
この記事のまとめ
- 老健とは、在宅復帰を目的に介護サービスやリハビリを提供する介護施設
- 老健は、医療ケアやリハビリなどのサービスが充実している
- 老健で働く介護職員は、入所者さんの身体介護や生活援助を行っている
「老健とはどんな施設なの?」と気になる方もいるのではないでしょうか。老健とは、病気や怪我で自宅での生活が難しい方が、在宅復帰を目的に入所する介護施設です。この記事では、老健への転職に興味がある介護職の方に向けて、老健の概要や提供するサービス、配置基準などを解説します。老健で働く介護職員の仕事内容や平均給与、メリット・デメリットも紹介するので、参考にしてみてください。
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目次
老健(介護老人保健施設)とはどんな施設?
老健とは、病気や怪我で入院した高齢者などに、介護サービスや機能訓練・リハビリを提供し、在宅復帰を支援する介護施設です。老健は略称で、正式名称は「介護老人保健施設」といいます。
介護が必要な高齢者が自宅で生活できるようになるために、多職種が連携してサポートするのが老健の特徴です。そのため、介護職だけではなく、理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職や医師・看護師などの職種も配置されています。
入所の目的
高齢者が老健に入所する目的は、「心身の機能を維持・回復させ、自宅で生活できるようになること」です。「在宅復帰」が最終的なゴールなので、基本的に長期間入所し続けることはできません。原則3~6ヶ月ごとに在宅復帰が可能かどうか審査が行われます。
厚生労働省の「介護老人保健施設(p.41)」によると、老健の平均在所日数は10ヶ月ほどです。
特養や有料老人ホームと老健は、利用期間に違いがあります。特養や有料老人ホームは長く生活でき、看取りまで対応していることもあるので、終の棲家としての利用も可能です。一方、老健は状態が改善すれば退所する必要があります。
出典
厚生労働省「第221回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)資料」(2026年4月3日)
入所の条件
老健に入所できる方は、下記の条件をともに満たす方です。
- 要介護1以上の認定を受けている
- 病状が安定していて入院は必要ないが、リハビリ・看護・介護を必要としている
65歳以上の方に加え、40~64歳で特定疾病によって要介護認定を受けている方も利用できます。医師や看護師の配置があるので、在宅復帰に不安がある方が安心して過ごせる環境です。
老健の種類
老健は以下の5種類に分かれています。
- 超強化型老健
- 在宅強化型老健
- 加算型老健
- 基本型老健
- その他型老健
超強化型、在宅強化型、加算型、基本型の老健は、厚生労働省が定めた基準を満たしている老健です。在宅復帰率や医療ケアの実施割合、リハビリの充実度など、さまざまな基準で老健の機能を評価しています。
厚生労働省の「介護老人保健施設(改定の方向性)(p.10)」によると、2023年の調査では加算型の老健が最も多い結果でした。また、超強化型の老健が増加傾向にあり、在宅復帰支援の体制が整った施設が増えていると考えられます。
出典
厚生労働省「第231回社会保障審議会介護給付費分科会資料」(2026年4月3日)
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老健(介護老人保健施設)で提供するサービス
老健では、多くの専門職が連携して入所者さんの在宅復帰をサポートしています。ここでは、提供しているサービスを具体的に見ていきましょう。
専門職によるリハビリ・機能訓練
老健には理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などのリハビリ専門職が在籍しています。リハビリ専門職の役割は、専門的な知見から入所者さんごとにリハビリ計画を立て、日常生活に必要な動作の訓練や、運動機能向上を目指すリハビリを実施することです。
在宅復帰後の自宅での生活に関して、住宅改修や福祉用具の活用なども視野に入れ、相談に乗ることもあります。
看護師・医師による医療ケア
老健には医師と看護師も在籍しています。看護師が夜間も常駐している施設では、たんの吸引や経管栄養などの医療ケアを24時間体制で提供することが可能です。服薬管理はもちろん、点滴や褥瘡(床ずれ)のケア、インスリン注射などにも対応しており、医療ケアが充実していることが老健の特徴といえます。
介護職による日常生活のお世話
ほかの介護施設と同様に老健も、基本的に介護職が入浴・排泄・食事の介助や日常生活のお世話を行います。居室の清掃やシーツ交換などの生活援助に対応することもあるでしょう。洗濯や買い物などの業務の対応範囲は、施設によって異なるようです。
栄養管理
老健には栄養士が在籍しており、入所者さんを栄養面からケアしています。栄養量だけでなく、本人に合った食事形態や調理方法についても検討し、食事を支援するようです。入所者さんの状況に応じて、糖尿病などの疾患に配慮した食事メニューを提供することもあります。
レクリエーション・余暇活動
おやつレクやカラオケ、季節のイベントなどを実施する施設もあります。ただし、在宅復帰に向けたリハビリがメインなので、レクリエーションの頻度はそれほど高くありません。日常的な活動としては、機能訓練やリハビリの一環としての体操などが多いでしょう。
老健(介護老人保健施設)の入所費用
ここでは、老健に入所する際にかかる費用について紹介します。
介護サービスの利用料
介護サービスの利用料とは、施設で行われる排泄介助や入浴介助などの介護サービスや医療ケアに対する費用を指します。介護保険が適用されるため、入所者さんの自己負担は1~3割です。所得に応じて負担割合が変化します。
生活にかかる費用
生活に掛かる費用は、食費・居住費・その他の日常生活費です。介護施設は、食費や居住費を、厚生労働省が定める基準費用額と同額程度に設定する傾向にあります。基準費用額とは、入所者さんの経済的な負担を考慮し、必要に応じて費用を補助するために定めている食費や居住費の目安です。
ただし、食費や居住費は、施設と入居者さんの契約によって決まるので、基準額以上や以下のこともあります。
厚生労働省の「基準費用額(p.6)」によると、2025年8月時点の標準費用額の日額は以下のとおりです。
- 食費:基準費用額1,445円
- 居住費:基準費用額437~2,066円(居室タイプごとに変動)
居住費は、大部屋か個室かによって金額が変動するようです。日常生活費(理美容代など)は実費となります。
また、厚生労働省の「令和8年度介護報酬改定について(p.6)」によると、2026年8月以降は食費の基準費用額が1,545円になる予定です。
老健は、入所に初期費用がかかりません。また、所得によっては食費などの費用に減免措置が適用され、経済的負担が軽くなる場合があります。そのため、有料老人ホームなどと比べると安く利用できるのが特徴です。
出典
厚生労働省「第249回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料」(2026年4月3日)
厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」(2026年4月3日)
老健(介護老人保健施設)の居室・設備
前項で老健の居住費は部屋タイプによって異なる点に触れましたが、居室や設備はどのようになっているのでしょうか。ここでは、居室タイプの種類と共有スペースの設備について解説します。
居室タイプの種類

老健の居室は、多床室・従来型個室・ユニット型個室・ユニット型個室的多床室の4種類です。それぞれ図のような居室の作りになっています。
共有スペースの設備
e-Gov法令検索の「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準 第三条」によると、老健は居室(療養室)のほかに以下の施設を設置しなければなりません。
- 診察室
- 機能訓練室
- 談話室食堂
- 浴室
- レクリエーション・ルーム
- 洗面所
- トイレ
- サービス・ステーション
- 調理室
- 洗濯室または洗濯場
- 汚物処理室
設備に関する基準には細かい条件があり、「トイレや洗面所は居室のある階ごとに設置」「機能訓練室や食堂は定員数に応じた広さを確保(面積の規定あり)」などの要件を満たす必要があります。
出典
e-Gov法令検索「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」(2026年4月3日)
老健で働く職種と人員配置基準
老健には介護職員だけでなく、医師や看護師、リハビリ専門職など、さまざまな専門職が配置されており、各職種の配置基準が定められています。
| 職種 | 配置基準 |
| 医師 | 入所者さん100人に対し1人以上 |
| 薬剤師 | 実情に応じた適当数(入所者さん300人に対して1人が基準) |
| 看護・介護職員 | 入所者さん3人に対し1人以上(うち看護職員が7分の2程度以上) |
| 支援相談員 | 入所者さん100人に対し1人以上 |
| 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士 | 入所者さん100人に対し1人以上 |
| 栄養士 | 入所定員が100人以上の場合は1人以上 |
| 介護支援専門員(ケアマネジャー) | 1人以上(入所者さん100人に対して1人が基準) |
| 調理員、事務員、その他の従業者 | 実情に応じた適当数 |
参照:厚生労働省「介護老人保健施設(改定の方向性)(p.53)」
各職種について詳しくは、「介護老人保健施設で働く職種とは?医療や福祉それぞれの仕事内容を解説」で紹介しているのであわせてご覧ください。
出典
厚生労働省「第231回社会保障審議会介護給付費分科会資料|厚生労働省」(2026年4月3日)
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老健(介護老人保健施設)へ入所するまでの流れ
老健に入所するには、どのような流れや手続きを踏むのでしょうか。ここでは、老健へ入所するまでの流れをご紹介します。
要介護認定を受ける
老健の入所条件を満たすために、まずは要介護認定を受ける必要があります。要介護認定を受けるには、現在住んでいる市区町村の役場へ申請が必要です。認定を受けるまでは1ヶ月程度かかるので、老健の利用を検討している場合は早めに申請しましょう。
施設へ入所の申し込みをして面談を実施する
要介護認定を受けたら、老健へ利用申し込みを行います。担当のケアマネジャーや医療ソーシャルワーカー(MSW)と相談しながら進めるとスムーズです。
書類を提出し入所の判定を受ける
入所を希望する施設が決まったら、施設利用申込書や診断情報提供書などの必要書類をそろえます。最終的には、書類や面談をもとに入所可否を施設が判断し、入所可能と判定されれば入所できる仕組みです。
契約手続きをする
入所が決まったら、正式に利用契約の手続きを行って、利用開始となります。
老健(介護老人保健施設)で働く介護職の仕事や働き方
ここでは、老健で働く介護職員の働き方や仕事内容を紹介します。老健への転職を検討している方は、チェックしてみてください。
介護職員の仕事内容
老健で働く介護職員の仕事内容は、入所者さんの身体介護や生活援助など、介護業務がメインです。介護職員は、入所者さん本人の能力を活かしながら、在宅復帰に向けた自立支援を意識して介助を行います。看護師やリハビリ専門職と連携する場面が多く、リハビリのサポートや医療的な観点を意識した介護が求められる場合もあるでしょう。
一方で、レクリエーションは頻度が少ない傾向にあり、デイサービスや有料老人ホームに比べるとレクリエーションを企画する機会は少ないでしょう。
老健で働く介護職員の1日のスケジュール例は、「老健の仕事内容を解説!介護職員の1日の流れや働くメリット・デメリット」を参考にしてくださいね。
介護職員の働き方
老健は24時間体制で入所者さんの生活をサポートするため、基本的に日勤だけではなく夜勤もあります。早番・日勤・遅番・夜勤など、複数の勤務形態を組み合わせてシフトが作成され、休みもシフトで決まる仕組みです。
老健の平均給与
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.129)」によると、老健で働く常勤の介護職員の平均給与は35万2,900円、平均年収は約423万円です。老健には夜勤があり、夜勤手当が支給されるといった理由から、デイサービスなどの日勤のみの施設と比べると給与水準は高めです。
なお、平均給与額は「基本給+手当+一時金(4~9月支給金額の1/6)」で、平均年収は平均給与×12で算出しています。
「老健の給料はどれくらい?介護職の平均給与や年収、収入アップの方法を解説」の記事では、老健の介護職員の保有資格別の給与などを紹介しているので、こちらもあわせてお読みください。
出典
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2026年4月3日)
老健の仕事に向いている人
老健の仕事に向いている人の特徴は、下記のとおりです。
- 在宅復帰の支援がしたい人
- 職員同士のコミュニケーションを大切にして働ける人
- 臨機応変な対応ができる人
- 体力がある人
老健では、看護師やリハビリ専門職といった他職種と連携しながら働くので、職員同士のコミュニケーションや協力は必須です。そのため、チームで動くことが好きな人に向いているでしょう。
また、在宅復帰を目指して多職種で意見交換をしたり、個別にケアの手法を考えたりする面白さも。在宅復帰後の生活を見据えて、「今この方にとって何が必要か」を考えながら働きたい方にも向いているといえます。
詳しくは「老健に向いてる人の特徴とは?仕事内容や働くメリット、特養との違いを解説」で紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
老健で働くメリット・デメリット
ここでは、介護職員が老健で働くメリットとデメリットを解説します。職場環境やスタッフ・入所者さんとの関わり方などを踏まえて、老健で自分に合った働き方ができるか考えてみましょう。
老健で働くメリット
老健で働くメリットとして、下記のようなものが挙げられます。
- リハビリや医療に関する知識が身につく
- 医師や看護師に医療面の相談ができる
- 主体的に在宅復帰の支援に関われる
- 特養と比較して身体的な負担が軽い傾向にある
老健は、一通りの身体介護を経験できるほか、医療やリハビリの観点を交えたケアの経験を積むことができます。医療やリハビリに関する知識を得ながら、ケア手法を学べるでしょう。
また、看護師が24時間常駐している施設が多く、入所者さんの様子が普段と違うときにすぐに相談できます。救急対応のプレッシャーが少なく、精神的に安心して働けると感じる方もいるようです。
老健で働くデメリット
老健で働く場合、下記のようなことをデメリットに感じる可能性があります。
- 入所者数が多いため介護業務の量が多い
- 他の職種と意見が合わないことがある
- 入所期間が限られるため長期的なケアがしにくい
- レクリエーションのスキルを活かせない
老健は、ほかの介護施設よりも他職種と連携する機会が多くあります。職種ごとに知識や役割が異なるため、意見が衝突するストレスを感じる方もいるようです。
また、リハビリや医療ケアが主な活動となり、レクリエーションは少ない傾向にあるので、レクリエーションに力を入れたい人はモチベーションを保ちにくいかもしれません。
老健(介護老人保健施設)についてよくある質問
ここでは、老健についてよくある質問にお答えします。老健で働こうか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
老健にずっと入所する人もいるの?
老健の入所期間は基本的に3~6ヶ月程度です。在宅復帰を目指す施設のため、長期的に入所することは想定していません。ただし、入所者さんの中には、3~6ヶ月経過しても自宅に復帰できる状態まで心身機能が改善しない方も。老健では、およそ3ヶ月おきに入所者さんが自宅に帰れる状態かどうか審査を行い、状況に応じて入所期間を延長する形で対応しています。また、長期入所が必要な入所者さんは、ほかの施設に移ることもあるでしょう。
老健の特徴を簡単に教えてください!
老健の特徴は以下のとおりです。
- 病気や怪我で入院して退院する際などに、自宅での生活が難しい要介護状態の方が、在宅復帰を目指してリハビリや介護サービスを受ける
- 入所期間は原則3~6ヶ月程度
- 医療ケアやリハビリのサービスが充実している反面、レクリエーションなどの余暇活動は少ない
- 入所費用はほかの介護施設と比べて低め
詳しくは、この記事の「老健(介護老人保健施設)とはどんな施設?」もご覧ください。
特養(特別養護老人ホーム)と老健(介護老人保健施設)の違いは何?
特養と老健の大きな違いは、利用の条件と目的、提供するサービスです。特養は、原則要介護3~5の方が入居できますが、老健は要介護1~5の方が入所対象となっています。利用目的も異なり、特養は終の棲家として看取りまで生活の支援を受けられますが、老健は在宅復帰が最終的な目的です。また、老健のほうが、医療ケアやリハビリが充実している傾向にあります。
まとめ
老健とは、在宅復帰に向けたリハビリを中心にサービスを提供する介護施設です。医師や看護師、リハビリ専門職といった職員と介護職が連携して入所者さんを支援します。在宅復帰を目指す入所者さんのサポートがしたい方や、さまざまな専門領域の知識を身につけたい方は、老健の仕事に向いているでしょう。
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今の職場に満足していますか?
執筆者

「レバウェル介護」編集部
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介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点


