
この記事のまとめ
- 人間関係が退職理由の場合は、悪い印象を与えないように伝え方を工夫しよう
- 採用担当者が面接で退職理由を聞くのは、仕事に対する姿勢を確認するため
- 上司に退職理由を聞かれたときは、職場への不満を言わないよう配慮が必要
「人間関係が退職理由の場合、面接でどう伝えるべき?」「転職先に悪い印象を与えてしまうかも…」と不安に感じる方もいるかもしれません。面接で退職理由を話す際は、前向きな表現を意識した伝え方をすることが大切です。この記事では、転職先に退職理由を伝える際のポイントや例文をまとめました。実際に人間関係が原因で転職する人の割合もご紹介します。退職理由の伝え方にお悩みの方は、ぜひご一読ください。
介護の面接対策ガイド!服装や質問など採用担当者はどこを見ている?目次
人間関係が退職理由の場合の伝え方
人間関係が退職理由の場合は、採用担当者にそのまま伝えると印象が悪くなる可能性があるので、伝え方に注意が必要です。以下で、退職理由が人間関係の場合の伝え方を解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
退職理由が人間関係でもそのまま伝えない
人間関係が退職理由の場合は、採用担当者にそのまま伝えないようにしましょう。人間関係が原因で退職したと伝えると、「コミュニケーション能力が低いのかも?」と思われてしまう可能性があります。また、「人間関係に不満があったら辞めてしまうかもしれない」という懸念につながる恐れもあるでしょう。
特に介護の仕事は人と関わることが多いので、「人間関係が退職理由」とは伝えないのが無難です。もし職場側に問題があったとしても、採用担当者には状況が分からないため、マイナスな印象になる伝え方は避ける必要があります。
前職・現職の不平不満は伝えない
「上司との関係が悪かった」「給与が低かった」「残業が多かった」など、前職・現職の不満を伝えないようにしましょう。職場の愚痴を言ったり批判したりすると、採用担当者にマイナスな印象を与えてしまいます。
職場環境を改善できるよう努力したエピソードがある場合は、面接で伝えると良いでしょう。職場への不満ではなく、人間関係を改善するために努力した経験を話すことで、仕事への意欲をアピールできます。
退職理由は前向きな内容にして伝える
転職理由は前向きな表現に言い換えて伝えるようにしましょう。ネガティブな内容では、採用担当者に良い印象を与えられません。また、「何にでも不満を持つ人かもしれない」と思われてしまう可能性もあります。
「△△が嫌だったから退職した」ではなく、「▲▲がしたかったから退職した」というようにポジティブな退職理由を伝えることが、内定獲得へつなげるための重要なポイントです。
「どう言い換えたら良いか分からない…」という方は「人間関係を言い換えた退職理由の伝え方【例文付き】」の見出しで紹介する例文を参考にしてみてください。
退職理由は志望動機とのつながりを意識して伝える
退職理由と志望動機につながりを持たせて伝えると、「この職場で働きたい!」という熱意をアピールできます。また、志望先ならではのポイントと紐付けると、「同じ業界や職種ならどこでも良いのでは?」と思われるのを防ぐことが可能です。
志望動機・キャリアプランと一致する退職理由を伝えることで、企業とマッチし、長く働ける人材とアピールできるでしょう。
笑顔でハキハキと伝える
面接で退職理由を伝えるときは、笑顔でハキハキと伝えましょう。退職理由を前向きな内容に言い換えても、小さな声で自信なさそうにと話していると、「ほかに退職理由があるのでは?」と思われてしまう可能性があります。
退職理由を伝える際に、後ろめたい気分になってしまう人もいるかもしれませんが、面接では堂々とした態度でいるほうが採用担当者に好印象を与えられます。
▼関連記事
介護職の面接で退職理由を聞かれたときの対処法!嘘をつくリスクも解説
その悩み、解決できるかも
人間関係を言い換えた退職理由の伝え方【例文付き】
ここでは、人間関係を理由に転職する方が、面接で退職理由を聞かれた際の伝え方を解説します。例文もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
上司からのパワハラで退職した場合
上司からのパワハラが理由で退職した場合は、「▲▲の仕事がしたくて退職した」とアピールしてみましょう。パワハラがあった事実自体は伝えても問題ありませんが、愚痴にならないように注意が必要です。また、パワハラについて説明する場合は、講じた改善策も簡潔に伝えましょう。
同僚・先輩との関係が悪いことが退職理由の場合
同僚・先輩との関係に不満があったことは直接的な表現で伝えないほうが無難です。人間関係の問題は、「チームワーク」や「コミュニケーション」といったポジティブな内容に言い換えましょう。
他職種と上手く連携をとれないことが退職理由の場合
さまざまな職種と上手く連携をとることは質の高い介護につながります。仕事への意欲をアピールすることで、採用担当者にポジティブな印象を与えることが可能です。
人間関係が理由で退職する介護職員は多い
Leverages Medical Careの「きらケア介護白書2022(p.30)」によると、介護職員の退職理由は以下のとおりです。

引用:Leverages Medical Careの「きらケア介護白書2022(p.30)」
「職場の人間関係が悪かった」は最も多い退職理由で、29.8%でした。また、「上司と馬が合わなかった」と答えた方も1割以上います。介護職員は、周りのスタッフや利用者さんと関わりながら仕事をするため、人間関係に悩みやすいようです。
また、厚生労働省の「令和2年転職者実態調査:離職理由」によると、自己都合で退職した方の23%が人間関係を理由として挙げています。人間関係を理由に転職する人は、業界や職種を問わず一定数いると考えられるでしょう。
出典
Leverages Medical Care「介護士のキャリアや外国人雇用などに関するレポート「きらケア介護白書2022」を公開しました」(2025年1月15日)
厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」(2025年1月15日)
▼関連記事
介護職の退職理由ランキング!職場への伝え方と面接で好印象な回答を解説
「人間関係の問題」が退職理由になる原因
ここでは、人間関係の問題を「上司からのパワハラ」「同僚・先輩との関係性」「他職種との連携」の3つに分けて解説します。職場の人間関係の問題にはどのようなものがあるのか、今一度確認しておきましょう。
上司からパワハラがある
上司との関係性が悪いと、職場の居心地が悪くなり退職につながりやすくなります。特に、上司からパワハラがある場合、退職につながることも少なくありません。仕事をするうえで、直属の上司との関わりを断つことは難しいため、不当な扱いや理不尽な対応を受けるとストレスにつながってしまうでしょう。
上司が指導やコミュニケーションの一環と思っているとしても、行き過ぎた行為はパワハラです。たとえば、「何時間も叱責される」「理由もなく怒られる」「上司の仕事を全部押し付けられる」「食事や休日などプライベートな時間に干渉される」などは、パワハラに該当する可能性があります。
同僚・先輩との関係性が悪い
同僚や先輩との関係性に悩み、退職を考える人もいるようです。チームで仕事をする場合は、同僚・先輩との関係性が重要になります。上司とほかの同僚では関わり方が異なるため、立場が近いからこその問題が生じる場合もあるかもしれません。
仕事で直接、同僚や先輩と関わることが少なかったとしても、関係性が悪いこと自体にストレスを感じる人もいるでしょう。「仕事以外の部分で無駄なストレスを感じたくない」と思うのも無理はありません。
同僚・先輩との関係が悪いと感じる例としては、「陰口を言われる」「仕事を押し付けられる」「プライベートに干渉される」「職員間に派閥がある」などがあります。
他職種と上手く連携が取れない
介護職員は、看護師や医師、作業療法士、理学療法士、事務員などのさまざま職種と連携して仕事をします。それぞれ異なる視点で利用者さんへのケアを提案・実施するため、意見が割れることもあるでしょう。
ケアに対する職種ごとの価値観の違いを、職場で話し合って調整できなければ、人間関係の問題につながってしまう可能性があります。上手く連携がとれず十分なケアをできないことで、転職を考える方もいるようです。
面接で退職理由を聞かれる理由
面接を受けると、前職の退職理由を聞かれることも少なくありません。採用担当者が退職理由を聞く目的を理解することが、内定獲得につながるでしょう。
仕事への向き合い方を知るため
施設の方針と求職者の仕事への向き合い方が異なると、離職につながる可能性があるため、採用担当者は退職理由を聞きます。求職者が仕事に求めるものやどのように会社に貢献したいのかを聞くのは、「仕事への意欲がどれほどあるのか」「施設の理念に合うか」を確かめるのが目的です。
すぐに退職しないか確認するため
退職理由を聞くことには、同じ理由ですぐに退職しないか確認する目的もあります。法人や事業所にとって採用はコストのかかるものです。面接など採用にかかるコストや教育にかかるコストなど、時間や費用をを無駄にしないためにも、長く働ける人材を見極める必要があります。
「人間関係が悪かったから」という伝え方だと、面接官は「また同じことがあったら辞めてしまうのでは?」と感じてしまう可能性があるため、ポジティブな印象を与えられる退職理由を考えると良いでしょう。
退職理由と志望動機に一貫性があるか確認するため
退職理由と志望動機に一貫性があるかどうかも、求職者の合否を決める判断基準の一つです。採用担当者は、退職理由と志望動機の一貫性をチェックして、求職者が仕事に求めるものを判断します。退職理由と志望動機に一貫性がないと、「本当はどこの施設でも良いのでは?」「退職理由は嘘かもしれない」と思われてしまう可能性もあるでしょう。
退職した原因を解決するためにその施設を志望している場合は、一貫性を持たせられます。たとえば、「前職ではできなかった△△の仕事ができるため志望しました」と伝えると、意欲のアピールに効果的です。
一方で、「人間関係に悩んでいる」というネガティブな退職理由は、志望動機につなげることが難しいので伝えないようにしましょう。
退職理由は転職先だけではなく上司にも聞かれる
退職理由は、転職先だけに伝えるものではなく、退職する際に上司にも伝えます。状況にもよりますが、円満に退職するためには、人間関係を理由に退職することは伝えないほうが無難でしょう。
上司に退職理由を聞かれた際は、「一身上の都合」と伝えるだけで問題ありません。しかし、場合によっては詳細を聞かれることもあるようです。絶対に答えなくてはいけないわけではないものの、「拒否するのは気まずい…」という方もいるかもしれません。詳細な理由を聞かれた場合の答え方について以下で解説するので、退職を申し出る際の参考にしてみてください。
キャリアアップのため
「キャリアアップのため」という退職理由は前向きなので、答えにくさが軽減されるでしょう。あくまで、「この職場では△△の仕事ができないから」と不満があって退職すると伝えるのではなく、「△△の仕事に挑戦したいから」とポジティブに伝えることが大切です。志望先を選んだ理由を振り返り、ポジティブな退職理由を見つけてみましょう。
退職の意思を伝える際は、感謝の気持ちも一緒に伝えるのがおすすめです。「キャリアアップのため」という理由は前向きですが、伝え方を間違えると「この会社は踏み台だったのか?」と思われてしまう可能性も。これまでお世話になった感謝の気持ちを伝えることで、円満に退職できるでしょう。
転職先が決まったため
「転職先が決まったため」とだけ伝えるのも一つの方法です。転職を決意した理由を深掘りされるようであれば、「環境を変えて頑張りたかったこと」を伝えましょう。上司に転職先を聞かれる可能性もありますが、具体的な名称を伝える必要はないため、業界や施設形態を伝える程度で良いでしょう。
職場に退職理由を伝えるときに大切なポイント
ここでは、職場に退職理由を伝える際に大切なポイントを解説します。円満に退職するためにも、以下のポイントを覚えておきましょう。
直属の上司に最初に伝える
退職の意向は、最初に直属の上司に伝えるのがルールなので、ほかの同僚に退職の話をしないように注意しましょう。退職するか悩んでいるときに同僚に相談してしまうと、噂が広がってしまう可能性があるので、職場の人に退職の相談をするのは避けたほうが無難です。
退職する旨を伝える場は、上司に事前にアポイントをとって準備します。会議室など、ほかの職員に聞かれることがなく、落ち着いて話せる環境の場所で伝えましょう。
退職の意思をしっかりと伝える
退職の意思があやふやだと、上司に引き止められる可能性があるので注意しましょう。退職の相談ではなく、退職することを伝える場だと考えて臨みます。たとえば、「退職を悩んでいます」と伝えると、上司から引き止められるかもしれません。「改善に努めるから残ってほしい」と言われることもありますが、これまで変わらなかった状況が一転して良くなる可能性は低いのが現実です。
職場に思い入れがある場合は気持ちが揺らいでしまうのも無理はありませんが、先延ばしにすると余計に退職を言い出しにくくなってしまいます。自分でしっかりと考えたうえで退職を決意したのであれば、最後までその意思を貫き通せるよう、伝え方を意識しましょう。
▼関連記事
介護職あるある?退職したいのに引き止められる!理由の伝え方や対処方法
退職予定の1ヶ月前には伝える
退職予定の1ヶ月前には上司に伝えておきましょう。ただし、1ヶ月というのはあくまで最低限の期間です。それよりも前に伝えられる場合は、退職の目途が立った時点で伝えましょう。施設側も人員の補充や育成、引き継ぎをしなければならないので、円満に退職するためには、早めの報告が重要です。
なお、退職の申告時期として定めている期間は、勤務先によって異なることがあるため、就業規則を事前に確認しておきましょう。
▼関連記事
退職をギリギリまで言わないのはアリ?上司や同僚に伝える最適なタイミングとは
人間関係の退職理由の伝え方に関する質問
ここでは、人間関係が退職理由の場合の伝え方に関する質問に回答します。上司や転職先への退職理由の伝え方に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
嘘の退職理由を伝えても良いの?
嘘の退職理由を伝えてはいけません。この記事の「人間関係が退職理由の場合の伝え方」で解説したように、前向きな転職理由を伝えることが大切です。嘘の退職理由とは、「結婚を理由に退職したが、実際は結婚をしていない」というようなものです。「どうせバレないだろう」という考えは持たないようにしましょう。万が一、嘘だとバレてしまうと、印象が悪くなり、働きづらい状況になってしまうこともあります。そのため、上司や転職先に退職理由を聞かれた際に、嘘をつくことは避けましょう。
人間関係の退職理由は履歴書に書かなくても良いの?
履歴書に書く退職理由は、「一身上の都合により退職」のみで大丈夫です。人間関係が理由であることを記載する必要はありません。
介護職の履歴書の書き方で悩んでいる方は、「介護職の履歴書の書き方!印象UPのコツを解説【見本とテンプレート付】」の記事で、履歴書の書き方やテンプレを解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
人間関係が原因の退職理由の例文が知りたい!
人間関係が原因で退職する場合は、マイナスな印象を与えてしまうので、そのまま伝えないようにしましょう。「チームワークを大切にしたい」というように表現を変えて伝えることが大切です。
「人間関係を言い換えた退職理由の伝え方【例文付き】」では、人間関係が退職理由の場合の伝え方の例文をご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
退職理由はどうやって上司に伝えれば良いの?
退職理由を上司に伝える際は、事前にアポイントを取りましょう。「お話があるのでお時間をいただいてもよろしいでしょうか」と、上司の予定を確認します。辞意を伝えるのは、会議室などほかの職員に聞かれない場所にしましょう。
「職場に退職理由を伝えるときに大切なポイント」では、上司への退職理由の伝え方を解説しているので、「退職することを言い出しにくい…」とお悩みの方はぜひご覧ください。
まとめ
退職理由が人間関係の場合は、そのまま伝えないようにしましょう。退職理由の伝え方のポイントは、「前職の不満を言わないこと」「前向きな内容にすること」「退職理由と志望動機のつながりを意識すること」「笑顔でハキハキと伝えること」です。
人間関係を理由に退職する介護職員は多くいます。人間関係が悪くなる原因には、「上司からのパワハラ」「同僚との不仲」「他職種と連携がとれない」などがあり、悩んでいる方は少なくないようです。
退職理由は、転職先だけではなく、現職の上司にも聞かれることがあります。人間関係が理由で退職を決めたことを伝えると、退職まで気まずくなってしまう可能性があるため、「環境を変えて頑張りたかった」という伝え方に留めましょう。退職理由を伝える際は、直属の上司にアポイントを取ってから伝えます。退職予定の1ヶ月前には伝える場を用意しましょう。引き止められないためには、退職の意思をしっかりと伝えることが大切です。
介護業界での転職を考えている方は、「レバウェル介護(旧 きらケア)」をご利用ください。レバウェル介護(旧 きらケア)は、介護業界に特化した就職・転職エージェントです。専任のキャリアアドバイザーがあなたの希望条件に合った求人をご提案いたします。職場の雰囲気など施設に直接聞きづらいことも気兼ねなくご質問ください。書類選考や面接の対策なども実施しているので、ぜひ気軽にご相談ください。
その悩み、解決できるかも
執筆者
「レバウェル介護」編集部
お役立ち情報制作チーム
介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点