
この記事のまとめ
- 介護職の新人放置が起きる理由は、人手不足で仕事を教える人がいないから
- 新人介護職が職場で放置されたときの対処法は、上司に相談すること
- 介護職の新人放置が起きないのは、コミュニケーションが円滑な職場
「介護職は新人放置があるの?」と不安に思う方もいるでしょう。介護施設のなかには、新人介護職への教育が不十分な職場もあるようです。新人放置があると、介護のスキルに不安を感じながら働くことになり、離職につながるおそれがあります。この記事では、介護職の新人放置が起きる理由や対処法を解説。介護職の新人放置が起きない職場の選び方もまとめたので、「教育を受けて不安なく働きたい」という方は参考にしてください。
目次
介護職の一般的な新人教育
介護職の新人教育について、「どれくらい教育してくれるんだろう?」「私の施設の教育は普通なの?」と疑問に思う方もいるでしょう。以下で、介護職の一般的な新人教育について解説するので、参考にしてください。
新人介護職が仕事に慣れるまでの目安期間
新人介護職が仕事に慣れるまでには、3ヶ月程度かかります。ただし、3ヶ月というのはあくまでも目安なので、仕事を覚えるのに必要な期間には個人差があるでしょう。新卒の場合、1年かけて教育するプログラムを組んでいる施設もあります。
詳しくは、「介護職に慣れるまでどのくらいかかる?新人職員の心得や乗り越え方を紹介」をご覧ください。
新人介護職が独り立ちするまでの教育
新人介護職は、現場で先輩から教育を受けて仕事を覚えます。「いきなり独り立ちするの?」と不安に思っている方は、新人介護職の教育体制をチェックしてみましょう。
OJTを受けて段階的に業務を担当する
介護施設は、実際の業務を通して新人教育をするOJTを導入しているのが一般的です。OJTでは、「先輩の業務を見て覚える」「先輩に横に付いてもらって介助を行う」「1人で介助する」というように、働きながら段階的に学び、スキルを身につけます。
入職初日は、利用者さんとの会話や見守り、居室の掃除、配膳など、介護の専門知識がなくてもできる業務から任されることが多いでしょう。
現場の教育担当者が付く
介護職の教育では、新人1人に対して教育担当者が1人付いて業務を教えるパターンが多いといえます。教育担当者を1人に固定する施設と、シフトの都合で日によって教育担当者が変わる施設があるようです。
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介護職の新人放置が起きる理由
人手不足の職場や、教育体制が整っていない職場では、介護職の新人放置が起きる場合があります。「新人なのに教育してもらえない…」と感じている介護職は、自分の職場に当てはまっていないか確認してみましょう。
人手不足で仕事を教える人がいない
人手不足で教育担当のスタッフを確保できないと、新人放置が起きる可能性があります。新人を教育するには、一定のスキルや経験が必要ですが、要件を満たす人材がいない介護施設もあるようです。
教育が不十分だと、スキルに不安を抱えたまま独り立ちすることになるので、仕事を長く続けられないかもしれません。
業務が忙しく教育の時間を確保できない
教育担当者が介護業務で忙しく、新人を丁寧に指導できないケースも。新人が質問したいと思っても教育担当者が忙しそうにしていると、話しかけることができずに仕事への不安や不満が蓄積されていきます。結果的に教育が不十分になり、「このままここで働き続けるのはきつい」と感じて離職につながる場合もあるようです。
また、残業が多い介護施設では、新人と教育担当者が一緒に業務を振り返る時間を確保できないことがあるかもしれません。
介護職の教育制度が不十分
教育用のマニュアルがないため、新人の指導を十分にできない場合もあります。シフト制の介護施設で、複数のスタッフが新人教育を担当する場合、マニュアルがないと教育方法を統一できません。新人教育を完了する基準がなければ、スキルが不十分でも現場判断で教育を終了してしまい、新人放置が起きる可能性があります。
職員同士の連携が取れていない
職員同士の連携が取れていないことも、新人放置の原因になります。誰が教育を行うのかを決めていなければ、新人が取り残されてしまうかもしれません。職員同士の人間関係に問題があると、職場の雰囲気が悪くて声をかけづらい可能性があります。
介護経験者には教育が必要ないと思っている
介護の資格や経験がある人を即戦力とみなして、教育しない介護施設もあるようです。ブランクがあったり、異なる施設形態の職場に転職したりした方は、教育してもらえないと不安に感じるでしょう。
職場によって環境やルールは違うので、介護の経験があっても指導は必要です。介護職に復帰するにあたってしっかりとサポートを受けたい方には、教育環境を整えている傾向のあるブランク可の職場をおすすめします。
新人介護職が職場で放置されたときの対処法
新人介護職が職場で放置されたときは、周りに相談したり、自分から質問したりすると良いでしょう。努力しても改善の見込みがない場合は、転職を検討する必要があるかもしれません。
上司に相談する
介護職の新人放置は、上司に相談することで改善する可能性があります。教育担当のスタッフを変えたり、マニュアルを見直したりするなど、新人教育の体制を変えてもらえるかもしれません。管理職の方は、現場の状況を十分に把握できていない場合があるので、困っていることがあれば相談してみましょう。
経験年数が短い職員に相談する
同期や経験年数の近い同僚がいる場合、新人教育について相談してみると対処法を聞けるかもしれません。共感して話を聞いてもらえると、ストレスが軽減する可能性もあるので、1人で抱え込まないようにしましょう。
仕事で困ったときは自ら指導を仰ぐ
教育担当者に放置しているつもりはなく、「1回教えたから覚えているはず」「介護の資格があるからできるだろう」と思っていることもあります。分からないことがあれば、自分から指導を頼めば、教えてもらえる可能性が高いでしょう。スキルに不安があるときは、無理せず先輩に指示を仰ぐことも必要です。
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環境が改善する見込みがなければ転職を検討する
上司に相談したり、自分から積極的に質問したりしても放置される場合は、転職を視野に入れましょう。十分な教育を受けないまま仕事を続けると、間違った介助方法により事故が起きるリスクがあります。仕事に対する不安からストレスが溜まる可能性もあるので、限界を感じる前に転職を検討してみてください。
新人介護職が感じやすい不安・悩みと解決策
新人介護職は、質問するタイミングが分からないことや、指導内容が人によって違うことに悩む場合があります。解決策をまとめたので、不安を感じている新人介護職の方はご覧ください。
先輩職員に質問するタイミングが分からない
新人介護職は、質問したいことがあるのに、先輩が忙しそうにしていて声をかけられないときがあるかもしれません。
介護施設は、スケジュールに余裕がない時間帯と業務にゆとりができる時間帯があります。時間が取れるタイミングをあらかじめ先輩に聞いておくと、質問しやすくなるでしょう。
質問するときのポイントは、聞きたいことを明確にして、何が分からないのかが相手に伝わるように話すことです。
利用者さんの発熱や嘔吐、転倒など、緊急度の高い報告は「緊急です!」と伝えたうえで、すぐ対応してもらうようにしましょう。
指導内容が人によって違う
教育担当者が複数いる場合、人によって介護に対する考え方が違うことがあります。介助で大切にするポイントやこだわりが職員ごとに異なると、誰のケアを参考にすれば良いのか迷うかもしれません。
指導内容に差があるときは、一番尊敬している職員の介護をベースにして、ほかの職員のケアの良いところを取り入れるのがおすすめです。
利用者さんの状態やその日の体調によって適切な介助方法は変わります。利用者さんごとに介助方法が異なることや、利用者さんの調子に合わせてケアの手順が変わる場合があることも理解しておきましょう。
介護の知識やルールを体系的に理解できない
介護職の新人教育はOJTがメインの場合が多く、座学の新人研修が充実している施設は少ない傾向にあります。介護業務の全体像を最初に教えてもらえない施設では、あまり理解していない状態で働き始めることになり、不安を感じる場合があるでしょう。
このような場合、介護職員初任者研修など、介護に関する資格を取得することで、知識をインプットできます。研修を受講すれば、業務の流れや介護施設への理解が深まるので、自信を持って介護業務に取り組みたい方は、資格取得を検討してみてください。
介護職の新人放置が起きない職場の選び方
しっかりと教育を受けたい介護職の方は、事前にリサーチして、新人放置が起きない職場を選びましょう。求人票を見たり、面接の際に質問したりすることで、新人介護職が働きやすい環境の職場を見極められます。
職場見学をして雰囲気や清潔感を確認する
職場見学をして、職員同士のコミュニケーションの様子や、利用者さんの表情などを見て、雰囲気を確認しましょう。コミュニケーションが円滑な職場なら、分からないことを教えてもらいやすいといえます。
職場見学の際には、施設の清潔感もチェックしましょう。掃除が不十分な職場は、利用者さんの介護に手一杯で、ほかの業務ができていないかもしれません。時間がないと、新人を教育する余裕がない可能性があります。
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人手不足の職場は避ける
前述したように、人手不足の職場は介護職の新人放置が起きるリスクがあります。人員配置に余裕があって、新人教育を行う人材を確保できる職場を選べば、放置される可能性は低いでしょう。
転職する前に、普段のシフト体制や、新人が慣れるまでの体制はどうなのかを確認しておくのがおすすめです。人手が足りているのかが分からない場合、見学や面接の際に聞いておくと良いでしょう。
介護職の教育制度が整備されている職場を選ぶ
介護職の転職では、新人教育のマニュアルがある職場を選ぶことが大切です。人材育成に力を入れている施設にありがちな資格取得支援制度のある職場なら、介護のスキルが高い先輩が多く、しっかり仕事を教えてもらえる可能性があります。介護の知識や技術が身についている先輩と働くと、自身もスキルを磨けるでしょう。
未経験可・無資格OKの職場を選ぶ
介護のスキルに自信がない方には、「未経験可の求人」や「無資格OKの求人」がおすすめです。未経験や無資格の方を積極的に採用している介護施設は、新人教育や研修が充実している可能性が高いでしょう。
求人票の労働条件を確認する
休日が少なかったり残業が多かったりする介護施設は、働きづらいと感じるかもしれません。労働環境が悪いと、ストレスを感じる原因になります。仕事にストレスを感じていると、教育担当者と新人介護職が良好な関係を築くのは難しいでしょう。
転職する際は、業務内容や夜勤の有無、勤務時間、年間休日数、社会保険制度、転勤の有無などを事前によく確認してみてください。
求人を出している理由を確認する
新人放置が起きない職場を選ぶには、求人を出している理由を確認することも必要です。離職率が高く常に求人を出している介護施設は、職場環境に問題があるかもしれません。ほかの介護施設と比較して条件が良過ぎる場合、すぐに人が辞めるといった理由で求人を出している可能性があるので注意しましょう。
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新人介護職が仕事に慣れる方法
新人介護職が仕事に慣れるには、自分からあいさつをするなど、積極的にコミュニケーションを取って人間関係を築く姿勢が重要です。目標を決めて、達成に向けて頑張るのも良いでしょう。介護職としての目標があれば、仕事のモチベーションにもつながります。
新人の介護職が仕事に慣れるまでは、下記の心構えで仕事に取り組みましょう。
- 報告・連絡・相談を徹底する
- 一人ひとりの利用者さんに寄り添う
- 向上心を持ち続ける
- 接遇やマナーを意識する
- 自身の体調管理をする
最初のうちは介護の知識や技術が不十分かもしれませんが、努力している姿勢が同僚に伝われば、信頼関係を築けます。意欲的に仕事に取り組むことで、徐々に介護業務に慣れて成長できるでしょう。
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仕事に不安を抱く新人介護職によくある質問
ここでは、仕事に不安を抱く新人介護職によくある質問に回答します。「介護職として頑張っていきたいけど、自信がない」という方は、参考にしてください。
介護職として独り立ちするのが不安です…
新人の介護職は、入職して数日ですぐに独り立ちするのではなく、最初は先輩について仕事を覚えます。いざ独り立ちをする際に不安に感じることがあれば、上司に相談すると良いでしょう。「何が不安なのか」や「どうすれば不安を解消できるのか」を話し合い、不安を抱えたままにしないことが大切です。最初は不安や緊張があっても、仕事に慣れて自信がつけば、安全かつスムーズに介護できるようになるでしょう。
50代も新人介護職として働けますか?
介護業界は60代以上で活躍している方も多いので、50代の方も転職できます。介護職は、50代の方がこれまで仕事やプライベートで積んできた経験を活かして働ける仕事です。詳しく知りたい方は、「50代から介護業界への転職はきつい?仕事内容や給与、転職成功のポイント」の記事を参照してください。
すぐに辞める新人介護職の特徴は?
介護職をすぐに辞める人の特徴は、「コミュニケーションを取るのが苦手」「体力がない」「介護の仕事に将来性を見いだせない」「仕事に対する責任感が強過ぎる」などです。実際に介護職として働いてみて、理想と現実にギャップを感じると、短期離職してしまう場合があります。仕事を辞めたい新人介護職の方は、「介護職をすぐ辞める方法は?退職理由やリスク、辞めやすい人の特徴を解説」の記事もあわせてご覧ください。
まとめ
介護職の新人放置が起きるのは、人手不足だったり教育体制が不十分だったりすることが理由です。新人介護職が職場で放置されたときは、上司に相談しましょう。介護職の新人放置が起きない職場を選ぶためには、施設の雰囲気や待遇をチェックすることが大切です。新人介護職は、仕事に意欲的に取り組む姿勢があると、同僚からの信頼を得られるでしょう。
教育制度が整った介護施設に転職したい方は、レバウェル介護(旧 きらケア)をご利用ください。レバウェル介護(旧 きらケア)は、介護業界を専門とする転職エージェントです。アドバイザーは求人を出している介護事業所に詳しいので、人員配置に余裕がある職場や、新人教育が丁寧な職場を紹介できます。転職に関する不安や今の職場の悩みを相談したい方の利用も歓迎です。サービスはすべて無料なので、「介護職への転職で後悔したくない」「今より良い環境の職場で働きたい」という方は、ぜひ利用してくださいね。
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執筆者
実
元介護士ライター
グループホームに2年、訪問介護事業所に3年勤務。多くの高齢者や、障害のある方の介護に携わる。訪問介護事業所では、サービス提供責任者の業務も担当した。2022年に介護福祉士を取得。現在は、知識や経験を活かして、介護職員の方に役立つ情報を発信している。