や資格手当の制度を取り入れている場合、キャリアアップを目指しやすいでしょう。

介護や福祉の専門性が身につきやすい

社会福祉法人で働くと、介護や福祉に関する専門性が身につきやすいというメリットもあります。勤続年数の長い職員が多いので、しっかりと介護について学んで、スキルを習得できる環境です。

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医療法人とは?

医療法人は、医療法の規定に基づき、都道府県の認可を受けて設立される非営利法人です。先述したように、「病院、医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設」の運営を目的としています。

医療法人の種類と対象施設

医療法人の種類や、どのような施設を運営しているのかを確認してみましょう。

社団医療法人と財団医療法人の違い

医療施設を設立するために集まった社員が運営するのが、社団医療法人です。社団法人は、共通の目的をもつ人が集まって形成されます。

一方、医療施設を経営して財産を運用するのが、財団医療法人です。財団法人の目的は、個人や法人が提供した財産の維持や運用。財団法人に財産を提供する人は、事業の運営に直接関わりません。
厚生労働省の「医療法人数の推移(令和5年3月31日現在)」によると、2023年時点で58,005ある医療法人の内、財団医療法人は362法人のみです。

医療法人の割合が高い医療・介護施設

同省の「医療施設調査(p7)」によると、医療法人が設立した病院は、2021年時点で5,681施設となっており、病院全体の69.2%にのぼります。多くの病院を医療法人が経営しているようです。
また、同省の「平成29年社会福祉施設等調査の概況(p4)」によると、老人福祉施設の1.0%、障害者支援施設等の3.5%を医療法人が経営しており、介護・福祉関係の施設を運営する医療法人もあると分かります。

介護職員が医療法人で働くメリット

介護職員が医療法人で働くメリットは、医療職と密に連携を取れることです。

ほかの職種と連携してチームで対応できる

医療法人の運営する福祉施設は、医療と介護がしっかりと連携を取れているので、多職種が協力し合って働けます。急変時は医療従事者に報告して対応を相談できるため、介護職員は利用者さんの健康管理に関する不安を感じにくいでしょう。

医療やリハビリの知識が身につく

介護職員が医療法人で働く場合、病院を職場に選ぶこともできます。病院で働くメリットは、医師や看護師、リハビリ職と関わる機会が増えて医療に関する知識が身につくことです。

病院で働く介護職について詳しく知りたい方は、「病院で働く介護職の仕事内容とは?介護施設との違いやスケジュールをご紹介」をご覧ください。

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収入が安定する

厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p130)」によると、医療法人で働く介護職員の平均給与は320,120円でした。株式会社といった営利法人で働く介護職員の平均給与の296,150円と比べると、2.5万円以上高くなっています。介護職員は、医療法人で働くと収入が安定するのがメリットです。
また、医療法人が運営する病院・施設は、地域医療に密着している場合が多いので、社会的な信用も高いでしょう。

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株式会社とは?

株式会社とは、株式を発行して株主から資金を集め、そのお金を用いて経営を行う会社を指します。株式会社は、社会福祉法人や医療法人と違い、事業目的が自由です。高齢化が進むなか、ビジネスチャンスと捉えて介護事業に参入する株式会社は多くあります。

株式会社の割合が高い福祉・介護施設

厚生労働省の「施設・事業所の状況(p5)」によると、訪問介護と訪問入浴の7割以上が営利法人(会社)によって開設されています。また、介護付き有料老人ホームの68.9%、グループホームの54.4%を営利法人が経営しているようです。株式会社は、在宅サービスや入所施設など、多くの介護事業を行っています

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介護職員が株式会社で働くメリット

多くの介護事業を展開する株式会社で働くメリットを、以下にまとめました。

経営方針や理念に共感できる企業を見つけやすい

株式会社は事業目的が自由なので、会社ごとに経営理念や方針に特徴があります。自分の考えに合う職場を選べるため、理想の介護を実現させやすいのが、株式会社で働くメリットです。また、在宅介護から施設介護まで幅広いサービスを提供している会社で働けば、介護のスキルを磨くことができます。

経営や立ち上げに関わるチャンスが多い

株式会社は全国で介護事業を展開している場合もあり、介護施設の立ち上げや運営に関わるチャンスが多いのが特徴です。管理職といった役職に就けば、経営について学べる可能性もあります。経営のノウハウを学べる株式会社は、「いつか自分で介護施設を立ち上げたい」という方におすすめの職場です。

企業によっては福利厚生や待遇の条件が良い

利益を上げている全国規模の株式会社は、給与やボーナスが手厚い傾向にあります。また、教育体制が整っている職場も少なくありません。福利厚生が充実している株式会社を選べば、働きやすいと感じる可能性が高いでしょう。ただし、介護職員の待遇は会社によって異なるので、しっかりと求人票を確認することが大切です。

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そのほかの法人の特徴

先述した社会福祉法人・医療法人・株式会社以外にも、福祉事業に取り組んでいる組織や法人があります。介護職員が働く組織や法人の種類と特徴を確認してみましょう。

協同組合の特徴

協同組合は、共通の目的をもつ人が集まって設立する組織です。「こんな商品やサービスが必要」という人が出資金を出し合い、組合員として事業を運営します。介護職員が協同組合を選ぶメリットは、自由度の高い働き方をしやすいことです。

NPO法人の特徴

NPO法人は、ボランティア活動をはじめとする社会貢献活動を行います。NPO法人の活動に該当するのは、「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」「社会教育の推進を図る活動」などの20分野です。NPO法人は、働き方に融通が利く、社会貢献できるというメリットがある反面、給与は低い傾向にあります

社団法人・財団法人の特徴

社団法人・財団法人は非営利の法人で、事業内容に制限はありません。社団法人は、会員から運営資金を募って事業を運営します。一方、財団法人は、設立者が300万円以上拠出するのが特徴です。「医療法人の種類と対象施設」でご説明したように、医療法人は社団法人と財団法人に分かれています。

社会福祉法人・医療法人・株式会社の介護職員の給与の違い

厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p130)」によると、介護職員の運営主体別の平均給与は以下のとおりです。

設置主体平均給与額
介護職員全体317,540円
地方公共団体372,260円
社会福祉法人334,610円
医療法人320,120円
営利法人(株式会社など)296,150円

参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p130)

社会福祉法人や医療法人で働く介護職員の平均給与は、介護職員全体の平均給与よりも高くなっています
株式会社といった営利法人で働く介護職員の平均給与は、社会福祉法人や医療法人と比べて低いという結果。一方、地方公共団体の介護職員の給与は、社会福祉法人や医療法人よりも高い傾向にあります。

なお、調査対象の20,176人の内、社会福祉法人に勤務する介護職員が最も多い9,136人で、次いで医療法人が5,333人でした。社会福祉法人と医療法人では、多くの介護職員が働いていることが分かるでしょう。

介護職員の給与は、働く地域や勤続年数、保有資格、夜勤の有無などによって変わります。実際の給与は職場ごとに異なるので、データは参考程度にご覧ください。

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社会福祉法人と医療法人についてよくある質問

ここでは、社会福祉法人と医療法人についてよくある質問に回答するので、介護職員の方は参考にしてください。

社会福祉法人と医療法人の違いって?

社会福祉法人と医療法人は、施設を運営する目的が違います。社会福祉法人は、社会福祉を行うことを目的とした法人で、医療法人は、医療を行うことを目的とした法人です。社会福祉法人と医療法人に関して興味がある方は、この記事の「社会福祉法人とは?」と「医療法人とは?」をぜひご覧ください。

介護職員が社会福祉法人で働くメリットは?

介護職員が社会福祉法人で働くメリットは、遠方へ転勤する可能性が低いことです。また、規模の大きい社会福祉法人は、福利厚生が充実している傾向にあります。社会福祉法人で働くメリットについては、「介護職員が社会福祉法人で働くメリット」も参考にしてください。

医療法人と社会福祉法人で給料が高いのはどっち?

社会福祉法人の介護職員の給与は、医療法人より高い傾向にあります。また、医療法人で働く介護職員の平均給与は、介護職員全体の平均より高いようです。給与について詳しく知りたい方は、「社会福祉法人・医療法人・株式会社の介護職員の給与の違い」をご覧ください。

社会福祉法人がつぶれる可能性はありますか?

社会福祉法人は、株式会社よりは倒産のリスクが低いですが、決してつぶれないとは言い切れません。独立行政法人福祉医療機構が2021年に行った調査では、赤字経営を行っている社会福祉法人は全体の31.3%でした。実際に倒産した社会福祉法人もあります。ただし、社会福祉法人は、継続的に安定してサービスを提供することが求められており、税制でも優遇を受けている公的施設です。地域に根ざしており、株式会社と比べて経営基盤が整っていて安定しているといえます。

まとめ

介護・医療施設は、社会福祉法人や医療法人、株式会社などが運営しています。社会福祉法人・医療法人・株式会社の違いは、法人格と事業目的です。社会福祉法人は、社会福祉事業を行うために設立されます。一方、医療法人は、医師もしくは歯科医師が常駐する病院・診療所・介護老人保健施設の運営が開設の目的です。株式会社は、事業目的が自由なので、介護事業に参入する場合があります。

介護職員が社会福祉法人で働くメリットは、遠方への転勤がないことや、福利厚生が充実している傾向にあること。医療法人で働くメリットは、経営が安定していることや、医療分野の知識が身につくことです。また、社会福祉法人や医療法人で働く介護職員の平均給与は、株式会社といった営利法人と比べて高くなっています。

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執筆者

  • 元介護士ライター

グループホームに2年、訪問介護事業所に3年勤務。多くの高齢者や、障害のある方の介護に携わる。訪問介護事業所では、サービス提供責任者の業務も担当した。2022年に介護福祉士を取得。現在は、知識や経験を活かして、介護職員の方に役立つ情報を発信している。

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※この記事の掲載情報は2023年9月29日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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