スムーズに食事介助したい!基本姿勢や安全に実施するための注意点を解説

介護のアイデア 2024年5月10日
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高齢者の食事介助をしている介護士のイメージ

この記事のまとめ

「利用者さんの食事量にムラがある」「食事介助をスムーズに行うための正しい姿勢が知りたい」このように感じている介護職員の方は多いのではないでしょうか?
本記事では、食事介助をスムーズかつ安全に行うために必要な食事中の正しい姿勢とポジショニングのコツ、注意点などについて解説。今よりもスムーズかつ安全に食事介助を行いたいと考えている介護職員の方は本記事を読み、食事中の基本姿勢について正しく理解しましょう。

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目次

食事に影響する高齢者の身体の変化 

介護現場において食事介助を行う際は、高齢者の身体の変化についても、正しく把握しておく必要があります。加齢に伴って起こる身体の変化について、代表的なものを以下にまとめました。見た目に出やすいものから、気付きにくいものまでさまざまですので、しっかりと覚えておきましょう。

  • 歯が抜ける
  • 噛む力が弱まる(咀嚼)
  • 唾液の分泌量が減る
  • 飲み込む力が低下する (嚥下機能)
  • 濃い味付けを好む
  • 喉の渇きを感じにくくなる
  • 食事量が低下する

こうした変化を理解したうえで、安全に食事ができるよう、支援していく必要があります。

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スムーズな介助を実現する食事中の正しい姿勢

続いて、食事介助を行う際の利用者さんの正しい姿勢について解説します。

正しい姿勢を理解して上手くポジショニングを行うことで、さまざまなメリットがあります。たとえば、良い姿勢を自力で保持することが難しい利用者さんの誤嚥性肺炎予防につながったり、スムーズな食事介助が可能になったりすることも。また、正しい姿勢でいることで疲れにくくなるため、食事量の増加も期待できるでしょう。

以下の項目からは、状況別で食事をする際の姿勢と要点についてまとめているので、ぜひチェックしてみてください。

座って食事をする場合の姿勢 

まずは、椅子または車いす等に座って食事が摂れる利用者さんを想定した食事の姿勢を確認しましょう。クッション等で支えていれば座位の保持が可能な場合は、なるべく座って食事が摂れるように支援していくのが基本です。ベッド上と比べると適切な姿勢が保ちやすく、嚥下(飲み込むこと)や咀嚼(噛むこと)がしやすいため、自力摂取を促す効果も期待できます。

座位の保持が可能な方の正しい姿勢の要点

  • 深く腰かける
  • 少し前かがみになるように座る
  • 背もたれにぐったりと寄りかかってしまう場合は背中にクッションを入れる
  • 顎は少し引く(首が後ろに反ってしまったり、顎が上がってしまったりする場合は、リクライニング車いすのような頭まで支えられる長めの背もたれの物を用意して頭にクッションを入れると姿勢が保持しやすい)
  • 膝は90度くらいになるように座り、足の裏は床に付ける(足がつかない場合は雑誌等を重ねて足台を作り、しっかりと高さを調整する)
  • テーブルと身体の間にこぶし1つ分程の間隔を開ける

以上の要点をおさえて姿勢を整えると、正しい姿勢を保ちやすくなります。反対に、上記の要点に逆らってしまうと正しい姿勢を保つことが難しくなってしまうでしょう。顎が上を向いている状態で浅く腰かけ、背もたれにクッションを入れずに姿勢が悪い状態で食事を摂ってしまうと、口から気道が一直線上になり、誤嚥を起こしやすくなります。

顔を正面に向けて顎を引くのが良い姿勢であると言われる根拠は、こうした嚥下のメカニズムにあると考えられます。

ベッド上で食事をする場合の姿勢

続いて、ベッド上で食事介助が必要な利用者さんの食事の姿勢を解説します。ベッド上での食事は、椅子・車いすで食事を摂る場合と比較して、姿勢の保持が難しい場合が多いです。また、ベッド上で過ごす時間が長い方は、身体的な機能低下の影響も出やすいため、よりポジショニングをしっかりと行うことが求められます。

誤嚥性肺炎のリスクも高まりやすいため、以下で紹介する要点をしっかりとおさえて食事介助が行えるようにしましょう。

ベッド上で食事を摂る方の正しい姿勢の要点

  • リクライニングの角度は利用者さんの状態に合わせて調整(座って食べる状態に近づける場合は60度以上)
  • 身体が下がらないように必要に応じてひざの下にクッションを入れる
  • 枕やタオル、クッション等で頭を安定させ、顎を少し引いた状態にする
  • ベッドの高さを調整し、介助者と利用者さんの目線が同じ高さになるようにする
  • 左右に身体が傾く場合は、クッションを使用する

リクライニングの角度を60度以上とする根拠は、上記でご紹介した嚥下のメカニズムによるものです。ただし、角度はあくまで目安程度と考えておきましょう。利用者さんの状態により、適切な角度は異なります。日々、ケアを提供していく中でほかの介護職員と相談しながら、適切な角度を見極めるのが理想です。

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安全に食事介助を行うための注意点

ここでは、安全にそして快適に食事をしてもらうための注意点について解説します。姿勢以外にもいくつか気を付けたいポイントがあるので、食事介助を行う際に思い出しながら、確認してみてください。

利き手または健側から介助する

食事介助は、基本的に正面からは行いません。常に目線を感じながら食事をするのは心地の良いものではないため、利用者さんが食事に集中できるよう、介助する位置にも気を配る必要があります。

正面でなければ、左右どちらかになりますが、利用者さんの利き手または健側(麻痺などがない方)から介助するのが原則です。つまり普段、利用者さんが箸を持つ側からの介助が理想といえます。これは、いつも食べ物が運ばれてくる方向から介助に入った方が、利用者さんが食べやすいと考えられているためです。

食事前に水分摂取を行う

食事の最初はお茶やお水、汁物などの水分摂取からはじめましょう。高齢になると唾液の分泌量が減少しやすくなるため、口腔内が乾いている利用者さんもいます。食事前に水分摂取を行い、口の中を潤してから、嚥下がしやすい状態に整えましょう。

水分量が多く食べやすいものから始める

こちらも上記と同じ理由ですが、食事前に十分に水分摂取ができていれば、嚥下がしやすくなります。そのため、なるべく水分量が多く、食べやすいものから始めると良いでしょう。しかし、利用者さん本人から「これが食べたい」と希望がある場合は、本人の希望を優先することが大切です。

一口の量が適切になるように注意する

適切な一口の量は個人差があるため、それぞれの利用者さんに合わせた適切な量を提供しましょう。量が多すぎると口腔内の溜め込みや、誤嚥、窒息の危険も伴います。適切な一口の量が分からない場合は、少なめからはじめると、より安全な食事介助ができるでしょう。

飲みこんでから次の一口に進む

しっかりと飲みこんだことを確認してから、次の一口に進むことも忘れてはいけません。特に、介護施設などで時間に追われて焦ってしまう時は、注意が必要です。咀嚼から嚥下までのスピードは個人差が非常に大きいため、一人ひとりに合わせたペースで介助をする意識を持ちましょう。

時間をかけすぎない

非常にゆっくりなペースで食事をされる利用者さんもいますが、食事の時間が長すぎると疲れてしまう場合が多いので注意が必要です。長くても40分未満くらいで食事は終了するようにしましょう。ゆっくりと召し上がってもらってもいいのですが、キリの良いところで一旦声かけを挟むのが理想です。

以上が食事介助の際に注意したいポイントですが、食事前の準備や介助のテクニックについては「食事介助とは?介護職員がおぼえておきたい準備や姿勢などの注意点」で解説しています。食事介助の手順などから詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

食事中に口を開けてくれないときの対応方法

限られた時間の中で、何人もの利用者さんの食事介助を進めなければいけない状況では、「少しでもスムーズに食事を進めたい」と考える介護職員の方も多いはず。そこで、最後に利用者さんが食事中に口を開けてくれないときの対応方法を3つご紹介します。

声かけと食事環境の調整をする

こまめに声かけを行い、食事に集中して「ご飯を食べる」という認識を持ってもらうことが重要です。また、テレビがついていたり、周りに食事と関係のないものが散乱していたりすると気が散って食事に集中できない利用者さんも多くいます。その場合は、環境整備にも気を配るとよりスムーズに食事を進められるようになるでしょう。

さらに、食事前のトイレ誘導などをしっかりと行うことができれば「尿意や不快感で食事に集中できない…」といったことも予防できます。

食事に集中しやすい環境を整え、適宜声かけを行うことで、食事への認識を持ってもらうことが可能になるはずです。

しっかり目が覚めているか確認する

なかなか食事が進まない場合、夜間の睡眠の状況や薬の変更がなかったかなどを確認して、しっかり目が覚めているか観察することも必要です。

特に、ベッド上で過ごされている方は椅子や車いすに座って食事をする場合と比べ、誤嚥のリスクも高まりやすいため、しっかり目が覚めているか把握することが大切です。その際に、無理やり食事をすすめることがないように注意しましょう。

利用者さんが好む味・温度を把握する

食事がなかなか進まない場合、その利用者さんの好みを把握して、好きなものを口に持っていくと口を開けてもらえることも。甘いものが好きな方、冷たいものが好きな方などが多い傾向にありますが、さまざまな飲み物や食材を試したり、ご家族に利用者さんの好みをヒアリングしたりするといいかもしれません。

まとめ

食事介助は、高齢者の加齢による身体の変化を正しく理解して行う必要があります。

そのうえで、食事の際の正しい姿勢を保持できるよう支援することで、スムーズかつ安全な食事介助が可能になります。また、正しい姿勢を理解することで食事時間の短縮にもつながり、利用者さんの体力消耗を抑える効果も期待できるでしょう。

日々の介護業務で、利用者さんの「食事の進みが悪い」「なかなか口を開けてくれない」と感じている場合には今一度、食事の姿勢を確認してみましょう。

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執筆者

  • 椿るい

    介護福祉士ライター

現役介護福祉士。認知症専門病院で看護助手として勤務した後に介護福祉士を取得し、現在は特養に勤務している。食事・排泄・入浴等、利用者さんの生活に係る介護全般に従事。派遣社員として勤務していた経験や副業経験もあり、介護職として柔軟な働き方を目指す。

関連ジャンル: 介護のアイデア

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※この記事の掲載情報は2024年5月10日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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