介護職員処遇改善加算の前身、介護職員処遇改善「交付金」って何?

介護の知識 2024年1月4日
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この記事のまとめ

「介護職員処遇改善交付金」とは2009年10月から平成2012年3月にかけて実施された政策。当時、介護人材の確保が思うように進まなかった状況を踏まえ、文字通り「介護職員の処遇を改善する」、より具体的には賃金面での待遇を改善するために交付金制度がスタートしました。このコンテンツでは、介護職員処遇改善交付金(以下、交付金)が創設された背景、交付方法や交付要件などの概要についてご紹介します!

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目次

介護職員処遇改善交付金の目的

経緯

政府は2008年10月30日、「介護従事者の処遇改善のための緊急特別対策」として2009年度の介護報酬改定率を3%アップすることを閣議決定しました。しかし雇用の実態調査などから、介護現場における離職率の高さや他業種との賃金格差など、依然として深刻な状況が浮上。処遇改善に向けた追加措置として交付金制度が実施されることになりました。

介護職員を取り巻く状況(2008年当時)

矢継ぎ早に処遇改善策が打ち出されるなか、当時の介護現場はどのような状況だったのでしょう?!
厚生労働省の政策レポート「介護職員処遇改善交付金について」(平成21年12月)からは、以下のような状況を読みとることができます。

■離職率
全産業平均(14.6%)を上回る高い水準(18.7%)

■有効求人倍率
ピーク時の2.53倍(2008年12月)から1.34倍(2009年9月)に低下しているが、依然人員不足の状態

■賃金水準(一般労働者*)の傾向
・産業全体と比較して低い
・ホームヘルパーや福祉施設介護職員の賃金は、医療福祉分野の他職種の一般労働者に比べて低い

*「一般労働者」:短時間労働者以外の労働者

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交付金制度の実施概要

■事業規模
・実施期間: 2009年10月~2012年3月
・交付総額: 約3,975億円(介護職員(常勤換算)1人あたり月1.5万円相当)

■財源 国費(一般財源)

■交付方法
(1)介護事業者が賃金改善計画などを策定し、都道府県に交付金を申請
(2)都道府県から国保連(国民健康保険団体連合会)に支払いを委託
(3)国保連が事業者へ交付金を支払う

■対象
・原則、介護職員・介護従業者・ホームヘルパーとして勤務する職員
(ただし、看護師など他の職務に従事していても、介護職員として勤務していれば対象になる場合もある)

「キャリアパス等要件」が新たに加わった!

2010年10月以降の申請からは、新たに「キャリアパス要件等届出書」の提出が必要となりました。これは介護職員が将来的な展望をもって職場で働き続けられるよう、能力・資格・経験等に応じた処遇が適切に定められているかを確認するための書式です。

キャリアパスに関する要件等

■キャリアパス要件1――(ア)(イ)(ウ)すべてに適合すること
(ア)介護職員任用の際における職位、職責又は職務内容等に応じた任用等の要件(介護職員の賃金改善に関するものを含む)を定めている

(イ)上記(ア)に掲げる職位、職責又は職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く)について定めている

(ウ)上記(ア)(イ)の内容について、就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、すべての介護職員に周知している

■キャリアパス要件2――(ア)(イ)すべてに適合すること
(ア)介護職員の職務内容等を踏まえ、介護職員と意見を交換しながら資質向上のための目標と(a)または(b)に掲げる具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保している

(a)資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導等を実施(OJT、OFF-JT等)するとともに、介護職員の能力評価を行う
(b)資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施する

(イ)上記(ア)について、全ての介護職員に周知していること。

■定量的要件
2008年10月から届け出を要する日の属する月の前月までに実施した処遇改善(賃金改善を除く)の内容及び当該改善に要した費用の概算額を、すべての介護職員に周知していること。

キャリアパス要件を満たさないと交付金が減額に!

交付金の交付額は、原則「事業者の申請に係る介護報酬総額」×「サービス区分別に規定した交付率」×「キャリアパス要件等の適合状況別に規定した交付率」で算出されます。それぞれの交付率の基準は以下のとおり。

■サービス区分別に規定した交付率
・(介護予防)訪問介護 4.0%
・夜間対応型訪問介護 4.0%
・(介護予防)訪問入浴介護 1.8%
・(介護予防)通所介護 1.9%
・(介護予防)通所リハビリテーション 1.7%
・(介護予防)特定施設入居者生活介護 3.0%
・地域密着型特定施設入居者生活介護 3.0%
・(介護予防)認知症対応型通所介護 2.9%
・(介護予防)小規模多機能型居宅介護 4.2%
・(介護予防)認知症対応型共同生活介護 3.9%
・介護福祉施設サービス 2.5%
・地域密着型介護老人福祉施設 2.5%
・(介護予防)短期入所生活介護 2.5%
・介護保健施設サービス 1.5%
・(介護予防)短期入所療養介護(老健) 1.5%
・(介護予防)短期入所療養介護(老健以外の病院など) 1.1%
・介護療養施設サービス 1.1%

■キャリアパス要件等の適合状況別に規定した交付率
・キャリアパス要件(1・2)および定量的要件の両方に適合する: 減額なし

・キャリアパス要件(1・2)または定量的要件のいずれか一方に適合する: 0.9%(10%の減額)

・キャリアパス要件(1・2)または定量的要件のいずれにも適合しない: 0.8%(20%の減額)

介護職員処遇改善交付金は2012年4月より介護報酬に組み込まれ、現在は「介護職員処遇改善加算」とかたちを変えて存続しています。内容や仕組みは交付金とほぼ同じですが、交付金の財源は100%公費だったのに対し、新たな加算制度では介護保険制度の財源から賄われることになりました。すなわち介護職員の処遇改善費用の一端を、サービスを受けるご利用者自身が負担することに。介護職員を含め事業所側にとっては、介護サービス全体の資質質向上と説明責任を果たす努力が今まで以上に重要になると言えるでしょう。

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※この記事の掲載情報は2024年1月4日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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