廃止される介護療養型と医療療養型の違いは?新設の介護医療院の特徴も解説

介護の知識 2021年10月29日
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介護療養型医療施設と医療療養型病院の違いが良くわからない…とお困りの介護士さんも多いはず。介護療養型医療施設と医療療養型病院の違いは、適用される保険の種類や人員配置基準などです。なお、介護療養型医療施設は2024年3月に完全廃止が決定されているため、注意しなければなりません。本記事では、介護療養型医療施設と医療療養型病院の特徴や、新たに新設された「介護医療院」についてご紹介。ぜひご参照ください。

目次

介護療養型と医療療養型の違い

療養型の施設(療養病床)には、「介護療養型医療施設(介護療養病床)」と「医療療養型病院(医療療養病床)」があります。以下で、それぞれの特徴をまとめました。

介護療養型医療施設医療療養型病院
適用される保険の種類介護保険医療保険
医師の配置基準3名以上(利用者さん48名につき1名)3名以上(利用者さん48名につき1名)
看護師の配置基準利用者さん6名に対して1名以上利用者さん4名に対して1名以上
看護補助者の配置基準なし利用者さん4名に対して1名以上
介護職員の配置基準利用者さん6名に対して1名以上なし
利用の対象となる人要介護度1以上、かつ医療処置が必要な人医療区分2・3、かつ慢性期の病状である人

引用元:厚生労働省「医療療養病床(20対1・25対1)と介護療養病床との比較

介護療養型医療施設とは?

介護療養型医療施設とは、病状が安定期に入ているものの医療処置が必要な要介護度1以上の人に対して、医療ケアや介護サポートを行う長期療養型の介護施設です。介護療養型医療施設で適用される保険は「介護保険」。そのため、療養病床のなかでも介護サービスが充実しているのが特徴です。

介護療養型医療施設の人員配置

介護療養型医療施設の人員配置は、医師が3名以上(48:1)、看護師と介護職員はそれぞれ利用者さん1名につき6名です。なお、医療ケアが充実している介護老人保健施設(老健)での人員配置は医師1名、看護師と介護職員合わせて3名につき1名(※そのうち看護師を2/7程度を標準)とされています。比較すると、介護療養型医療施設のほうが医師の配置人数が多く、医療ケアの手厚さがうかがえます。

厚生労働省「介護療養病床・介護医療院のこれまでの経緯」(2021年10月21日)

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介護療養型医療施設の利用対象者

先述のとおり、介護療養型医療施設の利用対象となるのは、要介護度1以上のご高齢者です。とはいえ、要介護度が低いということではありません。厚生労働省の資料(p5)によると、介護療養型医療施設の利用者さんの介護度は、要介護度5が53.6%、要介護度4が31.8%となっており、比較的高めといえます。

医療療養型病院とは?

医療療養型病院とは、慢性期の患者さんで医療区分が2~3の方の人に対して、医療ケアやリハビリといったサポートを行う長期療養型の医療機関です。医療療養型病院で適用される保険は「医療保険」。介護保険が適用される介護療養型医療施設と比べて、医療ケアが手厚いのが特徴です。

医療療養型病院の人員配置

医療療養型病院の人員配置は、医師3名以上(48:1)、看護師と看護補助者がそれぞれ利用者さん4名につき1名必要です。前述のとおり、介護療養型医療施設における人員配置では介護職員の基準がありましたが、医療療養型病院では特にありません。

なお、一般病棟の人員配置は、医師3名以上(16:1)、看護師は患者さん3名につき1名です。一般病棟に比べると看護師(看護補助者)の配置は少ないものの、介護療養型医療施設よりも医療ケアが充実していることが分かります。

医療療養型病院の利用対象者

医療療養型病院の利用対象となるのは、医療区分が2~3に該当する慢性期の患者さんです。厚生労働省の同資料(p5)によると、医療療養型病院の患者さんの介護度は要介護度5が27.4%、要介護度4が14.5%となっており、介護療養型医療施設と比べて低めであることが分かります。

介護療養型医療施設は廃止されるって本当?

介護療養型医療施設は、2024年3月末に廃止されることが決定しています。ここでは、介護療養型医療施設が廃止されることになった経緯をまとめました。

医療療養型病院との大きな差が見られなかった

介護療養型医療施設が廃止される原因の一つは、厚生労働省が実施した実態調査(2006年)の結果、介護療養型医療施設と医療療養型病院を利用する患者さんの状況に大きな差が見られなかったことです。先述のとおり、介護療養型医療施設と医療療養型病院では、利用できる保険や看護師・介護職員の配置基準などが細かく定められています。しかし、蓋を開けてみると、利用者さんの医療依存度の高さは同程度となり、明確な棲み分けができていない実態がありました。

介護療養型医療施設を廃止し療養病床の棲み分けを促進

2006年の医療保険制度改革、診療報酬・介護報酬同時改定により、介護療養型医療施設の廃止が決定。主に医療を必要とする方は医療療養型病院へ、主に介護を必要とする方は介護老人保健施設(老健)や介護老人福祉施設(特養)へと棲み分けを行いました。2008年には、夜間対応のできる介護療養型老人保健施設を創設。それでも、介護療養型医療施設の転換は思うように進まず、経過措置として移行期間は2017年まで延長されました。

なお、2018年に「介護医療院」が新設されたことにともない、介護療養型医療施設の経過措置の期限は2024年3月まで延長。その時点で介護療養型医療施設は完全廃止となる見込みです。

介護療養型医療施設から「介護医療院」へ

2018年に創設された「介護医療院」という新しい施設。「まだまだ理解が追いつかない」という介護職の方も多いはず。ここでは、介護医療院の特徴をご紹介するので、介護業界に興味のある方や介護職に従事する方は、しっかり確認しておきましょう。

介護医療院とは?

厚生労働省の資料によると、介護医療院とは「要介護者であって、主として長期にわたり療養が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設(原文ママ)」です。つまり、医療ケアや介護サポートを行う長期療養施設としてだけでなく、日常生活を送る生活施設としての役割を担っているのが介護医療院といえます

介護医療院の特徴

介護医療院で適用される保険は、介護療養型医療施設と同じ「介護保険」です。医療療養型病院で適用されるのは「医療保険」なので、この点が大きな違いといえるでしょう。

介護医療院は、大きく介護医療院Iと介護医療院IIに分けられます。介護医療院Iでは重篤な身体疾患を抱える利用者さん、介護医療院IIでは比較的容態が安定している利用者さんが対象です。そのため、介護医療院Iのほうが医療ケアや人員配置が手厚く、その分介護サポート費用が高めに設定されています。

なお、介護医療院では医師や看護師が常駐しているため看取りやターミナルケアも可能です。医療と介護の幅広いサポートができるため、今後の課題であった「慢性期の医療・介護ニーズ」に応える施設になることを期待されています。

まとめ

介護療養型医療施設と医療療養型病院の違いは、適用される保険や看護師・介護職員の配置基準、利用対象者の状態などです。介護療養型医療施設は、2024年3月末に廃止されることが決まり、その受け皿として老健や特養、新設された「介護医療院」などがあります。これから、専門的な介護スキルを身につけるため、医療依存度の高い方に向けた介護サポートの経験を積みたい介護士さんは、療養病床のある老健、特養、介護医療院へ転職してみるのもおすすめです

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