介護施設で管理職になるには何が必要?仕事内容や平均年収をご紹介

介護の仕事 2021年5月21日
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車いすに乗った笑顔の老人男性と接する笑顔の女性介護士

介護の管理職になるには、施設形態によって異なる資格要件を満たす必要があります。ホーム長や管理者、施設長など呼び方は複数ありますが、どれも施設全体の管理を担う役職に変わりはありません。この記事では介護施設の管理職を目指している方に向けて、具体的な仕事内容や平均年収、必要な知識・スキルが知りたい方を詳しく解説します。管理職へのキャリアアップを考えている方は、参考にしてみてください。

目次

介護業界で管理職になるには

介護業界で管理職になるには実務経験や介護に関する知識、資格を求められることがほとんどですが、それ以上に重要なのが人柄やマネジメント能力です。介護の管理職は現場に指示を出すポジションなので、仕事を円滑に進めるためにも介護職員との信頼関係を築かなければなりません。また、管理職になると施設の運営や経営に関わるので、マネジメント能力があったほうが管理職に採用されやすくなります。施設形態によっては無資格未経験からでも管理職になれるので、昨今では他業種から転職して管理者に就任する人もいるようです。

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施設長や管理者になるための資格要件

施設長や管理者といった管理職になるには、施設ごとに異なる資格要件を満たさなければなりません。ここでは、介護施設や居宅介護で管理職になるために必要な資格要件を紹介するので、キャリアアップを考えている方はチェックしてみましょう。

施設長と管理者の違いは?

施設長や管理者は「介護施設管理者」として、どちらも施設全体の管理や運営に必要なマネジメント業務を行う管理職で、呼び方以外に違いはありません。必ず常勤で1人以上配置するように義務付けられているので、どの施設にも管理者や施設長がいます。施設によっては、介護施設管理者をホーム長や所長と呼ぶことも。先述したように無資格で管理職に就任できる場合は、ほかにも施設長やホーム長といった管理職がいるはずです。

施設サービスでの資格要件

介護の施設サービスで管理職になるための資格要件は、介護保険法や厚生労働省の省令によって定められています。ここではそれぞれの資格要件を詳しく解説するので、現在の職場で管理職になるには何が必要なのかチェックしてみてください。

介護老人福祉施設

介護老人福祉施設(特養)で管理職になるには、施設長の場合のみ要件が定められています。施設長以外の管理者であれば、特別な要件は設けられていません。特養の施設長になるための資格要件は以下の通りです。

  • 社会福祉主事の要件を満たす者
  • 社会福祉事業に2年以上従事した者
  • 社会福祉施設長資格認定講習会を受講した者

社会福祉主事とは、各都道府県や市区町村の福祉事務所で社会福祉活動のサポートを行う公務員のことです。任用されるためには「社会福祉主事任用資格」が必要で、資格保有者は高齢者福祉以外にも、児童支援や障害者支援といった場面で活躍しています。また、障害者支援施設や老人ホームといった社会福祉事業で2年以上働いた人も対象です。

どちらにも当てはまらない場合は、社会福祉施設長資格認定講習会を受講すれば特養の施設長に就任できます。詳しい内容や申し込み方が知りたい方は、各都道府県のWebページを確認してみましょう。

介護老人保健施設

介護老人保健施設(老健)で管理職になるには、都道府県知事に承認される必要があります。医療行為を行う介護施設なので、医師が管理者になることが推奨されていますが、都道府県知事の承認が受けられれば介護士の方でも就任可能です。

介護療養型医療施設

介護療養型医療施設で管理者になれるのは、臨床研修を修了した医師のみです。介護療養型医療施設で働いている介護士の方が管理職を目指すなら、ほかの介護施設に転職することをおすすめします。

グループホーム

グループホームで管理職になるには、以下の要件をどちらも満たす必要があります。

  • 指定された施設での従業者または訪問介護員として、認知症介護の経験が3年以上ある者
  • 厚生労働大臣が定める「認知症対応型サービス事業者管理者研修」を修了した者

指定された施設とは、特別養護老人ホーム・介護老人福祉施設・デイサービス・認知症対応型共同生活介護事業所などの介護施設です。認知症対応型サービス事業者管理者研修は各都道府県や特定の都市で実施されており、労務管理の仕方や介護サービスの提供方法を学べる内容になっています。研修の詳しい内容や申し込み方は、各都道府県のWebページを確認してみましょう。

資格要件がない施設サービス

有料老人ホームやサ高住では管理職に就くための資格要件がないので、各施設の判断に委ねられています。実務経験や介護の資格がある人が優遇されやすい一方で、未経験や無資格でもマネジメント能力があれば採用する施設もあるようです。施設によっては採用後に研修や資格取得のサポートを行ってくれるので、安心して管理職を目指せます。

居宅サービスでの資格要件

介護の居宅サービスで管理者になるための条件があるのは、小規模多機能型居宅介護事業所と居宅介護支援事業所です。小規模多機能型居宅介護事業所で管理職になるには、グループホームと同じ資格要件を満たさなければなりません。また、居宅介護支援事業所で管理職になるには、主任介護支援専門員の資格が必須です。以前は介護支援専門員の資格があれば管理職に就任できましたが、省令が改正されて2021年4月1日からは主任介護支援専門員の資格が必要になりました。

デイサービスやショートステイ、訪問介護事業所では施設長や管理者になるための要件がなく、実務経験や保有資格の有無で判断している事業所が多いようです。

介護の管理職の主な仕事内容

施設形態によって若干の違いはありますが、介護の管理職は「ヒト・モノ・カネ」に関するマネジメント業務を行っています。施設長や管理者はほとんど現場に出ませんが、事務を中心に多種多様な業務を行えるので、やりがいを感じられる機会は多くあるはずです。ここでは、管理職が担当する業務や求められる役割をご紹介します。

介護スタッフの育成・採用

介護スタッフの育成や採用は、管理職にとって重要な仕事の一つです。提供する介護サービスの質を高めるためにも、優秀な人材を確保したり教育制度を充実させたりするのは欠かせません。人事がいる事業所でも、施設長や管理者が面接や人材育成に関わる機会は多いです。また、介護スタッフの職能に合わせた人員配置も管理職の仕事なので、面談やアンケートを通じて常に現場の状況を把握しておく必要があります。

施設の運営業務

管理職のマネジメント業務の中でも、施設の運営や経営は慎重に行わなければならない仕事です。施設運営に関わる介護保険法や厚生労働省の省令はときどき改正されるので、常に最新の内容を把握して届け出を行う必要があります。確認を怠ってしまうと、行政指導や処分の対象になってしまうので気をつけましょう。また、施設の運営業務の一環として、新規顧客獲得のための営業活動や広報活動も重要です。新しい利用者さんがいないと、施設の経営が赤字になりかねません。経営を良くするためにも、管理職には介護サービスの質を上げたり説明会を開いたりして、多くの人を呼び込めるように施設運営を行うことが求められます。

利用者さんやご家族からの相談対応

施設長や管理者といった管理職は、利用者さんの入居時と退去時にご家族を交えた話し合いを行い、適切な介護サービス提供のために健康状態やケアプランの確認を行います。必要に応じて入居中も相談業務を引き受けることがしばしば。提供している介護サービスや利用者の現状、担当の介護職員との関係性など相談の内容はさまざまです。ときにはクレームを入れられることもあるかもしれませんが、相談された内容は施設運営の糧にしましょう。

外部業者とのやり取り

外部業者への見積依頼や発注、来訪時の対応などは管理職が行うので、良好な関係が築けるようなやり取りを心掛けましょう。介護用品の販売会社や仕事で使う備品を卸してくれる業者は、施設長や管理者が決めることが多いです。利用者さんが快適に過ごせる環境を整えたり、介護職員が働きやすい職場づくりを行ったりするために、信頼できる業者を見つけましょう。ただし、管理職は施設の収支管理も行っているので、外部業者への依頼は予算の範囲内で行わなければなりません。施設の運営に関わるため、依頼する外部業者は慎重に選びましょう。

労働環境の整備

介護職員が働きやすいように労働環境を整備するのは管理職の責務です。職場内のハラスメント対策や残業を防ぐための業務改善、福利厚生の整備など労働環境を整えるためにさまざまな仕事をこなします。介護業界では慢性的な人手不足や過重労働が問題視されており、心身に悪影響が出てしまう職員も少なくありません。現場の状況を改善して、職員が定着しやすく健康的に働ける職場にすることが、管理職の仕事です。

収支管理

介護の管理職は、利用者さんとの契約や経費の管理といった収支管理も行います。介護事務がいない場合は、介護保険の請求を行うこともあるかもしれません。介護サービスの収入は利用者さんや介護保険から支払われる介護報酬から賄われており、職員の給料や施設の家賃といった支出の残りが利益になります。そのため、管理職は利益を増やせるように無駄な支出を減らすのも仕事です。

介護の管理職の平均年収

介護の管理職の年収は施設形態や法人格、事業所の規模などによって異なります。介護労働安定センターの「令和元年度介護労働実態調査」によると、管理者の1月あたりの平均所定内賃金は355,425円で、平均賞与額は748,659円です。つまり平均年収は約501万円と考えられます。管理者の平均所定内賃金が最も高い法人格は医療法人で、ひと月あたり670,176円です。介護保険サービス系型別では、入所型施設が月あたり446,466円で最も高く、次いで訪問系が316,992円で通所型施設が302,664円となっています。

一方で、平均賞与が高い法人格は社会福祉協議会・社会福祉法人・社団法人・財団法人で、100万円以上の賞与を支給しています。介護保険サービス系型別では入居型施設が最も平均賞与が高く、920,278円です。また、管理者の平均所定内賃金や平均賞与は、事業所の規模が大きくなるほど高くなる傾向にあります。つまり、介護の管理職に就任して高収入を得たいなら、ここで紹介した法人格が運営する大規模な入居型施設がおすすめです。

介護の管理職に必要なスキルと知識

介護の管理職の仕事は多岐にわたるため、介護職員に比べて必要なスキルや知識が多いです。管理職になるには、介護の知識やスキル・人柄・マネジメント能力が必要だと先述しましたが、ほかにも重要なスキルや知識があります。それぞれのスキルや知識についてまとめているので、介護で管理職へのキャリアアップを考えている方は参考にしてください。

マネジメント能力

介護の管理職になるにはマネジメント能力が必須です。管理職の仕事内容のほとんどはマネジメント業務なので、「ヒト・モノ・カネ」を管理する能力が高い人ほど向いています。施設をより良い環境にしたり、安定した経営を行ったりするためにはマネジメント能力が欠かせません。管理職に就任するときに研修を受けられますが、普段からマネジメントに関する本を読んだり経営や人材管理について勉強したりして、知識と技術を身に付けておくのが大切です。

リーダーシップ

管理職は施設のトップとして職員をまとめるために、リーダーシップが欠かせません。現場で働く介護職員の手本になれるように、実践的な介護スキルを身に付けましょう。管理職にリーダーシップがないと、介護職員から「口だけは上手い」「無茶な押し付けばかりする」と不満を持たれてしまうことも。現場の声に耳を傾けて、介護職員や利用者さんのことを考えた支持を心掛けましょう。また、現場に出る機会が少なくなっても、護の勉強を続けたり資格を取得したりすれば、勤勉な姿勢が伝わって介護職員から慕われやすくなる可能性があります。職員の指導を行う立場として、率先して模範的な介護職員の姿を見せましょう。

視野の広さ

管理職の仕事は多岐にわたるため、忙しくなって視野が狭くなってしまうこともあるかもしれませんが、施設全体の管理を行う立場として常に視野を広く持つ必要があります。介護の管理職は施設をより良い場所にするために、経営方針や年間目標を考えたり、職員の能力に見合った人員配置を行ったりしなければなりません。ほかにも収支管理や介護サービスの質の向上など、複雑で難易度が高い仕事をこなすには視野の広さが必要です。視野が広ければ現場の介護職員や利用者さんの要望を汲み取って、冷静に判断して対処できるようになります。

金銭管理能力

介護の管理職は施設経営に関わるので、金銭管理能力が求められます。特に有料老人ホームやサ高住といった民間の介護施設では、経営を安定させるために収支管理を行って利益を上げることが大切です。無駄な支出削減や人件費の見直しなど、必要に応じて収入と支出のバランスコントロールを行います。金銭管理能力が低いと経営が上手くいかず赤字になり、事業所が存続できなくなってしまうことも。最悪の事態を防ぐためにも管理職に金銭管理能力は必要です。支出が減らせないときに収入を増やすため、広報活動や営業活動を行って入居者を獲得するのも立派な収支管理といえます。

介護サービスや介護保険に関する知識

介護の管理職になるには、介護サービスや介護保険に関する知識が必須です。提供する介護サービスによって介護報酬が変わったり、介護保険法の内容が改正されたりすることがあるため、常に最新の内容を覚えておきましょう。管理職の元には介護職員や利用者さんからの要望が上がってきますが、中には法令に引っかかってしまうものもあります。できる限り要望を叶えたいと思うかもしれませんが、法令違反になると行政指導を受けたり、介護報酬の減額を受けたりすることがあるので注意してください。

介護の管理職のやりがい

介護の管理職の仕事は幅広く、マネジメント能力やリーダーシップ、介護に関する知識などさまざまな資質が求められる分やりがいを感じられる機会が多いです。たとえば、収支管理を徹底したうえで新規顧客を獲得できれば、事業所にとって大きな利益が生まれてやりがいを感じられます。ほかにも介護職員の教育制度の充実によって資格保有者が増えたり、介護サービスの質が向上したりすれば、自分のモチベーションアップに繋がるはずです。現場で働くよりも大きな責任が伴うため精神的なストレスを感じやすいですが、キャリアアップを目指す方や介護の専門性を高めたい方は管理職に向いています。

まとめ

管理職になるには介護の知識やスキルだけでなく、リーダーシップやマネジメント能力などさまざまな資質が求められます。施設形態によって管理職になるための要件が異なるので、キャリアアップを考えている方はしっかり確認しましょう。介護の管理職は責任の範囲が広く精神的な負担が大きい分、やりがいを感じられる仕事です。管理職にキャリアアップすると、専門性の高い介護知識を身に付けられたり現場で働く介護職員より高い年収が得られたりします。管理職という責任ある立場で介護の仕事に携わりたい方は、ぜひチャレンジしてみてください。

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