看取り介護の仕事を考える

ニュース 2016/07/08
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厚生労働省の国民統計によると、「できるだけ長く在宅で療養したい」と考える方が60%を超えるのに対し、人生の最期を実際に自宅で迎える方は、約12%という結果が出ているそうです。言い換えれば、その他の約80%の方は、病院や介護施設などで最期の時を迎えているということになるのです。
今回は介護の基本理念ともいえるQuality of Lifeの観点で、人生の終局である「看取り」について考えると共に、看取りケアにあたる介護職員に求められていることについても考えてみましょう。


看取り介護とは何か


介護の基本、それは「介護を受ける方の尊厳の保持」です。
高齢社会においては「高齢の方の尊厳を支えるケアの実現」…つまり、介護が必要となっても自分らしい生活を自分の意思で送ることができるようにすることである、と言えるかもしれません。
では、看取り介護とは何でしょうか?
「尊厳を支えるケア」という観点でそれは、その人がその人らしく生き、その人らしい最期を迎えることができるための支援、ということができるのではないでしょうか。


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看取り介護に必要なこと


「自分が望む場所で過ごすこと」は、生活介護と同様、看取りケア(ターミナルケア)においてもQOLの重要な要素です。
そのため、看取りケアを行う場所は、自宅であれ施設であれ、充実した余生を送るための場として、介護を受ける方や家族の望みになるべく寄り添うよう、QOLの高い支援を行うことが求められています。
終末期をどのように過ごし、どのように死を受け止めるかということには、様々な価値観があるため、介護を受ける方自身と家族の意向をそれぞれ確認する必要があるのです。

看取り介護の内容


看取り介護には、身体的なケアとメンタル面を支えるためのケアがあり、介護を受ける方や家族の必要に応じて、調和の取れたケアプランを作成する必要があります。

ボディケア


介護を受ける方の身体的なケアには、次のような内容が含まれます。
・バイタルサインの確認
・環境整備
・栄養と水分補給
・排泄ケア
・発熱・痛みなどへの対処

メンタルケア


看取り介護においては、介護を受ける方の不安を軽減し、気持ちの安定を図るために、身体と同じかそれ以上に心のケアが大切であるとされています。
・精神的な安定のための身体的苦痛の緩和
・医師の指示に基づく適切な医療・看護処置
・会話や語りかけ、スキンシップを含む交流
・家族を支えるための支援…身体的・精神的負担軽減への配慮など
・コミュニケーションを取りやすい環境作り
・家族や親族への連絡対応
・介護を受ける方と家族の希望や相談への対応
・看取り後の援助・フォロー

看取り介護の流れ


次に、看取り介護の流れについて、時期を追って考えてみましょう。
看取り介護は、日常的なケアの延長線上にあるものとして捉えられています。介護を受ける方や家族にとって納得のいく最期を迎えられるように、以下のことが行われます。
・医学的な見地による現在の状態の説明
・本人および家族の要望や気持ちのヒヤリング
・施設の医療体制についての説明
・最期の時の対応についての確認
・亡くなった時の連絡先、葬儀についての相談
・なるべく本人の望みを最優先にした食事を提供するなどの配慮
・会いたい人に会うことができるための連絡や日程の調整
・できる限り最期の時をご家族に看取られることを目ざした最大限の配慮
・看取り後の対応―死亡届の作成、葬儀会社へ手配など
・家族を亡くした遺族のためのケア
いよいよ「死」が現実的に迫っている時期に入ると、本人や家族の心がまえも必要です。不安な気持ちから心が揺れたり、決定したことに対する葛藤や迷いが生まれたり、考えが変わったりすることもあるため、そのような状況を十分に踏まえて対応する必要があるでしょう。

看取り介護にあたる介護職員に必要なこと


看取りという非常に重要な局面に立ち会うことになる介護職員に求められているのはどのようなことでしょうか?
介護において最も大切だとされているのは「コミュニケーション」ですが、それは看取りの場面でも同じです。介護を受ける方や家族に寄り添う気持ちを表明すること、なるべく穏やかで居心地のよい環境を提供することを目指すこと、その積み重ねによって信頼関係を構築することは、誰かの人生を支援し、暮らしを支え、生き抜くためのサポートをするためには欠かすことのできないプロセスではないでしょうか。
見取り介護にあたる介護スタッフに求められていること、それは、介護のプロとして「今自分にできる最大限のことは何か」を判断し、実行することです。
そのためには、何をいつ行ったらよいかという状況への適切な配慮と、介護に関する専門的な知識と技術が必要です。また、身体介助においてもメンタルケアにおいても、より柔軟で丁寧な対応が求められるでしょう。
さらに重要なこととして、スタッフ自身もメンタル的なケアが必要だということは覚えておきたいところです。これまで家族同様に接してきた方を見送り、「死」を受け入れる必要があるため、看取り後のカンファレンスでは、スタッフ同士で気持ちを共有する時間を持つことにしているという施設も多いようです。


今回は、介護サービスを行うスタッフの立場から、看取り介護について考えました。
看取り介護とは、介護の基本理念であるQOLを実践する場であり、ケアを受ける方が充実した最期を過ごすことができるようにするための支援であると共に、残された遺族に対するケアや支援であるということも、特筆すべき点といえるでしょう。

参照:厚生労働省「参考資料」
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000105vx-att/2r98520000010l2r.pdf

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