
この記事のまとめ
- 社会福祉法人に勤める介護職員の平均給与は、常勤で334,610円
- 社会福祉法人で働く職員の給料は収益事業から生じた利益から支払われている
- 社会福祉法人の求人は、安定した高い給料を求める方に向いている
介護業界には、多くの介護施設や介護事業所があります。運営母体には、社会福祉法人や医療法人、株式会社などの種類があり、「社会福祉法人ってなんだろう?」「運営母体によってどう違うのだろう?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。求人を見ていると、運営母体の違いによって給料に差があることがわかります。この記事では、運営母体の違いや給料の差について解説するので、ぜひご一読ください。
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社会福祉法人に勤める介護職員の給料の平均額
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.130、p.134)」によると、社会福祉法人に勤める介護職員の平均給与は、常勤で334,610円。非常勤の介護職員は平均給与135,590円で、時給換算すると約1,388円でした。
また、常勤の場合、地方公共団体は372,260円、医療法人は320,120円、社会福祉協議会は307,190円、営利法人(株式会社)は296,150円です。社会福祉法人の平均給与は、地方公共団体に次いで高い結果となりました。
社会福祉法人は利益を追求しないので、業績によって給料の額が増えたり減ったりと、変動することはあまりありません。安定した収入や充実した福利厚生を求める方は、社会福祉法人が運営する介護施設への転職を検討してみてはいかがでしょうか。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年2月26日)
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社会福祉法人とは
社会福祉法人とは、その名のとおり社会福祉事業を営むことを目的とした非営利法人です。株式会社のような営利法人とは異なり、利益を目的とした社会福祉事業は展開できませんが、社会福祉法によって税制や補助といったあらゆる面で優遇されています。
個人では行うことができない事業内容が多く、利益を追求することよりも、社会貢献活動や社会問題の解決を目的としているのが特徴です。
一般的に社会福祉法人は、地域に密着して運営しており、地域の福祉ニーズにきめ細かく対応しています。社会的な支援が必要な方に、継続的にサービスを提供することが求められているため、継続性と安定性が重要視されているようです。
社会福祉法人の給料はどこから支払われる?
社会福祉法人は、メインの社会福祉事業に支障がない限り、必要に応じて収益事業を行うことが許されており、働く職員の給料はここから支払われているようです。
社会福祉法人は、国や県、市区町村から補助金・助成金を受給することができますが、それだけでは、職員の給料を支払うことは難しいかもしれません。
収益事業から生じた利益は、原則として社会福祉法人の運営にのみ使用することが定められており、人件費や施設の設備などに使われているようです。
社会福祉法人の収益事業の具体例としては、以下のようなものがあります。
- 社会福祉法人の所有する不動産を活用して行う貸ビル
- 社会福祉法人の所有する不動産を活用して行う駐車場の経営
- 公共的施設内の売店の経営等
社会福祉法人は、病院の駐車場やマンションへの土地賃貸、賃貸マンション、病院内の売店の管理・運営などを行うことで、利益を得ているようです。
出典
厚生労働省「第4回社会福祉法人会計基準検討会 資料」(2025年2月26日)
運営母体の違いによる給料差
介護職の給料は、勤め先の施設の運営母体によっても左右されるようです。たとえば、介護施設の運営母体となるのは、社会福祉法人のほかに医療法人や株式会社などがあります。
ここでは、厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.130、p.134)」をもとに、運営母体ごとの平均給与を解説するので、ご一読ください。
医療法人
医療法人に勤める介護職員の平均給与は、常勤の場合で320,120円。非常勤の場合は136,420円となっており、時給換算すると約1,351円です。
前述のとおり、社会福祉法人における介護職員の平均給与は常勤で334,610円、非常勤で時給約1,388円となっています。医療法人の平均給与は、社会福祉法人よりやや低い水準であるといえるでしょう。
医療法人は、病院や介護老人保健施設、通所リハビリテーションなどを運営しており、社会福祉法人と同様に非営利の法人です。介護施設を運営している法人の中でも給料が高い傾向があるので、安定した収入を求めるのなら、医療法人の求人を探すのも良いでしょう。
株式会社
株式会社に勤める介護職員の平均給与は、常勤の場合で296,150円。非常勤の場合は114,620円となっており、時給換算では約1,381円です。
常勤では、社会福祉法人の職員と比べると3万円以上の差が生じていることがわかります。ただし、株式会社の給料は企業の規模によって左右されるので、参考程度に捉えておきましょう。
利益を追求する営利法人の株式会社は、全国にデイサービスや訪問介護事業所、有料老人ホームなどを複数立ち上げ、数百人規模の従業員を抱えているところも少なくありません。
数多くの介護施設を運営し、従業員を多く抱えている株式会社は給料が高い傾向にあります。高い給料を求めるのなら、規模の大きな株式会社が運営する施設や事業所を探すと良いかもしれません。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年2月26日)
施設形態別の平均給料
介護職員の給料は、施設形態によっても異なります。
ここでは、厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.130)」をもとに、社会福祉法人が運営する「特別養護老人ホーム(特養)」「介護老人保健施設(老健)」「訪問介護」「通所介護(デイサービス)」「グループホーム」の平均給与を紹介するので、転職先の参考にしてみてください。
特養(特別養護老人ホーム)
社会福祉法人が運営する特養に勤める介護職員の平均給与は、347,660円です。同資料によると、最も平均給与が高い介護施設は特養でした。
特養は要介護度3以上の方が入居対象とされているので、専門的な知識が必要になることや、ほかの介護施設より幅広い業務に携わる傾向があることから、給料が高めに設定されているようです。
また、特養を運営している運営元の約9割は社会福祉法人となっています。国からの助成金や、税金面での優遇があるため、廃業などの心配はあまりないでしょう。
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老健(介護老人保健施設)
社会福祉法人が運営する老健に勤める介護職員の平均給与は、343,030円です。特養との給与差は4,000円程度と大きな違いはないといえるでしょう。こちらも特養と同じく専門的な知識が必要になることから、給料が高めに設定されています。
特養や老健は、ほかの施設より規模が大きいところが多く、収入が安定している傾向にあるため、介護職員の給料が高くなっているようです。
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訪問介護
社会福祉法人が運営する訪問介護の介護職員の平均給与は、320,960円です。訪問介護は、特養や老健に次いで給与が高い傾向にあります。
訪問介護は、利用者さんの自宅を訪問し、介護サービスを提供します。身体介護を1人で行うには、介護職員初任者研修以上の資格が必須。訪問介護事業所で働く介護職員は、有資格者である可能性が高く、資格手当がある分、平均給与が高い結果になったと考えられます。
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通所介護(デイサービス)
社会福祉法人が運営する通所介護(デイサービス)の介護職員の平均給与は、297,230円です。入居施設のように夜勤がないため、夜勤手当もなく、ほかの介護施設より給料が低い傾向にあります。
特養や老健などと比べると平均給与は低い傾向にありますが、夜勤がないので身体的・精神的に負担が少ない職場といえるでしょう。
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グループホーム
社会福祉法人が運営するグループホームの介護職員の平均給与は、302,910円です。紹介した施設の中で最も給料が低いのは通所介護ですが、グループホームはその次に低く、社会福祉法人が運営する施設全体の平均給与を下回っています。
グループホームは特養や老健と比べると、介護度が低く自立した利用者さんが多く、身体介護より見守りや掃除・洗濯のサポートを主に行います。そのため、無資格者や未経験者が働きやすく、資格手当がつかない場合があるため、平均給与が低くなっているようです。
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出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年2月26日)
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職種別の平均給料
介護職の給料は、職種によっても異なります。ここでは、介護職の職種別の平均給与を解説しているので、ぜひご一読ください。
介護職員
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.119)」によると、一般的な介護職員の平均給与は、常勤が317,540円。非常勤が209,540円で、時給換算すると約1,869円です。
前述したように、介護職の給料は働く施設形態や運営母体によって変動し、施設の規模、働く地域、保有資格によっても異なります。
介護支援専門員(ケアマネジャー)
同資料によると、ケアマネジャーの平均給与は、常勤が361,770円。非常勤が250,710円で、時給換算すると約3,114円です。
給料は勤務先や規模、運営母体によって変動しますが、ケアマネジャーは経験を重視される傾向があるため、本人の年齢や経験年数、スキルなどが給与金額に大きく影響します。勤続年数が長く、ベテランであるほどケアマネジャーの給料が増える可能性があるでしょう。
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生活相談員・支援相談員
同資料によると、生活相談員・支援相談員の平均給与は、常勤が342,330円。非常勤が306,260円で、時給換算すると約2,604円です。
こちらも勤務先や規模、地域、保有している資格、スキル、経験などによって異なります。
なお、相談員になるには国家資格の取得を必須としている自治体も。資格を取得していると資格手当がつき、より高い給与を望めるでしょう。
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事務職
同資料によると、事務職の平均給与は、常勤が307,960円。非常勤が178,870円で、時給換算すると約1,844円です。
基本的に、事務職は介護職のように夜勤がないため、その分の手当はつきません。特別高い収入を得られるとはいえませんが、勤務先や規模、運営母体によっては少しずつ昇給することがあるようです。
管理職
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.136)」によると、介護業界の管理職の平均給与は、常勤で356,570円です。
ここでいう「管理職」は、特養や老健におけるユニットリーダーを除いて、主任やリーダー、サブリーダーなど、介護現場のまとめ役や訪問介護におけるサービス提供責任者を指します。
勤務先や規模、運営母体によって差はありますが、管理職は責任のある仕事です。一般職員に比べると、給料は高く設定される傾向があるでしょう。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年2月26日)
給料が高い職場で働きたいのなら…
給料が高い職場で働きたい方は、社会福祉法人や地方公共団体が出す介護求人をチェックしてみましょう。2025年2月現在、最も平均給与が高い運営母体は地方公共団体で、2番目に平均給与が高い運営母体は社会福祉法人です。
前述したように、社会福祉法人は業績によって給料が変動することはあまりありません。そのため、安定した高い給料と充実した福利厚生を求める方には、社会福祉法人が運営する介護施設の求人に応募すると良いでしょう。
また、前述したように社会福祉法人は特養の9割を運営しています。特養には高い介護スキルを持ったベテラン職員が多い傾向があるので、一緒に働くことで高度な介護スキルが身につき、介護職として成長できるかもしれません。
上位資格を取得する
介護の資格を取得することで高収入を目指せます。介護の資格は「介護職員初任者研修」「介護福祉士実務者研修」「介護福祉士」「ケアマネジャー(介護支援専門員)」という順で取得することが可能です。
レバウェル介護(旧 きらケア)の調査によると、初任者研修と実務者研修は半数近くの方が資格手当を支給されています。介護福祉士やケアマネジャーは約7割が資格手当を支給されるようです。
介護職の資格手当については、「【介護職の資格手当一覧表】相場はいくら?給料アップに繋げる方法を解説!」の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。
株式会社の求人を探す
介護業界でどんどんキャリアアップしたい方は、株式会社が出す介護求人を探すと良いでしょう。全国に介護施設や事業所を抱えている大規模な株式会社は、その分、管理職を必要としているので、キャリアアップできるチャンスが豊富にあるかもしれません。
管理職にキャリアアップできれば、高収入を目指せる可能性が高まります。株式会社が運営する介護施設や事業所の求人は、向上心が高い方やバリバリ働きたい方に、向いているといえるでしょう。
レバウェルスクール介護(旧 きらケアSTEPUPスクール)のご紹介
レバウェル介護(旧 きらケア)では、資格の勉強をしながら自分に合った職場探しのサポートも受けられる資格取得の専門学校として、「レバウェルスクール介護(旧 きらケアステップアップスクール)」を運営しています。
現役の医療・福祉職員が講師を務めるので、現場で活きるスキルを学ぶことも可能。働きながら資格取得を目指せるコースとなっているので、すでに介護職として働いている方も、活用してみてはいかがでしょうか?
詳しくは、「レバウェルスクール介護(旧 きらケアSTEPUPスクール)」をご確認ください。
先に資格を取りたい方へ
無料相談はこちら社会福祉法人に関するよくある質問
ここでは、社会福祉法人に関するよくある質問に回答します。社会福祉法人で働くことに興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
社会福祉法人でもらえる給料はいくらですか?
社会福祉法人でもらえる介護職員の給与は、常勤で約33万円。非常勤の月給は約14万円で、時給換算すると、1,380円程度です。
この記事の「運営母体の違いによる給料差」で、医療法人や株式会社が運営する施設の介護職員の平均給与を解説しています。運営法人別の給与差が気になる方は、ぜひご一読ください。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年2月26日)
社会福祉法人で働くメリット・デメリットは何ですか?
社会福祉法人は、福利厚生が充実していたり、転勤が少なかったりする傾向があります。「地元に貢献したい」「家庭の事情で転勤をしたくない」という方にとって、大きなメリットといえるでしょう。デメリットとしては、キャリアチェンジやキャリアアップがしにくかったり、運営方法が固定化されているので、新しい方法が取り入れづらかったりすることです。
社風や雰囲気は、職場によって異なるので、自分に合った職場かどうか、施設見学などをして確認してみると良いでしょう。
まとめ
社会福祉法人で働く常勤の介護職員の平均給与は334,610円でした。社会福祉法人は利益を追求しないので、業績によって給料の額が変動することはあまりないようです。
介護職の平均給与は、勤め先の運営母体や施設形態、職種によって大きく左右されます。社会福祉法人の給与は、地方公共団体に次いで高い結果となっているので、給料が高い施設で働きたいのなら、安定して高収入を得られる社会福祉法人の求人を探すと良いでしょう。
給与が高い職場に転職したい方は、「レバウェル介護(旧 きらケア)」をご利用ください。レバウェル介護(旧 きらケア)は、介護業界に特化した転職エージェントです。専任のキャリアアドバイザーがヒアリングをもとに、希望条件に合った求人をご提案いたします。地域の求人を給与や働きやすさで比較して教えてくれるので、より良い転職先が見つかるかもしれません。どのような求人があるか気になる方も、ぜひお気軽にご相談ください。
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無料相談はこちら執筆者
「レバウェル介護」編集部
お役立ち情報制作チーム
介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点