老健とは?特徴をわかりやすく解説!入所条件やほかの介護施設との違い

介護の仕事 2024年3月28日
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この記事のまとめ

老健とは、病気や怪我で退院後、在宅復帰を目的に高齢者の方が利用する施設です。老健とそのほかの施設では、介護職の仕事にどのような差があるのでしょうか。この記事では、老健への転職に興味がある介護職の方に向け、施設での仕事内容や1日のスケジュールなどをご紹介します。あわせて、老健で働く介護職員の給与や転職時に役立つ志望動機のポイントなどについても解説しているので、ぜひ参考にご覧ください。

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目次

老健(介護老人保健施設)とはどんな施設?

老健とは、病気や怪我で入院し、退院後も介護が必要な高齢者が自宅で自立して生活できるよう、介護サービスや機能訓練(リハビリ)を提供する施設です。正式名称を、介護老人保健施設といいます。

入所の目的

高齢者が老健に入所する目的は、心身の機能を維持・回復させ、自宅で生活できるようにすることです。「在宅復帰」が最終的なゴールになるので、入所期間は3~6ヶ月に限定されています
特養や有料老人ホームと老健の違いは、利用期間です。特養や有料老人ホームは長く生活でき、看取りまで対応していますが、老健は状態が改善すれば在宅介護に切り替える必要があります。

入所の条件

老健に入所できる方は、下記の条件をともに満たす方です。

  • 要介護1以上の認定を受けている
  • 病状が安定していて入院・治療は必要ないが、リハビリ・看護・介護を必要としている

以上の条件を満たしていれば、認知症の方も入所可能です。医師や看護師も在籍しているので、医療ケアが必要な方も入居できます。
なお、特養は原則要介護3以上の方が入居できる決まりです。常時医療ケアを必要とする方は利用できないため、老健のほうが入所対象者の幅は広いといえます。

老健の種類

老健は、施設の強みや厚生労働省の基準を満たしているかなどの違いで、5種類に分かれています。

  • 超特化型老健
  • 在宅強化型老健
  • 加算型老健
  • 基本型老健
  • その他型老健

超特化型、在宅強化型、加算型の老健は、厚生労働省が定めた基準を満たしている老健です。在宅復帰率や医療ケアの実施割合、リハビリの充実度など、さまざまな基準で老健の機能を評価しています。

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老健(介護老人保健施設)で提供するサービス

老健では多くの専門職が連携しながら、入所者さんの在宅復帰をサポートしています。ここでは、具体的に提供しているサービスを見ていきましょう。

専門職によるリハビリ・機能訓練

老健には理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などのリハビリ専門職が在籍しています。リハビリ専門職は、専門的な知見から入所者さんごとにリハビリ計画を立て、日常生活に必要な動作の訓練や運動機能向上を目指すリハビリを実施するのが仕事です。
在宅復帰後の自宅での生活に関して、住宅改修や福祉用具の活用なども視野に入れ、相談に乗ってくれる施設もあります。

看護師・医師による医療ケア

老健には医師と看護師も在籍しています。看護師は日中だけでなく夜間も常駐しているので、たんの吸引や経管栄養などの医療ケアを24時間体制で受けることが可能です。また、服薬管理はもちろん、点滴や褥瘡ケア、インスリン注射にも対応。医療ケアが充実していることは老健の特徴といえるでしょう。

介護職による日常生活のお世話

ほかの介護施設と同様に、老健では介護職が入浴・排泄・食事の介助や日常生活のお世話を行います。居室の清掃やシーツ交換などの生活援助を行うことも。洗濯や買い物は、施設によっては提供がない場合もあります。

栄養管理

老健には栄養士が在籍しており、入所者さんを栄養面からケアしています。栄養量だけでなく、本人に合った食事形態や調理方法についても検討しているようです。糖尿病などの疾患に配慮した食事メニューも提供可能となっています。

レクリエーション・余暇活動

おやつレクやカラオケ、季節のイベントなどを実施する施設もあります。ただし、在宅復帰に向けたリハビリがメインなので、レクの頻度はそれほど多くありません。日常的に行われる活動としては、機能訓練やリハビリの一環としての体操などが多いでしょう。

老健(介護老人保健施設)の入居費用

ここでは、老健に入居する際にかかる費用について紹介します。

介護サービス利用料

介護サービス利用料とは、排泄介助や入浴介助などの介護サービスに対する費用を指します。介護保険が適用されるため、入所者さんの負担分は1~3割です。所得に応じて負担割合が変化します。

生活にかかる費用

生活にかかる費用は、食費・居住費・その他の日常生活費のことです。施設によって差が生じないよう、厚生労働省により基準費用額が決められています。
厚生労働省の「社会保障審議会 介護給付費分科会(第237回)介護報酬改定率、多床室の室料負担、基準費用額(居住費)について(報告)(p.8)」によると、2023年12月時点の標準費用額は以下のとおりです。

  • 食費:基準費用額1,445円
  • 居住費:基準費用額377~2,006円(部屋タイプごとに変動)

居住費は、大部屋か個室かによって金額が変動するようです。日常生活費(理美容代など)は実費となります。

費用の安さは老健の特徴

老健は、入居に初期費用がかかりません。また、所得によっては食費などの費用に減免措置が適用され、経済的負担が軽くなる可能性もあります。そのため、有料老人ホームなどと比べると安く利用できるのが特徴です。

老健(介護老人保健施設)の居室・設備

前項で老健の居住費は部屋タイプにより異なる点に触れましたが、居室や設備はどのようになっているのでしょうか。
ここでは、居室タイプの種類と共有スペースの設備について解説します。

居室タイプの種類

居室タイプの種類の画像

老健の居室は、多床室・従来型個室・ユニット型個室・ユニット型個室的多床室の4種類です。それぞれ図のような居室の作りになっています。

共有スペースの設備

共有の設備としては、以下の設置が義務づけられています。

  • 診察室
  • 機能訓練室
  • 談話室
  • 食堂
  • 浴室
  • レクリエーション・ルーム
  • 洗面所
  • トイレ
  • サービス・ステーション
  • 調理室
  • 洗濯室または洗濯場
  • 汚物処理室

老健には以上の設備が必要なだけでなく、それぞれの設備の広さについても基準を満たす必要があります。

老健で働く職種と人員配置基準

老健には介護職員だけでなく、医師や看護師、リハビリ専門職など、さまざまな専門職が配置されており、各職種の配置基準が定められています。

職種配置基準
医師1以上かつ100対1以上
薬剤師実情に応じた適当数(300対1が基準)
看護・介護職員3対1以上(看護職員が7分の2以上)
支援相談員1以上かつ100対1以上
理学療法士、作業療法士または言語聴覚士100対1以上
栄養士入所定員が100名以上の場合は1以上
介護専門相談員(ケアマネジャー)1以上(100対1が基準)
調理員、事務員、その他の従業者実情に応じた適当数

参照:厚生労働省「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準について

各職種について詳しくは、「老健ではどんな職種が働いている?医療や福祉それぞれの仕事内容を解説」で紹介していますので、あわせてご覧ください。

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老健の支援相談員とは?仕事内容や必要な資格、生活相談員との違いを解説

老健(介護老人保健施設)へ入所するまでの流れ

老健に入所するには、どのような流れや手続きを踏むのでしょうか。
ここでは、老健へ入所するまでの流れをご紹介します。

要介護認定を受ける

老健の入所条件を満たすために、まずは要介護認定を受ける必要があります。要介護認定を受けるには、現在住んでいる市区町村の役場へ申請が必要です。認定を受けるまでは1ヶ月程度かかるので、老健の利用を検討している場合は早めに申請しましょう。

施設へ入所の申し込みをして面談を実施する

要介護認定を受けたら、老健施設へ利用申し込みを行います。担当のケアマネジャーや医療ソーシャルワーカー(MSW)と相談しながら進めるとスムーズです。

書類を提出し入所可能の判定を受ける

入居する施設が決まったら、施設利用申込書や診断情報提供書など必要書類を揃えます。最終的には、書類や面談をもとに入所可否を施設が判断し、入所可能と判定されれば入所できる仕組みです。

契約手続きをする

入所が決まったら、正式に利用契約の手続きを行って、利用開始となります。

老健(介護老人保健施設)で働く介護職の仕事や働き方

老健で働く場合、介護職はどのような仕事をしているのでしょうか。働き方や仕事内容について紹介します。

介護職員の仕事内容

老健で働く介護職員の仕事内容は、入所者さんの身体介護や生活援助など、介護業務がメインです。
老健には要介護1~5の方が入所しており、車いすの方も多くいます。介護職員は、入所者さん本人の能力を活かしながら、在宅復帰に向けた自立支援を意識して介助を行うのが仕事です。看護師やリハビリ専門職と連携する場面が多く、リハビリのサポートや医療的な観点を意識した介護が求められる場合もあります。
一方で、レクリエーションは頻度が少なめ。デイサービスや有料老人ホームに比べるとレクリエーションを企画する機会が少ないでしょう。

老健で働く介護職員の1日のスケジュール例は、「老健の仕事内容を解説!1日の流れや働くメリット・デメリット」を参考にしてくださいね。

介護職員の働き方

老健は24時間体制で入所者さんの生活をサポートしているため、夜勤もあります。早番・日勤・遅番・夜勤など、複数の勤務形態を組み合わせてシフトが作成され、休みもシフトで決まる仕組みです。

老健の平均給与

厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.122)」によると、老健で働く常勤介護職員の平均給与は33万9,040円で、平均年収は約407万円です。
老健には夜勤があり、夜勤手当が支給されるので、デイサービスや訪問介護など日勤のみの施設と比べると給与水準は高めといえるでしょう。

なお、平均給与額は「基本給+手当+一時金(1~12月支給金額の1/12)」で計算。平均年収は平均給与×12で算出しています。

介護職以外の老健職員の給与や保有資格別の給与は、「老健の給料はどれくらい?介護職員の平均給与と年収アップ方法を解説」の記事で紹介しているので、こちらも合わせてお読みください。

老健の仕事に向いている人

老健の仕事に向いている人の特徴は、下記のとおりです。

  • 在宅復帰の支援がしたい人
  • 職員同士のコミュニケーションを大切にして働ける人
  • 臨機応変な対応ができる人
  • 体力がある人

老健では、看護師やリハビリ専門職といった他職種が連携しながら働くので、職員同士のコミュニケーションや協力は必須です。そのため、チームで動くことが好きな人に向いているでしょう。
また、在宅復帰を目指して多職種で意見交換をしたり、個別にケアの手法を考える面白さもあります。在宅復帰後の生活を見据えて、「今この方にとって何が必要か」を考えながら働きたいという方にも老健はおすすめです。
ほかの特徴については、「老健に向いている人の特徴とは?仕事で身につくスキルや働くメリットを解説」で紹介しているので参考にしてくださいね。

老健で働くメリット・デメリット

ここでは、介護職員が老健で働くメリットとデメリットについて解説します。施設での働き方やスタッフ・利用者さまとの関わり方などを踏まえて、老健で自分に合った働き方ができるか考えてみましょう。

老健で働くメリット

老健で働くメリットには、下記のようなものが挙げられます。

  • リハビリや医療に関する知識が身につく
  • 看護師に医療ケアについて相談できるので安心して働ける
  • 主体的に在宅復帰の支援に関われる
  • 特養よりも介護度が低く、身体的な負担が軽減される

老健は、一通りの身体介護を経験できるほか、医療やリハビリの観点を交えたケアの経験を積むことができます。医療やリハビリに関する知識を得ながら、病気の人へのケア手法を学ぶことができるでしょう。
また、看護師が24時間常駐しているため、利用者さんの様子が普段と違うとき、すぐに相談することができます。救急対応のプレッシャーが軽くなるため、精神的に安心して働けると感じる方もいるようです。

老健で働くデメリット

老健で働くデメリットは、下記のとおりです。

  • 入所者数が多いため介護業務の量が多い
  • 他の職種と意見が合わないことがある
  • 入所期間が限られるため長期的なケアがしにくい
  • レクリエーションが少ない

老健は、ほかの介護施設よりも他職種と連携する機会が多くあります。職種ごとにもっている知識や役割が異なるため、意見が衝突するストレスを感じる方もいるようです。
また、リハビリや医療ケアが主な活動となり、レクリエーションは少ない傾向。レクリエーションに力を入れたい人は、物足りないと感じるかもしれません。逆に、介護業務に集中したいという方にとっては魅力的な環境になるでしょう。

老健(介護老人保健施設)についてよくある質問

ここでは、老健についてよくある質問にお答えします。老健で働こうか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

老健にずっと入所する人もいるの?

老健の入所期間は基本的に3~6ヶ月です。在宅復帰を目指しているため、長期的に入所することを想定している施設形態ではありません。
ただし、入所者さんの中には、3ヶ月を経過しても自宅に復帰できる状態まで心身機能が改善しないケースも。老健では3ヶ月おきに入所者さんが自宅に帰れる状態かどうか審査を行い、必要があれば入所期間を延長する形で対応しています。

老健の特徴を簡単に教えてください!

老健の特徴は以下のとおりです。

  • 病気や怪我で入院し、退院する際に自宅での生活が難しい要介護状態の方が、在宅復帰を目指してリハビリや介護サービスを受ける施設
  • 入所期間は3~6ヶ月と決まっている
  • 医療ケアやリハビリのサービスが充実している反面、レクリエーションなどの余暇活動は少ない
  • 入所費用はほかの介護施設と比べて低め

詳しくは、「老健(介護老人保健施設)とはどんな施設?」もご覧ください。

特養(特別養護老人ホーム)と老健(介護老人保健施設)の違いは何?

大きな違いは利用の条件と目的、提供するサービスです。特養は、原則要介護3~5の方が入居できますが、老健は要介護1~5の方が入所対象となっています。利用目的も異なり、特養は終の棲家として看取りまで生活の支援を受けられますが、老健は在宅復帰が最終的な目的です。また、特養は常勤医師や夜間の看護師配置がなく、リハビリ専門職の配置も必須ではありません。老健のほうが、医療ケアやリハビリは充実しているといえるでしょう。

まとめ

老健とは、在宅復帰に向けたリハビリを中心にサービスを提供する介護施設です。ほかの高齢者施設よりも医療がメインになることもあり、医師や看護師、リハビリ専門職といった職員とも連携が必要。在宅復帰を目指す入所者さんのサポートや、介護以外の各専門領域について知識を身につけたい方は、老健への転職に向いているといえるでしょう。

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執筆者

  • 「レバウェル介護」編集部

    お役立ち情報制作チーム

介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点

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※この記事の掲載情報は2024年3月28日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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