介護施設での看取り介護の知識と不安の解消法

介護の仕事 2021年10月8日
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両手で白い花を包むように持つ画像

利用者さまの死に直面する看取り介護に対して、不安な気持ちを持つ介護士さんは少なくありません。看取り介護は、利用者さまが最期の時間を幸せに過ごせるようサポートする大切な仕事です。辛いこともありますが、利用者さまやご家族が満足のいく最期を迎えられたとき、介護士としてやりがいを感じられます。この記事では、看取りの流れや看取り介護の不安を軽減する方法をご紹介。看取りに興味がある方はぜひご覧ください。

目次

看取り介護とは?

看取りとは、病状の回復が見込めない方に対し、無理な延命を行わずに自然に亡くなる過程を見守ることを指しています。看取りは、身体的・精神的苦痛を取り除く処置のみを行い、死を間近に控えた人が「尊厳のある死」を迎えられるように支援を行います。 

看取り介護とは看取りの過程で日常的な生活のケアを行うこと。具体的には、最期を迎える患者の意思を尊重し、日常生活の援助(食事や排泄など)を行います

かつての日本では、死期が近い人にも人工呼吸器をつけたり、たくさんの薬を投与したりして、「どんな状況でも長く生きさせる」という考え方が主流でした。しかし、最近では死が近い人が「最期に自分らしい時間を過ごすこと」を尊重する考え方が広まりつつあります。

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看取り介護とターミナルケアの違い

ターミナルケアは、死が近い人に対して、点滴などの医療・看護的なケアを行うこと。主に医療分野で使われる言葉です。

「看取り介護」は終末期に行われる介助や介護、「ターミナルケア」は終末期に行われる看護・医療行為と認識できます。

看取り介護の流れ

ここでは、看取り介護の流れを段階的にご紹介していきます。

入所期

利用者さまが施設に入所し、施設での生活に慣れてもらう段階。最期の過ごし方について本人や家族の希望を聞き取り、対応を確認します。

安定期

施設での生活に慣れ、状況が変化したときの希望を再確認している段階。利用者さまが自分らしい最期を迎えられるように準備を行います。

不安定期

食欲や体重の減少といった症状が見られ、衰弱が進んでいる段階。本人や家族に今後予想される状況や施設で提供できる医療について説明します。

終末期(死別期)

衰弱が進み、回復が見込めない段階。会わせておきたい人に連絡をとったり、最期のときに家族が立ちあえるように準備したりします。

看取り後

看取り直後は家族で過ごせる最後の時間です。遺族の気持ちに配慮しながら、医師や葬儀会社に連絡を行います。

看取り介護の具体的な内容

看取り介護は日常の介護の延長にありますが、具体的にはどんなことをするのでしょうか?

利用者へのケア

本人の希望を尊重しながら、必要な栄養や水分の補給を行います。食事介助のポイントは、利用者さまの意思に合わせて提供すること。「長生きして欲しいから」と本人が嫌がっているのに食事をとらせるのは、看取り介護のあり方に反します。

食事はあくまで本人の気持ちを尊重し、食べたいときに食べたい分だけ提供しましょう。また、利用者さまは嚥下機能が低下しているので、適切な食品の形態を選ぶことも重要です。

排泄のケア

排泄物からはそのときの健康状態が分かります。排泄物の回数や量、状態を観察し、記録をとりましょう。

排泄が困難な場合は医師に相談し、マッサージや浣腸を行うこともあります。

清潔の保持

入浴もしくは清拭を行い体の清潔を保ちます。清潔の保持は、最期まで人間らしく過ごすために欠かせないケアです。頭髪のケアや口腔ケア、朝の洗顔なども、普段と変わらず実施します。

苦痛の緩和

体が楽になる体位に調整するなど、苦痛を緩和させるケアを行います。呼吸が困難になると酸素不足で末端が冷えるので、足先を温めてあげましょう。

また、終末期は本人も精神的に不安になり、精神的に苦痛を感じることがあります。介護士さんは積極的に声かけをする、手を握るなどのスキンシップとり、できるだけ利用者さまの不安を軽減しましょう。

家族へのケア

看取り介護では、家族への配慮が欠かせません。状況を丁寧に説明したり、家族が休めるスペースを用意したり、家族の精神的なサポートも看取りスタッフの役割です。家族の希望を聞き取り、できる範囲で実現することが求められます。

看取り前のサポート

危篤時に家族や医師に連絡をとり、最期のときを迎える準備を行います。

介護士の心構えと不安の解消法

初めての看取り介護は分からない点や不安が多く、戸惑う人が少なくありません。

ここでは、介護士さんの不安を少しでも減らすために、看取りにあたって覚えておくと良い心構えと、不安解消のヒントをお伝えします。

介護士の心構え

看取りでは通常の介護とは異なる視点が必要です。たとえば、外出が難しい体調であっても、利用者さまの希望を叶えるためにお出かけする、といったことがあります。

慣れないうちは「いつもの介護と違って戸惑う」と感じますが、そんなときは看取りの目的を考えてみましょう。

看取りの目的は、利用者さまが自分らしい幸せな最期を迎えられようにサポートすること。回復という観点よりも、利用者さまやご家族の満足度を重視する姿勢が大切です。

不安の解消法

後悔のない看取り介護を行ったとしても、利用者さまの死にショックを受ける介護士さんは少なくありません。看取りの不安や看取り後のショックを和らげるには、下記のポイントを意識しましょう。

チームで助け合う

不安なことは同僚や先輩に相談し、1人で抱え込まないでください。緊急時のフローについて、看護師を含むスタッフで確認するなど、チームの結束は不安の軽減に有効です。自分自身も、悩んでいる職員がいたら話を聞くなど、支え合いを意識しましょう。

看取りの知識をつける

看取り介護の不安が大きいのは、看取りの経験・知識不足が大きな原因。看取りを経験したことがない場合は、先輩介護士に話を聞いたり、書籍で情報を集めたりしましょう。職場で看取りに関する研修があれば、ぜひ参加してください。

看取り後も話し合う

看取りが終わった後に、介護士仲間と看取り介護の感想を話してみましょう。辛かったことや嬉しかったこと、生前の利用者さまの様子などをスタッフ同士で話すのは、お互いにとって癒やしになります。

利用者の幸せをサポートしていると考える

看取り介護というと、「利用者さまが亡くなるまでのお世話」というイメージがあり、前向きな気持ちになれない介護士さんもいます。

そんなときは、看取りに対する考え方を変えるのがポイント。看取り介護は、利用者さまがその人らしく人生を全うできるようサポートする仕事です。どうすれば利用者さまが幸せな最期を迎えられるか考え、それが実現できれば、介護士としても「利用者さまを最期まで支えられた」という達成感を得られるでしょう。

まとめ

看取りは利用者さまやご家族の希望を叶え、納得のいく最期を迎える過程です。

介護士の役割は、本人の意思を尊重した介助や、不安を取り除くためのケアを行うこと。利用者さまの死に不安を感じる介護士さんも多いですが、利用者さまが幸せな最期を迎えられたときは「看取り介護をして良かった」と思えます。

看取り介護が不安なときは、職場の仲間に話を聞いてもらい、1人で悩まないことを意識しましょう。看取り後もスタッフ同士で振り返りを行うことで、精神的な回復を早める効果がありますよ。

また、就職・転職時には、見守りシステムや見守りロボットを導入している施設を選ぶのもおすすめです。見守りシステムや見守りロボットがあれば、利用者さまの部屋に入る前にイメージができるため、恐怖や不安感がいくらか軽減するようです。転職先を選ぶ際の参考にしてみてください。

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監修者

  • 小﨑 有惟

    社会福祉士/ケアマネージャー/介護福祉士

大学では社会福祉学科専攻。卒業後は、デイサービスセンターや特別養護老人ホームの生活相談員、介護福祉士として勤務し、多くの認知症高齢者や終末期ケアに携わる。その後、結婚を機に退職。現在は育児をしながら、介護にまつわる記事の執筆や監修などに力を入れている。

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