
この記事のまとめ
- 介護療養型医療施設とは、介護とともに充実した医療的ケアも受けられる施設
- 介護療養型医療施設は、2024年3月末に完全に廃止された
- 介護療養型医療施設の廃止後は、7割以上が介護医療院に移行した
「介護療養型医療施設とはどんな施設?」と気になる方もいるのではないでしょうか。介護療養型医療施設は、医療的ケアを受けながら長期的に療養するための施設です。2024年3月末に廃止されました。この記事では、介護療養型医療施設の概要や廃止された理由を解説します。移行先である「介護医療院」についても触れているので、介護施設の種類に興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
目次
介護療養型医療施設とは?
介護療養型医療施設とは、要介護状態にある方に支援を行う、療養病床を有する病院やクリニックのことです。長期の療養をするうえで必要な管理や看護、心身の状況に配慮した介護などを提供する施設でしたが、現在は廃止されています。
介護療養型医療施設のサービス内容や入居条件などについて、以下に簡単にまとめました。
施設の特徴
介護療養型医療施設は、「介護老人福祉施設(特養)」や「介護老人保健施設」と並ぶ介護保険施設の一つです。長期にわたる医療・介護の必要性がある高齢者が主な対象で、施設サービスのなかで最も充実した医療的ケアを受けることができます。
介護療養型医療施設の原型は、1993年の医療法改正において創設された「療養型病床群」。一般病床よりも病床面積を増やし食堂や談話室を設けるなど、療養環境を整備した病床区分です。
2000年の介護保険法の施行により、療養型病床群は介護保険適用の「介護療養型医療施設」と、医療保険適用の「医療型療養病床(病棟・施設)」に区別されました。こうした経緯があるため、介護療養型医療施設は「介護保険法」と「医療法」の2つの法律を根拠法としています。
主なサービス内容
介護療養型医療施設の主なサービス内容は、以下のとおりです。
- 療養上の管理および看護
- 医学的管理の下での日常生活上の介護
- 機能訓練
- ターミナルケア
医療的なケアが必要な方が長期的な療養ができるようにサポートするのが、介護療養型医療施設の役割です。
設備基準
介護療養型医療施設の設備基準は、以下のとおりです(療養病床のある病院の場合)。
- 病室(1室4床以下):1人当たりの面積 6.4平方メートル以上
- 機能訓練室:40平方メートル以上
- 食堂:1平方メートル×入居者数以上
- 廊下幅1.8メートル以上(中廊下は2.7メートル以上)
- 浴室:身体の不自由な方の入浴に適したもの
問題なく療養生活を送れるように、病室や機能訓練室の広さに関する規定が設けられています。また、ユニット型介護療養型医療施設の場合、「共同生活室の設置」「病室を共同生活室に近接して一体的に設置」といった追加の要件を満たすことも必要です。
人員配置
介護療養型医療施設の人員基準は、以下のとおりです(療養病床のある病院の場合)。
| 職種 | 配置基準 |
| 医師 | 医療法に規定する必要数以上(概算で48対1) |
| 薬剤師 | 医療法に規定する必要数以上(概算で150対1) |
| 看護職員 | 利用者さん6人に対し1人以上 |
| 介護職員 | 利用者さん6人に対し1人以上 |
| 理学療法士、作業療法士 | 実情に応じた適当数 |
| 栄養士 | 医療法に規定する必要数以上(100床以上の場合1人) |
| ケアマネジャー(介護支援専門員) | 1人以上(100対1を標準とする) |
参照:厚生労働省「介護療養型医療施設(p.2)」
医師や看護職員、介護職員、ケアマネジャーなど、医学的管理や療養上のケアに携わる職種が配置されます。
また、ユニット型の介護療養型医療施設の場合は、1ユニットおおむね10人以下の利用者さんに対し、日中は1人以上の介護職員または看護職員を配置。夜間は2ユニットごとに1人以上の配置が義務付けられています。
入居条件
介護療養型医療施設の入居条件は、「要介護1~5に認定されていること」です。介護保険サービスなので、主な対象者は65歳以上の高齢者ですが、特定疾病を患い要介護認定を受けている場合は、65歳未満の方も利用できる場合があります。
介護認定の基準のほかにも、「長期入院の必要性がない」「伝染病の疾患がない」など、施設によって条件が付いていることも。一般病棟やほかの介護施設ではなく、介護療養型医療施設の利用が適切と判断された方が利用します。
出典
厚生労働省「第183回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料」(2025年9月25日)
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介護療養型医療施設はどうして廃止されたの?
介護療養型医療施設の廃止は、2006年の医療保険制度改革の際に決まりました。廃止の主な理由を以下で確認してみましょう。
- 医療療養病床と介護療養病床のサービス内容や利用者さんの医療依存度が、実質的に変わらず、医療と介護の役割分担を行えていない
- 医療サービスの必要性が低く、施設の目的と異なる方が利用している
- 長期利用により、医療費や社会保障費が圧迫されている
これらを踏まえ、政府は「高齢者の状態に即した適切なサービスの提供」「財源(医療保険や介護保険)の効率的な活用」「医師や看護師など限られた人材の効率的な活用」を柱とする療養病床の再編成に着手しました。
当初は2012年度から新体制になる予定でした。しかし、介護老人保健施設などへの転換がうまく進まなかったため、最終的に介護療養型医療施設が廃止されたのは、2024年3月末です。
出典
厚生労働省「「介護療養型医療施設」の廃止に伴う基準生活費の算定における留意点について」(2025年9月25日)
介護療養型医療施設の廃止後はどうなる?
「医療」と「介護」両方のサービスを必要とする高齢者は多くいます。廃止された介護療養型医療施設は、介護医療院や介護老人保健施設などに移行されました。
厚生労働省の「介護医療院(p.12)」をもとに、介護療養型医療施設の移行先の割合を以下にまとめたのでご覧ください。
| 介護医療院 | 74.5% |
| 医療療養病床 | 15.7% |
| 医療療養病床以外の病床 | 2.5% |
| 介護老人保健施設 | 0.5% |
| 特別養護老人ホーム | 0.1% |
| その他 | 0.4% |
| 廃止 | 6.4% |
参照:厚生労働省「介護医療院(p.12)」
介護療養型医療施設の約4分の3が、介護医療院に移行したようです。介護医療院には、「医療と介護が必要な高齢者が長期療養できる生活の場」という機能があります。
出典
厚生労働省「第221回社会保障審議会介護給付費分科会(Web会議)資料」(2025年9月25日)
介護医療院にはどんな種類がある?
介護療養型医療施設が廃止されて新たな療養の場となっている「介護医療院」には、どのような種類があるのでしょうか?以下で解説します。
l型介護医療院
l型介護医療院は、重篤な身体疾患がある人や身体合併症がある認知症高齢者などを対象とし、介護療養病床相当の施設基準を設けています。
l型介護医療院の人員配置基準は、医師が利用者さん48人に対し1人以上、薬剤師が150人に対し1人以上、介護職員が5人に対し1人以上です。ほかにも、看護職員が利用者さん6人に対し1人以上、ケアマネジャーが100人に対し1人以上配置されます。
l型介護医療院は、ll型より医療職や介護職員の人員配置が手厚く、より手厚いサポートを提供しているのが特徴です。
ll型介護医療院
ll型介護医療院は、l型より落ち着いた容体の人を対象とし、老人保健施設(老健)相当以上の施設基準を設けています。
II型介護医療院の人員配置基準は、医師が利用者さん100人に対し1人以上、薬剤師が300人に対し1人以上、介護職員が6 人に対し1人以上。看護職員やケアマネジャーなどの職種の人員配置基準は、前述のl型と同じです。
出典
厚生労働省「介護医療院とは」(2025年9月25日)
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介護医療院とは?特養との違いや創設された経緯・サービス内容を解説
介護療養型医療施設についてよくある質問
ここでは、介護療養型医療施設についてよくある質問に回答します。「介護療養型医療施設ってどんな施設なの?」と気になる方は、ぜひご覧ください。
介護療養型医療施設とはどんな施設か分かりやすく教えて!
介護療養型医療施設とは、医療的ケアが必要な要介護者を対象とした入所施設です。喀痰(かくたん)吸引や経管栄養などの医療的ケアや、リハビリテーションなどに力を入れており、生活援助やレクリエーションはあまり積極的に行われていません。
この記事の「介護療養型医療施設とは?」で解説しているので、ご一読ください。
介護療養型医療施設は廃止されたの?
介護療養型医療施設は、これまでに廃止の話が何度かあり、2024年3月末に完全に廃止されました。介護療養型医療施設の役割は、「介護医療院」が引き継いでいます。
介護療養型医療施設の移行先については、「介護療養型医療施設の廃止後はどうなる?」で解説しているので、興味がある方はチェックしてみてください。
まとめ
介護療養型医療施設は、療養病床で長期的なケアを受けられる施設です。療養における管理や看護・介護の提供、機能訓練の実施などを行います。要介護1以上の認定を受けている方が利用対象です。
介護療養型医療施設は、2024年3月末に廃止されました。廃止された理由としては、「医療型療養病床との差別化が不十分だったこと」などが挙げられます。介護療養型医療施設の廃止後は、7割以上が「介護医療院」へ移行しました。
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「レバウェル介護」編集部
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