特養とは?特別養護老人ホームで働くメリット・デメリットや仕事内容を解説

介護の仕事 2023年1月25日
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寝たきりの男性と介護士の男女

「特養とはどんな施設なの?」「特養の職員は、どのような仕事をしているの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
特養とは、要介護3以上で65歳以上の高齢者が入居可能な介護施設です。この記事では特養の種類や仕事内容、働くメリット・デメリットを解説しています。特養の給料や働くうえで役立つ資格も紹介しているので、興味がある方は、ぜひ、参考にしてみてください。

目次

特養とは

特養とは、介護を必要とし、自宅での生活が困難な高齢者が入居可能な介護施設のこと。社会福祉法人や地方自治体などが運営する公的な施設であり、有料老人ホームよりも入居費用が安いのが特徴です。
特養の正式名称は、「特別養護老人ホーム」ですが、一般的に「特養」で通じます。

特養の利用対象者は、原則、「要介護3以上の65歳以上の方」ですが、「要介護3以上で特定疾患が認められた40~64歳の方」「特例的な入居が認められた要介護1・2の方」も含まれます。
特養では利用者さんが立ち上がれなくなったり、認知症になったりしても、高度な医療が必要にならない限り住み続けることが可能です。近年では看取りにも対応している施設が増加し、終(つい)の棲家として入居を希望するご高齢者も増加傾向にあります。

従来型とユニット型の施設がある

特養(特別養護老人ホーム)には、従来型とユニット型があります。従来型特養では、2名から4名までの多床室が多く、施設全体で介護を提供。ユニット型特養は、個室なので利用者さんはプライベートな空間を確保できます。また、特養では、ユニットごとにケアを提供しており、1ユニットの人数は多くても10人程度です。

特養の人員配置

特養の人員配置は、利用者さん3人に対して介護職員は1人以上と定められています。特養の詳しい人員配置基準は以下の表をご覧ください。

職種人員配置
施設長(管理者)1人(常勤)
医師運営に必要な人数
介護職員・看護職員利用者さん3人に対して1人以上
生活相談員利用者さん100人に対して1人以上
機能訓練指導員1人以上
栄養士1人以上(入居定員40人未満で、ほかの社会福祉施設の栄養士との連携が取れ、入居者に適切なサービスを提供できる場合は置かなくても問題はありません)
ユニットリーダーユニットごとに配置

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特養の種類は大きく分けて3つ

特養には、「地域密着型」「地域サポート型」「広域型」の3つの種類があります。以下で、詳しく解説しているのでチェックしてみましょう。

広域型

広域型特養は、施設のある地域外の方でも入居ができる施設です。入居条件に入居者の現住所の制限がないため、自宅から離れた施設にも入居でき、費用や家庭の事情などの条件に合う施設の選択肢が広がります。

地域密着型

地域密着型の特養は、入所定員が29人以下で、施設のある市区町村にお住みの方のみが利用できる施設です。少人数型の施設でアットホームな雰囲気があります。名前のとおり、地域とのつながりを大切にしているのが特徴です。

地域サポート型

地域サポート型特養は、在宅介護を行っている高齢者を支援するための施設です。24時間体制で生活を見守ります。日中の巡回訪問を行い、夜間の看護師への相談対応や緊急時の対応を実施。特養の種類のなかでも施設数が少ない施設です。

特養の仕事内容

特養の仕事内容は、食事介助や入浴介助、排泄介助などの身の回りのお世話などがメインです。ほかにも、リハビリテーションのサポートやレクリエーションの実施なども行います。以下で詳しく解説しているので、特養の仕事に興味がある方は参考にしてみてください。

食事介助

特養の利用者さんの介護度は高い傾向にあるため、咀嚼することが難しかったり、嚥下能力が低下していたりします。そのため、食事の補助や見守りが欠かせません。利用者さんの状態に合わせて、きざみ食やミキサー食など、食べやすい形状のものを用意し、介助を行います。
季節の旬の食材を使ったり、誕生日には特別食を用意したりして、飽きさせない工夫を行っている施設も多いようです。

食事介助は、利用者さんが自立した生活を送るためにも、できるだけ離床した状態で介助を行います。食事介助をする際は、利用者さんと同じ目線になって行いましょう。

入浴介助

入浴介助は、利用者さんが浴室で転倒しないように、注意深くケアしなければなりません。
大人数で入れる大浴場や1人が入浴できる個浴、檜風呂、機械浴など、施設によって入浴設備は異なります。寝たきりの方や車いすの方には、そのまま入浴できる機械浴で介助を実施。入浴介助は、利用者さんの体調に合わせて臨機応変な対応が求められ、体調不良などで入浴が難しい方には、清拭を行うこともあります。

入浴は、利用者さんにとっても、リフレッシュできる重要な時間です。快適なリラックスタイムを提供するために、お湯だけでなく脱衣所も季節に合わせて適温に保ち、利用者さんが体調を崩さないように気を配る必要があります。

排泄介助

排泄介助は、利用者さんが立ち上がれる場合はできる限りトイレで行います。必要以上にサポートせず、プライバシーに配慮することが必要です。
利用者さんが寝たきりの場合は、居室に行き、ベッド上で対応。尿意や便意を感じられなくなっている方には、排尿間隔を把握して定期的にトイレに誘導します。

排泄介助はデリケートなものなので、利用者さんとの信頼関係が重要です。普段から声掛けをして、コミュニケーションをとっておくと良いでしょう。

生活援助

生活援助では、居室の掃除や衣類の洗濯、買い物などを行います。すべての家事を代行するのではなく、できる限り利用者さん自身でできるようにサポートすることが大切です。

リハビリテーション

リハビリテーションは、施設内で日常生活を送りながら行う生活リハビリが中心です。普通の生活を通じて腕や足の機能を維持・回復させることを目指しており、介護職員はそのサポートを行います。施設によっては必要に応じて外部の事業者に依頼したり、理学療法士や作業療法士による本格的なリハビリメニューを提供したりすることも。介護職員がリハビリ業務に関わるかどうかは、施設に確認しましょう。

レクリエーションやイベントの実施

特養では、レクリエーションは、リハビリを兼ねた娯楽として提供されています。手芸や習字、脳トレ、カラオケなど、多種多様なメニューを用意し、体や頭を使うことで介護予防・認知症予防に繋げているのが特徴です。

夏祭りやクリスマス会といった季節の行事、誕生日会、外出イベントなども行っており、利用者さんが笑顔で過ごせるよう工夫を凝らしています。ときにはボランティアを招いて演奏や演劇を披露することも。また、近隣の幼稚園や保育園、小学校の子供たちと触れ合える機会を設けている施設もあり、イベントを通して積極的に地域交流を図っています。

看取り

終(つい)の棲家として入居できる特養では、看取り業務を行うことも多々。多くの特養では、利用者さんが希望の場所で最期を迎えられるよう、医師や看護師、介護職員が連携して看取りケアを行っています。看取り看護は、日常生活におけるケアの延長線上で提供されるのが一般的です。

利用者さんが看取り介護を希望する場合は、介護職員がしっかりとケアについて説明する必要があります。また、最期の時間を安らかに過ごしてもらうためにも、職員と利用者さんとの信頼関係が重要です。利用者さんだけではなく、ご家族とも積極的にコミュニケーションを取ると良いでしょう。

特養で働くメリット

特養で働くと、スキルアップができたり、プライベートでも役立てられたりとメリットが多数あります。以下で特養で働くメリットを解説しているので、チェックしてみましょう。

介護スキルを身につけられる

特養は、利用者さんの介護度が高いので、自ずと介護スキルを身につけられます。また、介護ケアと一口にいっても、利用者さんの状態によって、ケアの方法は異なるため、柔軟な対応力を養うことができるでしょう。
特養で身につけたスキルや経験は、別の施設でも役立てられるので、転職をしても即戦力としての活躍が期待できます。

長期的な介護を実現できる

終の棲家として特養を選ぶ利用者さんも多く、一人ひとりに対して長期的な介護を行うことが可能です。利用者さんの尊厳を保持しながら日常生活を支えれば、感謝の言葉を聞ける機会もあります。長期的な介護に取り組む中で感謝の言葉を聞けると、モチベーションの維持にもつながるでしょう。

家族に介護が必要になったときに役立つ

家族に介護が必要になったときに特養で働いた経験が役立ちます。介護の方法や利用できる制度なども学ぶことができるので、家族に介護が必要になったとしても、慌てずに対処できるでしょう。

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特養で働くデメリット

特養で働くには、ある程度の介護スキルが求められたり、体力的な負担があったりとデメリットもあります。以下のデメリットを確認し、自分が働けるかどうか判断する参考にしてみてください。

ある程度の介護スキルが必要

利用者さんの介護度が高いため、職員にはある程度の介護スキルが求められるでしょう。特養では、寝たきりの方や車いすの方もおり、身体介助が多い傾向にあります。介護未経験者や身体介助に自信がない方は、「仕事がしんどい…」と感じることもあるでしょう。

体力的な負担がある

身体介助業務が多いと体力的な負担が大きくなる傾向にあります。身体介助では、自分より体格の良い利用者さんを支えたり、抱えたりすることも多々。また、特養では夜勤業務もあるので、生活リズムが崩れたり、睡眠不足で体力的な負担を感じる方も少なくありません。

特養にかかる費用

特養にかかる費用の内訳は、「施設介護サービス費・介護サービス加算」「居住費」「食費」「日常生活費」などです。利用者さんが負担するのは、介護サービス費の1割ですが、所得によっては2~3割になることも、あるので確認しておきましょう。

「施設介護サービス費・介護サービス加算」は、利用者さんの介護度や受ける介護サービスの内容によって異なります。要介護度が高い方や複数の介護サービスを受ける方はその分費用が高額に。介護加算サービス費は、施設の人員配置や勤続年数などによっても異なるので、費用を抑えたい方は、施設の介護サービスについて事前に調べておくと良いでしょう。しかし、費用を抑えるあまり、利用者さんの生活が不便になってしまっては、特養に入る意味がなくなってしまうため、利用者さんご本人の性格やニーズなども加味して選ぶことが大切です。

特養で働く介護士の平均給料

特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の介護職員の給与(月給・常勤)は34万5,590円。
施設形態ごとの介護職員の給与(常勤・月給)は以下のとおりです。

施設形態平均給与
介護老人福祉施設34万5,590円
介護老人保健施設33万8,390円
介護療養型医療施設28万7,070円
介護医療院30万7,550円
訪問介護事業所31万4,590円
通所介護事業所27万8,180円
通所リハビリテーション事業 所29万7,980円
特定施設入居者生活介護 事業所31万9,760円
小規模多機能型居宅介護 事業所28万9,520円
認知症対応型共同生活介 護事業所29万1,460円

特養は、介護業界のなかでも、比較的給与が高い施設です。給与が高い理由の一つとしては、身体介助を求められる機会が多いため、有資格者が多く、資格手当がもらえることが考えられます。また、夜勤業務があり、夜勤手当がもらえることも給与が高くなる一因と考えられるでしょう。

特養で働くうえで役立つ資格

特養で働くうえで役立つ資格は、「介護職員初任者研修」「介護福祉士実務者研修」「介護福祉士」です。以下で各資格について紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、基本的な介護知識やスキルが身についていることを証明できる介護業界での入門的な資格です。誰でも挑戦できる資格なので、これから介護業界で働きたいと考えている方におすすめ。
介護職員初任者研修は、10科目・130時間の課程を修了すると資格を取得できます。

介護福祉士実務者研修

介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修よりもやや専門性の高い資格ですが、受講要件が定められていないので誰でも取得可能です。
介護福祉士実務者研修は、20科目・450時間の課程を修了することで資格を取得できます。介護職員初任者研修資格を取得している方は、130時間分の課程が免除されるので、段階的に学びたい方は、先に初任者研修の取得を目指すと良いでしょう。

介護福祉士

介護福祉士は、専門性の高い介護知識・スキルを有していることを証明する国家資格です。介護福祉士を取得するには、3年以上の実務経験と介護福祉士実務者研修の取得が求められます。
介護福祉士資格を取得するルートは大きく分けて、「実務経験ルート」「養成施設ルート」「福祉系高校ルート」の3つ。働きながら資格取得を目指したい方には、実務経験ルートがおすすめです。実践的な知識や介護技術が身につけられるでしょう。

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特養で働くのに向いている人と向いていない人の特徴

特養で働くのに向いている人と向いていない人の特徴を解説します。自分の特徴はどちらに当てはまるのか、参考にしてみてください。

特養で働くのに向いている人

特養で働くのに向いている人の特徴は、以下のとおりです。

  • 体力に自信のある人
  • お世話をするのが好きな人
  • キャリアアップを目指している人

特養では、夜勤があったり、要介護度の高い利用者さんの体を支えたりするため、どうしても体力的負担が大きくなりがちです。そのため、体力に自信のある人は、特養で長期活躍できるでしょう。また、特養では、身の回りのサポート業務を行う機会が多いので、お世話をするのが好きな人に向いている仕事です。適切なタイミングで気配り・心配りができれば、利用者さんも心を開きやすくなります。
特養で介護経験を重ねれば、自分が実現したいキャリア形成を目指すことが可能です。研修も定期的に行われるため、専門知識を幅広く身につけられます。

特養で働くのに向いていない人

特養で働くのに向いていない人の特徴は、以下のとおりです。

  • 繊細すぎる人
  • 潔癖な人

特養では、看取りを行う施設も多く、利用者さんが亡くなる場面を目にすることもあるでしょう。利用者さんが亡くなった際に、落ち込みすぎて仕事に影響が出てしまう方は、仕事が向いていないかもしれません。
汚物や吐瀉物の対応も特養で働くうえで避けては通れない仕事です。はじめは多くの方が抵抗を感じる仕事ですが、働くうちに慣れていくようになります。しかし、「やっぱりできない…」と感じる方もいるので、そういう方は、特養ではなく別の施設形態を選んだほうが無理なく働けるでしょう。

特養に関するよくある質問

ここでは、特養に関するよくある質問にお答えします。「特養とは何?」と疑問に思っている方は、参考にしてみてください。

特別養護老人ホームと有料老人ホームの違いって?

特別養護老人ホームと有料老人ホームは、運営が異なります。特別養護老人ホームは地方自治体などが運営しているため、公的な施設です。有料老人ホームは、民間企業が運営しており、利用者さんの入居条件は施設によって異なります。

特別養護老人ホームと介護老人保健施設(老健)の違いって?

特別養護老人ホームと介護老人保健施設(老健)の大きな違いは、利用者さんの入居目的です。特養は、終の棲家としての利用が可能ですが、老健では、在宅への帰宅を目標にしています。特養は生活の場として、老健は入院後に自宅に戻るまでの中継地点と考えると分かりやすいでしょう。

特別養護老人ホームには看取り業務があるの?

終身利用が可能な特別養護老人ホームでは、「特養の仕事内容」で解説したように看取り業務があることが多いようです。
「病院で最期を迎えるより、住み慣れた場所で最期を迎えたい」という利用者さんの気持ちを受け止め、対応をします。看取り業務をする自信がない方は、頻度や必要な知識などを事前に施設に確認すると良いでしょう。看取り業務に慣れないうちは、誰でも不安なもの。上司や先輩介護士が指導をしてくれるので、必要以上に心配する必要はありませんよ。

特別養護老人ホームに早く入れる方法は? 

特養とは」で解説したように、公的施設である特養は、民間企業が運営する施設より費用が安い傾向があります。そのため、人気があり、入居待ちの方が多数いることも。特別養護老人ホームに利用者さんが早く入るには、頻繁に情報収集を行い、複数の施設に登録しておくと良いでしょう。また、特養のなかでも、入居費用が高い傾向があるユニット型の施設を希望するのも、一つの方法です。

まとめ

特養(特別養護老人ホーム)とは、原則、要介護度3以上で65歳以上の方が入居できる介護施設です。特養は、寝たきりになったり、認知症になったりしても、退所する必要はなく、終身利用ができます。

特養の主な仕事内容は、食事介助や入浴介助、排泄介助などの身体介助と掃除・洗濯・買い物などの生活援助です。ほかにも、レクリエーションの実施やリハビリのサポートを行います。看取り業務を行う施設も多いので、気になる方は、事前に施設に確認しておきましょう。

特養では、介護スキルを身につけられたり、長期的な介護ができたり、メリットも多数あります。ほかにも、特養で働いた経験をプライベートでも活かすこともできるでしょう。しかし、「ある程度の介護スキルを求められること」「体力的な負担が大きいこと」というデメリットもあるので、メリット・デメリットを比較し、自分に合った職場かどうか判断しましょう。

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