社会福祉とは何か簡単に解説!4つの分野の概要とそれぞれの支援内容を紹介

介護の知識 2024年4月2日
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この記事のまとめ

社会福祉制度について、よく分からないという方もいるでしょう。介護の現場で働いている介護職の方であっても、詳しく答えられる人は少ないかもしれません。社会福祉とは、子どもや高齢者、障がいのある方など、社会的に弱い立場にいる方々を支援する制度です。この記事では、社会福祉制度について分かりやすくまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

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目次

社会福祉とは簡単に言うとどういうこと?

社会福祉とは、すべての人が心身ともに健やかに、人間らしい生活を送れるように支えるための公的な制度です。社会の中で生きづらさや困りごとを抱えている方はたくさんいます。たとえば子どもやひとり親、心身に障がいのある方、高齢者などです。あらゆる人が自分らしく自立した暮らしを送れるよう、支援のための制度が確立されています。

社会福祉は、社会全体で取り組むべき課題です。国や地方自治体、社会福祉法人、ボランティアなど、さまざまな主体が協力してそれぞれの役割を担っています。厚生労働省の「令和4年版厚生労働白書 資料編(p.198)」によると、全国にある社会福祉施設の数は150,732ヶ所。老人福祉施設や児童福祉施設、障害者支援施設など、ニーズに応じて必要なサービスが提供されています。誰もが住み慣れた場所で自分らしく生きるために、社会福祉制度は欠かせないものといえるでしょう。

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社会福祉制度にはどんな種類がある?

ここでは、社会福祉の具体的な内容について解説します。

児童福祉

児童福祉は、将来を担う子どもたちが社会の中で安心して生活できるよう、国や地方自治体、社会福祉法人などが協力して支援する福祉サービスです。子どもたちが健康に育つことや、生活を保障されることを目指しています。児童福祉の内容は、児童養護や子育て支援、児童虐待防止、障がい児福祉など、さまざまです。具体的には、仕事と子育てを両立するための保育所の設置・運営、子育ての経済的な負担を軽くするための手当の支給など。近年では、児童虐待や貧困など、子どもを取り巻く環境はますます複雑になっており、児童福祉の重要性が高まっています。

母子及び父子・寡婦福祉

母子及び父子・寡婦福祉は、ひとり親家庭や寡婦(かふ)の経済的自立と精神面双方の安定を支援し、児童の健やかな成長を促進するための福祉サービスです。具体的な施策は、ひとり親家庭を経済的に支援する児童扶養手当、就学や就職などにかかる資金を支援する母子福祉資金貸付制度、DVなどからの保護を必要とする母子を守る支援、寡婦の税負担を軽くする寡婦控除などが挙げられます。

なお、寡婦とは下記の条件を満たす方のことを指します。

  • 夫と離婚または死別した後再婚していない人
  • 扶養親族がいる(夫と離婚した人のみ)
  • 合計所得額が500万以下
  • 「ひとり親」に該当していない

厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況(p.14)」によると、令和3年のひとり親世帯の貧困率は44.5%。より充実した制度へと発展していくためには社会全体の理解と支援が必要です。

障がい者福祉

障がい者福祉とは、18歳以上で障がいのある方が、社会の一員として自立し、社会参加を実現するために必要な支援を行うサービスです。障がいのある方が地域の中で安定した暮らしを維持するために、数々の支援が日々提供されています。具体的な内容は以下のとおりです。

介護給付入浴や排泄、家事といった日常生活全般を支援する
訓練等給付生活動作の訓練や働くための知識や能力を高めるための訓練を行う
地域生活支援事業市町村が利用者に合わせて移動支援や手話通訳の派遣などを行う

高齢者福祉

高齢者福祉とは、高齢者が心身ともに健康に過ごし、尊厳ある生活を送ることができるよう、社会全体で支えていくためのサービスです。日本では、2007年に国民の4人に1人が65歳以上である超高齢化社会に突入しました。国立社会保障・人口問題研究所の「日 本 の 将 来 推 計 人 口 (令和5年推計)結果の概要(p.5)」によると、2037年には国民の3人に1人、さらに2070年には2.4人に1人が65歳以上になるといわれています。支援を必要とする高齢者が増えることから、高齢者福祉へのニーズは今後も高まると考えられるでしょう。

高齢者福祉では、誰もが介護サービスを受けられるように介護保険制度を整えたり、高齢者の雇用をサポートしたりしています。そのほか、高齢者が暮らしやすい住まいを得るための支援や、老人クラブへの助成など介護認定を受けていない人へのサービスも提供されています。

社会福祉に関する法律は?

社会福祉を扱う際にトラブルが発生しないよう、法律が定められています。福祉に関する代表的な法律は6つあり、総称して「福祉六法」と呼ばれます。
福祉六法は下記の3つです。

  • 児童福祉法
  • 身体障害者福祉法
  • 知的障害者福祉法
  • 老人福祉法
  • 母子及び父子並びに寡婦福祉法
  • 生活保護法

それぞれの分野ごとに法律が設けられ、困りごとを抱えている方々を助けるための道しるべとなっています。子どもから大人まで、すべての人が生活に困らないためのルールや制度が整えられているのです。福祉制度が充実していると、誰もが自分らしく生きやすい社会を実現できます。

社会福祉施設には何がある?

ここでは、社会福祉サービスを提供している施設を分野ごとに紹介します。

児童福祉に関係する施設

児童福祉法の第7条において、児童福祉施設は下記のように定義されています。

この法律で、児童福祉施設とは、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童厚生施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童自立支援施設及び児童家庭支援センターとする。

引用:e-GOV法令検索「児童福祉法 第七条

児童福祉施設には、働いている間に子どもを預けられる「保育所」をはじめ、保護者のない子どもや保護者とともに生活するのが難しい子どもが暮らす「児童養護施設」などがあります。児童福祉施設では、子どもの生活保護や保育サポートを行うのが特徴です。

母子及び父子・寡婦福祉に関係する施設

母子及び父子並びに寡婦福祉法の第7章において、母子・父子福祉施設は「母子・父子福祉センター」と「母子・父子休養ホーム」の2種類が定められています。
母子・父子福祉センターとは、無料または低い料金で、母子家庭・父子家庭に対して相談対応をしたり、生活や就労に関する指導を行ったりする施設。母子・父子休養ホームは、無料または低い料金で、母子家庭や父子家庭に対してレクリエーションや休養の機会を設ける施設です。

高齢者福祉に関係する施設

養護老人ホームや特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、居宅介護事業所、デイサービス、グループホームなどが挙げられます。施設によってサービスや対象者が違うので、ニーズに合ったサービスの提供を行えるのが特徴です。介護施設の種類については、「介護施設の種類一覧!自分に合う職場を見つけよう!」の記事でそれぞれ詳しく解説しています。

障がい者福祉に関係する施設

障がい者福祉に関わる施設・事業所は、障害者支援施設や施設入所支援、生活介護事業所、就労移行支援A型・B型、共同生活援助などが挙げられます。事業所によって提供するサービスは異なるのが特徴。いずれも障がいのある方を支援しています。障がい者福祉サービスの種類については、「障害者支援施設とは?仕事内容や一日の流れ、高齢者介護との違いを解説!」で紹介しているので、あわせてご覧ください。

社会福祉と社会保障の違いとは?

社会福祉は、社会保障を形成する要素の一つです。社会保障制度はすべての国民が安心・安定して生きるためのセーフティーネット。「社会保険」「社会福祉」「公的扶助」「保健医療・公衆衛生」の4つで構成されています。

社会福祉と社会保障の違いの画像

社会福祉は、子どもからお年寄りまで、すべての人々を一生涯支える制度です。

社会福祉児童や高齢者、障がいのある方などを社会的に保護し、自立した生活を目指して支援する
高齢者福祉、児童福祉、母子・寡婦福祉、障がい者福祉がある
社会保険病気やけが、出産、失業など、あらゆる困窮要因に遭遇した場合でも生活が安定することを目的としている
医療保険、年金制度、介護保険などがある
公的扶助困窮している国民に最低限の生活を保障、自立支援を行う
生活保護制度などがある
保健医療・公衆衛生国民が健康に過ごすためのサービス
医療サービス、保険事業、母子保健、公衆衛生などがある

このように、社会保障は社会福祉を内包するものです。すべての国民が安定した社会生活を営むために重要な制度といえます。

日本の社会福祉制度のこれまでとこれから

ここでは、日本の社会福祉制度のあゆみとこれからを見ていきましょう。

社会福祉制度の歴史

社会福祉制度の歴史について解説していきます。

戦後

社会福祉制度は、戦後から始まったといえます。戦争による被災者、外地からの引揚者など、生活に困窮した方への支援が必要とされていたからです。
具体的な戦後の対策は以下のとおりです。

  • 1946年:旧生活保護法・制定
  • 1947年:児童福祉法・制定
  • 1949年:身体障害者福祉法・制定

高度経済成長期

高度経済成長期に入ってからは、生活に困窮しないよう社会全体で支え合う体制が構築されます。国民全員が年金や健康保険に入ることになり、社会保障制度も発展していきました。

  • 1958年:国民健康保険法・改正
  • 1959年:国民年金法・制定
  • 1963年:老人福祉法・制定
  • 1972年:老人福祉法・改正

1972年には老人福祉法の一部が改正され、70歳以上の老人医療費が無料化されました。

安定成長期~バブル崩壊後

日本の財政状況が悪化したことから赤字がふくらみ、制度の維持が困難になった時期です。高齢者の医療費無料化は廃止となり、一部負担が導入されました。年金制度も改正を繰り返し、支給開始年齢が65歳に引き上げられるなど、保障の対象が狭まっています。

社会福祉制度の今後

現在、日本の社会福祉制度には多くの課題があります。
ここでは、4つの領域に分けて解説するので、社会福祉制度の今後に興味のある方は、ぜひご覧ください。

児童福祉

児童福祉の課題には、子どもの貧困や児童虐待などがあります。子ども家庭庁の「こども家庭福祉をとりまく現状と対応(p.2)」によると、2021年度に児童相談所が受けた虐待の相談件数は207,660件と過去最多です。政府は地方自治体に対し児童虐待防止対策部会を置くよう促したり、乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)などで虐待をいち早く発見できるような対策を講じたりするなど、対策を講じています。

母子及び父子・寡婦福祉

ひとり親家庭の父母の就業率は85%を超えているものの、まだまだ雇用や経済面での支援が必要な人も多いのが現状です。収入が少ない状態では、子どもの貧困問題につながる可能性も。国は「ひとり親家庭等の自立支援策」として、「子育て・生活支援策」「就業支援策」「養育費確保策」「経済的支援策」の4つの観点から施策を進めています。

障がい者福祉

障がいのある方に対する理解がまだ不十分なため、社会参加の機会に恵まれているとはいえない状況です。雇用も不安定なので経済的な自立が難しい人は少なくありません。地域差もあり、障がいのある方への支援体制は統一されているとはいいがたいでしょう。
国は障がいのある方が能力を活かし、適性に応じた仕事ができるよう障害者雇用率制度を作り、民間企業や地方公共団体に対して雇用率の達成を義務付けています。

高齢者福祉

高齢者福祉が抱える課題の一つが、団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題です。2025年に、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、さらに老老介護や独居高齢者が増加するとみられています。こうした課題に対し、政府は高齢者の医療費における自己負担額を引き下げるなどの対策を講じています。

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超高齢社会の課題とは?世界一高齢者人口が多い日本の高齢化対策を解説

社会福祉に貢献している仕事

社会福祉の課題を最前線で解決できる仕事をご紹介します。福祉の仕事は多岐にわたりますが、代表的なものを5つピックアップしました。

介護職

高齢者や障がいのある方に対し、生活の支援を行います。具体的な支援内容は、下記のとおりです。

  • 身体介護:食事や入浴、排泄、更衣、移動
  • 生活援助:掃除、洗濯、調理
  • 生活に関する相談や助言

介護職は無資格・未経験から挑戦できるので、福祉の世界に入る最初の一歩としておすすめです。介護職の仕事内容や働き方については、「介護士ってどんなお仕事?仕事内容や働き方、必要な資格、給与などを解説」で詳しく解説しているので、興味がある方はこちらもあわせてご覧ください。

看護師

看護師は利用者さん・患者さんの状態を把握し、健康管理や診察及び検査の補助を行う医療職の一つ。具体的な業務内容は、以下のとおりです。

  • 血圧や体温、脈拍などのチェック
  • 注射・採血・点滴
  • 食事や排泄、入浴の介助
  • 医師の診察補助

看護師として働くには、看護師国家試験に合格し、看護師免許を取得しなければなりません。

保育士

保育や児童福祉に関する専門知識やスキルを持った専門職です。乳児〜小学校に入る前の子どもたちを預かります。保育士の業務内容は、以下のとおりです。

  • 乳児~小学校に入る前の子どもに対し、年齢に合わせた遊びを実施
  • 生活上のルールについての指導
  • 保護者からの相談対応

保育士になるには、保育士試験の合格もしくは指定保育士養成施設(大学・短大・専門学校など)を卒業し保育士資格を取得する必要があります。

生活支援員

生活支援員は、高齢者や障がいのある方の生活を支援する職種です。業務内容は、以下をご覧ください。

  • 食事・入浴・排泄などのサポート
  • 生活に習慣を身につけるための支援
  • 利用者さん・ご家族からの相談対応

生活支援員は無資格でも目指せますが、職場によっては社会福祉や介護福祉士、精神保健福祉士などが求められるケースもあります。

ソーシャルワーカー

生活上の困りごとがある方に対して相談援助を行います。状況に応じて関係機関(病院や施設、医療機関など)と連携をとり、利用者さんの生活を支援する仕事です。
ソーシャルワーカーを名乗るための資格は特に必要ありません。しかし、職場によっては社会福祉士や社会福祉主事、精神保健福祉士などが求められる場合があります。主な業務内容は、以下のとおりです。

  • 利用者さん・ご家族からの相談対応・助言
  • 適切なサービスへの橋渡し
  • 関係機関との連絡・調整

ソーシャルワーカーとは別に、ケースワーカーという職種もあります。ケースワーカーは公務員として福祉事務所や児童相談所といった公的機関で働く公務員です。主に生活保護や児童福祉に関する相談援助を行います。心身や経済面での問題により、生活に困難を感じる方の相談に乗ったり、制度に基づいた支援を行ったりするのが仕事です。

ソーシャルワーカーについては、「ソーシャルワーカーの仕事内容とは?役割や必要な資格、年収を解説」、そのほかの仕事については、「福祉の仕事を40種類解説!介護以外にも資格なしで働ける職種はあるの?」をご覧ください。

社会福祉の制度に関するよくある質問

社会福祉の制度に関するよくある質問に回答します。「社会福祉ってよく分からない…」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

社会福祉制度とは何か、簡単に説明してください

社会福祉制度とは、高齢者や児童、ひとり親、障がいのある方などが、安心して社会生活を送れるように支援する制度です。社会福祉制度は公的な制度であり、対象者の状態によって適切な支援が受けられるようになっています。詳しくは、「社会福祉とは簡単に言うとどういうこと?」で解説しているので、ぜひチェックしてみてください。

社会福祉制度の具体例が知りたいです

社会福祉制度は、「児童福祉」「母子及び父子・寡婦福祉」「障がい者福祉」「高齢者福祉」の4つの項目に分けられます。実例としては、「後期高齢者医療制度の実施」「児童施設や介護施設の建設・整備」「特別障害者手当や障害児福祉手当の支給」などです。興味がある方は、「社会福祉制度にはどんな種類がある?」を参考にしてみてください。

まとめ

社会福祉は国民の誰もが自分らしく生きていくために必要な制度です。児童福祉、母子及び父子・寡婦福祉、障がい者福祉、高齢者福祉の4つで構成されます。社会保障は、社会福祉を含む4つの制度で成り立っており、暮らしを守るセーフティーネットの役割を担っているのが特徴です。

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執筆者

  • 「レバウェル介護」編集部

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※この記事の掲載情報は2024年4月2日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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