
この記事のまとめ
- 特養の施設長になるための要件は、社会福祉主事任用資格の取得など
- 特養の施設長は、運営管理や収支管理、利用者さまの対応などを行う
- 特養の管理職の平均給与は、ほかの介護事業所の管理職より高い傾向にある
「特養の施設長には資格が必要なの?」と気になる方もいるのではないでしょうか。特養(特別養護老人ホーム)の責任者である施設長になるには、社会福祉事業における実務経験や、社会福祉主事任用資格の取得といった要件を満たす必要があります。この記事では、特養の施設長に必要な資格や仕事内容について解説。施設長と管理者の違いや、管理職の平均給与なども紹介します。施設長へキャリアアップしたい方は参考にしてください。
特別養護老人ホーム(特養)とは?分かりやすく施設や入居者の特徴を解説!目次
特養(特別養護老人ホーム)の施設長に必要な資格や経験
厚生労働省の「施設長の資格要件等」によると、特養(特別養護老人ホーム)の施設長の資格要件は、「社会福祉主事の要件を満たす者」「社会福祉事業に2年以上従事した者」「社会福祉施設長資格認定講習会を受講した者」の3つのうち、いずれかを満たすことです。
出典
厚生労働省「施設長の資格要件等」(2025年4月24日)
社会福祉主事の要件を満たす者とは?
社会福祉主事とは、社会福祉に関する仕事を行う際に活かせる任用資格です。
厚生労働省の「社会福祉主事任用資格の取得方法」によると、社会福祉主事の要件を満たす方法は、次の5つです。
- 大学等において社会福祉に関する科目を3科目以上修めて卒業する
- 全社協中央福祉学院社会福祉主事資格認定課程もしくは、日本社会事業大学通信教育科において、通信教育を1年間受ける
- 指定の養成機関で22科目1,500時間の指定科目を修了する
- 都道府県等講習会で19科目279時間の講習を受ける
- 社会福祉士や精神保健福祉士の資格を取得する
社会福祉主事任用資格を取得するには、大学や養成機関などでの指定科目の修了が必要です。なお、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持っている方は、すでに社会福祉主事の要件を満たしているため、特養の施設長になるために新たに資格を取得する必要はありません。
出典
厚生労働省「社会福祉主事任用資格の取得方法」(2025年4月24日)
▼関連記事
社会福祉主事任用資格とは?活かせる仕事は?取得方法やメリットを解説!
社会福祉事業に2年以上従事した者とは?
社会福祉事業とは、特養や養護老人ホームなど、社会福祉法に基づいて運営する事業を指します。グループホームやデイサービス、訪問介護なども社会福祉事業です。高齢者の支援を行う施設だけではなく、乳児院や児童養護施設も該当します。
出典
厚生労働省「生活保護と福祉一般:社会福祉事業と社会福祉を目的とする事業」(2025年4月24日)
社会福祉施設長資格認定講習課程を修了した者とは?
社会福祉施設長資格認定講習会とは、全国社会福祉協議会中央福祉学院が実施する講習です。福祉に関する基本的な知識に加え、施設長に必要な、経営管理や人事・労務管理、財務管理なども学びます。
講習は通信学習と面接授業によって行われ、面接授業ではスクーリングに連続5日間の出席が必要です。通信学習は2ヶ月で4科目を履修するサイクルを1学期とし、4学期8ヶ月間をかけて進めていきます。
出典
東京都福祉局「資格認定講習について」(2025年4月24日)
▼関連記事
特養(特別養護老人ホーム)で働くのに必要な資格は?働いている職種も紹介
今の職場に満足していますか?
特養の施設長の主な仕事内容
特養の施設長の業務は、施設の運営からスタッフの教育まで多岐にわたります。以下では、施設長の一般的な仕事内容を解説。施設の規模や方針によって、具体的な仕事内容は異なるので、参考としてご覧ください。
施設の運営・管理
特養の施設長は、介護保険法などの法令を把握したうえで、それに従って運営管理を行います。介護保険法は定期的に改正されるので、常に最新の情報を把握することが必要です。ほかにも、入居者獲得のための営業や、ほかの事業所との関係性づくりなども求められます。
また、運営規定・連携する医療機関・利用定員数の変更や、施設内での食中毒・重大な事故などがあった際の届け出も、主となって行わなければなりません。自治体による集団指導・実地指導・監査などの対応なども請け負うので、デスクワークや施設外での仕事がメインとなるでしょう。
収支管理
特養の施設長は、賃料や人件費、水道光熱費といった各種の経費管理を実施。利用者さまとの契約締結や保険請求業務なども行います。施設によっては、介護事務員や生活相談員が財務を担当することもありますが、最終的な判断や管理は施設長の仕事です。
「運営が困難になってしまった」という事態を避けるためには、経営管理の知識も必要になるでしょう。
介護サービスの質の管理
施設の理念や方針に沿った介護サービスを提供できているか、監督・指導を行うのも施設長の仕事内容です。適切な介護を提供するためには、スタッフが教育や研修を十分に受けられるよう、環境を整える必要があるでしょう。
特養の介護サービスの質や施設全体の雰囲気の良し悪しは、施設長にかかっているといっても過言ではありません。
人事や労務の管理
特養で働くスタッフの採用面接や、法令に基づく人員配置なども行います。施設長は、スタッフの勤務時間や残業時間、有給休暇の消化率などを把握し、労働環境の改善に努めなければなりません。
また、介護現場の現状を常に気に掛けることも大切です。スタッフ間でトラブルが起きたときは、人員配置の再考や指導など迅速な対応が求められます。
利用者さまやご家族への対応
見学・入所・退去の際など、必要に応じて利用者さまやそのご家族と面談をして、介護サービスに関する意向の聞き取りや相談対応を行います。ご家族からクレームがあった際は、施設長が主となって対応しなければなりません。
もしも、利用者さまの頻繁な暴力・暴言といった退去要件に該当する問題が発生した場合は、強制退去の必要性などの判断を担う可能性があります。
介護業務との兼務
特養で働く施設長は、介護業務を兼務する場合もあるようです。現場のスタッフとともに介護業務に当たることで、事務所では分からなかった現状が分かることもあります。施設長への就任後も、現場の声を聞くために積極的に介護業務を行う方もいるようです。
施設長と管理者の違い
介護業界において、施設や事業所の管理をする役職を「施設長」や「管理者」と呼ぶことが多いようです。施設全体の責任者を「施設長」と呼び、各部門の責任者を「管理者」と呼ぶなど、使い分けている施設もあります。
特養の施設長には資格要件があるのに対し、管理者には要件がないところを見ると、施設長と管理者は厳密には同じではないといえそうです。たとえば、訪問介護事業所やグループホームは介護施設に分類されないため、「施設長」という役職はない場合が多いでしょう。
施設全体の責任者を「管理者」と呼ぶ事業所もあれば、各部門の責任者を「管理者」と呼ぶ事業所もあるため、転職する際は業務内容などを十分に確認することが大切です。
▼関連記事
施設長とは?なるために必要な資格はある?仕事内容や年収も解説!
スタッフから信頼される特養の施設長の特徴
「スタッフから信頼される施設長になりたい」という方に向けて、スタッフとの関係性が良好な施設長の特徴や、必要なスキルを紹介します。
コミュニケーションを大切にしている
スタッフから信頼される特養の施設長の特徴として、「利用者さまやそのご家族、スタッフとのコミュニケーションを大切にしている」ことが挙げられます。
スタッフとのコミュニケーションが希薄な施設長が管理する特養では、介護観のすれ違いや認識の不一致から、介護の質が落ちてしまう可能性も。コミュニケーションをしっかり取って信頼関係を築けていれば、意識の共有やスタッフのスキルの向上につなげられるでしょう。
施設長は、スタッフだけではなく、利用者さまやそのご家族、連携している医療機関などともやり取りを行う必要があります。そのため、業務を円滑に進めるためには、マネジメント業務の知識だけではなく、コミュニケーション能力も必須です。
介護の現場に出て意見を聞いてくれる
介護現場の意見を取り入れ、働きやすい環境を作れる施設長は、スタッフからの信頼が厚い傾向にあります。頼られる施設長になるには、「人手を増やしてほしい」「新しいイベントに挑戦したい」などの現場の声を聞きながら、適切な対処をするスキルが必要です。
また、特養の施設長には、スタッフ一人ひとりの適性や強みを把握する観察力も求められます。現場の意見を取り入れながら適切な人材を採用し、スタッフの能力が活かせる人員配置や教育をすることで、働きやすい職場環境を作れるでしょう。
▼関連記事
ダメな施設長に不満…ブラックな介護施設にいる要注意管理者の特徴を解説
特養の管理職の平均給与
ここでは、厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果 (p.143)」を参考に、特養の管理職の平均給与を紹介します。介護事業所全体の管理職の平均給与や、特養の一般的な介護職員の平均給与と比較してみましょう。
|
役職 |
平均給与 |
|
|
特養の介護職員 |
管理職 |
43万6,850円 |
|
管理職でない |
35万4,900円 |
|
|
介護職員全体 |
管理職 |
37万8,110円 |
|
管理職でない |
32万7,720円 |
参考:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果 (p.143)」
特養の管理職の平均給与は43万6,850円でした。特養で働く管理職とその他の介護職員の平均給与の差は、およそ8万円です。管理職に就くと、役職手当が支給される場合が多いため、平均給与が上がると考えられます。
また、特養の管理職と、介護事業所全体の管理職の平均給与の差は、約6万円です。特養の管理職は、介護職・生活相談員・ケアマネジャー・事務職員などから、いくつかの職種を兼務することもあります。施設によっては夜勤を行う場合もあることなども関係して、ほかの介護事業所の管理職よりも給与が高い傾向にあるのかもしれません。
出典
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年4月24日)
▼関連記事
施設長の年収はどれくらい?仕事内容や資格要件も解説します!
施設長の資格に関してよくある質問
ここでは、施設長の資格に関するよくある質問にお答えします。「介護施設や福祉施設の管理職に興味がある」という方は、ぜひ参考にしてください。
老健(介護老人保健施設)の施設長に必要な資格や経験は?
厚生労働省の「施設長の資格要件等」によると、老健の管理者は、原則として都道府県知事の承認を受けた医師でなければならないとされています。ただし、都道府県知事の承認を受けた場合に限り、医師以外が老健の管理者になることも可能です。
出典
厚生労働省「施設長の資格要件等」(2025年4月24日)
障害者施設の施設長の資格要件は?
厚生労働省の「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準」によると、障害者施設(生活介護事業所)の管理者の要件は、「社会福祉法第十九条第一項各号のいずれかに該当する者」「社会福祉事業に2年以上従事した者」もしくは、それと同等のスキルがある者となっています。
なお、「社会福祉法第十九条第一項各号のいずれかに該当する者」とは、社会福祉主事の任用要件を満たす人のことです。
出典
厚生労働省の「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準」(2025年4月24日)
まとめ
特養の施設長になるには、資格や実務経験の要件があります。具体的には、「社会福祉主事任用資格を取得する」「社会福祉事業に2年以上従事する」「社会福祉施設長資格認定講習会の受講する」のいずれかを満たすことなどが必要です。
特養の施設長は、運営管理や人事・労務管理、利用者さまの対応などの仕事を行います。スタッフから信頼される施設長になるには、コミュニケーション能力や観察力が求められるでしょう。
「今の職場では自分が理想とするキャリアが叶えられない」「自分のキャリアビジョンが実現できる職場に転職したい」という方には、介護業界の転職情報を提供する「レバウェル介護(旧 きらケア)」の利用をおすすめします。
レバウェル介護(旧 きらケア)は、実際に介護施設とやりとりをしているので、職場環境や人間関係、仕事内容などの情報が豊富です。さらに、キャリアアドバイザーが年収や待遇など細かい条件交渉も代行するので、安心して転職活動を進められます。転職を成功させたい方は、お気軽にレバウェル介護(旧 きらケア)までご相談ください。
今の職場に満足していますか?
執筆者

「レバウェル介護」編集部
お役立ち情報制作チーム
介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点


