
この記事のまとめ
- 介護拒否とは、介護が必要な高齢者の方や利用者さんが介護を拒否すること
- 介護拒否がつらいときは、一人で抱え込まず上司や先輩に相談しよう
- 介護を拒否されたときは、利用者さんの意思を尊重した対応をしよう
「介護拒否が起こる理由を知りたい」「介護拒否をされてしまいつらい」と感じる方は多いのではないでしょうか?介護拒否が起きる原因や理由は人によりさまざまです。対策としては、本人の意思を尊重したケアをすることが挙げられます。この記事では、介護拒否が起きる状況や原因を解説。介護拒否への対応方法もご紹介するので、利用者さんへの理解を深めて日々のケアに活かしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
介護拒否とは
介護拒否とは、介護が必要な高齢者の方や利用者さんが、介護を拒否することを指します。特に、認知症が進行すると、さまざまな理由から「介護拒否」という症状が出やすくなるのが特徴です。
介護拒否の具体例や原因、対処法などは後述するので、ぜひ最後までご覧くださいね。
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介護拒否をされてどうしてもつらいときは
介護の現場で働いていて、「介護拒否をされて、どうしたら良いのか分からない」「介護拒否をされることがつらい」と感じたことがある方もいるのではないでしょうか?
ここでは、介護拒否をされてつらいと感じたときの対処法をご紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
一人で悩まず信頼できる上司や先輩に相談する
介護拒否をされると、「自分の対応が悪かったのかな」「もっと良いケアの仕方があったのかも…」と悩んでしまうことがあるかもしれません。しかし、一人で悩んでいても良い解決策は見つかりにくく、さらに負のスパイラルにはまってしまう可能性もあります。
介護拒否に困ったときは、信頼できる上司や先輩に相談しましょう。相談することで、気持ちが楽になったり、良いアドバイスがもらえたりするかもしれません。
また、「この利用者さんは、このスタッフに対しての拒否が強い」という情報共有をチーム間でしっかり行うことで、いざというときにスムーズな対応がしやすくなります。
自身を責める必要はない
介護拒否があると、どうしても自身を責めてしまいがちになります。しかし、自分自身を責める必要はありません。たとえ、介護職としての勤務経験が長いベテランスタッフであったとしても、介護拒否をされることはあります。
「誰でも必ず一度は、介護拒否を経験している」と冷静に思うことができれば、少しは気持ちが楽になるかもしれません。
無理に対応しようとしない
介護拒否をされた際に、「ほかのスタッフに対応を代わってもらうのは申し訳ない」という気持ちや人員的な問題から、自分で対応しなければならないと思うことがあるかもしれません。しかし、無理に対応することは、利用者さんと自分のお互いにとって良いことではなく、事故やトラブルにつながる原因にもなり得ます。
事故やトラブルを未然に防ぐためにも、一度上司や先輩スタッフに相談し、対応方法について事前に確認しておきましょう。また、違う人が対応したり、少し時間を空けてから再度声掛けをしたりすることで、ケアを受け入れてくれることもあります。
少しずつ距離を縮めて信頼関係を築く
ケアを行ううえで、利用者さんと信頼関係を築くことは非常に重要です。なかには、信頼関係がしっかりと築けていないことが原因で、介護拒否をされてしまうケースもあります。
関係性を築くためには、時間をかけて少しずつ距離を縮め、安心してもらえるようなコミュニケーションを取ることを意識しましょう。
介護の現場でよくある介護拒否のシーン
ここでは、介護の現場でよくある介護拒否のシーンをご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
食事拒否
高齢者は、活動量が少ないため食欲が湧きづらく、食事拒否をすることも少なくありません。認知症を患う方の場合、認知機能の低下が原因で「食べ方が分からない」「食べ物を食べ物と認識できない」などの状況が起こる可能性もあります。
また、人によっては夜間のトイレや失禁に不安があり、食事や水分摂取を拒否することもあるようです。
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入浴拒否
もともとお風呂に入ることが好きではない方や、入浴介助の必要性を自分では感じていない方の場合、入浴拒否は起こりやすい問題です。また、入浴する際に自分の身体を見られることに抵抗を感じる人は多く、羞恥心が入浴拒否につながることもあります。介護職には、利用者さんの気持ちを配慮した声掛けや支援が求められるでしょう。
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トイレ拒否
トイレ介助は、プライバシーや本人の尊厳に大きく関わるケアです。認知症の有無に関わらず、羞恥心から拒否が起きてしまうのは当然のことかもしれません。
ほかにも、認知機能の低下により、「トイレという言葉自体や場所が認識できない」「トイレの仕方が分からない」といった状況が起きることで不安や抵抗を感じ、トイレ拒否につながることがあります。
着替え拒否
肩が上がらなかったり、関節が動く範囲が狭くなっていたりすることで、「上手く着替えられない」と諦めてしまい、着替えの拒否が起こることがあるようです。
また、失行(麻痺などの運動障がいはないのに、普段行っている着替えなどの動作が上手くできなくなってしまうこと)や記憶障がいなど、認知症の症状による影響から着替え自体が困難になり拒否するケースもあります。
外出拒否
外出拒否が起きてしまう原因として、加齢による身体機能の低下や認知症の進行、外出先への不安などがあります。「近所の人に車いすに乗っているのを見られたくない」など、自身の身体状況の変化への戸惑いがあり、外出に消極的になることは珍しくありません。
また、デイサービスのような通所型の介護施設に通っている利用者さんは、「施設との相性が良くない」「ほかの利用者とのコミュニケーションが上手く取れない」といった理由で外出を拒否することも少なくないようです。
服薬拒否
「なぜ自分が薬を飲む必要があるのか分からない」「薬に対して良いイメージがない」などの理由から、服薬拒否をするケースがあります。また、薬の形態が本人に合わなかったり、服薬介助を行うスタッフとの相性が悪かったりすることで、服薬に煩わしさを感じて拒否につながる場合もあるようです。
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介護拒否が起こる原因と拒否しやすい人の特徴
介護拒否への理解を深めるうえでは、「なぜ介護拒否が起きるのか」という理由を知ることが大切です。ここでは、介護拒否が起きる原因と拒否しやすい人の特徴についてまとめました。ぜひ、日々のケアの参考にしてみてください。
認知機能の低下
認知機能の低下が、介護拒否につながることがあります。たとえば、前項でご紹介した食事、排泄、着替えなどの介助の例です。
介護拒否のケースは利用者さんによってさまざまですが、「なぜ介護を受けなければならないのか」「今はどういう状況なのか」などを理解できないことで、介護拒否が起きてしまう場合があります。
羞恥心が強い
排泄や入浴、着替えなどの介助は、プライバシーに関わる面が大きいため、抵抗を感じる人は少なくありません。特に、介護スタッフが異性の場合、羞恥心から抵抗感が強くなることがあります。
介護拒否が強い場合は、無理強いをせず、本人の思いやプライバシーに配慮しながらケアを行うことが大切です。
自立心やプライドか高い
「自分のことはなんでも自分でできる」というプライドがある方や、「介護をされること=迷惑を掛けてしまっている」という思いがある方は、介護拒否をしやすい傾向があります。今まで自立した生活を送っていた人は、「世話を焼かれている」と感じて介護に抵抗を感じることが多いようです。
環境の変化
環境が変わると生活が大きく変化するため、ストレスが溜まり、介護拒否につながることも少なくありません。たとえば、食事の回数や時間、味付けや量などの変化が挙げられます。
施設に入居すると、今までとは違う環境や生活習慣になりやすいため、変化に対応できないストレスから介護拒否を起こしてしまうケースは多いようです。特に、認知症の方は環境の変化が苦手な傾向があります。
体調不良
介護拒否の理由として、体調不良であることも可能性も考えられます。たとえば、食事や服薬の際は、口内炎がある、入れ歯が合わない、飲み込む力が弱くなってきたなどが原因のこともあるようです。
体調不良の自覚がなかったり、上手く状況を言葉で伝えられなかったりする場合もあるため、しっかり利用者さんを観察して変化に気づくことが重要になります。
服薬の影響
飲んでいる薬の副作用による眠気やだるさ、興奮などが原因で、介護拒否が起こるケースもあります。副作用による体調不良を感じていたとしても、自身の状態を上手く伝えられないと、結果として介護拒否につながることがあるようです。
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認知症を患う高齢者の介護拒否の背景
認知症を患う高齢者の介護拒否の背景には、特有の理由が考えられます。ここでは、認知症を患う高齢者の方が介護拒否をする理由や背景について解説するので、ぜひチェックしてみてください。
介護への理解が困難
認知機能の低下により、「なぜ今着替えや食事をする必要があるのか」が上手く理解できず、介護拒否をしてしまうことも。言葉で伝えられただけでは理解が困難な場合もあるため、五感を使うと有効的です。
たとえば、食事介助の場合、箸やスプーンを持ってもらうよう促すと、スムーズに食べられることがあります。今までの習慣や生活歴を尊重したケアを行うことが大切です。
意思に反した無理強い
本人のなかで、どうしても優先したいことや解決したいことがある際に無理強いをすると、介護拒否が起きやすくなります。たとえば、帰宅願望がある、部屋の片付けをしたいなどの状況です。
無理強いをしたり言動を否定したりすると、利用者さんがストレスを感じて暴言や暴力などにつながる可能性もあります。解決するのが難しそうな内容であっても、温かく見守り、本人の思いを尊重して接することが大切です。
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負の記憶による影響
認知症を患う方は、負の記憶による影響を受けやすい傾向にあるようです。たとえば、「排泄や着替えが上手くできなかった」「介護スタッフに注意された」などの状況は、負の記憶につながりやすくなります。
介護拒否を減らすためには、利用者さんが心地良いと思える環境作りや安心してもらえるようなケアを行い、抵抗感をなくしていくことも大切です。
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介護拒否とネグレクトのつながり
介護におけるネグレクトとは、介護者が日常生活で必要な介護や生活の世話を放棄・放任し、要介護者に悪影響を及ぼすことです。
厚生労働省の「I 高齢者虐待防止の基本(p.10)」によると、介護従事者によるネグレクトの具体例として「不衛生な状態で生活させる」「健康状態が悪化するほど水分補給や栄養補給を怠る」や「処方薬を服用させない」などがあります。
介護の現場では、介護拒否をされたことでネグレクトにつながるケースがあるようです。その理由として、「思ったとおりに動いてくれないことへのストレス」「介護拒否されたことによる、やるせない気持ちの反動」などが挙げられます。
ネグレクトを受け、身体的・精神的に状態が悪化している高齢者を発見した場合、「どのような対応をしたら良いか分からない」と感じるのではないでしょうか?
同資料(p.35)によると、介護施設で働くスタッフによる高齢者虐待への対応として、「虐待を受けたと思われる高齢者を発見した人は、速やかに市町村に通報しなくてはならない」としています。
介護の現場では、慢性的な人手不足によって業務の負担が大きくなり、心身ともに余裕がなくなることも。しかし、だからといってネグレクトを行っても良いということにはなりません。まずは、介護拒否への対策をとることや、介護拒否がネグレクトにつながらないようにするための対処法を考えることが重要です。
出典
厚生労働省「市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と養護者支援について(国マニュアル)」(2025年9月4日)
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介護拒否をされた際の対応方法
「実際に介護拒否があったらどんな対応をしたら良いの?」と不安に思う方もいるのではないでしょうか?以下では、介護拒否をされた際の対応方法について解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
体調を確認する
すでにご紹介したように、体調不良が原因で介護拒否につながることがあります。そのため、日々の体調管理に加え、利用者さんの様子にしっかり目を配りましょう。
もしも、調子が悪そうな様子が見られたときは、「どこか調子が悪いですか?」「〇〇が痛いですか?」などと声掛けをして体調を確認することが重要です。
介護の必要性を本人に伝える
「自分にはまだ介護は必要ない」と思っている高齢者の方は、自立心やプライドが高い傾向にあります。介護されることに対して納得してもらえなかったり、強く拒否をされたりすることがあるかもしれません。しかし、どうしても身体的な介助などが必要な場合もあるでしょう。そのような場合は、「なぜ介護が必要なのか」をしっかり本人に伝えることが大切です。
相手のプライドを傷付けないような寄り添った声掛けを行うことで、少しずつ介護の必要性を理解して受け入れてくれる可能性があります。
無理強いをせず本人の意思や思いを尊重する
介護拒否がある際に無理強いをすると、さらに拒否を強めてしまう原因になりかねません。そのため、可能な範囲で拒否する理由を聞き、本人の意思や思いを尊重した対応を心掛けましょう。
様子やタイミングを見てなるべく具体的な声掛けをする
認知症を患う方など、介護の意味を理解できない方もいらっしゃるため、介助を行う際は、なるべく具体的な声掛けをするよう意識しましょう。
たとえば、着替えを行う際に「着替えましょう」とだけ伝えても、「なぜ着替えるの?」「何をすれば良いの?」となってしまいます。介助を受け入れやすくするためには、「寝る時間なので、寝る前にパジャマに着替えましょう」「ボタンを外してこのシャツを脱ぎましょう」など、具体的な声掛けをすることがポイントです。また、ご本人の様子やタイミングも尊重してケアができると良いでしょう。
利用者さんとコミュニケーションをしっかり取る
利用者さんとの信頼関係を築くうえで、コミュニケーションをしっかり取ることは非常に重要です。コミュニケーション不足が原因で、介護拒否が起きてしまうこともあります。「この人が介護してくれるなら安心できる」「この人が言うなら大丈夫かな」と思ってもらえるような、ケアやコミュニケーションを目指しましょう。
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どうして私だけ?特定の職員が介護拒否されてしまう場合の対応方法
「ある利用者さんから、自分だけが介護拒否されている」「ほかのスタッフは平気なのに、自分が介助に入ると拒否が強くなる」という悩みを抱えている方もいるかもしれません。
介護拒否が起きる理由の一つとして、利用者さんへの苦手意識やコミュニケーション不足が挙げられます。拒否が続いてしまうことで、「また拒否されるかもしれない」「拒否されることがつらい」と思ってしまうこともあるでしょう。
利用者さんとの相性もありますが、まずは自分自身の言動や行動、気持ちを変えてみると良いかもしれません。そうすることで、利用者さんも少しずつ受け入れてくれるようになることがあります。それでも拒否が続くときは、無理せずスタッフを変えるなどの対応をして、少しずつ信頼関係を築いていくことが大切です。
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介護拒否に関するよくある質問
ここでは、介護拒否に関するよくある質問をまとめました。「介護拒否をされて困っている」「介護拒否に遭ったらどうすれば良いの?」とお困りの方は、参考にしてみてください。
特定の職員に対する介護拒否があり困っています…
利用者さんが特定の職員に介護拒否をする場合、何かしらの理由があるのかもしれません。たとえば、職員に対して「笑顔がなく怖い」「言葉や態度がきつい」「自信がなさそう」といったイメージをもっていると、「この職員から介護をされたくない」と不安になってしまうことも。あくまで利用者さんからのイメージなので実際にそうとは限りませんが、不安を少しでも取り除くために、表情や言葉遣い、接し方を見直してみるのも方法の一つです。
詳しくは、「利用者さんから嫌われるのはなぜ?介護職員が抱える悩みの対処方法を解説」の記事をご参照ください。
介護拒否への対応について教えてください
介護拒否に遭ったときは、原因を把握したうえで対処法を考えることが大切です。たとえば、入浴拒否があるのなら、「入浴しなくても良いと思っている」「入浴するのが体力的な負担になっている」「裸を見られることに抵抗がある」といった理由があるのかもしれません。そのようなときは、「入浴の必要性を伝える」「体力や羞恥心に配慮する」といった対応をすることで、少しずつ介護拒否が緩和される可能性があります。
詳しくは、「入浴拒否の原因別に声かけの方法を解説!介護現場ですぐ使える対応のコツ」の記事をチェックしてみてくださいね。
まとめ
介護拒否は、生活のなかのさまざまなシーンで起こります。その理由は一人ひとり違いますが、認知機能の低下や羞恥心の強さ、環境の変化などが原因で起こるケースが多いようです。拒否をされたことでケアに時間が掛かってしまったり、嫌な思いをしたりなど、介護拒否が原因でストレスを感じて、ネグレクトにつながってしまうようなケースもあります。
介護拒否をされると、誰でもつらい気持ちになってしまうでしょう。しかし、自分を責める必要はありません。一人で悩まず、信頼できる上司や先輩に相談し、少しずつ利用者さんとの信頼関係を築いていくことが大切です。
また、介護拒否をされた際の対応方法をしっかり理解しておくことも重要なポイント。無理のないケアを行うためには、柔軟な対応を心掛けましょう。生命への危険が伴わない限り、一度距離を置いて気持ちを落ち着かせることも大切です。介護をする側もされる側も安心できるケアを意識しながら、介助していきましょう!
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執筆者

おいもッコ
元介護士ライター
グループホームを中心に、有料老人ホームやデイサービスなどの施設で約7年半ほど介護士として勤務。リーダー業務なども経験しながら、多くの認知症高齢者や介護業務に携わる。2021年に介護福祉士を取得。現在は今までの経験を活かし、「元介護福祉士ライター」として介護士さんに共感してもらえるような、お役立ち情報などを発信している。





