
利用者さんの自宅に訪問し、介護サービスを提供するホームヘルパー。給料は日本人の平均給料と比べるとやや低めですが、介護の需要の広がりから改善される可能性があります。本記事では、ホームヘルパーの給料相場を、月給、手取り、時給、年収、ボーナスなど、項目別にまとめました。ホームヘルパーが給料アップを目指す方法についても紹介しているので、今後さらなるステップアップを図りたい方も、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ホームヘルパーの給料相場(月収・手取り)

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、2021年度におけるホームヘルパー(訪問介護事業所で働く介護職員)の平均給与額は、常勤で約31万円、非常勤で約20万円でした。下記は、詳しい月収データと手取り額の目安をまとめた表です(手取り額は月収の8割で算出)。
勤務形態 | 2021年度の月収(手取り) | 2020年度の月収(手取り) |
常勤 | 314,590円(251,672円) | 307,850円(246,280円) |
非常勤 | 201,120円(160,896円) | 199,920円(159,936円) |
参考:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.147)」
このデータから、2021年度のホームヘルパーの平均給料は常勤・非常勤どちらの場合でも前年度より高くなっていることが分かります。高齢化により介護・福祉に関する仕事の需要は年々高まっているため、ホームヘルパーの給料も今後上がっていくことが期待できるでしょう。
なお、手取りとは、給料の総支給額から社会保険料や所得税、住民税などを引いたもので、給与額面のおよそ75%~85%程度といわれています。手取り額は、前年の収入や扶養の有無、扶養家族の人数などによっても変わるので気をつけましょう。
出典
厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2022年7月8日)
ホームヘルパーの時給
ホームヘルパーは、パートタイムやアルバイト、派遣など、時給で働く介護職員もいます。厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によれば、時給で働くホームヘルパーの平均給与は下記のとおりでした(時給は平均月収÷実労働時間数で算出)。
勤務形態 | 2021年度の月収(時給) | 2020年度の月収(時給) |
常勤 | 236,910円(約1,400円) | 231,010円(約1,360円) |
非常勤 | 93,960円(約1,660円) | 95,530円(約1,650円) |
参考:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.149)」
2021年度における常勤のホームヘルパーの時給は約1,400円、非常勤の場合は約1,660円でした。ただ、この数値はあくまで平均であり、資格の有無や働く時間帯、地域、業務内容などによって違いがあります。たとえば、食事介助、入浴介助、排泄介助といった利用者さんの身体に直接触れる「身体介護」に携わるホームヘルパーの場合、初任者研修以上の資格が必要です。そのため、無資格でも行える調理・洗濯・買い物などの「生活援助」のみに携わるホームヘルパーよりも、給料は高くなるでしょう。
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厚生労働省の統計データ(職業情報提供サイト(日本版O-NET))によると、ホームヘルパーの年収は364.1万円です。国税庁の「令和2年分 民間給与実態統計調査」で算出された日本人の平均年収433万円と比較してみると、ホームヘルパーの年収はやや低いといえるでしょう。ただ、両データは抽出条件などが異なるので、一概に比較できるものではありません。あくまで参考程度に見ておきましょう。
地域別のホームヘルパーの給料相場
厚生労働省の統計データには、地域別の年収も記載されています。下記は、地域を抜粋してまとめたものです。
地域 | 年収 |
全国平均 | 364.1万円 |
東京都 | 374.7万円 |
神奈川県 | 396.4万円 |
千葉県 | 397.9万円 |
埼玉県 | 329万円 |
大阪府 | 359.6万円 |
愛知県 | 365.7万円 |
ホームヘルパーの年収相場は約364万円なので、東京都、神奈川県、千葉県、愛知県はそれを上回る数値です。首都圏は、人口が多く働く場所の選択肢も多いので、全国水準よりもホームヘルパーの給料が高い傾向にあります。
出典
厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」(2022年7月8日)
国税庁トップページ(2022年7月8日)
ホームヘルパーの初任給

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査 令和3 年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」によると、2021年度における勤続年数0年のホームヘルパーの給料は約23万でした。同省の「令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給」によると、令和元年度の新規学卒者の初任給は、大学卒の場合で約21万円です。ホームヘルパーは、新卒に限らず幅広い年齢からチャレンジできる仕事であるため比較するのは難しい面があるものの、初任給としては平均的~やや高い水準といえるでしょう。
ホームヘルパーの勤続年数別給料
下記に、勤続年数別の給与額をまとめたので、確認しましょう。
勤続年数 | 所定内給与額 |
0年 | 23万800円 |
1~4年 | 25万7,000円 |
5~9年 | 28万8,400円 |
10~14年 | 30万8,900円 |
15年以上 | 29万400円 |
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 令和3 年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」
データから、ホームヘルパーの給料は、勤務年数14年目まで増加傾向にあることが分かります。15年目以降の給料がやや下降傾向にあるのは、介護従事者の年齢層が高く、勤続年層が増えるほど体力的に厳しいなどの事情から、時短勤務やパートタイム勤務などに移っていく職員が多いことが考えられるでしょう。
出典
厚生労働省「政府統計の総合窓口(e-Stat)」(2022年7月8日)
厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給」(2022年7月8日)
ホームヘルパーのボーナス(賞与)

ホームヘルパーのボーナス(賞与)は下記のとおりです。初年度のボーナスは4万円程度と少ないものの、勤続年数に応じて金額はアップしていく傾向があります。ホームヘルパーは、勤続年数を重ねていくことが給料アップにつながるといえるでしょう。
勤続年数 | ボーナス(特別給与額) |
0年 | 4万3,400円 |
1~4年 | 33万3,300円 |
5~9年 | 54万1,200円 |
10~14年 | 67万2,700円 |
15年以上 | 37万8,400円 |
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 令和3 年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」
ホームヘルパーのボーナスは、事業所によって支給制度がなかったり、業績によって支給が決定されたりする場合もあります。ボーナスの有無は、給料に大きく関わってくるものなので、これから就職・転職を検討している方は、事業所の就業規則などの情報を細かくチェックしましょう。
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出典
厚生労働省「政府統計の総合窓口(e-Stat)」(2022年7月8日)
ホームヘルパーの年齢別・男女別平均年収

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、2021年度における訪問介護事業所で働くホームヘルパーの年齢別、男女別の平均給料は下記のとおりでした。
年齢 | 男性 | 女性 |
29歳以下 | 299,080円 | 296,890円 |
30~39歳 | 349,940円 | 292,570円 |
40~49歳 | 346,180円 | 301,660円 |
50~59歳 | 324,910円 | 323,200円 |
60歳以上 | 306,280円 | 293,310円 |
引用:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.189)」
ホームヘルパーの給料は女性より男性のほうが高い金額となっています。これは、男性のほうが管理職が多いことが少なからず影響しているでしょう。また、男女ともに年齢を重ねるほど年収が上がる傾向にあり、男性は30代~40代、女性は40代~50代がピークとなっています。
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ホームヘルパーは正社員と派遣どちらが稼げる?

ホームヘルパーの派遣(登録ヘルパー)は時給が高い傾向があるため、正社員よりも稼げる場合があります。厚生労働省の「令和元年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」をもとに、算出すると、登録ヘルパー時給は約1,950円でした。仮に、1日8時間20日働いたとすれば月収312,000円、1日8時間22日働いたとすれば343,200円となり、常勤で働くホームヘルパーと同等かそれ以上の給料になります。特に、首都圏の場合は派遣労働への理解が深く、高齢者数も多いので高時給の求人が多数展開されているようです。働いた分だけ収入を手に入れられる一方、出勤日数が少ない月は稼ぎにくい面もあり、正社員と登録ヘルパーどちらが良いかはその人次第といえるでしょう。
正社員の特徴 | 登録ヘルパーの特徴 | |
働き方 | フルタイムの常勤 | 働きたい曜日・勤務時間を登録する |
給料(月収・時給) | 月給制 | 時給制 |
ボーナスの有無 | ボーナスが出ることが多い | ボーナスが出ることもある |
働くメリット | 収入が安定するキャリアアップによる昇給が見込める | 働いた分だけ稼げる掛け持ちで登録ができる |
正社員の場合は、退職金やボーナスを支給する事業所が多いことや、経験を着実に積み上げれば役職や管理職を目指せます。安定した収入を得ながらキャリアアップによる昇給を望めるのが正社員の強みです。登録ヘルパーの場合は、働きたい曜日や勤務時間を自由に選べるほか、掛け持ちで登録できるので、やり方次第では収入を増やすことも可能になります。派遣会社によってはボーナスが支給される場合もあるでしょう。
また、紹介型派遣の働き方であれば、派遣先の施設で正社員になることを検討しながら業務に取り組めます。ゆくゆくは正社員になりたいと考えている方は、紹介型派遣を利用するのも方法の一つです。慢性的な人手不足から介護業界は非常勤職員の待遇も高くなる可能性があるので、自身のライフスタイルに合った働き方を選択しましょう。
出典
厚生労働省「令和2年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(2022年7月8日)
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ホームヘルパーが給料アップを目指す4つの方法

最後に、ホームヘルパーとして給料アップする方法を4つご紹介します。将来のビジョンやライフプランについて考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.パート・アルバイトから正社員になる
パートやアルバイトといった非正規雇用社員として働くホームヘルパーさんは、正社員を目指すのがおすすめです。家庭の事情ややむを得ない理由があり、時短勤務をしている場合は難しいかもしれませんが、「体力的に余裕がある」「給料アップと一緒にキャリアも積んでいきたい」という方は、正社員のほうが向いています。ボーナスが支給される訪問介護事業所を選べば、年収が大幅にアップする可能性もあるでしょう。
2.資格を取得して資格手当による収入アップを目指す
厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」を見ると、ホームヘルパー(訪問介護事業所で働く介護職員)の平均給与額は、保有資格によって下記のような違いがあることが分かります。
資格 | 平均給料 |
無資格 | 286,390円 |
介護職員初任者研修 | 309,060円 |
実務者研修 | 315,360円 |
介護福祉士 | 321,350円 |
介護支援相談員 | 333,480円 |
引用:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.182)」
無資格のホームヘルパーの場合、利用者さんの身体に直接触れる身体介護はできないため、料理や洗濯、掃除といった生活援助を行うことになります。そのため、同じホームヘルパーでも、給料は比較的低めです。また、資格ごとに専門的な介護知識や技術が身につくため、給与もアップする傾向にあります。今の事業所で給料アップを図るなら、まずは資格を取得することから始めると良いでしょう。
出典
厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2022年7月8日)
介護福祉士の資格を目指すのがおすすめ
国家資格の介護福祉士を取得すれば、仕事の幅が広くなるうえ資格手当による給料アップが期待できます。介護福祉士の資格を取得するには、「介護福祉士国家試験」へ合格しなくてはなりません。「第34回介護福祉士国家試験の合格発表について」によると、第34回介護福祉士国家試験の合格率は72.3%と高め。対策をきちんと行えば取得できるはずなので、問題集をやり込むほか、スクールや通信講座を利用して効率良く学習すると良いでしょう。
なお、介護福祉士国家試験を受けるためには、従業期間3年以上かつ従業日数540日以上の実務経験と実務者研修課程の修了が求められます。
出典
公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験」(2022年7月8日)
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3.サービス提供責任者(サ責)になる
介護業界でのステップアップを考えている方は、サービス提供責任者を目指すのも方法の一つです。サービス提供責任者は、訪問介護事業所におけるホームヘルパーさんのまとめ役となる職種。ケアマネジャーが作成したケアプランをもとに訪問介護計画書を作ったり、ヘルパーの教育や指導を行ったりするためホームヘルパーよりも責任が増しますが、その分給料も高くなる傾向があります。
サービス提供責任者を目指すには、介護福祉士や実務者研修の資格を有していること、または介護職員初任者研修課程を修了して3年(540日)以上の実務経験が必要です。ただし、介護職員初任者研修からステップアップするのは難しい傾向にあるので、サービス提供責任者を目指すなら実務者研修以上の資格を取得しておくとスムーズでしょう。
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4.給与水準の高い事業所に就職・転職する
ホームヘルパーとして満足のいく給料を手に入れたいのであれば、給与水準が高い事業所に転職するのも良いでしょう。介護や福祉に関する事業所は全国に点在しているので、より良い条件の職場を見つけられるはずです。求人を探す際は、賞与の有無や手当の種類を確認し、納得できるところを選んでください。給与の額面が高くても昇給のない事業所だと、将来的な収入アップを期待できません。「昇給・賞与の実績はあるか」「各種手当の支給は手厚いか」など、待遇面を考慮しながら複数の事業所を比較検討しましょう。
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まとめ

ホームヘルパーの給料は、年収364.1万円です。日本人の平均年収433万円と比較すると給料はやや低い傾向にありますが、介護業界は人手不足と需要の高さから給料を含めた待遇面の改善が期待できるでしょう。
ホームヘルパーの給料は年齢、勤続年数、地域、保有資格によって変わるため、給料アップの方法は多岐にわたります。たとえば、介護福祉士の資格を取得して仕事の幅を広げたり、サービス提供責任者として責任の大きな仕事をしたりするなどの方法が有効です。今すぐに、給料アップを叶えるなら、自身の希望条件に適した事業所に転職するのも良いでしょう。
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