老人ホームで働くには資格が必要?取得のメリットや施設の種類も解説

介護の仕事 2025年3月7日
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この記事のまとめ

「老人ホームで働くにはどんな資格が必要なの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。老人ホームで働くのに資格は必須ではありません。しかし、資格を取得すれば、仕事の幅が広がったり就職・転職に有利になったりするメリットがあります。この記事では、老人ホームで働く際に役立つ資格や、介護施設の種類・仕事内容を解説。「介護業界に興味がある」という方はぜひご覧ください。

有料老人ホームとは分かりやすく言うとどんな施設?種類や入居条件を解説!

目次

老人ホームで働くには資格が必要?

老人ホームで働くのに、資格は必須ではありません。ただし、介護業務を担当する場合、入職から1年以内に「認知症介護基礎研修」以上の資格を取得することが必要です。

資格なしでも介護職員として働き始められますが、有資格者と比較すると業務内容が限定され、結果的にキャリアアップの道が狭まってしまう可能性があります。なかには、従業員に介護技術や知識を身につけたうえで現場で勤務してもらうために、研修の受講が必須の施設・事業所もあるようです。

無資格で働く介護職員の主な仕事内容は、掃除やリネン交換など。無資格者が身体介護を行う場合は、有資格者の監督が必須です。そのため、基本的に一人で利用者さん宅に赴き介護サービスを提供する訪問介護の場では、介護職員初任者研修などの資格が求められます。

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老人ホームで働く際に役立つ資格の種類

老人ホームで働くのに資格は必須ではありませんが、以下のような資格があると仕事に活かせます。

資格名取得費用受験資格
介護職員初任者研修約5~10万円なし
介護福祉士実務者研修約5~20万円なし
介護福祉士保有資格やルートによって異なる4つのルートのいずれかの要件を満たす必要がある
社会福祉士学歴やルートによって異なる3つのルートのいずれかの要件を満たす必要がある
ケアマネジャー(介護支援専門員)受験料:1万3,000円前後(都道府県によって異なる)
介護支援専門員実務研修:4万~7万円(保有資格や研修実施機関によって異なる)
指定された国家資格等に基づく実務経験または相談援助業務の実務経験が、5年かつ900日以上あること

ここでは、それぞれの資格の概要を解説します。

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、介護の基本的な知識やスキルを身につけられる公的資格です。未経験・無資格から取得を目指せるため、介護職に就くにあたって最初に取得する資格としておすすめ。取得することで、身体介護を1人でも行えるようになるほか、現場に入ったときに業務内容をスムーズに理解できるようになるでしょう。

研修は130時間で、取得するには修了後の試験に合格する必要があります。詳しくは、「介護職員初任者研修とはどんな資格?受講費用を抑える方法や取得のメリット」で解説しているので、あわせてチェックしてみてください。

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介護福祉士実務者研修

介護福祉士実務者研修では、介護職員初任者研修よりも専門的な介護知識や技術を学べます。受講要件はなく、初任者研修の保有は必須ではありません。介護福祉士実務者研修を取得して実地研修を受ければ、喀痰吸引などの医療的ケアを実施できるようになり、できる仕事の範囲が広がります。

また、国家資格の「介護福祉士」を実務経験ルートで受験するには、この介護福祉士実務者研修の修了が必須です。そのため、介護業界で働きながらキャリアアップするにあたり、取得しておきたい資格の一つといえるでしょう。

介護福祉士実務者研修については、「介護福祉士実務者研修とは?資格取得のメリットや初任者研修との違いを解説」でも詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。

介護福祉士

介護福祉士は、介護に関する資格のなかで唯一の国家資格です。取得するには、図の4つのルートのいずれかの条件を満たす必要があります。

介護福祉士に関する画像

社会人として働きながら介護福祉士を取得する場合、「実務経験ルート」を選択する方が多いようです。実務経験ルートでは、先述の介護福祉士実務者研修の取得と、3年以上かつ従事日数540日以上の実務経験が求められます。

詳しくは、「介護福祉士とはわかりやすくいうとどんな資格?取得方法や試験概要を解説!」で解説しているので、あわせてチェックしてみてください。

社会福祉士

社会福祉士とは福祉の相談援助に活かせる国家資格です。取得するには、大学などで指定科目を履修したうえで社会福祉士国家試験を受験し、合格する必要があります。以下が資格取得のルートです。

社会福祉士に関する画像

引用:厚生労働省「社会福祉士の資格取得方法

福祉系以外の大学を卒業した方が社会福祉士の資格を取得する場合は、「一般養成施設ルート」を選択することになります。各ルートの詳細は、「社会人が社会福祉士になるには?一般養成施設の選び方も解説」で解説しているので、興味のある方はぜひご覧ください。

ケアマネジャー(介護支援専門員)

ケアマネジャーは、都道府県が発行する公的資格で、介護業界におけるキャリアパスの到達点の一つともいえます。資格取得には、指定された国家資格等に基づく実務経験もしくは、相談援助の実務経験が求められます。詳しくは、「ケアマネジャーは国家資格なの?受験資格や介護支援専門員の将来性を解説!」で解説しているので、気になる方はチェックしてみてください。

ケアマネジャーの主な仕事内容は、利用者さんが適切なサービスを受けられるようケアプランを作成することです。

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介護系の施設・事業所の種類と仕事内容

介護施設と一口にいっても、特養や老健など種類はさまざまです。ここでは、それぞれの介護系の施設・事業所の特徴と仕事内容を紹介します。

特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホームは、社会福祉法人や自治体が運営する入居型の介護施設で、終身利用が可能です。原則として要介護度3以上の利用者さんが対象で、食事や入浴、排泄介助などの身体介護や生活支援を行います。従来型は4人1部屋で、ユニット型は全室個室です。

詳しくは、「特養で働くメリットとは?活躍する職種や平均給与額についても解説」で紹介しているので、ぜひご覧ください。

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介護老人保健施設(老健)

介護老人保健施設は、病気や怪我で入院し、介護や医療を必要とする利用者さんが在宅復帰できるよう、身体機能の回復・向上を目指す介護施設です。医療職や福祉職などさまざまな職員が在籍しており、連携しながら介護サービスや医療的ケア、リハビリを提供します。

介護老人保健施設は在宅復帰を目的としているため、基本的に終身利用はできず、入所期間は3~6ヶ月程度ほどです。詳しくは、「老健の仕事内容を解説!介護職員の1日の流れや働くメリット・デメリット」で解説しているので、こちらもチェックしてみてください。

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有料老人ホーム

有料老人ホームは、民間企業が運営する施設です。そのため、運営している企業によってサービスや設備は異なります。施設には介護職員が在籍しているので、利用者さんの体調不良や緊急時にも対応が可能です。

有料老人ホームでは、利用者さんの生活の質を高めるために、身体介護や生活支援、レクリエーションなどを行います。詳しくは「有料老人ホームで働くメリットとは?介護職の仕事内容も解説!」でも紹介しているので、あわせてご覧ください。

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サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅とは、主に自立した高齢者が住むバリアフリーの賃貸住宅です。基本的に身体介護は行っていませんが、運営方針によっては介護サービスを提供する事業所もあります。また、住民同士の交流イベントや、地域との連携を行うこともあるようです。

生活相談サービスや安否確認、緊急対応などを行うため、コミュニケーション能力や問題解決のスキルが求められます。「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは?有料老人ホームとの違いを解説」の記事で解説しているので、こちらもチェックしてみてください。

グループホーム

グループホームは、主に要支援2以上の認定と認知症の診断を受けた利用者さんが共同生活をする施設です。ユニット制と呼ばれる生活の単位があり、1ユニットの人数は5~9人ほど。認知症ケアに関する知識や技術が求められるのが特徴です。

グループホームでは、身体介護や生活支援、健康管理、見守りなどを行います。詳しくは「グループホームの仕事内容とは?役立つ介護の資格や給料事情を解説」で解説しているので、あわせてチェックしてみてください。

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デイサービス

デイサービスは、利用者さんが自宅から日帰りで通う介護施設です。「通所介護」とも呼ばれます。特養や老健と比較して、利用者さんの自立度が高い傾向があるのが特徴です。

利用者さんの心身機能の活性化や社会参加を目的とした施設で、日常生活の支援やレクリエーション、送迎などを行います。基本的に夜勤がなく、日曜日や年末年始が休みの施設もあるため、仕事とプライベートと両立させやすいのが働くメリットです。

デイサービスの仕事内容は、「デイサービスの仕事内容は?介護職の役割と1日の流れを解説」で解説しているので、あわせてご覧ください。

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ショートステイ

ショートステイとは、在宅生活を送っている方が一時的に入所する施設です。利用者さんの状態に応じて、身体介護や生活援助などの介護サービスを提供します。ご家族の休暇や入院などで介護が難しい期間にだけ入所する施設のため、利用者さんの入れ替わりが多いのが特徴です。

ショートステイについては、「ショートステイとは?介護職員の仕事内容や1日のスケジュールなどを解説!」でも紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

訪問介護事業所

訪問介護では、利用者さんの自宅を訪問し、身体介護や生活援助を行います。仕事内容は、食事の準備や掃除、洗濯、買い物代行などさまざまです。利用者さんが自宅での生活を継続できるよう支援をするためには、対応力やコミュニケーションスキルが求められます。

また、ホームヘルパーは基本的に1人で訪問介護を行うため、身体介護ができる資格を必須とする求人が多いようです。「訪問介護で働く職種の違いを解説!仕事内容や必要な資格、お給料を比較」では、訪問介護事業所で働く職種とそれぞれの仕事内容を紹介しているので、気になる方はあわせてご覧ください。

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【施設形態別】老人ホームの平均給与

厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.122)」をもとに、施設形態別の老人ホーム(介護事業所)の平均給与を表にまとめました。

施設形態平均給与額(月給制・常勤)
介護施設全体31万7,540円
介護老人福祉施設(特養)34万8,040円
介護老人保健施設33万9,040円
訪問介護事業所31万5,170円
認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)29万1,080円
通所介護事業所(デイサービス)27万5,620円

参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.122)

介護老人福祉施設(特養)の平均給与は、全体平均と比較して3万円以上高いことが分かります。要介護3以上の方向けかつ夜勤があるため、より専門的な知識や技術が求められることが、給与差の理由と考えられるでしょう。

給与は、地域や働き方、資格の有無、経営先などのさまざまな要因で変化します。上記の平均給与はあくまで参考程度にして、実際の金額は求人などで確認することが大切です。

老人ホームで働く際に資格を取得するメリット

老人ホームで働く際に資格を取得することで、仕事の幅が広がったり、資格手当や昇給で給料が上がる可能性があったりするメリットがあります。

知識や技術の証明になる

資格を取得していると、一定の経験やスキル・知識があることの証明になる点がメリットの一つです。専門的な資格があると、転職・就職後の活躍が期待され、採用に有利になる可能性があります。

また、介護福祉士実務者研修から介護福祉士、さらに上位資格であるケアマネジャーというように、上位の資格を取得してキャリアアップにつなげることも可能です。

仕事の幅が広がる

介護職員初任者研修以上の資格を取得すれば、利用者さんの身体に直接触れて行う食事介助や入浴介助などの「身体介護」ができるようになります。一人で利用者さん宅で介護を行う訪問介護に従事するには資格が必須なので、無資格だと就職が難しいでしょう。介護職員初任者研修以上の資格があることで、要件のある求人に応募でき、活躍の場が広がります。

資格手当や昇給で給料が上がる可能性がある

厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.157)」によると、無資格の介護職員の平均給与額は26万8,680円でした。介護職員初任者研修の資格を保有している方は30万240円、介護福祉士実務者研修は30万2,430円と、無資格者と比べると3万円以上平均給与が高いことが分かります。

ただし、上記はあくまで平均の金額です。資格手当が付くかどうかなどは施設・事業所によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

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資格取得から老人ホームへ就職・転職するまでの流れ

資格を取得して老人ホームへ就職・転職するなら、まずは入門的な資格である「介護職員初任者研修」を受講するのがおすすめです。受講要件がないため、未経験から取得を目指せます。
資格スクールに通って必要な科目を学び、修了試験に合格することで資格を取得可能です。学習方法には、通学と通信があります。通信講座を活用する場合も、一定時間の通学が必要です。

レバウェルスクール介護(初任者)には、現役の医療福祉職員が講師として在籍しているため、現場で役立つ知識を身につけられます。仕事探しのサポートを受けれ就職・転職することもできるため、資格取得に専念しやすいのもメリットの一つです。

また、「老人ホームに就職するには?無資格で働くポイントや介護施設の種類を解説」では老人ホームに就職するときのポイントなどを解説しているので、あわせてチェックしてみてください。

老人ホームで働く際の資格に関するよくある質問

ここでは、老人ホームで働く際の資格に関するよくある質問にお答えします。「老人ホームで働くために資格取得を検討している」という方は、ぜひ参考にしてください。

無資格で介護職として働けなくなるって本当ですか?

無資格では介護職として働けなくなるのは事実です。2024年4月以降、無資格の介護職員には「認知症介護基礎研修」の受講が義務化されました。入職から1年間は猶予期間として無資格で介護職として働けますが、1年以内に認知症介護基礎研修を修了しなければなりません。詳しくは、「介護職は無資格で働けなくなるの?認知症介護基礎研修の義務化について解説」で解説しているので、チェックしてみてください。

老人ホームで働く際に役立つ資格はなんですか?

老人ホームで働く際は「介護職員初任者研修」や「介護福祉士実務者研修」「介護福祉士」「社会福祉士」「ケアマネジャー(介護支援専門員)」などの資格が役立ちます。介護職員初任者研修は、資格の取得に必要な条件がなく、未経験・無資格から比較的短い期間で取得可能です。そのため、まずは介護職員初任者研修の取得から始めるのがおすすめです。詳しくは、この記事の「老人ホームで働く際に役立つ資格の種類」で解説しているので、あわせてご覧ください。

まとめ

老人ホームで働くのに、資格は必須ではありません。しかし、介護職員は、入職から1年以内に「認知症介護基礎研修」以上の資格を取得することが必要です。資格を取得することで、知識やスキルが身につき、転職・就職に役立ちます。有資格者しかできない業務もあるため、仕事の幅が広がったり、給料が上がる可能性があったりするメリットもあります。

老人ホームで働く際におすすめの資格は、「介護職員初任者研修」や「介護福祉士実務者研修」「介護福祉士」などです。介護職員初任者研修には受講要件がなく、未経験・無資格から取得しやすい介護の入門的な資格。そのため、まずは介護職員初任者研修の取得を目指してみるのも良いでしょう。

老人ホームに就職・転職したい方や、資格取得を目指している方は、「レバウェル介護(旧 きらケア)」へご相談ください。レバウェル介護(旧 きらケア)は介護業界に特化した就職・転職エージェントです。専任のキャリアアドバイザーが希望条件をヒアリングし、一人ひとりのご希望やキャリアプランに合った求人をご紹介いたします。資格取得支援制度のある職場も紹介可能なので、まずは気軽にご相談ください。

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執筆者

  • 「レバウェル介護」編集部

    お役立ち情報制作チーム

介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点

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※この記事の掲載情報は2025年3月7日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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