この記事のまとめ
- 介護職が「人間関係が悪い」と思うのはなぜかというと、関わる人が多いから
- 介護施設の人間関係が悪いときは、上司に相談すると良い
- 人間関係が良い介護施設の特徴は、明るい雰囲気で職員に笑顔があること
「介護職員の人間関係が悪いのはなぜ?」と疑問に思う方もいるでしょう。関わる人が多いことや、人手不足によって疲労が溜まりやすいことから、介護施設の人間関係は悪くなってしまう場合があるようです。この記事では、介護施設の人間関係が悪いといわれる理由や、改善する方法を解説します。「人間関係の悩みを解消したい」という介護職員の方は参考にしてください。
「きらケア」は転職だけではなく、介護職の方が働く中での悩みに幅広く寄り添えるサービスになるために「レバウェル介護」として新しく生まれ変わりました。
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目次
介護施設の人間関係が悪いといわれるのはなぜ?
介護施設の人間関係が悪いといわれる理由は、関わる人が多いことや、意見が違う人とのコミュニケーションがうまくいかないことがあるからです。また、人手不足によるストレスが原因で、良好な人間関係を築く余裕がなくなってしまうこともあるといえます。
下記では、なぜ介護職員の人間関係は悪いという噂があるのかを解説するので、参考にしてください。
利用者さんや看護師など関わる人が多いから
介護職員は、利用者さんやそのご家族、ほかの職種のスタッフといった多くの人と関わります。「介護を提供するスタッフとして」「同僚として」「介護を専門とするプロとして」など、さまざまな役割を担う必要があるため、人間関係の悩みを抱える介護職員は少なくないようです。
介護職員同士の人間関係
介護職は、家事や仕事で身につけたスキルを活かして年齢を問わず働けるため、10代から60歳以上まで幅広い年齢層のスタッフが働いているのが特徴です。介護経験が長いベテランや、ほかの業界から転職した人、今まで働いた経験のない人など、経歴もそれぞれ異なります。
そのため、同じ介護職員という立場でも、価値観や考え方に違いが生じることがあるでしょう。人によって苦手意識を感じるといった理由から協力して仕事ができない場合、良好な人間関係を築くのは難しいかもしれません。
職種が違うスタッフとの人間関係
介護施設の利用者さんは、介護サービスだけを利用しているとは限りません。医療や介護のサービスを利用したり、地域の活動に参加したりすることで、自立した生活を送っています。利用者さんが複数のサービスを活用している場合は、介護職員だけでなくほかの職種との連携が不可欠です。
介護職員は、医師や看護師、リハビリ専門職、ケースワーカーなどと意見を交換し合って介護サービスを提供します。そのため、利用者さんをケアするチームの中に、自分の考えだけを主張する人がいる場合、関わり方に悩むことがあるでしょう。
利用者さんとの人間関係
利用者さんから厳しい言葉をかけられて悩む介護職員もいるようです。たとえば、頑張っているのに、「〇〇さんはやってくれたけどあなたはやってくれないの?」とほかのスタッフと比較されると、利用者さんに対して苦手意識を持ってしまうかもしれません。また、拒否の強い利用者さんの対応に困る介護職員もいるようです。
利用者さんは、疾患や認知機能の低下によって自分の考えをうまく伝えられなかったり、思うように身体が動かなかったりすることに、ストレスを感じる場合があります。そのため、つい強い口調で介護職員に接してしまうことがあるようです。
利用者さんのご家族との人間関係
利用者さんのご家族からクレームや過剰な要求があり、対応に悩む介護職員もいるようです。特に、訪問介護のような在宅介護サービスの職員は、ご家族と接する場面が多く大変と感じることもあるでしょう。介護職員は、ケアマネジャーが作成するケアプラン(介護計画書)に記載されていないことはできませんが、説明しても納得しないご家族がいて困る場合があるようです。
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人手不足で疲労が溜まりやすいから
慢性的な人手不足で1人あたりの業務量が多い職場では、身体的な疲労だけではなく、ストレスも蓄積されやすいでしょう。疲労やストレスが溜まると、つい他人に厳しく接してしまう場合もあります。良好な人間関係を築くためには、疲れを溜め込まないことも大事です。
スタッフの教育環境が不十分だから
教育環境の整っていない介護施設では、職員は不安を抱えたまま介護を行うことになります。正しい介護ができているのか分からないまま仕事をすると、精神的なストレスや職場への不信感が生じる場合があるでしょう。仕事を聞きづらい環境の介護施設で働くと、「人間関係が悪い」と感じる可能性があります。
異動が少なく人間関係が凝り固まるから
介護施設は、一般的な企業よりも人事異動が少ない傾向にあります。人材の入れ替わりが少ないため、「ベテランの職員に意見を言いづらい」といった人間関係の不満が出てくる場合も。人間関係が固定されている介護施設では、新人が馴染みにくさを感じることがあるでしょう。
その悩み、解決できるかも
実際に人間関係に悩む介護職員は多いの?
介護業界専門の転職エージェント「レバウェル介護(旧 きらケア)」では、介護職員として2回以上転職したことがある方808人を対象に、退職理由をアンケートしました。
引用:Leverages Medical Care「きらケア介護白書2022(p30)」
介護職員の退職理由として最も多かったのは「職場の人間関係が悪かった」で、29.8%でした。また、「上司と馬が合わなかった」という理由で退職した介護職員も13.7%という結果です。人間関係を理由に退職する介護職員が多いことから、同じ職場に長く勤めるためには、人間関係を含めた働きやすい環境の介護施設を選ぶ必要があることが分かります。
出典
Leverages Medical Care「きらケア介護白書2022」(2023年7月3日)
介護職員の離職率は高いの?
介護労働安定センターの「事業所における介護労働実態調査結果報告書(p32)」によると、介護職員の離職率は14.1%となっています。また、離職した介護職員の勤続年数は、「1年未満」が35%で、「1年以上3年未満」が23.7%でした。つまり、離職した介護職員の半分以上が勤続3年未満ということになります。
また、厚生労働省の「令和3年雇用動向調査結果の概況(P6)」によると、全産業の離職率は13.9%でした。
この結果から、介護業界の離職率はほかの産業と比べて特別高くないと分かります。しかし、介護職員は短期離職する割合が高くなっていることを念頭に置く必要がありそうです。
出典
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」(2023年7月3日)
公益財団法人介護労働安定センター「事業所における介護労働実態調査結果報告書」(2023年7月3日)
介護施設の人間関係が悪いときはどうしたら良い?
ここでは、介護職員が人間関係に悩んでいるときにできる対処法をご紹介します。「同僚とうまくいかない」「利用者さんとの人間関係が良くない」と感じている介護職員の方は、参考にしてください。
職員同士の人間関係が悪いとき
介護施設で働いていて、ほかのスタッフとの人間関係がうまくいかないときは、理由を考えて冷静に対応しましょう。
悪口に同調せず中立の立場を守る
職場で誰かの悪口を耳にしても参加しないようにしましょう。同調を求められた場合も、自分も一緒に悪口を言うのは避けて、傾聴するのみに留めるのが無難です。どの職員に対しても平等にコミュニケーションを取ることで、同僚との信頼関係が築けるでしょう。
笑顔で相手に接し協力的な姿勢を示す
仕事中にフォローしてもらったら、「ありがとう」と笑顔で伝えるように心がけましょう。たとえ苦手意識のある相手だとしても、好意的に接していれば、関係は良くなる可能性があります。同僚が困っているときは、協力する姿勢も大切です。
人間関係が悪い理由を振り返る
人間関係が良くないときは、理由を考えてみてください。何か原因になることはあったのか、どのような対応をすれば良かったのかということが分かれば、人間関係を改善できるかもしれません。
意見が対立しても相手の考えは尊重する
ほかの職種の人と話し合う場では、利用者さんのケアに対する意見が合わないこともあるでしょう。そのようなときは、相手の意見を聞いたうえで、自分の考えを冷静に伝えることが大切です。意見を言うときには、相手を否定しないように気をつけましょう。また、自分とは違う意見を言われた際も、「否定された」と捉えず、前向きに話し合うことが必要です。
人間関係の悩みを上司に相談する
職員同士の人間関係で悩んでいるなら、上司に相談してみるのも良いでしょう。話すことで自分の気持ちを整理できたり、一緒に解決策を考えられたりする可能性があります。また、シフトの調整を行い勤務時間帯をずらすといった対応をしてくれるかもしれません。複数の事業所を運営している施設の場合は、異動をするという選択肢もあるので、限界を感じる前に相談してみてください。
利用者さんやご家族との関係が悪いとき
利用者さんやそのご家族との人間関係に悩む介護職員は少なくありません。利用者さんとの関係で困ったときには、自分一人で抱え込まずに同僚に頼りましょう。
施設の環境や対応する職員を変える
介護施設では、利用者さん同士の仲が悪くて板挟みになってしまうというパターンもあるようです。利用者さん同士の関係に問題がある場合は、職員で話し合って解決策を考えましょう。たとえば、食事をするときの座席を離すといった配慮をすることで、トラブルを回避できる可能性があります。
また、介護職員として働いていると、ケアの大変な利用者さんがいることもあるでしょう。利用者さんへの対応に困ったら、同僚に相談してみることをおすすめします。ほかの人がどのように介護をしているかが分かれば、参考になるかもしれません。また、周りの協力があれば、ケアが大変な利用者さんの介護を分担したり、2人対応で行ったりできるので、負担を減らせるでしょう。
ハラスメントを受けたら上司に報告する
利用者さんから暴力を受けた場合や、ご家族からきつい言葉をかけられたときは、上司に相談しましょう。介護サービス事業者には、ハラスメント対策を行うことが義務づけられているため、自分1人で抱え込む必要はありません。ハラスメントを受けると、心身の健康が損なわれてしまう恐れがあるため、我慢せずすぐに上司へ報告しましょう。
出典
厚生労働省「介護現場におけるハラスメント対策」(2023年7月3日)
人間関係が改善されないなら転職を検討しよう
「職場の人間関係が悪くてつらい…」と悩んでいる介護職員の方は、転職するという選択肢もあります。自分が努力しても改善できないときは、ストレスで限界を感じる前に、環境を変えることを検討しましょう。
レバウェル介護(旧 きらケア)では、個別に転職サポートを行っています。「人間関係の良い介護施設で働きたい」といった希望の叶う求人も多数あるので、気軽にご相談くださいね。
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人間関係が良い介護施設の特徴
以下では、働きやすい環境がある介護施設の特徴を解説します。「人間関係が良好な職場に転職したい」という方はぜひチェックしてください。
人員配置に余裕がある
前述したとおり、人手不足から余裕がなくなって、人間関係が悪化してしまうこともあります。そのため、転職活動をする際には、人員配置にも注目してみましょう。人員配置に余裕があれば、コミュニケーションをしっかり取れるため、良好な人間関係を築きやすいといえます。
明るい雰囲気で職員に笑顔がある
介護職員に笑顔があり、利用者さんが落ち着いて過ごしている施設は、働きやすい可能性が高いでしょう。転職をする際には、実際に介護施設を見学して、雰囲気を確認してから決めるのがおすすめです。
常に求人を出していない
常に求人を出している介護施設は、慢性的な人手不足の恐れがあるため注意が必要です。また、ほかの施設と比べて不自然に給与の高い職場は、その分業務の負担が大きく、離職率が高い可能性があるでしょう。転職先を選ぶ際の注意点については、「介護職の転職失敗事例と後悔しない施設の選び方」の記事も参照してください。
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介護職員の人間関係に関するよくある質問
ここでは、介護職員の人間関係に関するよくある質問に回答します。「介護施設は人間関係が悪くて働きづらい?」と疑問に思っている方は参考にしてください。
介護職員の人間関係が悪い理由は?
介護職員が人間関係に悩むのには、年齢や経歴の異なるスタッフと一緒に仕事をしたり、多くの人と関わったりするなどの理由があります。考え方が違う人と信頼関係を築くためには、自分の意見だけにこだわるのではなく、相手の意見も尊重することが大切です。介護職員の人間関係が悪いといわれる理由は、「介護施設の人間関係が悪いといわれるのはなぜ?」で解説しているのでチェックしてみてください。
介護職員は新人に厳しいの?
教育体制の整っている介護施設は、新人が分からないことを聞きやすい環境があるといえます。新人・ベテランスタッフの隔たりがなく風通しが良ければ、人間関係も良い傾向にあります。反対に、人手不足でコミュニケーションが十分に取れない介護施設では、新人が職場に馴染めない場合があるようです。介護職員として働く際には、相談しやすい環境の職場を選ぶと、人間関係で悩む可能性は低いでしょう。先輩から意地悪をされるという方は「介護職の新人イビリが起こる理由は?いじめの対処法や転職先の選び方を解説」で対処法を紹介しているのでぜひご覧ください。
まとめ
「介護職員の人間関係は悪い」という噂があるのはなぜかというと、働くスタッフの年齢層が広かったり、意見が違う人とのコミュニケーションがうまくいかなかったりする場合があるからです。職場の人間関係に悩む介護職員は多く、転職理由の上位に挙がっています。「介護施設の人間関係に悩んでいる…」という方は、上司や同僚に相談してみましょう。努力しても職場の人間関係を改善できないときは、転職するという選択肢もあります。
「人間関係の良い職場に転職したい」という介護職員の方は、レバウェル介護(旧 きらケア)を利用してみませんか?専任のアドバイザーから、転職先の雰囲気を聞いたうえで求人に応募できるほか、施設を見学することも可能です。また、「職場の人間関係の悩みを聞いてほしい」という方の相談も受け付けています。サービスはすべて無料なので、ぜひご活用ください!
その悩み、解決できるかも
執筆者
実
元介護士ライター
グループホームに2年、訪問介護事業所に3年勤務。多くの高齢者や、障害のある方の介護に携わる。訪問介護事業所では、サービス提供責任者の業務も担当した。2022年に介護福祉士を取得。現在は、知識や経験を活かして、介護職員の方に役立つ情報を発信している。