
この記事のまとめ
- 新型老健とは、在宅復帰に向けて介護・医療サービスを提供する入所施設
- 新型老健で働く介護職員の仕事内容は身体介護や生活援助で、従来型と同様
- 新型老健と従来型老健の違いは、利用対象者やサービス内容など
「新型老健とはどんな施設?」と気になる方もいるのではないでしょうか。新型老健とは、手厚い医療ケア体制を備え、在宅復帰を目指して介護・医療サービスを提供する入所施設です。この記事では、新型老健の概要や働く職種をご紹介します。利用対象者や人員配置基準、介護職員の仕事内容も解説。従来型老健や介護医療院と新型老健の違いにも触れているので、就職・転職の参考にしてください。
老健とは?特徴や費用、入所条件・期間をわかりやすく解説!特養との違いも目次
新型老健とは
新型老健とは、利用者さんが自宅で日常生活を送ることを目指し、必要な介護・医療サービスを提供する入所施設です。正式名称は「介護療養型老人保健施設」で、2008年に創設されました。
2024年3月に廃止された「介護療養型医療施設」の移行先の一つとしての役割がありましたが、現在は介護医療院への統合が進んでいるようです。
新型老健の概要
新型老健は、介護老人保健施設(従来型老健)の施設基準のほかに、「看護師を夜間に配置すること」「医療ケアが必要な利用者さんを一定数以上受け入れること」などの要件を満たす必要があります。
厚生労働省の「介護療養病床・介護医療院のこれまでの経緯(p.3)」によると、新型老健の具体的な施設要件は、以下のすべてを満たすことです。
- 2006年7月1日から2018年3月31日までの間に従来型老健から転換した
- 新規の利用者さんについて、自宅などから入所した方より医療機関を退院した方の割合のほうが35%以上大きい
- 「喀痰吸引もしくは経管栄養が実施された利用者さんが15%以上いる」「著しい精神症状、周辺症状もしくは重篤な身体疾患が見られ、専門医療が必要な認知症を患う高齢者の方が20%以上いる」のどちらかに当てはまる
新型老健は、特別養護老人ホームや有料老人ホームでは対応が難しい、高度な医療ケアを必要とする方が入所できます。
出典
厚生労働省「介護医療院について」(2026年9月11日)
新型老健の利用対象者
新型老健の利用対象者は、以下のすべての条件に当てはまる方です。
- 原則65歳以上
- 要介護1以上と認定された方
- 入院の必要はないものの、医療的ケアが日常的に必要な方
新型老健の利用対象者は、原則65歳以上で要介護1以上と認定された方です。厚生労働省の「介護療養型老人保健施設について(p.2)」によると、2013年度の調査では、介護療養型老人保健施設(新型老健)の利用者さんの48.4%が要介護5でした。
出典
厚生労働省「第2回療養病床の在り方等に関する検討会」(2026年9月11日)
新型老健で提供するサービス内容
新型老健では、食事介助や入浴介助、排泄介助、移動・移乗介助といった身体介護を行うほか、医師や看護師による医療ケアを提供します。提供される主な医療ケアは、以下のとおりです。
- 胃ろう管理
- たんの吸引(喀痰吸引)
- 経管栄養
- インシュリン注射
- 床ずれのケア
- 気管切開のケア
- 尿管カテーテル
身体介護と医療ケアのほかに、リハビリテーションや機能訓練を行う施設もあります。また、ターミナルケアや看取りケアにも対応するのが特徴です。
新型老健の人員配置基準と職種
ここでは、新型老健の人員配置基準と活躍する職種をご紹介します。
新型老健の人員配置基準
厚生労働省の「資料4:介護療養型医療施設・介護療養型老人保健施設の基準・報酬について(p.1)」をもとに、新型老健の人員配置基準をまとめました。
| 職種 | 人員配置基準(100床あたり) |
| 医師 | 1人 |
| 看護職員 | 18人 |
| 介護職員 | 18人 |
参考:厚生労働省「資料4:介護療養型医療施設・介護療養型老人保健施設の基準・報酬について(p.2)」
新型老健の100床あたりの人員配置基準は、医師1人、看護職員18人、介護職員18人です。医師や看護職員、介護職員以外にも、さまざまな職種が働いています。
出典
厚生労働省「第84回社会保障審議会介護給付費分科会資料」(2026年9月11日)
老健で働く職種
厚生労働省の「介護老人保健施設(p.5)」によると、老健で働く主な職種は以下のとおりです。
- 医師
- 看護職員
- 介護職員
- 介護支援専門員(ケアマネジャー)
- 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
- 支援相談員
- 薬剤師
- 栄養士・管理栄養士
老健は、多くの専門職が連携して利用者さんのサポートを行う施設です。医師は、利用者さんの心身状態を把握し、医学的な視点から健康管理を担当します。看護師の仕事は、医師の指示に基づいて喀痰吸引や経管栄養、診察のサポートなどを行うことです。
また、栄養士や管理栄養士は、利用者さんの疾患や嚥下(えんげ)能力に応じて、栄養のある食べやすいメニューを用意します。
出典
厚生労働省「第260回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料」(2026年9月11日)
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新型老健の介護職員の仕事内容
新型老健の介護職員の仕事内容は、従来型老健と大きな違いはありません。利用者さんの身体介護や生活援助を担当するほか、利用者さん同士の交流や心身機能の維持・向上のために、レクリエーションを行います。レクリエーションで実施するのは、体操やカラオケ、パズルなど、利用者さんの状況に合わせた活動です。
新型老健は医療ニーズの高い利用者さんに対応するので、医師や看護師と連携して心身状況に配慮した介護を行うことが求められるでしょう。
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新型老健と従来型老健の違い
新型老健と従来型老健は、利用対象者や提供するサービス内容などに違いがあります。以下は、新型老健と従来型老健の違いをまとめた表です。
| 新型老健 | 従来型老健 | |
| 利用対象者 | ・要介護1~5と認定されている ・入院は必要ないものの、医療ケアの必要性が高い | ・要介護1~5と認定されている ・リハビリや医療ケアを受けながら、在宅復帰を目指す |
| 病床数 (2015年10月時点) | 約9,000床 | 約35万9,000床 |
| 提供するサービス | ・身体介護 ・生活支援 ・リハビリテーション ・レクリエーション ・医療ケア ・ターミナルケア ・看取りケア | ・身体介護 ・生活支援 ・リハビリテーション ・レクリエーション ・医療ケア(施設による) ・ターミナルケア(施設による) ・看取りケア(施設による) |
| 看護職員の配置 | ・100床につき18人 ・24時間体制で配置(利用者数が41人未満の場合はオンコール可) | ・100床につき10人 ・夜勤帯は配置が必須ではない |
新型老健は、従来型老健より新しい制度なので、施設数に大きな差があります。新型老健と従来型老健の違いについて、以下で詳しく確認してみましょう。
利用対象者の違い
新型老健と従来型老健は、ともに利用者さんの在宅復帰を目的とした施設ですが、新型老健は医療ケアの必要性が高い方が利用する傾向にあります。
厚生労働省の「介護療養型老人保健施設について(p.2)」によると、2013年度の調査において、新型老健の利用者さんは要介護度1・2の方が9.6%、要介護3以上の方が88.9%でした。一方の従来型老健は、要介護1・2の方が27.1%、要介護3以上の方が71.1%となっており、新型老健の利用者さんのほうが介護度が高い傾向があることが分かります
出典
厚生労働省「第2回療養病床の在り方等に関する検討会」(2026年9月11日)
病床数の違い
同省の「介護療養病床・介護医療院のこれまでの経緯(p.1)」によると、2015年の老健の病床数は約36万8,000床となっており、そのなかで新型老健は約9,000床でした。新型老健の病床数は、老健の病床数のうち約2.5%と少数です。
なお、介護医療院が創設された2018年4月以降は、従来型老健から新型老健への転換は行われていません。新型老健から介護医療院への移行を推奨する動きがあり、病床数や施設数は変化していると考えられるので、上記はあくまで参考程度にご覧ください。
出典
厚生労働省「介護医療院について」(2026年9月11日)
提供するサービスの違い
新型老健は、従来型老健よりも医療ケアのサービスに重点を置いています。従来型老健では対応が難しい場合がある、気管切開や人工呼吸器のケアが必要な方も受け入れることが可能です。また、状態の回復が難しい利用者さんに対しては、終末期ケアや看取りケアも提供しています。
看護職員の配置の違い
厚生労働省の「資料4:介護療養型医療施設・介護療養型老人保健施設の基準・報酬について(p.1)」によると、新型老健の看護職員の配置基準は100床につき18人です。一方、従来型老健は100床につき10人となっています。新型老健は従来型老健に比べて看護職員の人数が多く、医療ケアに手厚く対応できる環境です。
出典
厚生労働省「第84回社会保障審議会介護給付費分科会資料」(2026年9月11日)
新型老健と介護医療院の違い
新型老健と介護医療院は、医療ケアを提供する点は共通していますが、利用対象者や目的、入所期間などが違います。
| 新型老健 | 介護医療院 | |
| 利用対象者 | ・要介護1~5と認定されている ・医療ケアが必要 | ・要介護1~5と認定されている ・長期療養が必要 |
| 利用目的 | 身体介護や生活支援を受けながら、リハビリテーションや機能訓練を通して在宅復帰を目指す | 身体介護や生活支援、リハビリテーション、機能訓練を受けながら、長期の療養生活を送る |
| 入所期間 | 在宅復帰が可能になれば退所となる | 終身利用が可能 |
| 病床数 | 約9,000床(2015年10月時点) | 5万3,183床(2024年4月1日時点) |
新型老健は利用者さんの在宅復帰を目指すのに対し、介護医療院は長期的な療養生活を送ることを目的としている点が主な違いです。
介護医療院は、家族での介護が難しいために病院に長期入院する高齢者の方が増えたことや、介護療養型医療施設の廃止を背景に、2018年に創設されました。前述のとおり、介護医療院の設立以来、新型老健から介護医療院への移行が進められています。
利用対象者の違い
介護医療院は、新型老健に比べて、長期的な医療ケアを必要とする方が利用するのが特徴です。
厚生労働省の「介護療養病床・介護医療院のこれまでの経緯(p.9)」によると、介護医療院はI型とII型に分かれています。I型は介護療養病床相当という施設基準があり、主な利用者像は、重篤な身体疾患がある方や、身体合併症と認知症を患う高齢者の方です。II型の施設基準は老健施設相当以上で、利用者像はI型に比べて容体が安定した方となっています。
利用目的・入所期間の違い
新型老健は在宅復帰を目的とする一方で、介護医療院は長期療養を目的としています。新型老健では、利用者さんの状況に応じて、継続して利用するかどうかの見直しが行われるのが特徴です。介護医療院は入所期間の定めがなく、終身利用ができます。
病床数の違い
前述のとおり、2015年の新型老健の病床数は、約9,000床でした。
厚生労働省の「介護医療院の開設状況について(p.2)」によると、介護医療院の病床数は、2024年4月1日時点で5万3,183床。このうち5,209床が、新型老健(介護療養型老人保健施設)から介護医療院に転換したようです。
長期間療養しながら日常生活を送るニーズに応える「介護医療院」ができ、介護と医療を一体的に受けられる環境が整備されたといえるでしょう。介護医療院については、「介護医療院の仕事内容とは?老健との違いや働くメリット・デメリットを解説」の記事で解説しているので、チェックしてみてください。
新型老健に関するよくある質問
ここでは、新型老健に関するよくある質問に回答します。老健の種類や、ユニット型と従来型の違いを知りたい方は、以下を参考にしてください。
老健の種類は何がある?
老健(介護老人保健施設)は、在宅復帰・在宅支援機能に関して施設が満たす基準によって、「超強化型」「在宅強化型」「加算型」「基本型」「その他型」の5つの類型に区分されます。区分の基準は、在宅復帰率や地域貢献活動の状況、リハビリの充実度など。在宅復帰や在宅療養支援の機能が最も高水準なのが、「超強化型」の施設です。
出典
厚生労働省「第260回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料」(2026年9月11日)
老健のユニット型と従来型の違いって?
老健のユニット型と従来型の主な違いは、居室の構造とケアの提供体制です。老健の居室タイプには、「多床室」「従来型個室」「ユニット型個室」「ユニット型個室的多床室」の4種類があります。

個室やユニット型の老健は、プライバシーへの配慮や個別ケアを重視したケアができるのが特徴です。ユニット型の施設は、手厚い支援体制が整っている分、従来型よりサービス費用が高くなっています。
まとめ
新型老健とは、日常的な医療処置が必要な方の在宅復帰を支援する、手厚い医療体制を備えた老健です。在宅復帰を目指すため、自宅での生活が可能と判断されれば退所になるのが特徴。新型老健では、身体介護のほかに、医師や看護師による医療ケアを提供します。
新型老健と従来型老健の違いは、利用対象者や病床数、サービス内容などです。在宅復帰を目指す点は共通していますが、新型老健はより医療ケアに特化しています。看護師が24時間常駐し、従来型老健では対応が難しい気管切開や人工呼吸器のケアなども行えるのが大きな違いといえるでしょう。2008年に創設された新型老健よりも、従来型老健のほうが病床数は多いようです。
なお、利用者さんの長期療養や生活の場としての役割がある「介護医療院」が2018年に創設され、新型老健から介護医療院への転換が進められています。
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執筆者

「レバウェル介護」編集部
お役立ち情報制作チーム
介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点


