この記事のまとめ
- 2022年時点の介護職員の平均給与は、31万7,540円
- 介護職員の給与は、保有資格や勤続年数、働く地域によって異なる
- 介護職員の給料は臨時の補助金や介護報酬のプラス改定で上がる見込み
「介護職員の給料って安いの?」「介護職員の給料は今後上がる?」と気になる方もいるでしょう。介護職員の給与は全業種の平均より低いのが現状ですが、処遇改善のための取り組みが進められています。この記事では、介護職員の平均給与や年収を解説。保有資格や勤続年数、働く地域などによって給与はどう違うのかを、表にまとめました。「介護職員の給料事情を詳しく知りたい」という方は参考にしてください。
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目次
介護職員の平均給与はどれくらい?
介護職員の平均給与を以下でご紹介します。「介護職員はどのくらいの給料がもらえるの?」と気になっている方は確認してみましょう。
介護職員の平均給与額
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」を参考に、介護職員の平均基本給、平均給与額(月収)、平均年収をまとめました。
勤務形態 | 平均基本給額 | 平均月収 | 平均年収 |
常勤 | 18万6,190円 | 31万7,540円 | 381万480円 |
非常勤 | 13万7,790円 | 20万9,540円 | 251万4,480円 |
参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p172)(p122)」
介護職員の平均給与(月収)は、常勤の場合は約32万円、非常勤の場合は約21万円です。なお、平均月収は、「基本給(月額)+手当+一時金(1月~12月支給金額の1/12)」で計算された、各種手当やボーナスを含む金額。平均年収は、「平均月収×12」で算出しています。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2023年11月9日)
介護職員の平均的な手取りの月給
「実際、介護職の手取りはいくらぐらいなの?」と気になる方もいるでしょう。Leverages Medical Careの「きらケア介護白書2022(p21)」によると、正社員の介護職員の手取り月給は「15万円~20万円未満」が38.5%、「20万円~25万円未満」が36.4%、「25万円~30万円未満」が11.8%となっています。
引用:Leverages Medical Care「きらケア介護白書(p21)」
正社員として働く介護職員の80%以上は、手取り月給が25万円未満という結果でした。
介護職員の平均的な賞与額
同資料(p23)によると、介護職員の賞与額の調査結果は下記のとおりでした。
引用:Leverages Medical Care「きらケア介護白書2022(p24)」
引用:Leverages Medical Care「きらケア介護白書2022(p23)」
介護職員の夏のボーナスは、「10万円~20万円未満」が33.5%と最も多く、冬のボーナスは「20万円~30万円未満」が30.6%で最も多くなっています。1年間に30万円~50万円、基本給の2ヶ月分ほどのボーナスが支給される介護職員が多いようです。
介護職員の賞与について詳しく知りたい方は、「介護職のボーナス平均額を調査!経験年数や施設形態で賞与はいくら変わる?」の記事を参照してください。
出典
Leverages Medical Care「きらケア介護白書2022」(2023年11月9日)
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男女別・年齢別:介護職員の平均月収・平均年収
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p163)」によると、介護職員の平均給与は、男性は33万4,250円、女性は30万8,880円です。介護職員の男女別・年齢別に見た平均給与は、以下の表でご確認ください。
男性介護職の年齢階級別平均給与
年齢階級 | 平均給与(月収) | 平均給与(年収) |
29歳以下 | 29万50円 | 348万600円 |
30~39歳 | 33万7,360円 | 404万8,320円 |
40~49歳 | 35万9,180円 | 431万160円 |
50~59歳 | 33万9,040円 | 406万8,480円 |
60歳以上 | 27万9,880円 | 335万8,560円 |
参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p163)」
女性介護職の年齢階級別平均給与
年齢階級 | 平均給与(月収) | 平均給与(年収) |
29歳以下 | 28万3,150円 | 339万7,800円 |
30~39歳 | 30万9,070円 | 370万8,840円 |
40~49歳 | 31万8,630円 | 382万3,560円 |
50~59歳 | 31万7,030円 | 380万4,360円 |
60歳以上 | 29万1,090 円 | 349万3,080円 |
参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p163)」
介護職員の平均給与額を男女別に見ると、男性の方が給与が高い傾向にあると分かります。
40~49歳の介護職員の平均給与が最も高い
介護職員の平均給与を年齢別に見ると、男性・女性ともに40〜49歳の年代で、最も高くなっています。基本的には、勤続年数が長くなるに従って給与が高くなる傾向にありますが、60歳前後になると減少するようです。
60歳以上の平均給与が低い原因としては、体力的な負担から夜勤に入る頻度が減り、手当をもらえなくなることが挙げられます。また、定年を迎え、非正規雇用社員になることで給与が下がる可能性もあるでしょう。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2023年11月9日)
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資格別:介護職員の平均月収・平均年収
同資料(p157)によると、介護職員(常勤・月給)の保有資格別の平均給与は以下のとおりです。
保有資格 | 平均給与(月収) | 平均給与(年収) |
無資格 | 26万8,680円 | 322万4,160円 |
介護職員初任者研修 | 30万240円 | 360万2,880円 |
介護福祉士実務者研修 | 30万2,430円 | 362万9,160円 |
介護福祉士 | 33万1,080円 | 397万2,960円 |
介護支援専門員(ケアマネジャー) | 37万6,770円 | 452万1,240円 |
社会福祉士 | 35万120円 | 420万1,440円 |
参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p157)」
介護職員の平均給与を保有資格別に比べると、ケアマネジャーが最も高収入であると分かります。
専門性の高い資格を保有する人の平均給与が高い
介護の資格は、「介護職員初任者研修→介護福祉士実務者研修→介護福祉士→ケアマネジャー」の順に、専門性や取得の難易度が上がります。より専門性の高い資格を取得することで、施設側にスキルを評価されるので、給与アップが可能です。
無資格の方は、初任者研修を取得すれば、月収がおよそ3万円増える計算に。年収36万円アップを目指せるので、資格取得を検討してみるのがおすすめです。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2023年11月9日)
施設形態別:介護職員の平均月収・平均年収
介護職員の給与は、働く介護施設の種類によっても異なります。同資料(p122)をもとに、常勤・月給で働く介護職員の施設別の平均給与をまとめました。
施設形態 | 平均給与(月収) | 平均給与(年収) |
介護老人福祉施設 | 34万8,040円 | 417万6,480円 |
介護老人保健施設 | 33万9,040円 | 406万8,480円 |
介護療養型医療施設 | 27万6,400円 | 331万6,800円 |
介護医療院 | 32万700円 | 384万8,400円 |
訪問介護事業所 | 31万5,170円 | 378万2,040円 |
通所介護事業所 | 27万5,620円 | 330万7,440円 |
通所リハビリテーション事業所 | 30万4,790円 | 365万7,480円 |
特定施設入居者生活介護 | 31万3,920円 | 376万7,040円 |
小規模多機能型居宅介護事業所 | 28万7,970円 | 345万5,640円 |
認知症対応型共同生活介護事業所 | 29万1,080円 | 349万2,960円 |
参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p122)」
介護職員の平均給与を施設別に見ると、最も高いのは、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)でした。
入所型介護施設は通所型介護施設より平均給与が高い
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設などの入居型の介護施設の給与は、通所介護事業所(デイサービス)といった通所型の介護施設や、訪問介護事業所の給与より高い傾向にあります。
入居型の介護施設は、利用者さんの介護度が高いことが多く、その分有資格者の介護職員が多い場合も。また、入居型の介護施設には24時間介護職員が常駐するので、夜勤を行えばその分の夜勤手当が付くこともあり、平均給与が高くなっていると考えられます。
転職で給与を重視する場合は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設の求人に注目すると、高給与の転職先が見つかる可能性があるでしょう。ただし、介護施設は運営する法人によって給与水準が変わるので、事前のリサーチが重要です。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2023年11月9日)
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勤続年数別:介護職員の平均月収・平均年収
同資料(p139)を参考に、介護職員(常勤・月給)の勤続年数別の平均月収と平均年収をまとめたのでご覧ください。
勤続年数 | 平均月収 | 平均年収 |
1年(勤続1年~1年11ヶ月) | 28万550円 | 336万6,600円 |
5年(勤続5年~5年11ヶ月) | 30万5,970円 | 367万1,640円 |
10年(勤続10年~10年11ヶ月) | 32万2,990円 | 387万5,880円 |
15年(勤続15年~15年11ヶ月) | 34万2,590円 | 411万1,080円 |
20年以上 | 37万1,640円 | 445万9,680円 |
参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p139)」
介護職員の平均月収は、勤続年数が5年長くなると、およそ2万円上がるようです。このことから、勤続年数は介護職員の給与を決める大事な要素だと分かります。
勤続年数に応じて平均給与は上がる
勤続1年と勤続5年の介護職員の平均給与を比べると、2万5,000円以上の差があります。これは、介護職員として3年以上働いていると、介護福祉士を取得する人が多いからかもしれません。「資格別:介護職員の平均月収・平均年収」で述べたように、介護職員の給与は保有資格によって異なるので、勤続1年から勤続5年の給与の上がり幅は大きくなっているようです。
また、全体を見ても、勤続年数が上がれば介護職員の平均給与は上がっているので、毎年の昇給がある職場は多いと考えられます。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2023年11月9日)
介護職員の平均年収が高い都道府県はどこ?
職業情報提供サイト(日本版O-NET)の「施設介護員」の統計データを参考に、介護施設で働く職員の都道府県別の平均年収をまとめました。なお、データは2021年に調査したものを使用しています。介護職員の平均年収が高い都道府県と低い都道府県は以下のとおりです。
施設介護員の平均年収が高い都道府県 | 施設介護員の平均年収 | |
1位 | 神奈川県 | 405万2,000円 |
2位 | 大阪府 | 402万円 |
3位 | 岐阜県 | 399万7,000円 |
参考:職業情報提供サイト(日本版O-NET)「施設介護員」
施設介護員の平均年収が低い都道府県 | 施設介護員の平均年収 | |
1位 | 沖縄県 | 288万2,000円 |
2位 | 宮崎県 | 295万5,000円 |
3位 | 山形県 | 300万6,000円 |
参考:職業情報提供サイト(日本版O-NET)「施設介護員」
関東地方や近畿地方は、介護職員の平均年収が高い傾向にあります。人口や高齢化率によって介護職員の需要が違うことや、自治体が独自の取り組みを行っている場合があることから、介護職員の年収には地域差があるようです。
施設で働く介護職員の年収が高い地域と低い地域を比べると、平均年収の差は100万円以上になります。給与を大幅に上げたい人は、都市部への通勤や転居を視野に入れて転職を考えても良いかもしれません。
都道府県ごとの平均年収は調査する年によって異なるので、あくまで参考としてご覧ください。
出典
職業情報提供サイト(日本版O-NET)「施設介護員」(2023年11月9日)
介護職の給料は安すぎるって本当?
介護業界は「給料が安い」といわれることがあるようです。実際に、介護職員の給料はほかの仕事と比べて安いのかを、以下で確認してみましょう。
介護業界とほかの業界の平均給与を比較
国税庁の「民間給与実態統計調査結果の概要(p20)」をもとに、業種別の平均給与をまとめました。
業種 | 平均年収 |
全体平均 | 458万円 |
医療・福祉 | 409万円 |
建設業 | 529万円 |
製造業 | 533万円 |
卸売業、小売業 | 384万円 |
宿泊業、飲食サービス業 | 268万円 |
金融業、保険業 | 656万円 |
不動産業、物品賃貸業 | 457万円 |
運輸業、郵便業 | 477万円 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 747万円 |
情報通信業 | 632万円 |
学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業 | 544万円 |
医療、福祉 | 407万円 |
複合サービス事業 | 506万円 |
サービス業 | 377万円 |
農林水産・鉱業 | 337万円 |
参考:国税庁「民間給与実態統計調査結果の概要(p20)」
業界別に見ると医療・福祉業界の平均給与が特別低いわけではありません。ただし、医師や看護師などの医療職が平均値を上げている部分はあるでしょう。実際の介護職員の平均年収を、前述の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p122)」をもとに計算すると、約381万円(常勤)です。
また、「民間給与実態統計調査結果の概要(p8)」によると、正社員(正職員)の平均年収は約523万円でした。これらの結果から、介護職員の平均年収は、全業種の平均よりも140万円ほど低い状況だと考えられます。
出典
国税庁「民間給与実態統計調査結果」(2023年11月9日)
介護職員とほかの職種の平均給与を比較
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p119)」によると、介護事業所に勤務する職員(常勤)の職種別の平均給与は以下のとおりです。
職種 | 平均月収 | 平均年収 |
介護職員 | 31万7,540円 | 381万480円 |
看護職員 | 37万3,750円 | 448万5,000円 |
生活相談員・支援相談員 | 34万2,330円 | 410万7,960円 |
理学療法士、作業療法士言語聴覚士、機能訓練指導員 | 35万4,770円 | 425万7,240円 |
介護支援専門員(ケアマネジャー) | 36万1,770円 | 434万1,240円 |
事務職員 | 30万7,960円 | 369万5,520円 |
調理員 | 26万90円 | 312万1,080円 |
管理栄養士・栄養士 | 31万6,320円 | 379万5,840円 |
参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p119)」
国家資格である理学療法士・作業療法士・言語聴覚士や看護職員と比べると、介護職員の平均給与は低いようです。一方で、事務職員、調理員、管理栄養士・栄養士よりは平均給与が高いという結果でした。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2023年11月9日)
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介護職の給料が安すぎるといわれる理由とは?年収をアップする方法も解説
介護職員は現状の給料に満足している?
介護職員は今の給料に満足しているのか、データをもとに見ていきましょう。
60%の介護職は給料に不満がある
Leverages Medical Careの「きらケア介護白書2022(p25)」を参考にして、介護職員の収入に対する満足度を確認してみましょう。
引用:Leverages Medical Care「きらケア介護白書2022(p25)」
正社員として働く介護職員のうち33.5%が、「やや不満」、32.1%が「不満」と、60%以上の方が今の収入に不満を感じているようです。
非正規雇用の介護職員を見ても、28.9%が「やや不満」、22.7%が「不満」と、半数以上が納得のいく収入を得られていないという結果でした。
介護職員が希望する給料アップの金額
同資料(p26)によると、収入に関して不満のある介護職員の6割以上は、3万円~7万円の月給アップを希望しています。現状の介護職(常勤)の基本給は18万6,190円のため、基本給を21万円~25万円は支給してほしいと思っているようです。
介護職員は、寝たきりの利用者さんを抱えたり、急変時の対応を行ったりします。体力的・精神的な負担が大きい仕事なので、「ちゃんと労働に見合った給料が欲しい」と感じる方は少なくありません。
出典
Leverages Medical Care「きらケア介護白書2022」(2023年11月9日)
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介護職で年収500万円を目指せる?高給与の施設へ転職した事例も紹介
介護職員の給料が低くなる理由はなぜか?
介護職員の給与がほかの業種よりも低い傾向にあるのはなぜでしょうか?その理由には、介護業界の給与の仕組みが関係しています。以下で解説しているので、ぜひご一読ください。
介護報酬は上限が定められているから
介護施設や訪問介護事業所は、基本的に介護報酬から経費や職員の給与などの運営費を支払います。介護報酬は、介護保険制度により上限が定められているので、介護事業所の使える人件費はあまり多くない場合も。介護事業所は、介護報酬で運営費をまかなう必要があるため、介護職員の給与が低くなってしまうことがあるようです。
介護報酬とは、介護サービスを提供する対価として国から介護事業所に支払われるお金のことです。その内の1割~3割は利用者さんが負担して、残りは保険料と公費から捻出されます。介護報酬を増額すると、利用者さんの自己負担額や介護保険料、税金といった国民の金銭的な負担が増えてしまうので、介護職員の給与改善を進めるのは簡単ではないようです。
介護職は専門性が低い仕事だと誤解されているから
「介護職員の給料は低い」という印象があるのは、専門性が低い仕事だと誤解されているのも理由の一つといえるでしょう。介護職は、無資格・未経験から働ける仕事なので、専門性が低い仕事と思われていることがあります。
しかし実際のところ、介護職は利用者さんに適した介護サービスを提供するための経験やスキルが必要な仕事です。ただ、介護業務は「企業の売り上げに直結する」といった客観的に分かりやすい成果を挙げられません。能力評価の制度が整備されていない場合、介護職のスキルが適切に評価されず、給与が低く設定されてしまうおそれがあります。
パートやアルバイトの介護職は昇給が難しいから
介護業界は、パートやアルバイトなどの非正規雇用職員が数多く活躍しています。非正規雇用職員は、正社員に比べて昇給制度や福利厚生を受ける環境が整っていないのが現状。昇給が難しく、給料が低くなってしまうこともあるでしょう。実際に、非正規雇用職員の平均給与は、正社員の平均給与と比べて10万円ほど差が開いています。
介護職員の給料は今後どうなるの?
「介護職員の給料は今後どうなるの?」と気になっている方もいるでしょう。介護職員の待遇は定期的に見直されています。
介護職員の待遇は改善されつつある
介護職員の給与がどのように推移しているのかを見てみましょう。
常勤の平均給与(月収) | 前年からの増加額 | |
2016年9月 | 28万9,780円 | ー |
2017年9月 | 29万7,450円 | 7,670円 |
2018年9月 | 30万970円 | 3,520円 |
2020年9月 | 31万5,850円 | 1万4,880円 |
2021年9月 | 31万6,610円 | 760円 |
2022年9月 | 31万7,540円 | 930円 |
参考:厚生労働省「介護従事者処遇状況等調査:令和4年度(p119)、令和3年度(p144)、令和2年度(p128)、平成30年度(p65)、平成29年度(p58)、平成28年度(p61)」
厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(p5)」によると、2021年度に前年度より給与を引き上げた介護事業所は49.7%でした。また、「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p9)」によると、2022年度に前年度より給与を引き上げた介護事業所は80.5%にのぼりました。
国は介護職員の確保や定着を促進するために「介護職員処遇改善加算」や「介護職員等特定処遇改善加算」を設けて、介護職の待遇改善のための政策を行っています。そのため、介護職員の給与は増え続けているようです。
表に示した平均給与は、年度ごとに調査対象者が異なるので、参考程度にご覧ください。
出典
厚生労働省「介護従事者処遇状況等調査:結果の概要」(2023年11月9日)
▼関連記事
介護職員処遇改善加算って何?という方に!わかりやすく簡単に解説します!
介護職員処遇改善加算の対象職員とは?誰の給料がアップするのか解説します
2022年の介護報酬改定で約9,000円アップ
2022年2月から、介護職員のベースアップ(基本給の賃上げ)のための「介護職員処遇改善支援補助金」の支給が開始されました。厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(p12)」によると、2021年12月の介護職員(常勤)の平均月収は30万990円でしたが、2022年9月には31万7,540円に。わずか1年で、1万6,550円の給与アップが実現しています。このうち、ベースアップ等に該当する賃金は、9,210円増加という結果でした。参考にしたのは、2021年末と2022年末ともに在籍している介護職員の平均給与を比較したデータです。
「介護職員処遇改善支援補助金」で行った賃上げを継続するために、2022年10月に「介護職員等ベースアップ等支援加算」が新設されました。対象となるのは、介護職員処遇改善加算l~lllのいずれかを取得している介護施設や事業所です。
岸田首相が分配戦略として明言していたように、介護職員1人につき月額9,000円相当(収入の3%程度)の給与引き上げを目標として、ベースアップ等支援加算が支給されています。賃上げの対象となるのは介護職員ですが、事業所の判断によって、ほかの職種の処遇改善に介護報酬を利用することも可能です。
ただし、賃上げ効果が継続するように、加算額の2/3は介護職員の給与の引き上げに使用すると定められています。加算を取得している事業所で働く介護職員は、2022年に給与がアップしたようです。
出典
厚生労働省「福祉・介護職員の処遇改善 」(2023年11月9日)
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2023年11月9日)
一部の介護施設では物価高騰の影響で昇給見送り
物価や電気・ガス・水道などの光熱費の高騰により、介護職員の昇給や施設運営に影響が出ている職場もあります。介護人材政策研究会の「物価・光熱水費等の高騰による介護施設・事業所への影響調査について(p12)」によると、約3割の介護事業所が物価や光熱水費高騰による事業継続への危機を感じているようです。
物価や光熱費の高騰により、介護職員への昇給や賞与支給の減額・見送りをした事業所が27.3%ありました。
出典
一般社団法人介護人材政策研究会「「物価・光熱水費等の高騰による介護施設・事業所への影響調査」結果の公表について」(2023年11月9日)
2024年の介護報酬はプラス改定で実施予定
2024年度の改定で、介護報酬が1.59%引き上げられる方向で調整が進んでいます。障害福祉サービス事業所への報酬は1.12%のプラス改定となる見込みです。
高齢化が進むなか、日本の介護業界を十分に機能させるためには、人員の確保が必要です。これまでも介護職員の賃上げ政策は行われてきましたが、物価や光熱費の高騰と他業界への人材流出が深刻で、さらなる賃上げが求められていた最中でした。改定率が1%を上回るのは平成12年度ぶりで、大幅なプラス改定となる見込みです。
詳しくは「2024年に介護職員の給料は上がる?賃上げの対象者や介護報酬改定を解説」の記事をご覧ください。
2024年2月から介護職に6,000円の賃上げを予定
厚生労働省は、2024年2月から介護職員1人あたり6,000円の賃上げを行うための補助金を支給することが決まりました。賃金水準による介護職員の離職を重く受け止め、2024年度の介護報酬改定までの期間の処遇改善措置として進める予定です。支給対象には看護助手も含まれます。
政府のデフレ完全脱却のための総合経済対策には介護職の賃上げも盛り込まれており、介護報酬改定を待たずに賃上げが実施される形です。
介護職員の年収アップの方法とは?
介護職員は、資格を取得したり夜勤の回数を増やしたりすることで、年収アップが可能です。ここでは、介護職員が給与を上げる方法を解説しているので、チェックしてみてください。
介護福祉士などの資格を取得する
「資格別:介護職員の平均月収・平均年収」でご紹介したとおり、専門性の高い資格を保有する介護職員ほど給与が高い傾向にあります。資格に応じて資格手当が付くだけではなく、専門的な資格があれば昇給のチャンスも増えるでしょう。
年収アップを目指す方は、介護福祉士の取得を目標にするのがおすすめです。ただし、介護福祉士は受験に際して一定の実務経験が求められます。介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修などの資格を取得してから、介護福祉士を目指すと、徐々に給与を上げていけるでしょう。資格取得支援制度のある介護施設を選べば、働きながら資格を取得しやすいといえます。
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夜勤の回数を増やす
特別養護老人ホームや介護老人保健施設、グループホームといった入居型の介護施設は、24時間体制で介護を提供しているため、夜勤のシフトがあります。夜勤をすると夜勤手当が支給される分、給与は高くなるようです。そのため、介護職員は、夜勤の回数を増やせば給与を上げることができます。
常勤の介護職員は月に4〜5回ほど夜勤に入るのが一般的。夜勤1回につき3,000円〜6,000円前後の夜勤手当が支給されるので、夜勤の回数を増やせば給与が増える仕組みです。なかには、少ない勤務回数で高収入を得られる夜勤専従として働く介護職員もいます。
ただし、夜勤が多いと生活リズムが乱れやすかったり体力的な負担が大きかったりするので、自身の状況に合わせて夜勤回数を調整して、無理なく働くことが大切です。
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介護士の夜勤専従は月何回まで働けるの?メリット・デメリットも紹介
管理職へキャリアアップする
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p136)」によると、管理職の介護職員(常勤)の平均月収は35万6,570円、管理職でない介護職員の平均月収は30万8,070円でした。管理職とそれ以外の介護職員には約5万円の給与差があるという結果です。
給料を上げたい介護職員は、主任やリーダー、管理者、施設長へのキャリアアップを目指すのも良いでしょう。管理職は責任が大きい面もありますが、やりがいのある仕事です。施設の種類や運営方針によって、管理職になるための資格要件などが定められていることもあるので、事前に確認しておきましょう。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2023年11月9日)
ケアマネジャーや生活相談員を目指す
「介護職員とほかの職種の平均給与を比較」で職種別の給与をご紹介したように、ケアマネジャーは介護職員より4万4,230円、生活相談員・支援相談員は介護職員より2万4,790円、平均給与が高くなっています。ケアマネジャーや生活相談員になるためには要件があり、ハードルはやや高いですが、将来的なキャリアパスとして視野に入れておくと良いでしょう。
すでに介護福祉士を取得している方は、5年間実務経験を積めばケアマネの受験資格を得られます。生活相談員は、実務経験があれば無資格の方もなれる場合があるので、地域の要件を確認してみてください。
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勤続年数を重ねる
「勤続年数別:介護職員の平均月収・平均年収」で前述したように、介護職員は、勤続年数を重ねると昇給する傾向にあります。長期的な目で見ると、同じ事業所で長く働けば、給与は上がる可能性が高いでしょう。勤続年数を重ねれば、任される仕事が増えて、昇進・昇格につながるチャンスも得られます。
ただし、勤続しても昇給幅が小さい職場もあるので、長く働くビジョンが見えない方は転職を視野に入れるのがおすすめです。
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給料アップが見込める施設に転職する
給料アップを目指す介護職員は、転職するのも一つの手です。「なかなか昇給しない…」「基本給が安すぎる…」という悩みを抱えている場合は、ほかの施設に転職することで解決できるかもしれません。
給与体系が定まっていて評価にしっかり連動する介護施設や、毎年必ず昇給する施設、基本給が高い施設、賞与が多く出る施設などもあります。「日勤のみから夜勤ありの働き方ができる職場に変える」「資格手当の金額が高い施設を選ぶ」など、手当を増やす戦略も。給与に関する情報をしっかり確認してから転職したい方は、介護業界に特化した転職エージェント「レバウェル介護(旧 きらケア)」にご相談ください。
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介護職の給料に関するよくある質問
ここでは、介護職の給料に関するよくある質問に回答します。「なかなか給料が上がらない…」と悩む介護職員は参考にしてください。
介護職が年収500万円を稼ぐにはどうしたらいい?
年収が400万円程度の平均的な収入の介護福祉士が年収500万を達成するには、月に8万円~9万円ほどの収入アップが必要です。夜勤の回数を増やして夜勤手当を増やしたり、役職について役職手当をもらったりすることで、給与アップは可能。それでも目標の収入を得るのが難しい場合は、副業という選択肢もあります。介護職の副業については、「介護職におすすめの副業8選!給与アップやダブルワークのポイントを解説」の記事も参考にしてください。
2023年に介護職の給料は上がる?
介護職員の給与は、2022年のベースアップで月額9,000円アップしました。現在は、2024年の介護報酬改定に向けて介護職の給与について政府で議論中です。なお、2023年中に給与が上がるという情報は出ていません。今後も政府の動向をチェックして、介護職員の給与について確認していきましょう。
まとめ
2022年時点の介護職員の平均給与は、常勤が31万7,540円、非常勤が20万9,540円です。同じ介護職員として働いていても、給与は人それぞれ違います。介護職員の給与を決める要因は、勤続年数や年齢、保有資格の種類、施設形態など。働く都道府県によっても介護職員の給与は変わります。
介護職員の給与は、全業種の平均よりも低い傾向にあり、収入に不満を抱える方も少なくありません。最近は処遇改善が進められていて、介護職員の給与は増えつつあります。介護業界の人員確保のためには待遇の改善が必要なので、今後も給与に関する議論は活発に行われるでしょう。
「給料を増やしたい」という介護職員は、資格の取得や管理職へのキャリアアップを目指すのがおすすめです。今の職場では目標の収入を得られないという場合は、転職するという選択肢もあります。
「もっと給料の良い職場に転職したい」「介護の仕事を始めたいけど、給料が低いと聞いて不安…」という方は、レバウェル介護(旧 きらケア)の利用がおすすめです。レバウェル介護(旧 きらケア)は、介護業界の求人を専門に取り扱っているので、求人数が多く、さまざまな転職先をご提案することができます。
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実
元介護士ライター
グループホームに2年、訪問介護事業所に3年勤務。多くの高齢者や、障害のある方の介護に携わる。訪問介護事業所では、サービス提供責任者の業務も担当した。2022年に介護福祉士を取得。現在は、知識や経験を活かして、介護職員の方に役立つ情報を発信している。