
この記事のまとめ
- 有料老人ホームと特養、働くならどっち?と迷ったら希望条件をもとに選ぼう
- 有料老人ホームと特養の違いは、「運営元」「施設の種類」「定員」など
- 介護職員の平均給与は、有料老人ホームと特養に大きな差はない
「有料老人ホームと特養、働くならどっちが良いの?」と悩む方もいるのではないでしょうか?有料老人ホームと特養はそれぞれ特徴が異なるため、自分に合った職場を選ぶことが大切です。この記事では、有料老人ホームと特養の違いを解説。仕事内容や働き方、給与の違いについてもご紹介します。働くメリット・デメリットもまとめたので、有料老人ホームと特養のどちらで働くか迷っている方は参考にしてみてください。
目次
「有料老人ホームと特養」働くならどっちが良い?
働くなら有料老人ホームと特養のどちらが良いかは、あなたが職場や仕事に求める条件によって変わります。有料老人ホームは、身体的な負担を減らして働きたい方や福利厚生を重視したい方におすすめ。一方、経営の安定やスキルアップを重視したい場合は、特養がマッチしやすい傾向にあるでしょう。
ただし、同じ施設形態であっても運営元によって待遇面の条件は異なります。応募する前に求人内容をよく確認しましょう。
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有料老人ホームと特養の基本的な違い
ここでは、有料老人ホームと特養の違いを解説します。それぞれの特徴を知り、自分がどちらの施設で働くのに向いているか考えてみましょう。
運営元
有料老人ホームの運営主体の多くは民間企業ですが、特養は社会福祉法人や地方自治体といった公的機関が運営しています。
有料老人ホームは、民間企業が運営する傾向があるため、ほかの施設との差別化を図り入居者を集めることも。そういった背景から、介護サービスが充実した施設が多く、その分入居費用を高く設定する場合があるでしょう。
一方で特養は、公的期間が運営するため、特色のあるサービスや豪華さなどにはこだわらず、堅実な運営をしている施設が多いようです。
施設の種類・特徴
有料老人ホームは、入居者さんの要介護度や終末期ケア・医療的ケアの有無など、施設の提供サービスや方針が施設によって異なります。特養は、定員数や規模に違いはあるものの、施設の種類により入居条件や提供サービスが大きく変わりません。
有料老人ホームの種類・特徴
有料老人ホームは、入居者さんの多様なニーズに対応できる点が特徴です。有料老人ホームの種類は、「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」の3つに分けられます。以下でそれぞれの特徴を見比べてみましょう。
【介護付き有料老人ホームの特徴】
介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間体制で入居者さんの生活を支援します。介護サービスを提供する場合、在籍する介護職員が対応。施設によっては医療的ケアを提供する場合があるため、医療職や他職種と連携しながら入居者さんの生活をサポートするのが特徴です。
なお、介護付き有料老人ホームには、「介護型」「混合型」「一般型(自立型)」の3種類があり、それぞれ入居対象者が異なります。
【住宅型有料老人ホームの特徴】
住宅型有料老人ホームは、入居者さんに介護が必要な場合、外部の介護サービスを利用します。要介護度が高い方もいれば、比較的自立した方もいるため、入居者さんは自分の状態に応じて介護サービスを利用することが多いでしょう。介護付き有料老人ホームと比べると、レクリエーションやイベントに力を入れる施設があるようです。
【健康型有料老人ホームの特徴】
健康型有料老人ホームは、自立度の高い元気な高齢者の方が快適に暮らせるようにサポートする施設です。住宅型と同様、介護サービスを提供しないのが特徴。入居者同士の交流の場を設ける施設が多いため、自由に生活する入居者さんを見守り、必要に応じて相談対応をするのが一般的でしょう。
有料老人ホームは、住環境にこだわった施設が多いことや、入居定員を抑えた小規模な施設が多いといった特徴もあります。民間企業が運営主体である有料老人ホームは、入居者を集めるためのアピールが必要です。豪華さを売りにしたり、プライバシーに配慮した空間設計を行ったりするなど、住環境にこだわった施設が多い傾向があります。
また、入居者さんへのサービスを充実させるために、定員を抑えている有料老人ホームも少なくありません。定員が少ない施設では、一人ひとりの入居者さんに深く関わりながら、寄り添ったケアを行うことができるでしょう。
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特養の種類・特徴
特養は公的な介護施設であるため、一定の条件を満たした高齢者の方を受け入れるのが特徴です。「広域型特別養護老人ホーム」「地域密着型特別養護老人ホーム」「地域サポート型特別養護老人ホーム」の3つの種類に分かれます。それぞれの特徴は以下のとおりです。
【広域型特別養護老人ホームの特徴】
広域型は特養の一般的な形態で、全国どこからでも入居でき、定員が多い傾向にあるのが特徴です。比較的介護度の高い入居者さんが集まるため、介護職員にはレベルの高い介護スキルが求められるでしょう。
【地域密着型特別養護老人ホームの特徴】
地域密着型は、特定の市区町村に住んでいる方のみ入居できる施設で、地域や家族との結びつきが強い特徴があります。29名以下の少人数の施設のため、アットホームな雰囲気のなかで入居者さんに寄り添った介護を行えるでしょう。
なお、地域密着型は、本体施設の有無により、さらに「単独型特養」と「サテライト型特養」に分類されます。
【地域サポート型特別養護老人ホームの特徴】
地域サポート型は、在宅介護を続ける高齢者の方が安心して生活できるように支援する施設です。特養の一つではありますが、介護認定の有無を問わず、生活に不安を抱える65歳以上の方が利用できます。
地域サポート型は、生活援助員が利用者さんの自宅を巡回し、安否確認や相談業務などを担うなど、見守りをメインとするのが特徴です。なお、全国的に見ても、施設数自体は多くありません。
また、特養は、入居者さんが居住する部屋によって従来型とユニット型の2つのタイプに分かれるため、特徴を以下で確認してみましょう。
【従来型の特養の特徴】
従来型は、1部屋に4人程度が居住する多床室です。複数の介護職員で大勢の入居者さんの介護を担当し、夜勤も複数の介護職員で対応します。ほかの職員と協力しながら業務を進められるので、介護初心者もフォローしてもらいながら働ける環境です。
【ユニット型の特養の特徴】
ユニット型特養は、10部屋ほどの個室で1つのユニットを構成する施設です。入居者さんのプライバシーに配慮するため、2002年に制度化されました。関わる入居者さんの人数が従来型よりも少ないので、一人ひとりに合わせたケアを行いやすいという特徴があります。
特養は、公的機関である社会福祉法人や地方自治体が運営しているため、入居費用が安く抑えられている場合が多く、金銭面の負担が気になる方も入居しやすい施設です。そのため、入居を希望する方が多く、入居待機している方が多いのも特養の特徴といえるでしょう。
厚生労働省の「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和4年度)」から計算すると、2022年時点で特養の入居待機者数は27.5万人でした。特養は稼働率が高く、空床ができたらすぐに新しい方が入居するようです。
出典
厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和4年度)」(2025年5月22日)
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定員
有料老人ホームは、数名の小規模から100名規模の大規模な施設までさまざまなタイプがあります。主に、介護付き有料老人ホームは60名前後、住宅型は20名前後を定員とするところが多いようです。
一方、特養の場合、施設の種類によって入所定員の定めがあります。広域型特別養護老人ホームは定員30名以上、地域密着型は定員が29名以下です。
施設が小規模か大規模かによって入居者さんとの関わり方に影響することが考えられるため、自分の介護観や働き方との相性を考える際に、定員は一つの判断材料になるでしょう。
利用者さんの要介護度
有料老人ホームは、施設によって自立している方から要介護5の方まで、要介護度の幅が広いのが特徴です。介護付き有料老人ホームの場合は65歳以上で、「介護型」は要介護1以上の方、「混合型」は要介護・要支援・自立しているすべての方、「一般型(自立型)」は自立している方が対象となります。住宅型は60~65歳以上の自立した方から要介護の方、健康型は60歳以上の自立した方と、要介護度は施設によってさまざまです。
一方で、特養は、入居条件として原則要介護3以上という制限があるため、入居者さんの要介護度が高い傾向にあります。なお、特養の入居条件は以下のとおりです。
- 65歳以上で、要介護3~要介護5の認定を受けている
- 40歳~64歳で特定疾患があり、要介護3~要介護5の認定を受けている
- 特例により入居が認められており、要介護1もしくは要介護2の認定を受けている
特養の入居者さんのなかには全介助や認知症を患っている方もいます。そのため、施設の種類に関わらず、日常生活における介護ケアが常に必要となるでしょう。
なお、有料老人ホームとは違い、医療的ケアが常時必要な方は、特養には入居できません。
人員配置基準
厚生労働省の「特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護(p.8)」と「介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(改定の方向性)(p.40)」を参考に、有料老人ホームと特養の人員基準を下記の表にまとめました。
職種 | 介護付き有料老人ホームの配置基準 | 住宅型・健康型有料老人ホームの配置基準 | 特養 |
管理者・施設長 | 1人 | 1人 | 1人 |
ユニットリーダー(ユニット型特養の場合) | - | - | ユニットごとに1人 |
介護職員 | 要介護者3人に対し、看護職員と合わせて1人以上。要支援者の場合は10人に対して介護・看護職員1人以上 ※夜間帯は介護・看護職員1人以上 | 必要数 | 利用者さん3人に対し、介護職員または看護職員を1人以上 |
看護職員 | 入居者さん30人までは1人以上。30人を超える場合、入居者さん50人ごとに1人 | 必要数 | 利用者さん3人に対し、介護職員または看護職員を1人以上 |
医師 | - | - | 必要数 |
ケアマネジャー | 入居者さん100人に対して1人以上 | - | 利用者さん100人に対して1人以上 |
生活相談員 | 入居者さん100人に対して1人以上 | 必要数 | 利用者さん100人に対して1人以上 |
機能訓練指導員 | 1人以上 | 必要数 | 1人以上 |
栄養士または管理栄養士 | - | - | 1人以上 |
参照:厚生労働省「特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護(p.8)」「介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(改定の方向性)(p.40)」
介護付き有料老人ホームや特養では、介護ケアなどを適切に行う必要があるため、人員配置基準が具体的に定められています。一方、住宅型・健康型有料老人ホームの場合、介護職員の配置は「必要数」と明確な定めがなく、施設によって配置人数には差があるようです。
看取り対応の有無
有料老人ホーム、特養ともに看取りを行う可能性はあるでしょう。ただし、有料老人ホームは、施設の種類によって看取り介護に対応しているかどうかは異なります。特養は、終末期の介護に対応している施設が多く、終の棲家として看取りまでの支援を行うケースが多いようです。
利用者さんの入居期間
厚生労働省の「高齢者向け住まい及び住まい事業者の運営実態に関する調査研究報告書(p.107)」によると、介護付き有料老人ホームの入居期間は1,164日で、約3年3ヶ月。住宅型は713日で約2年でした。
同省の「介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(p.15)」によると、特養に入居する方の平均在所期間は約3.2年でした。介護付き有料老人ホームと特養を比較する場合、入居期間に大きな差はありません。
入居期間は、入居者さんが長期入居を目的としていたり、要介護度が高かったりすると長期間になるといえます。長期間生活する施設では、1人の入居者さんと長く関わりながら寄り添ったケアを提供できるでしょう。
出典
厚生労働省「平成28年度老人保健健康増進等事業 当初募集採択事業」(2025年5月22日)
厚生労働省「第221回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料」(2025年5月22日)
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有料老人ホームと特養の仕事内容の違い
介護職の仕事内容は、有料老人ホームと特養で大きく異なるわけではありません。入居者さんの見守りや健康維持、生活援助などは共通して行われます。ただし、有料老人ホームの種類によっては、特養と比べて違いがあるでしょう。
有料老人ホームの場合、施設によってメインとなる仕事が異なります。比較的自立した高齢者の方が多い施設では、生活サポートや見守り・生活相談が中心。介護付き有料老人ホームでは、特養と同様に介護業務や身の回りのお世話が中心です。
また、民間運営である有料老人ホームでは、サービスの質向上の取り組みや接遇の重要性が強調される傾向にあります。レクリエーション活動は、入居者層によって活動頻度や内容は異なるでしょう。
特養の場合、原則として要介護3以上の方が入居するため、日常的な介護業務は基本です。食事介助や排泄介助、入浴介助などの身体介護をメインに、入居者さんの身体機能回復のための訓練をサポートします。レクリエーションは、それほど積極的に実施することはないようです。
有料老人ホームの仕事内容については、「有料老人ホームの仕事内容は何?介護職員の1日や働くメリット、給料を解説」の記事で詳しく解説しています。また、特養の仕事内容は「特養の仕事内容は?施設の特徴や一日のスケジュール、夜勤業務も解説」の記事で確認できるので、気になる方はあわせてご覧ください。
有料老人ホームと特養の働き方の違い
有料老人ホームと特養の働き方も、基本的に共通です。どちらの施設も24時間、365日体制で入居者さんの生活を見守る必要があります。そのため、シフト制の勤務形態となるのが一般的で、夜勤への対応を求められるでしょう。
勤務先の勤務形態が2交代制だと、夜勤は16時間勤務などの長時間となるため、体力面や生活リズムの乱れに対する懸念があります。
「有料老人ホームの夜勤はどんな仕事内容?苦労やメリットとは」や「特養の夜勤がしんどいといわれる理由は?仕事内容や乗り切るコツも紹介」の記事で夜勤を取り上げているので、ぜひチェックしてみてください。
有料老人ホームと特養の給与の違い
ここでは、有料老人ホームと特養で働く介護職員の給与についてご紹介します。
常勤職員の平均給与・年収
厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.129)」をもとに、有料老人ホームと特養で働く介護職員(月給制・常勤)の平均給与と平均年収をご紹介します。
なお、平均給与は、「基本給(月額)+手当+一時金(4月~9月支給金額の1/6)」で算出され、各種手当やボーナスを含む金額。平均年収は、「平均給与×12」で求めています。
施設形態 | 平均給与 | 平均年収 |
介護職員全体 | 33万8,200円 | 405万8,400円 |
有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護事業所) | 36万1,000円 | 433万2,000円 |
特養(介護老人福祉施設) | 36万1,860円 | 434万2,320円 |
参考:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.129)」
有料老人ホームの平均給与は36万1,000円、特養は36万1,860円と、ともに介護職員全体の平均より2万円以上多いという結果でした。全体平均より高い理由として、夜勤があることや、特養や介護付き・住宅型有料老人ホームは要介護度3以上の入居者さんが多く、介護職員の専門性や体力が求められるためと考えられます。
ただし、給与は施設や会社によって変わるので、あくまで参考として捉えておきましょう。
非常勤職員の平均給与・年収・時給
同資料(p.131、p.181)をもとに、有料老人ホームと特養で働く介護職員(時給制・非常勤)の平均給与と平均年収、平均時給をまとめました。
施設形態 | 平均給与 | 平均年収 | 平均時給 |
介護職全体 | 12万9,880円 | 155万8,560円 | 1,220円 |
有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護事業所) | 16万1,770円 | 194万1,240円 | 1,140円 |
特養(介護老人福祉施設) | 15万7,140円 | 188万5,680円 | 1,130円 |
参考:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.131、p.181)」
有料老人ホームの平均給与は16万1,770円、特養は15万7,140円と、介護職員全体の平均より2万円以上多いという結果です。なお、平均時給を見ると、介護職全体と比較して有料老人ホームは80円、特養は90円低くなりました。しかし、これは非常勤で活躍する方が多い、平均時給1,380円の訪問介護員(ホームヘルパー)のデータが影響し、平均時給を押し上げているものと考えられます。
パートや派遣社員として時給制で働く場合、給与は勤務時間によって異なるので、参考までにご覧ください。
「給料の高い有料老人ホームに転職したい」という方は、介護専門の転職エージェントレバウェル介護(旧 きらケア)にご相談くださいね。
出典
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年5月22日)
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有料老人ホームと特養で働くメリット・デメリット
ここでは、有料老人ホームと特養で働くメリット・デメリットをまとめてご紹介します。どちらの施設で働くか迷う方は、メリット・デメリットを踏まえたうえで自分に合う施設を検討してみましょう。
有料老人ホームで働くメリット
有料老人ホームで働くメリットは、要介護度に応じた介護を学べることや丁寧な接遇を行うスキルが身につくことです。有料老人ホームのなかには、入居者さんに「お客さま」として接しているところもあります。また、資格取得支援制度のある職場が多く、働きながらスキルアップを目指せる環境です。
介護度に応じたスキルが身につく
有料老人ホームは、同じ施設にさまざまな要介護度を持つ方が入居されるため、幅広い介護経験を積めます。特に、要支援から要介護の方まで入居する施設なら、要支援の方の介助も要介護の方の介助も両方学ぶことが可能です。ひととおりの介護スキルを磨けるでしょう。
接遇スキルを磨ける
入居者さんやご家族への対応において接遇スキルが求められるのは、民間運営である有料老人ホームの特徴です。丁寧な言葉遣いや態度で接客するサービス業としての意識を持つことが重要となるため、自然とコミュニケーションスキルを身につけることができるでしょう。
入居者さんの介護度が低い傾向にある
前述したとおり、有料老人ホームの入居者さんの介護度は特養よりも低い傾向にあります。要介護3以上の方ばかりをケアするわけではないため、特養より身体的負担は軽いかもしれません。
介護職員の福利厚生やキャリア制度が充実している
有料老人ホームの入居費用は、ほかの入居型の施設に比べて高い傾向があります。その分、質の高い介護サービスを提供するために、介護職員の教育体制や資格取得支援などを整備していることがあるようです。
また、大手企業が運営している有料老人ホームでは、キャリアパスが明確な傾向があります。新規施設を立ち上げることが多ければ、施設長にキャリアアップできる可能性もあるでしょう。そのほか、法人本部で採用や管理業務に携わるチャンスもあるといえます。
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有料老人ホームで働くデメリット
有料老人ホームで働くデメリットは、「施設によって異なる大変さがあること」「高い接遇スキルが求められる可能性があること」です。
施設の種類によって異なる大変さがある
有料老人ホームは、施設によって仕事内容や勤務条件が異なるため、どの施設にも共通するデメリットはありません。介護付き有料老人ホームでは、在籍する介護職員が身体介護を行うため、体力的な負担が大きくなりがちです。
一方、住宅型や健康型で働く介護職は、介護サービスを提供しないものの、入居者さんの希望に沿った生活支援を行ったり、レクリエーションを企画・実施したりします。入居者さんの自由度の高い生活を実現するためにさまざまな業務をマルチタスクで行うことから、多忙となる場合があるでしょう。
また、医療依存度が高い入居者さんが多い施設では、看護師との連携や医療ケアを意識した介護を行うことが難しいという声も。たとえば、入浴介助や体位変換などのときに医療的な観点から配慮が必要な方がいるため、看護師と連携しながら一人ひとりに合った対応方法を学ぶことは大変なようです。有料老人ホームは、働く施設によって異なる大変さを感じる可能性があるでしょう。
高い接遇スキルを求められる可能性がある
民間が運営する有料老人ホームでは、入居者さんやご家族対応の質が重視されるため、介護スキルだけでなく接遇スキルも求められます。前述したとおり、接遇スキルを磨けることはメリットである一方、要求されるレベルが高い場合は負担となる可能性もあります。
特に、住宅型や健康型はサービス業としての意識が強く、入居者さんからレベルの高い接遇を求められることがあり、お客さまのようにおもてなしをする施設もあるようです。
特養で働くメリット
特養で働くメリットは、専門性の高い介護経験を積めることです。特養は入居者さんの介護度が高く、日々のケアを通して介護の知識やスキルを身につけられるので、キャリアアップに役立てられるでしょう。また、公的な機関が運営しているため、安定して長く働けるのも特徴です。
介護度が高い方が入居するためスキルが身につく
特養には基本的に要介護3以上という介護度の高い方が入居するため、介護スキルを磨ける機会が多い施設です。働くことで介護技術を身につけられたり、ノウハウを覚えられたりするので、スキルアップを目指す方に適した職場といえるでしょう。
経営が安定している
前述したように、特養は公的な機関が運営しています。そのため、経営が安定していて長く働けるのが特養の魅力です。
入居者さんと長期的な関係を築ける
特養は基本的に終身利用が前提のため、入居者さんと長く関われるのもメリットの一つ。一人ひとりの入居者さんと向き合い、丁寧な介護を実践したいという介護観を持つ方なら、特養はやりがいを感じやすい環境といえます。
看取り対応に携われる
「終の棲家」とも呼ばれる特養では、多くの施設で看取り対応を行っています。そのため、特養で働くと、入居者さんが最後まで自分らしく過ごせるよう看取り介護を行う経験が積めるでしょう。
看取り介護について知りたい方は、「介護施設での看取り介護の知識と不安の解消法」をご覧ください。
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特養で働くデメリット
特養で働くデメリットは、「体力的に大変」「業務量が多い」ことです。また、業務量が多く忙しい職場だと、「十分な研修や指導を受けられない可能性がある」こともデメリットといえます。
肉体的・体力的に大変さを感じることがある
特養では要介護度が高い方の介護業務が多いため、身体的な負担が大きくなりがちです。オムツ交換や移乗介助の対応が多く、ときには自分より体の大きな入居者さんの入浴介助や移乗介助を行うことも。そのため、腰痛に悩まされる介護職員は少なくありません。
また、忙しさからユニット内を走り回ることがあり、体力的にきついと感じることがあるようです。
業務量が多くて忙しい
人手不足で業務が回っていない特養だと、1人当たりが担当する業務量が多く、多忙となる可能性があります。施設では介助の時間がある程度決められているため、多くの入居者さんに対応する場合、作業的に介護を進めざるを得ない場面も。常に何かしら仕事がある状態だと気持ちの余裕が持てなくなり、精神的にきついと感じてしまうかもしれません。
また、施設によっては壁面装飾の作成や委員会活動、イベントの準備、掃除など、介護業務以外にもさまざまな業務があり、それが負担になってしまうこともあるようです。
十分な教育研修を受けられない可能性がある
前述したとおり、業務が忙しい特養が勤務先だった場合、研修を受ける時間を十分確保できない可能性があります。施設によっては数週間で独り立ちというところもあり、業務に自信を持てないまま現場で実践する場合も。そのため、初めて介護職として働く場合は、研修の充実度を事前に確認し、フォロー体制が整っている施設を選ぶことが重要です。
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特養の仕事はきつい?介護職が転職前に確認したい大変さとメリットを解説
有料老人ホームで働くのが向いてる人
有料老人ホームで働くのが向いている人は、以下のとおりです。
- 接遇スキルを磨きたい人
- 肉体的な負担が少ない職場で働きたい人
- 入居者さんのために何ができるか考えられる人
有料老人ホームの場合、基本的に施設によってどのような人が向いているかは異なります。接遇スキルやコミュニケーションスキルを磨きたい人にとって、接客業に近い感覚で入居者さんと接する必要がある有料老人ホームは適性があるでしょう。また、身体介護が必要ない健康型や住宅型の施設で働くなら、体力的な負担を抑えて働くことが可能です。
入居者さんの特徴に合わせて必要なケアを考えられる人も有料老人ホームに向いています。たとえば、施設が終末期ケアに対応している場合、入居者さんのなかには死を実感して気持ちが後ろ向きになっている方もいるかもしれません。ご家族から仕入れた情報を少しずつ取り入れながらコミュニケーションを取り、入居者さんが少しでも前向きになれるよう気をつけるなど、寄り添った介護ケアを行いたい方はやりがいを感じられるでしょう。
特養で働くのが向いてる人
特養で働くのが向いている人は、以下のとおりです。
- 介護スキルを活かして働きたい人
- 周りを見て臨機応変に動ける人
- 周囲と協力しながら働ける人
- 体力がある人
- 根気強さがある人
特養は、介護度の高い方を支援するため、介護スキルを活かしたい人に適しています。また、入居者さんの状態が急変したり、予期せぬことが起こったりしたときにとっさの判断を求められる場合があるため、冷静に状況を判断し、臨機応変に動ける人も向いているでしょう。看護師をはじめ、他職種と連携する場面が多く、周囲と連携して働けることも重要です。
特養で働くなら、身体介護の業務が多く夜勤があるため、体力があることもポイント。また、1日のスケジュールと業務量に慣れるには時間がかかるため、根気強く学んで対応していける人が向いています。
詳しくは、「特養に向いている人の特徴はある?働きやすい介護施設を探すポイント」の記事をチェックしてみてください。
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有料老人ホームや特養についてよくある質問
ここでは、有料老人ホームや特養に関するよくある質問に回答します。「有料老人ホームで働けるかな?」「有料老人ホームと特養、どっちの仕事が楽なの?」と気になる方は参考にしてみてください。
有料老人ホームの仕事ってきついの?
有料老人ホームの仕事内容は、食事介助や入浴介助、排泄介助、レクリエーションの実施、リハビリのサポートなどです。身体介護では、自分より体格の大きな入居者さんを支えることもあり、体力的にきついと感じる人もいます。ほかにも、汚物の処理をすることに抵抗を感じる人もいるようです。
有料老人ホームがきついと言われる理由を「有料老人ホームの仕事はきついの?転職経験者から聞いた働くメリットも紹介」の記事で解説しているので、気になる方はご一読ください。
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仕事が楽な介護施設はあるの?
仕事が大変だと感じるのは、自分に合っていないからかもしれません。仕事には向き不向きがあるので、全員が楽だと思うものはないでしょう。自分に合っていない仕事では、ストレスを感じやすく、大変だと思うようになります。自分に合った仕事を見つけるためには、自己分析と企業研究が必要です。
「介護職の職場の選び方とは?失敗しない方法や各施設の特徴を解説」の記事で職場選びのポイントを解説しているので、参考にしてみてください。
有料老人ホームや特養の介護職員には資格が要るの?
有料老人ホームや特養の介護職として働くために必須の資格はありません。未経験・無資格から挑戦可能で、働きながら介護の経験を積めます。ただし、入職から1年以内に「認知症介護基礎研修」以上の資格を取得することが必要です。とはいえ、認知症介護基礎研修は1日で取得できるため、働きながらでも取得を目指せるでしょう。
気になる方は、「介護職員に資格は必要?義務化された認知症介護基礎研修について解説!」の記事もあわせてご一読ください。
まとめ
有料老人ホームは民間が運営する施設のため、豪華さやプライバシーに配慮した空間設計など住環境にこだわりがあり、従業員の待遇面でも充実していることが多いでしょう。一方で特養は、公的な社会福祉法人や地方自治体などが運営しているため、入居費用が安く抑えられています。その反面、多くの入居者さんを受け入れているため、介護職員の業務が多くなる傾向にあるようです。
有料老人ホームは施設の種類によって業務の傾向が変わるものの、接遇スキルを磨きたい人や体力的な負担が少ない環境を希望する人に向いているでしょう。特養では、要介護度の高い入居者さんを支援するため、介護技術を活かしたい人や体力・根気強さがある人が適しています。有料老人ホームと特養のどちらで働くかは、それぞれの施設で働くイメージを掴み、自分に向いていると感じる職場を選択しましょう。
それぞれの施設の特徴を理解したうえで、自分に合った職場に転職したいとお考えの方は、レバウェル介護(旧 きらケア)をご利用ください。レバウェル介護(旧 きらケア)は、介護分野に特化した転職エージェントです。有料老人ホームや特養の求人が豊富なため、希望に沿った求人をご紹介できます。利用はすべて無料なので、まずはお気軽にご相談ください。
今の職場に満足していますか?
執筆者
「レバウェル介護」編集部
お役立ち情報制作チーム
介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点