この記事のまとめ
- 小規模多機能型居宅介護とは通い・訪問・泊まりの3つの機能を持つサービス
- 小規模多機能型居宅介護施設での主な仕事内容は、身体介助や日常生活支援
- 働くメリットは、少人数制のため利用者さまに寄り添った介護ができること
小規模多機能型居宅介護の仕事内容について知りたい方も多いでしょう。小規模多機能型居宅介護は「通い」「訪問」「泊まり」の3つの機能を持つサービスです。介護士は利用者さまの送迎や身体介助、体調管理などを行います。この記事では、具体的な仕事内容と働くメリット、おすすめの資格についてまとめました。自分に合った施設形態を探るためにも、ぜひチェックしてみてください。
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目次
小規模多機能型居宅介護とは?
小規模多機能型居宅介護施設とは、通い・訪問・宿泊の3つのサービスを提供する施設です。具体的なサービス内容は、身体介助やレクリエーション、機能訓練など。地域密着型の施設として、「住み慣れた地域で介護を受けながら生活したい」という利用者さまのニーズに対応したサービスです。
施設形態の特徴
小規模多機能型居宅介護は在宅生活を支援する目的で、利用者さまの状況や要望、ライフスタイルに沿ったサービスを提供しているのが特徴です。
厚生労働省の「小規模多機能型居宅介護」によると、1事業所の登録定員は29名以下。介護職員の人員配置は、通いサービスの場合は利用者さま3人に対して常勤が1人以上、訪問サービスは常勤が1人以上となっています。夜間帯は宿泊や訪問の状況によって異なることがありますが、泊まりと訪問対応合わせて2人以上、そのうち1人が当直可です。
出典
厚生労働省「第179回社会保障審議会介護給付費分科会(オンライン会議)資料」(2024年1月24日)
サービスの対象者
小規模多機能型居宅介護サービスの対象者は、要介護認定を受けていて事業所と同じ自治体に住んでいる方です。要支援1から要介護5まで、幅広い介護度の方が利用しています。厚生労働省の「どんなサービスがあるの? – 小規模多機能型居宅介護」によると、原則として居住地以外の市区町村のサービスは利用できません。
出典
厚生労働省介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの? – 小規模多機能型居宅介護」(2024年1月24日)
利用者さまのメリット
利用者さまにとってのメリットは、「通い・訪問・泊まり」という複数のサービスを1箇所で受けられることでしょう。日によって受けるサービスが異なっても、介護職員は同じなので、環境の変化が苦手な方でも安心して介助を受けられます。
また、少人数制ならではの家庭的な雰囲気があり、慣れ親しんだ地域で過ごせる点もメリットです。
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小規模多機能型居宅介護施設の仕事内容
小規模多機能型居宅介護施設での介護職員の仕事内容は、主に利用者さまの身体介助や日常生活支援です。以下にサービスごとの業務をまとめているので、チェックしてみましょう。
通所サービスの仕事内容
小規模多機能型居宅介護の通所サービスの仕事内容は、送迎や食事・入浴・排泄介助、レクリエーションの実施などです。通常のデイサービスと大差はありません。また、職員同士で情報共有することも、重要な業務の一つです。
通所サービスで働く介護士のスケジュール例
午前8時 | 1日の予定を確認し送迎の準備をする |
午前9時 | 利用者さまの自宅まで迎えに行く |
午前9時30分 | 施設に到着する健康チェックや入浴介助を行う |
正午 | 食事の用意や食事介助を行う |
午後12時30分 | 休憩をとる |
午後1時30分 | レクリエーションを実施する |
午後3時 | お茶とおやつを出す |
午後3時30分 | 利用者さまの帰宅準備をする |
午後4時 | 利用者さまを自宅に送る |
午後5時 | 送迎から戻り打ち合わせを行う |
「今日は午前中だけ利用したい」「昼食を済ませてから行きたい」といった要望があれば、柔軟に対応します。
訪問サービスの仕事内容
小規模多機能型居宅介護の訪問サービスでは、施設に通うことが困難な利用者さまの自宅に訪問し、身の回りのことを補助します。通常の訪問介護では訪問回数や時間、サービス内容が決められていますが、小規模多機能型居宅介護での訪問サービスは訪問回数や時間に制限はありません。また、小規模多機能型では「安否確認を行う」「話を聞くだけ」といった、利用者さま一人ひとりに合わせたサービスを行います。
宿泊サービスの仕事内容
小規模多機能型居宅介護の宿泊サービスの仕事内容は、利用者さまの体調チェックや身体介助、就寝準備などです。また、送迎や事務作業も実施。夜勤後は、日中の職員に必要な情報を引き継ぎます。
小規模多機能型居宅介護とほかのサービスの違い
介護サービスにはデイサービスや有料老人ホーム、特別養護老人ホームなど、多様な形態がありますが、小規模多機能型居宅介護では「通い・訪問・泊まり」などのサービスを一体的に提供していることが特徴です。それぞれのサービスに特化した施設との共通点も多いですが、小規模多機能型ならではの違いもあるので確認しておくと良いでしょう。
たとえば、小規模多機能型の「通い」サービスには、デイサービスのような利用時間や滞在時間、回数制限の制限はなく、利用者さまが希望に応じて自由に利用することができます。
また、小規模多機能型の「訪問」サービスでは、24時間いつでも柔軟に対応可能。訪問介護のように時間や回数を気にする必要はなく、利用者さまにとって融通の利く便利なサービスといえるでしょう。
さらに、小規模多機能型の「泊まり」は予約不要で、空きがあれば、当日でも「通い」を「泊まり」に変更可能です。小規模多機能型のサービスについて詳しくは、厚生労働省の「どんなサービスがあるの? – 小規模多機能型居宅介護」をチェックしてみてください。
小規模多機能型居宅介護では、その日の利用者さまの人数やサービス内容によってスケジュールや仕事内容が変わります。利用者さまのニーズに合わせて柔軟に動く必要がある点で、デイサービスやショートステイ、訪問介護などとは異なる介護サービスであるといえるでしょう。
出典
厚生労働省介護サービス情報公表システム「どんなサービスがあるの? – 小規模多機能型居宅介護」(2024年1月24日)
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小規模多機能型居宅介護施設で働くメリット・デメリット
小規模多機能型居宅介護施設で働くメリットは、「少人数制のため利用者さまに寄り添った介護ができる点」といえます。一方、デメリットは「急な要望にも対応する必要があること」です。小規模多機能型居宅介護に興味のある方は、働くメリット・デメリットをチェックしておきましょう。
メリット
小規模多機能型居宅介護施設で働くメリットは、少人数制で利用者さま1人ひとりとコミュニケーションを取りやすいことや、介護職員としての幅広い対応力が身につくことなどです。以下で詳しく解説します。
少人数の利用者さまに集中して支援できる
小規模多機能型居宅介護は利用定員が少ないため、利用者さま一人ひとりと密にコミュニケーションをとって信頼関係を築けます。定員が多く介護職員も多い場合、利用者さまの1人ひとりの個性やニーズを覚えるのは大変かもしれません。
介護職員としてスキルアップが可能
小規模多機能型居宅介護では、通い・訪問・宿泊と複数のサービスを提供するため、オールマイティーに対応できる介護力が身につきます。ほかの施設への転職をする際も、小規模多機能型居宅介護での業務経験は十分アピールできるでしょう。
多様なニーズに対応できる
前述のとおり、小規模多機能型居宅介護では、利用者さまに合わせて通い・泊まり・訪問の3つのサービスを組み合わせて提供することができます。利用回数や時間の制限がないため、利用者さまの要望・状況に柔軟に応えられることがメリットです。
身体介護の負担が少ない
小規模多機能型居宅介護は、要介護度が比較的低い利用者さまが多く、肉体的な負担が他の介護サービスに比べて少ない傾向にあります。そのため、介護経験が浅い方もチャレンジしやすいかもしれません。
デメリット
小規模多機能型居宅介護施設で働くデメリットは、業務内容が幅広く一定の大変さがあることや生活のリズムが不規則になりやすいことなどです。以下で詳しく解説します。
未経験だと業務に慣れるのが大変
小規模多機能介護では、幅広い業務内容に対応するため、覚えることも多いのが特徴です。未経験の場合はすべての業務を覚えるまで、大変だと感じるかもしれません。
柔軟な対応力が必要
小規模多機能型居宅介護では、利用者さまやご家族の都合で当日の予定が急に変更になる場合があります。どのような場面においても、柔軟に対応する能力が求められるでしょう。
夜間の勤務が大変
小規模多機能型居宅介護は24時間365日で運営する施設のため、シフトによっては夜勤があります。「体力に自信がなく夜勤をこなせるか不安」という方にとっては、デメリットに感じることもあるでしょう。
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小規模多機能型居宅介護に向いている人
小規模多機能型居宅介護は在宅生活を送っている利用者さまが多く、介護度が低めの方もいます。「初めて介護職に就く人」「体力に自信がない人」に向いているでしょう。
また、常に情報収集を意識し、相手の様子に気を配れる人に適性があります。小規模多機能型居宅介護で毎回違う利用者さまを担当する場合もあるため、自身が担当していない利用者さまの情報を把握したり、事故防止のために様子を細かく観察したりする力が欠かせません。
小規模多機能型居宅介護の平均給与
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.122)」によると、小規模多機能型居宅介護で働く介護職員(月給)の平均給与は、常勤が28万7,970円、非常勤が21万1,700円でした。
また、同資料(p.136)によると小多機の管理職の平均給与は35万4,090円で、管理職以外は 28万1,090円。役職に就くと、大幅に給与アップにつながることが分かりました。
小規模多機能型居宅介護で収入アップを図るなら、職場でキャリアを積むことで高収入を目指せる可能性があるでしょう。
出典
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2024年1月24日)
小規模多機能型居宅介護施設で働くのに必要な資格はある?
小規模多機能型居宅介護施設で働くのに、特別な資格は必要ありません。無資格や未経験者を歓迎している施設もあります。ただし、有資格者を優遇している施設もあるので、応募する際は求人情報の内容を十分に確認しておいてください。
おすすめの資格
お伝えしたとおり、小規模多機能型居宅介護は無資格でも働けますが、施設によっては応募条件を「資格保有者」としている場合もあるでしょう。以下に介護業務に役立つおすすめの資格をまとめたので、ご覧ください。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、介護の入門ともいえる資格です。1人で訪問介護サービスを行うには介護職員初任者研修以上の介護資格が必須なので取得しておいて損はありません。。受験資格は特になく、比較的簡単に取得できるでしょう。
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介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は、初任者研修を修了した人が次に取得することが多い資格です。初任者研修に比べて幅広い介護知識やスキルを身につけられます。介護福祉士の受験資格にもなるので、キャリアアップを目指すならぜひチャレンジしてみましょう。
介護福祉士
介護福祉士は介護系唯一の国家資格で、初任者研修と実務者研修の上位資格となりす。介護福祉士の資格を取得すると介護スタッフの指導を任されることもあり、人材育成の面でも活躍できるでしょう。資格手当がつけば、給与アップも期待できます。
ケアマネジャー
ケアマネジャーは、介護福祉士からさらにキャリアアップを目指す方に適した資格です。利用者さまやご家族からの相談を受け、適切な介護サービスを計画します。利用者さまのケアプラン作成に直接関わる、小規模多機能型居宅介護において重要な職種です。
普通自動車免許
施設によっては専属の送迎ドライバーがいる場合もありますが、介護職員が送迎を行うこともあります。車で訪問する際には免許が必要なため、小規模多機能型居宅介護施設への転職に有利になる場合があるでしょう。
小規模多機能型居宅介護施設についてよくある質問
小規模多機能型居宅介護施設についてよくある質問に回答します。「小規模多機能型居宅介護施設ってどんなところ?」と、疑問に思っている方はぜひご覧ください。
小規模多機能型居宅介護施設ではどのような仕事をするの?
小規模多機能型居宅介護施設で働く介護職員は通所や訪問、宿泊サービスを提供します。そのため、利用者さまの送迎や食事介助、入浴介助、排泄介助、レクリエーション、就寝準備、訪問介護など、幅広い業務を担当。「小規模多機能型居宅介護施設の仕事内容」で、各サービス別の仕事内容を詳しく解説しているので、ぜひご一読ください。
小規模多機能型居宅介護施設では何人の介護職員が働いているの?
厚生労働省の「小規模多機能型居宅介護(改定の方向性)」によると、小規模多機能型居宅介護施設の人員配置は、通いの利用者さま3人に対し介護職員1人を配置し、訪問介護対応に1人と定められています。たとえば、通いの利用者さまが15人の場合は、介護職員数は6人です。なお、夜間の人員配置は、泊まりと訪問介護対応で職員数は2人とされています。
出典
厚生労働省「第228回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料」(2024年1月24日)
まとめ
小規模多機能型居宅介護は複数の機能を備えたサービスであり、仕事内容は送迎や身体介助、訪問介護などです。定員が比較的少人数であることから、利用者さまとの信頼関係が築きやすく、寄り添った介護を実践できるでしょう。
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