
この記事のまとめ
- 30代が介護職への転職で有利になりやすい理由は、若手だと評価されるから
- 30代が介護職に転職するメリットは、正社員採用される可能性があること
- 30代で介護職に転職する際の注意点は、収入が下がる可能性があること
「30代・未経験で介護職に転職できるの?」と気になる方もいるのではないでしょうか。介護業界は未経験・無資格から働きやすく、30代は若手として活躍することが可能です。この記事では、30代の介護職への転職について、有利な理由やメリット、注意点を解説します。求人探しのコツや、転職を成功させる方法も紹介しているので、30代を機に介護業界への転職を考えている方は参考にしてみてください。
目次
30代は介護業界に転職できる?
30代は、介護業界に転職することは可能です。介護業界で30代は若手と見なされるケースが多く、伸びしろを期待されるため、転職の際は年齢が有利に働く可能性があるでしょう。
出典
厚生労働省「介護職員数の推移の更新(令和5年分)について」(2025年4月1日)
登録は1分で終わります
30代は介護業界の転職で有利に働く可能性がある
ここでは、30代が介護業界の転職で有利になりやすい理由を解説します。「30代が有利になるのはどうしてだろう?」と気になる方は、以下をチェックしてみましょう。
30代は介護業界で若手として評価されるから
介護業界において、30代は若手として扱われる傾向にあります。介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書(p.13)」によると、介護業界全体に占める30代職員の割合は17.0%です。40代が28.0%、50代が26.8%、60代以上が18.4%なので、介護業界は比較的年齢の高い方が多く働いている業界といえます。若手職員の獲得に苦戦している事業所も多いため、30代という年齢が転職で不利に働く可能性は低いでしょう。
出典
介護労働安定センター「介護労働実態調査」(2025年4月1日)
活躍できる期間が長く将来性があるから
30代の場合、入職すると定年まで20年以上あり、現場で活躍できる期間が長いため、転職で有利に働きやすくなります。前述したように、介護職員は40代以上の割合が高く、30代は業界内でも若手の位置づけです。積極的に教育に投資できる年代なので、40代や50代よりも採用されやすい傾向があります。
新しい仕事や考え方を吸収できる年齢だから
20代や30代は新しい仕事を覚えたり、新しい価値観を受け入れやすい年代といえます。社会人歴が長い場合、自分の仕事観がある程度形成される傾向にあることから、ある程度年齢を重ねた人に対して、「素直に教えを受け入れられるだろうか」と心配する採用担当者もいるようです。
もちろん、年齢を重ねても仕事を覚えるのが早い人や、新しい考え方を受け入れられる人もいるため、一概に年齢で判断できることではありません。しかし、20代や30代は柔軟性や吸収力が高いと考える人も少なくないため、採用を前向きに検討してもらえる可能性があるでしょう。
無資格・未経験でも挑戦しやすいから
介護職の仕事は無資格でもできる業務があるため、資格がない30代の方も転職可能です。利用者さんを安全に介助するには一定の介護スキル・知識が必要ですが、掃除や食事の配膳、利用者さんとのコミュニケーションは、未経験の方も対応可能な業務です。家事スキルが身についている方やコミュニケーション能力に優れている方は、年齢や資格、経験を問わず活躍できるでしょう。
ただし、無資格で転職した場合は、1年以内に認知症介護基礎研修を修了する必要があります。1日で取得できる資格なので、介護職が未経験の場合も問題なく取得できるでしょう。認知症介護基礎研修について詳しく知りたい方は、「介護職は無資格で働けなくなるの?認知症介護基礎研修の義務化について解説」の記事をご覧ください。
なお、未経験から始める場合、3ヶ月ほど教育を受けたうえで独り立ちするのが一般的です。
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介護資格なしでできること・できないこと|未経験者はどんなお仕事をする?
30代も転職しやすい介護業界の状況
30代が介護業界の転職において有利になりやすいのは、介護業界の状況も影響しています。「介護職への転職を考えているから、介護業界の事情が気になる…」という方は、以下もご一読ください。
高齢者の増加により介護職の需要が高い
前述のとおり介護職は需要が高いため、有効求人倍率も高いのが特徴です。職業情報提供サイト(job tag)の「施設介護員」と「訪問介護員/ホームヘルパー」によると、2023年度の有効求人倍率は施設介護員の場合が3.01倍、訪問介護員の場合が30.96倍でした。2024年度の一般職の平均有効求人倍率が1.25倍であることを踏まえると、介護業界の有効求人倍率は際立って高いといえるでしょう。
2025年には団塊の世代が後期高齢者になり、介護ニーズはますます高まっています。一方で、介護職員数は追いついていないのが現状です。業界外からの転職を歓迎されることも多く、30代という年齢を理由に選考が不利になることは少ないでしょう。
出典
職業情報提供サイト(job tag)「施設介護員」(2025年4月1日)
職業情報提供サイト(job tag)「訪問介護員/ホームヘルパー」(2025年4月1日)
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和6年12月分及び令和6年分)について」(2025年4月1日)
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職歴がなくても就職できる可能性がある
介護職は職歴のない30代も転職を目指せる仕事です。介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書(p.23)」の調査では、介護職についた人のうち「前職なし」という方が16.2%います。2割近い方が職歴なしの状態から働き始めていることからも、介護職は職歴なしから挑戦しやすい職種といえるでしょう。
実際、専業主婦(主夫)やフリーターから介護職になった方もいます。介護業界に転職する場合は、採用時にスキルよりも人柄や協調性が重視される傾向にあるので、職歴や学歴、特筆したスキルなどがなくても挑戦しやすいでしょう。「30代で人生やり直したい!」と考えている方も、就職の選択肢に介護職を入れてみてはいかがでしょうか。
出典
公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査」(2025年4月1日)
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何歳からでもスキルアップ・キャリアアップできる
介護業界は、30代という年齢に関係なく何歳からでも自分の努力次第でスキルやキャリアを磨ける業界です。以下のように、介護職のキャリアパスの仕組みが整えられているため、資格を取得することでキャリアアップを目指せます。

介護職は、介護の基礎知識・スキルを介護職員初任者研修で身につけ、介護福祉士実務者研修、介護福祉士へとレベルアップしていくのが一般的です。介護福祉士を取得した後も、介護保険を利用して介護サービスを受けるために必要なケアプランを作成できるケアマネジャーや、介護福祉士の上位資格である認定介護福祉士を目指せます。
介護業界は、初歩的な資格から難易度の高い資格へと順番に取得して、介護の専門性を深めていくことが可能です。資格の詳細については「30代が介護職へ転職する際に有利になる資格」で後述しているので、ぜひチェックしてみてください。
また、複数の介護施設を運営している法人の場合、能力や適性があれば若手から施設長や管理者のポジションを任されることも。無資格・未経験から始めた方にも昇進のチャンスがあるでしょう。
介護施設のなかには、若手に採用対象を絞っているところもあります。介護業界に興味があるのなら、選択肢が多く受かりやすい30代のうちに挑戦すると良いでしょう。
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30代から介護職へ転職する8つのメリット
介護職への転職には、「定年まで安定して働ける」「手に職を付けられる」などのメリットが豊富にあります。以下で、30代の方が介護職に転職するメリットを8つ紹介しているので、ぜひご覧ください。
1.30代は正社員の介護職として採用されやすい
30代の方は、正社員として介護職に採用されるチャンスが多い傾向にあります。介護労働安定センターの「令和元年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書(p.17)」によると、介護職の正規職員の割合は61.9%、非正規職員が35.8%でした。介護職のニーズの高さから、介護業界は人材確保に前向きです。正社員の介護求人も豊富なので、「30代から介護職で正社員として働きたい」という方も希望の雇用形態で働ける可能性があります。
出典
公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査」(2025年4月1日)
2.30代で転職すると定年まで安定して働ける
この記事の「高齢者の増加により介護職の需要が高い」で述べたように、超高齢社会により日本の介護職の需要は今後も高まると予想されているため、定年まで安定して働けるでしょう。また、介護業界は社会情勢にかかわらずニーズがあるのが特徴。急に介護職の仕事がなくなるリスクは低いため、長く腰を据えて働きたいという方におすすめの仕事です。
3.介護資格の取得で手に職をつけられる
介護業界は、資格を取得することでスキルを証明することができ、手に職をつけられる点がメリットといえます。介護知識やスキルは全国どこでも通用するので、資格を持っていれば転職先の選択肢が増えるでしょう。また、ライフプランに応じて柔軟に働き方を変えることも可能です。
Leverages Medical Careの「きらケア介護白書2022(p.8)」によると、30代職員が介護職として働こうと思った一番の理由は「手に職をつけたかったから」という回答でした。
介護職は、「30代から何か一つスキルを身につけて安定的に働けるようになりたい」という方におすすめです。介護資格の取得をサポートしている施設は数多くあり、職員の資格取得費用を負担してくれる施設もあります。職場の資格取得支援制度を利用することでお得に手に職をつけられるでしょう。
出典
Leverages Medical Care「介護士のキャリアや外国人雇用などに関するレポート「きらケア介護白書2022」を公開しました」(2025年4月1日)
4.前職の経験や家事スキルを活かせる
介護職は、前職で培ったマネジメント能力やコミュニケーション能力、チームワークを活かせる仕事です。たとえば、相手のことを考えてコミュニケーションを取ったり、ほかの職員と協力しながら業務を進めたりした経験は介護職でも活かせます。これまで働いたことがなかった方も、家事のスキルがあれば、生活援助として掃除や洗濯などをお手伝いする場面で活かせます。
5.ライフスタイルに合わせた働き方ができる
介護職は、勤務形態や施設形態によってライフスタイルに合わせた働き方が可能です。介護職には、正社員としての勤務はもちろん、週3回程度のパート勤務、あるいは夜勤専従としての勤務など、勤務形態には多様なバリエーションがあります。
日勤のみを希望する場合、デイサービスなどの夜勤のない施設に就職するのも選択肢の一つです。また、訪問介護では、自分のスケジュールに合わせて働くこともできるでしょう。「夕方以降は家族と過ごすから、日勤のみで働きたい」「普段は別の仕事をしているから、週末だけ働きたい」など、ライフスタイルに合わせた自由度の高い働き方を選べるのは介護職のメリットといえます。
6.介護職は全国どこでも活躍できる
介護施設は全国に数多くあり、引っ越しを伴う転職をした際も、新しい職場を見つけやすいでしょう。介護を必要としている方は全国にいるため、地域に関わらず介護職の需要が見込めます。もし、家族の仕事の都合で引っ越しが必要になっても、転職先が見つけやすいので、安心して仕事探しができるでしょう。
7.介護職の待遇は改善が続いている
介護職の待遇は改善し続けているため、将来的な賃上げも期待できます。厚生労働省の「令和5年度補正予算案の主要施策集(p.3)」によると、2024年2~5月には、対象介護事業所の介護職員1人当たり月額平均6,000円の賃金引き上げに相当する額を加算。介護職員処遇改善支援事業として、介護職員等ベースアップ等支援加算に上乗せして支給されました。
また、2024年の介護報酬の改定では処遇改善加算の一本化や処遇改善加算の加算率の引き上げを行うなど、介護職の処遇改善を目的とした取り組みが国レベルで行われました。
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.161)」によると、2023年と2024年の介護職員全体の平均給与額を比較したところ1万3,960円増加していることが分かります。このような背景から、介護職の待遇は少しずつ改善しているといえるでしょう。
介護職の処遇改善について気になる方は、「【2025年最新】介護職員の給料は上がる?処遇改善の取り組みを解説」の記事もあわせてチェックしてみてください。
出典
厚生労働省「令和5年度厚生労働省補正予算案の概要」(2025年4月1日)
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年4月1日)
8.仕事の経験を家族の介護に活かせる
介護職の仕事で身につけた知識やスキル、経験は、家族の介護に活かすことができます。介護職は、仕事を通して介護サービスの種類や利用方法を把握できるので、家族に急な介護の必要性が生じても、慌てずに対処することができるでしょう。また、家族に介護を行うことになっても、安心・安全に配慮して適切なサポートを行うことが可能です。
30代から介護職へ転職する際の注意点
ここでは、介護職への転職に失敗しないように、30代の方が転職前に知っておいてほしい注意点を紹介します。採用担当者は「介護の仕事の大変な面を理解したうえで応募しているか」を見る傾向にあるので、事前に注意すべきポイントを理解しておきましょう。
転職前より収入が下がる人もいる
30代の方がほかの業界から転職する場合、人によっては前職よりも給与が下がる可能性があります。厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.146)」によると、1年目の常勤介護職の平均給与は29万8,760円。年収を平均給与の12ヶ月として計算すると、358万5,120円でした。
現在の仕事でキャリアを積んでいる場合、介護職に転職することで収入が減る可能性があります。転職前に現在の給与と比較し、結婚や子育て、老後など、将来に向けて必要となる資金を蓄えられるのか考えておく必要があるでしょう。
ただし、介護職は資格を取得したり、経験年数を積んだりすることで収入を増やせるため、長い目で見ると十分な給与をもらえる可能性はあります。介護職員の給与については「介護職の給料はいくら?平均給与額や年収アップ方法、処遇改善の状況を解説」の記事で解説しているので、将来的にどれくらい稼げるのか確認したい方はこちらもあわせてご覧ください。
出典
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年4月1日)
年下の上司と仕事をする可能性がある
30代で未経験から介護職に転職すると、年下の上司と仕事をする可能性があります。10代、20代から介護分野でキャリアを積んでいる人もいるため、年下の上司から指示を出されたり指導を受けたりすることも。人によっては、「私のほうが年上なのに…」と、やりにくさを感じる場面が出てくるかもしれません。「先輩後輩に年齢は関係ない」「相手は先輩だから」と割り切り、業務に専念する姿勢が大切です。
身体的・精神的な負担は一定ある
介護は身体を使う仕事なので、一定の体力が必要です。利用者さんを支えたり持ち上げたりしながら介護を行うこともあるため、慢性的な腰痛を抱える職員も少なくありません。夜勤がある施設では、シフト制の勤務形態により生活が不規則になり、疲れやすさを感じるケースもあります。
また、介護は対人を基本とする仕事のため、ストレスを感じることもあるでしょう。利用者さんのなかには、心身の不調からいらいらしたり、不安を感じたりする方もいます。そのような利用者さんを気遣うことで精神的に疲れてしまうこともあるかもしれません。
介護技術を身につけたり、業務に慣れたりすることで負担を軽減することはできますが、体力や忍耐力が必要となる場面があることは事前に理解しておきましょう。
緊張感をもって仕事に取り組む必要がある
介護職は利用者さんの命を預かる仕事のため、常に緊張感をもって対応する必要があります。たとえば、利用者さんが転んで怪我をする、食事を喉につまらせる、薬を誤って服用するなどの事故が起こらないように、常に利用者さんの安全に気を配らなければなりません。
安全かつスムーズに介護を行うには職員同士の協力が必要不可欠なので、一人で抱えこまず上手に人を頼ることも大切です。
利用者さんとのコミュニケーションは簡単ではない
介護職は、相手のことを考えて根気強くコミュニケーションを取り、時間をかけて信頼関係を構築する必要があります。利用者さんのなかには、介護職員を信頼していない方や、病気により自分の気持ちをうまく言葉で伝えられない方も。介護は人と接する仕事なので、相手の気持ちや状況を理解し、利用者さん一人ひとりに合わせた対応が必要です。
利用者さんとのコミュニケーションや関わり方に悩む新人職員は多くいます。周りの先輩職員に相談しながら利用者さんとのコミュニケ―ションの取り方を工夫すると良いでしょう。
介護職に向いている人の特徴
介護職に向いている人の特徴を下記にまとめました。「自分に介護職が向いているのかどうか分からない…」と悩んでいる方は、参考にしてみてください。
- 基本的なコミュニケーションスキルがある人
- 利用者さんに丁寧な対応ができる人
- 人の役に立つことにやりがいを感じる人
- 利用者さんの状況に応じて細やかに対応できる人
- チームワークを尊重でき協調性がある人
- 体力に自信がある人
「責任感がある人」「忍耐力がある人」など、介護職に向いている人の特徴はほかにもあるので、上記に当てはまらなくても介護職に適性がある方はいるでしょう。一方で、潔癖な人や効率を重視し過ぎる人は、介護職に向いていないと感じるかもしれません。
「介護の仕事に向いている人の性格10選!職場別の適性や向いてない人の特徴」の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
▼関連記事
介護職に向いている性格とは?現場で必要な能力やおすすめの転職先もご紹介
介護業界で失敗しない求人探しのコツ
介護業界で失敗しない求人探しのコツは、「仕事内容や施設形態の違いを理解すること」「求人を比較すること」「転職エージェントを活用すること」などです。
介護職の仕事内容を把握する
まずは、介護職の仕事内容や働き方を正しく理解し、働くイメージを持つことが大切です。介護職の仕事は、主に高齢者や障がいのある方の生活全般のお世話やサポートを行うこと。食事や排泄、入浴などの身体介護だけでなく、レクリエーションや掃除・洗濯のお手伝いなどの生活援助を行うこともあります。
介護職の仕事内容については「介護職の仕事内容とは?資格は必要?やりがいやメリットもご紹介」の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
介護施設の違いを理解する
介護業界には複数の施設形態があり、施設形態ごとに働き方や特徴、給与相場などが異なります。違いを正しく理解することで、求人を見るときにどのような情報に注目したら良いか分かるようになるでしょう。
たとえば、デイサービスは介護度が低く、スムーズに意思疎通ができる利用者さんが比較的多いため、未経験の介護職員が働きやすい傾向にあります。また、有料老人ホームは、介護度が低い方から高い人までさまざまな方が入居しているため、幅広い介護スキルが身につきやすいといえます。
身につけたい介護スキルや利用者さんとの理想の関わり方を考えて、自分に向いていそうな施設形態を考えると良いでしょう。
施設形態の違いについては「介護施設の種類一覧を紹介!形態別の給与や求人を探すポイントを解説」の記事も参考にしてみてください。
希望条件や転職の軸を書き出す
自分の希望条件や転職するうえで重視する軸を書き出し、優先順位をつけます。仕事に求めるものは人それぞれです。どのような介護を提供したいのか、どのような労働条件を希望するのか、どのような働き方がしたいのかなど、希望条件に優先順位をつけると求人を探しやすくなり、転職後のミスマッチも減らせるでしょう。
複数の求人を比較する
求人に応募する際は、一つの求人を見ただけで応募しないようにしましょう。同じ施設形態の施設でも、仕事内容や教育制度、福利厚生、給与、介護方針は施設によって異なります。希望条件をすべて満たしている求人はなかなか見つけにくいもの。複数の求人を比較して、希望条件のなかでも優先順位が高い条件をできるだけ多く満たしている求人を見つけることが大切です。
気になる施設については、求人情報だけでなく施設のWebサイトなども確認して、介護方針や運営方針、仕事内容、残業の有無、その施設ならではの特徴を調べて比較すると良いでしょう。求人を比較するときに特に確認しておきたいポイントは下記のとおりです。
働き方と生活スタイルが合うか
働き方と生活スタイルが合うかどうかを確認します。たとえば、小さなお子さんがおり、夜勤をするのが難しいという方は、日勤のみの職場に応募すると良いでしょう。子育てのサポート体制が整っている施設もおすすめです。プライベートな時間を大切にしたいという方は、休日数や有給取得率などを確認してみてください。
職場の離職率が高過ぎないか
職場の離職率を確認することも、求人をチェックするうえで欠かせないポイントです。離職率が高いと、職場内の人間関係や給与・待遇面、働きやすさなどに問題があり、職員が定着しない職場である可能性が考えられます。転職しても労働環境が悪かったり、人間関係に問題があったりする職場では、また転職することになるかもしれません。
厚生労働省の「介護事業所・生活関連情報検索」を活用すれば、事業所ごとに従業員の人数や前年度の退職者数を調べられます。離職率を確認しておけば、働き続けられる職場か判断する際に参考になるでしょう。
出典
厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」(2025年4月1日)
資格取得支援制度が整っているか
介護職は資格を取得するメリットが多いので、職場の資格取得支援制度が整っているか確認しておくと良いでしょう。資格取得支援制度がある施設であれば、無資格で働き始めても職場のサポートを受けながら資格を取得しやすくなります。資格取得支援制度の内容によっては、費用を全額や一部負担してくれる施設もあるので、お得に介護の資格取得を目指せるかもしれません。
転職前に職場の見学をする
事前に見学をして職場の雰囲気を確かめておくことも、転職を成功させるための重要なポイントです。職員や利用者さんの表情、施設の環境を確認しておきましょう。笑顔があり、明るい雰囲気の職場は、人員配置に余裕があったり、人間関係が良好であったりする職場の可能性があります。見学中、職員に直接質問ができれば、求人情報だけでは分からないことを知れるかもしれません。
また、実際に職場の見学をすることで、自身が働くイメージを想像しやすくなり、入職後にギャップを感じることも少なくなるでしょう。
正社員以外の求人も見てみる
正社員以外の求人を検討してみるのも求人探しのコツです。介護職は、正社員以外にも派遣社員やパート・アルバイトなどの働き方があります。
派遣社員は定時で退勤しやすく、正社員よりも責任が少ないというメリットがあります。そのうえ雇用期間が決まっているので、「介護職が自分に合っているか分からない」という方が自身の適性を確かめるのに向いている雇用形態といえるでしょう。場合によっては、正社員より給与が高いことがあるかもしれません。
パートやアルバイトは勤務時間やシフトの調整がしやすいので、子育て中の方や家族の介護中で時短勤務を希望する方におすすめです。
正社員の求人を探すだけではなく、自分が求める勤務条件を叶えられる雇用形態を選ぶようにしましょう。
▶派遣の求人一覧はこちら
▶契約社員の求人一覧はこちら
▶パート・アルバイトの求人一覧はこちら
転職エージェントを活用する
介護職へ転職する際に転職エージェントを活用するのも良いでしょう。介護業界に特化したエージェントなら、介護求人に詳しいアドバイザーからアドバイスを受けられます。介護業界や求人の情報を詳しく教えてもらえるので、初めて介護業界に転職する方や、どの介護施設が自分に合っているのか分からないという方は積極的に利用してみましょう。
「30代で介護職に転職できるか不安…」という方も、「年齢不問」や「未経験可」の求人を紹介してもらえます。就職・転職活動への悩みや疑問にもアドバイザーが対応してくれるので、1人で求職活動を進めるのが不安という方にもおすすめです。
登録は1分で終わります
30代未経験から介護職への転職を成功させる方法
ここでは、30代・未経験の方が介護職への転職を成功させるポイントを解説しています。「介護職の選考対策ってどうすれば良いの?」と悩んでいる方は、ぜひチェックしてみてください。
応募先の事業所のことを事前に調べておく
応募する事業所の経営母体や介護方針、経営方針などは、事前に公式Webサイトなどで調べてから選考準備に取りかかることが重要です。できれば実際に現場へ足を運んで見学しておくと、より詳細な情報が分かります。事業所への理解を深めることで、応募先で働きたいという意欲をよりアピールできるでしょう。
転職を成功させるコツは「介護職が後悔した転職失敗理由を紹介!成功させるコツと求人の選び方を解説」の記事で詳しく解説しているので、あわせてご一読ください。
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志望動機を明確にする
志望動機では、なぜ介護業界での転職を目指しているのか、なぜその施設を志望しているのかをしっかりと信念を持ってアピールしましょう。志望動機があいまいでは、採用担当者に魅力的な人材だという印象を持ってもらえません。ありきたりな理由では、「ほかの施設でも良いのでは?」と思われてしまうことも。その施設ならではの理由から志望動機をアピールしましょう。
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未経験から介護職に!志望動機の書き方とは?【例文つき】
面接の練習をする
面接対策として、受け答えの練習をしておくと良いでしょう。応募先によって質問内容に違いはあるものの、自己紹介や志望動機などは多くの職場で尋ねられる傾向にあります。よくある質問に対する回答をあらかじめ準備しておき、実際に声に出して答える練習を繰り返すことで、面接本番でも落ち着いて受け答えができるでしょう。
面接で聞かれやすい質問については「介護職の面接で必ず聞かれる質問と回答例を紹介!対策のポイントも解説」の記事にまとめているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
なお、面接で志望動機を伝える際は、前に勤めていた会社や同僚、上司などの悪口、不平不満などのネガティブな内容を話すことは避けたほうが無難です。あなたに問題がなくても、「トラブルを起こしやすい」「すぐに周囲へ不満を抱いて辞めてしまう」などと悪い印象を採用担当者に与えかねません。
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常識のある服装で面接に臨む
面接などで応募先の施設に伺う際には、必ずスーツやそれに準じた服装を選びましょう。清潔感のある印象を採用担当者に与えることが大切です。髪型はまとめて、お辞儀した際に髪が顔にかからないようにすると好印象を得られるでしょう。
介護職の面接に望ましい服装については「介護の面接に臨む服装は何が正解?【ここが合否の分かれ目!】」の記事で詳しく解説しているので、あわせてご一読ください。
なお、パートやアルバイトの面接で「自由な服装」と言われた場合でも、Tシャツやサンダルなどラフ過ぎる服装は避けます。ジャケットなどでTPOに合った服装にしましょう。
面接でネガティブな言葉を使用しない
面接では、「~でも」「~しか」などの否定的な言葉を使わないようにしましょう。「介護【でも】しようかと思って応募しました」「自分には資格もスキルもないので、介護【しか】できないと思って応募しました」と発言すると、相手を見下しているように聞こえてしまう可能性があります。介護は人と接する仕事なので、利用者さんを不快にさせてしまう言葉遣いの人は不採用になるかもしれません。
30代・未経験で介護職へ転職した人の成功事例体験談
介護の仕事が未経験の30代の方が転職を成功させた方の体験談を紹介します。
私はアルバイトとして働いていたのですが、30代後半になり、正社員で頑張りたいと一念発起して介護職に挑戦しました。介護職を選んだ理由は、経験や資格がなくても正社員として働ける(※)からです。最初は資格を持っていないので不安も感じていたのですが、介護業界は働きながらスクールに通って着実にキャリア形成できることを知り、介護職として頑張る決意が固まりました。初めのうちは志望動機を面接でうまく伝えられなかったのが、アドバイザーの方との対策を重ねて内定を複数もらうことができました。無事に正社員として介護業界の大手企業で仕事が決まりました。
(※)2024年4月以降は、転職後1年以内に認知症介護基礎研修を受講する必要があります。
介護業界専門の転職エージェント「レバウェル介護(旧 きらケア)」では、「転職がうまくいくか不安…」という30代の方の転職を無料でサポートしています。介護の仕事や働き方についてお教えできるほか、不安や希望をヒアリングしたうえで安心して働ける職場をご提案したり、志望動機を一緒に作成したりすることが可能です。面倒な選考先とのやり取りも代行しているので、時間がないなかで転職活動を進めたい方にもおすすめです。ぜひ相談してみてください。
登録は1分で終わります
30代が介護職へ転職する際に有利になる資格
30代未経験の方が介護職に転職する際は、事前に資格を取得しておくと選考で有利に働く可能性があります。介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修は年齢に関わらず取得できるので、検討してみると良いでしょう。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、介護の基本的な知識やスキルが身につく資格で、介護職の登竜門として位置づけられています。受講資格は定められていないので、誰でも挑戦可能です。
求人の応募条件に初任者研修以上の資格を定めている施設もあるので、選択の幅を広げるためにも事前に取得しておくと良いでしょう。特に訪問介護で身体介護業務を行うには、介護職員初任者研修以上の資格が求められます。就職後に資格取得を目指すこともできますが、事前に資格を取得しておくと訪問介護サービスを提供する事業所へ転職する際に優遇されるでしょう。
介護職員初任者研修の取得方法
介護職員初任者研修は、スクールで講座を受講することで取得が可能です。10科目130時間分の講座と1時間程度の筆記試験を受けるのが一般的。筆記試験は講座内容のまとめ程度なので、しっかりと講座を受講していれば資格取得はそれほど難しくないでしょう。
働きながら介護職員初任者研修を目指す方には、通学・通信講座の併用がおすすめ。通信講座を利用すれば40.5時間まで自宅で受講できます。初任者研修の講座には土日コースや夜間コースのほか、週3~4回通学して最短1ヶ月で取得を目指す短期コースなどもあるので、自分のライフスタイルに合わせて通学しやすいコースを選ぶようにしましょう。
介護職員初任者研修の取得期間
介護職員初任者研修の取得にかかる期間は1~4ヶ月ほどです。スクールに通うペースによって取得期間が異なります。働きながらスクールに通う場合は3~4ヶ月程度かかる方が多いようです。
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首都圏限定!資格取得が無料!
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レバウェル介護の資格スクール介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は、初任者研修よりやや専門性の高い介護スキルを習得するための資格です。サービス提供責任者の資格要件や介護福祉士資格を取得する際の受験要件を満たすためにも必要になるので、介護職でキャリアアップを目指す方には欠かせない資格といえるでしょう。
介護福祉士実務者研修の取得方法
介護福祉士実務者研修の資格を取得するためには、20科目450時間の講座を受講しなくてはなりません。筆記試験は必須ではありませんが、スクールによってはカリキュラム修了後に修了試験を行う場合もあります。
介護職員初任者研修と同様、学歴や年齢、実務経験などの受講資格はありません。たとえば、介護職員初任者研修を受けず、いきなり介護福祉士実務者研修の資格を取得することも可能です。
介護福祉士実務者研修の取得期間
介護福祉士実務者研修を取得するのにかかる期間は、無資格の場合6ヶ月程度です。初任者研修を先に取得している場合は130時間分の講座が免除されるので、取得にかかる期間を短縮できます。
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車の運転免許
デイサービスなどの通所型介護施設では介護職員が利用者さんの送迎を行うことがあるので、自動車免許証を取得していると選考で有利になる可能性があります。入所型介護施設でも、緊急時の病院への送迎や外出時に介護職員が運転することもあるようです。
運転免許の取得方法
運転免許(普通自動車第一種免許)を取得するには、指定自動車教習所に通い技能試験を受けて卒業し、運転免許試験場で学科試験に合格する必要があります。教習所に通う方法として、通学と合宿免許の2通りあるので、自分に合った取得方法を選択しましょう。
運転免許の取得期間
取得にかかる期間は、合宿免許で最短2週間、通学する方法でも2~3ヶ月ほどかかるのが一般的です。
30代で介護職への転職をする人によくある質問
30代で介護職への転職をする方によくある質問に回答します。30代を機に介護職への転職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
30代介護職の年収はいくら?
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.146)」のデータをもとに「平均給与(月額)×12ヶ月」で計算すると、介護職員(常勤・月給)の30代の平均年収は、男性が約427万円、女性が約394万円です。介護職の年収は、年齢ではなく経験年数や保有資格などで決まる傾向にあるので、未経験で介護職へ転職する方は平均よりも年収がやや低くなる可能性があります。逆に言えば、勤続年数を重ねたり資格を取得したりすることで着実に給与アップを図れる可能性があるので、長期的なビジョンをもつことが大切です。
出典
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年4月1日)
30代男性でも介護職に転職できるの?
介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書(p.12)」によると、介護職全体の男女別割合は、男性職員が23.0%、女性職員が73.9%でした。男性が少ない傾向にありますが、男性は力仕事や利用者さんの介護で即戦力として活躍できます。
羞恥心から、入浴介助や排泄介助は同性の職員に対応してもらいたいと希望する利用者さんも少なくありません。同性介護を基本としている施設も多く、男性介護職員の需要は高いといえます。
男性の介護業界への転職事情を「男性は介護職に採用されないの?内定が出ない理由と転職成功の方法を解説!」の記事で取り上げているので、気になる方はぜひご覧ください。
出典
公益財団法人介護労働安定センター「介護労働実態調査」(2025年4月1日)
介護職は食いっぱぐれない仕事ですか?
介護のニーズが高い状況は今後も続くと見込まれているため、介護職は食いっぱぐれない仕事といえるでしょう。厚生労働省の「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると、2022年度の介護職員の数は約215万人。一方で、2026年度に必要な介護職員数は約240万人で、約25万人の差があると示されています。介護需要の高まりから今後も介護職のニーズは高まり続けると考えられるため、安定的に働ける業界といえるでしょう。
介護職のニーズについては、この記事の「30代も転職しやすい介護業界の状況」でも解説しているので、あわせてご覧ください。
出典
厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」(2025年4月1日)
まとめ
30代・未経験の方でも介護職への転職は可能です。30代は、介護業界では若手として評価され、正社員を目指しやすい傾向にあります。キャリアパスも整っているため、30代から介護職としてスタートを切ればキャリアアップも目指しやすいでしょう。
介護業界は人手不足の傾向にあるため、年齢に関わらず採用される可能性があります。30代で介護職に転職するメリットは、定年まで安定して働けることや、前職の経験や家事スキルを活かせることなど、さまざまです。手に職が付き、全国どこでも働くことが可能なのも魅力といえます。
30代からでも頑張り次第でスキルアップ・キャリアアップできる介護業界で、新たなキャリアをスタートしてみませんか?
「介護職への転職が初めて…」「未経験だけど、希望が叶う職場に転職したい」という方は、レバウェル介護(旧 きらケア)へご相談ください。
レバウェル介護(旧 きらケア)は、介護業界に特化した転職エージェントです。「自分に合う介護施設が分からない」という方には、プロのキャリアアドバイザーが希望の働き方をヒアリングして、安心して働ける職場をご提案します。介護業界の転職事情にも精通しているので、書類選考や面接対策も万全です。サービスはすべて無料なので、「初めての業界での転職が不安」という方はお気軽にご相談ください。
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山本
レバウェル介護 法人営業部
保有資格:キャリアコンサルタント(国家資格)
新卒でレバレジーズ株式会社に入社し、2年間キャリアアドバイザーとして活躍。新卒研修担当、リーダーを経験したのち、2023年からは法人営業として企業への採用コンサルティングに携わる。
キャリアアドバイザーを経験した後、現在は企業様の採用コンサルを担当しております。現在の企業採用状況、市場の動きなどを踏まえて、皆さまに最適な情報をお届けしてまいります。
執筆者
「レバウェル介護」編集部
お役立ち情報制作チーム
介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点