ケアマネの退職トラブルとは?回避方法や違法になるケース、対策法を解説

介護職の悩み 2025年8月19日
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この記事のまとめ

「ケアマネを退職したいけど、トラブルなく辞めるにはどうしたら良いのか分からない…」と頭を悩ませている方もいるのではないでしょうか。法律上は最短2週間で退職できますが、トラブルを避けるためには入念な準備が必要です。この記事では、ケアマネの退職時に発生しやすいトラブルや回避する方法を解説します。円満退職や転職を成功させる方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

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目次

ケアマネが退職する理由 

ケアマネジャーが退職する理由は人によってさまざまです。
公益財団法人 介護労働安定センターの「令和6年度 介護労働実態調査結果:介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書 資料編(p.30)」によると、ケアマネが前職を辞めた理由は、「新しい資格を取ったから」が最多の23.8%でした。次いで、「結婚・妊娠・出産・育児のため」が16.9%、「職場の人間関係に問題があったため」が16.8%となっています。

そのほか、よく聞かれるケアマネの退職理由は、以下のとおりです。

  • 業務量が多い
  • 給料に不満がある
  • 資格の更新研修が大変
  • 責任の重さが精神的な負担になる
  • 兼務でケアマネ業務に集中できない

業務量や業務上の責任に対して給料・待遇が伴っていなかったり、多職種の仲介や利用者さんとの人間関係に悩んだりするなど、働くなかでケアマネの大変さに直面して退職する方がいるようです

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ケアマネの退職時に発生しやすいトラブル

退職を決意して意思を示しても、事業所や利用者さんから引き止められたり、業務の引き継ぎに問題が生じたりするなどのトラブルに直面することがあるようです。
ここでは、ケアマネが退職する際に遭遇しやすいトラブルを4つご紹介します。

1.上司や利用者さんに引き止められる

退職を申し出た際に、「後任が見つかるまでは待ってほしい」などと言われて引き止められるのは、ケアマネに限らず、退職の際にありがちなトラブルの典型例といえます
職業情報提供サイトの「介護支援専門員/ケアマネジャー」によると、2023年度のケアマネの有効求人倍率は、全国平均で7.03倍です。ケアマネは人材確保が難しい状況のため、上司から引き止められる場合があるかもしれません。

また、利用者さんから退職に対する理解が得られないことも考えられます。ケアマネジメントを通じてサポートしてきた利用者さんから、「いなくなったら困る」と情に訴えかけられれば、退職しづらいと感じる方もいるでしょう。
「別のケアマネに変わっても今までと変わらず介護サービスを受けられるのか」「後任者と一から関係性を築かなければいけないのか」といった不安から、強く引き止める利用者さんもいるようです。

2.後任が見つからず業務の引き継ぎができない

後任者が見つからず、退職に向けて業務の引き継ぎができない場合もあります
厚生労働省の「居宅介護支援事業所におけるケアマネジャーの採用状況(p.25)」によると、居宅介護支援事業所におけるケアマネの採用状況は、「採用はできているが計画・想定よりは少ない」と「採用できていない」が合わせて45.2%でした。
採用がうまくいかない理由は、「募集に対して応募がない」が最多の78.7%で、厳しい採用状況が伺えます。そのため、後任のケアマネが見つからず、円滑な引き継ぎができない状況が発生する場合があるようです。

ケアマネになるには、指定の国家資格等に関連する実務経験もしくは、相談援助業務の実務経験を5年以上(かつ900日以上)積んだうえで、試験に合格して研修を受けなければなりません。資格取得の難易度が高く、現役のケアマネとして働く人が少ないため、後任者が見つからないことがあるようです。

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3.引き継ぎ内容が不十分で後任が苦労する

ケアマネの業務は多岐にわたるため、退職時の引き継ぎが不十分だと後任者が苦労することも考えられるでしょう。トラブルにつながりやすい状況を以下で3項目に分けて解説します。

介護報酬の請求に不備がある

介護報酬の請求をケアマネが行う場合、退職日までに行った請求事務に不備があれば、後任のケアマネが確認作業や手続きを行うことになるでしょう。結果として、介護給付費の支払いが遅れてしまうと、介護事業所や利用者さんに迷惑をかけてしまいます。 

利用者さんの情報や注意事項をリスト化していない

引き継ぎの際に、利用者さんに関する情報や注意事項をまとめていないと、ケアマネジメント業務ややり取りに支障が生じるおそれがあります。後任者が正確なアセスメントを実施するためには、現在に至るまでの介護支援経過を把握しておくことが必要不可欠です。

ケアプランや介護報酬請求の業務についてだけではなく、利用者さん宅を訪問するときに留意すべきことや、ご家族がどのような人なのかなどの役立つ情報も共有しておくと良いでしょう。事前に伝えておけば、意図せず相手を不快にしてしまうのを防げるため、後任者が利用者さんとスムーズに信頼関係を構築することにつながります。

業務内容をマニュアル化していない

退職前に業務内容を引き継ぎノートやマニュアルにまとめておかなければ、後任者が引き継いだ内容を再確認できずに困ってしまうかもしれません。職場によっては、ケアマネ業務以外に介護業務なども兼務する場合があるでしょう。
1日の業務の流れや過ごし方、特筆すべき事項など、全体を通して広く情報を共有していないと、後任者は手探り状態で業務に当たることになってしまいます。特に、在籍するケアマネが1人なら、対応に苦慮しないように細やかな引き継ぎを行うことが大切です。

4.利用者さんを転職先に引き抜く

所属する事業所から退職する際、転職先に利用者さんを引き抜くのは、事業所間のトラブルに発展しかねない行為といえます。利用者さんが介護サービスを受けるために契約するのは介護事業所です。ケアマネと利用者さんは密接な関わりがあるとはいえ、無断で事業所から利用者さんを引き抜く行為は、就業規則に違反するおそれがあるでしょう。

ケアマネが退職時のトラブルを回避する方法

ケアマネがトラブルなく退職するには、在籍する事業所側の事情を考慮し、余裕のあるスケジュールで計画的に行動することが大切です。
ここでは、ケアマネがトラブルなく退職するために踏むべき手順を紹介します。

引き継ぎ期間を考えて転職活動をする

就業規則に目を通し、いつまでに退職意思を示す必要があるかを確認したうえで、転職までに必要な期間を逆算しましょう。事業所の事情や担当している利用者さんの人数などによっては、引き継ぎに時間がかかる可能性があるため、余裕を持って転職希望日の3~6ヶ月前から転職活動を始めておくと安心です。

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退職の意思は上司に早めに伝える

転職先が決まったら、できるだけ早く直属の上司に退職意思を伝えましょう。その際、具体的な退職希望日の日付を伝えるとともに、退職願を提出します。
退職理由を伝える際は、「新しい環境で頑張りたい」など、前向きな内容を意識して伝えることが大切です。現状への不満を退職理由にすると、「改善するから」と引き止められてしまう場合があるので、避けたほうが良いでしょう。

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後任への引き継ぎを丁寧に行う

退職が認められて後任が決まった場合は、速やかに業務の引き継ぎに移りましょう。業務内容や仕事の進め方、担当している利用者さんの情報を伝えるには、多くの時間が必要です。

また、直接的な引き継ぎ以外にも、利用者さんの情報を整理したり、業務マニュアルを作成したりするなど、後任者や利用者さんに迷惑がかからないように対応すべき事務作業もあります。書類や資料を多く扱う際は、保管場所などはラベルを使って判別しやすくすると、快適に業務を進められるでしょう。

関係者と十分にコミュニケーションを取る

利用者さんの支援に影響しないよう、後任のケアマネをはじめ、介護・看護サービスの職員や自治体の職員などに十分な申し送りを行いましょう。利用者さんの状態をしっかり共有するためには、サービス担当者会議の際などにしっかりとコミュニケーションを取る必要があります。

利用者さんに後任を紹介する

ケアマネが変わることに不安を覚える利用者さんは一定数います。利用者さんへの対応方法は事業所の方針にもよりますが、退職前に後任者を紹介し、ケアマネが変わっても今までと同様の支援を受けられると伝えると、利用者さん側の不安を軽減できるでしょう

ケアマネの退職トラブルで違法になるケースとは?

退職時の強引な引き止めや就業規則への違反など、退職トラブルで違法になるケースがあります。ここでは、どのような理由で違法になるのかを解説するので、参考にしてみてください。

退職意思を無視して辞めさせない場合

ケアマネが退職交渉を申し出ているにもかかわらず、事業所側が退職意思を無視して辞めさせない場合は、労働基準法に抵触します。退職に関する法規定は、民法や労働基準法で定められています。

民法第627条では「雇用期間を設けていない労働者は、14日前に申告すれば雇用契約を終了できる」と規定されているため、正社員などの無期雇用契約を結んでいる人は、2週間前に退職を申し出れば退職可能です。

一方で、雇用期間の定めがある有期雇用契約の場合は、契約期間内の引き止めであれば違法行為に該当しません。雇用期間を定めて契約を交わすと、労働者は、原則として契約期間を満了する義務を負います。民法第628条にある「やむを得ない事情があれば契約を介助できる」という例外を除き、事業所側が契約期間どおりの雇用を求めるなら、その引き止め自体は適法といえるでしょう。
ただし、労働基準法第137条では、期間の定めのある労働者について、「労働契約の初日から1年経過した場合、退職を申し出ればいつでも退職できる」と規定されています。

後任が見つからないことを理由に退職を断る場合

厳しい採用事情から退職を認めない場合も、労働基準法の規定に違反します。従業員側から退職の意思を伝えられた際に、人手不足を理由に事業所側が引き止める行為そのものは違法ではありません。貴重な人材を惜しんで退職意思の撤回をお願いする場合はあるでしょう。
しかし、後任が見つからないのはケアマネの責任ではなく、事業所側の責任なので、先述した法律に則ればケアマネの意思で退職できます。

事業所の合意なく利用者さんを引き抜いた場合

事業所と事前に話し合いをしたうえで利用者さんを連れていくのは違法ではありませんが、相談なく勝手に引き抜くと、「競業避止義務」に違反する可能性があるでしょう。競業避止義務とは、特定の事業において、競業行為を差し控える義務のことです。

厚生労働省の「競業避止義務の明確化について(p.3)」によると、労働者は企業と雇用関係を結ぶことで、労働契約の不随義務として競業避止義務を負うと解されています。そのため、在職中に利用者さんを引き抜くと、事業所の利益を損なう行為として追及を受けるなど、トラブルにつながってしまうかもしれません。

事業所に不利益を被らないようにする義務があるにもかかわらず、利用者さんを引き抜くという行為により事業所の利益を損なえば、ケアマネ側の不法行為と判断されて損害賠償を請求されるリスクが生じるでしょう。退職前のタイミングで発覚すれば、懲戒処分の事由にもなり得ます。

退職時にトラブルが発生した場合の対策

退職する際は、トラブルなく円満退職できるのがベターです。しかし、意図せずトラブルに発展してしまうこともあるでしょう。
ここでは、実際に問題が発生した場合の対処法をご紹介するので、参考にしてみてください。

退職届を作成して退職の意思表示をする

退職の意思を申告したくても話し合いの場を設けてもらえないなど、口頭では退職意思を伝えられない場合、退職届を提出する方法があります。本来、退職の意思表示は口頭だけでも効力を持ちますが、事業所側が退職交渉に応じてくれない場合、退職届を作成して退職意思を示すと有効です。

退職届などで客観的な証拠を残しておかないと、「退職意思を伝えた」「そんな話は知らない」の押し問答になるリスクも。民事訴訟など、トラブルに発展させないためには、形あるもので退職意思を示しておくと安心です。

内容証明郵便で退職届を送付する

退職交渉に応じてもらえず、退職届を作成しても受け取りを拒否された場合、内容証明郵便を利用して退職届を郵送しましょう
内容証明郵便で届けられる郵送物は、文書の内容や届いたことを証明するため、事業所に送ったものが退職届であると第三者に認めてもらえます。また、内容証明郵便は、ポストへの投函ではなく手渡しで届けられるので、「退職届は受け取っていない」と言われる状況を回避し、確実に退職意思を事業所側に伝えることが可能です。

専門機関や専門職に相談する

事業所が退職を認めず、退職手続きが進まない場合は、専門機関に相談してみましょう。労働基準監督署は、企業が労働基準法などを遵守しているかどうか監督する役割を持ちます。状況によっては、事業所へ直接勧告するなど、問題解決に協力してもらえるでしょう。

また、総合労働相談コーナーでは、労働問題全般の相談に乗ってもらえます。総合労働相談コーナーの所在地については、「総合労働相談コーナーのご案内」から確認することが可能です。

もしも、事業所とのトラブルにより法的措置まで発展した場合は、弁護士に相談すると良いでしょう。訴訟手続きに対応したり事業所側と冷静に話し合ったりするには、第三者に仲介してもらい、事実関係を整理してもらう必要があります。

ケアマネが転職を成功させる方法

最後に、ケアマネが転職を成功させる方法をご紹介します。転職するには、十分な自己分析と情報収集が必要です。また、限られた時間のなかで効率的に転職活動を進めるには、第三者の力を借りる方法も有効といえます。

今後の明確なキャリアプランを立てる

キャリアプランを明確にして転職活動に臨みましょう。退職する理由は何なのか、どのような条件に重きを置いて転職するのかなど、転職の軸を定めておかなければ、転職先でも同じような理由で思い悩む可能性があります。

自己分析によって転職の目的や希望を言語化することで、自身のキャリアビジョンが見えてくることも。後悔のない転職をするためには、キャリアプランをしっかりと立てたうえで転職活動を行いましょう。

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転職エージェントに相談する

多忙なケアマネの仕事と転職活動を並行するなら、転職エージェントに相談するのがおすすめです。豊富な転職実績のある転職エージェントでは、キャリア相談や厳選した求人の紹介、選考スケジュールの調整、円満退職のためのアドバイスなど実施しています。

転職先の職場の雰囲気や人間関係など、個人では把握し切れない情報を事前にリサーチできるのは、介護業界に特化した転職エージェント「レバウェル介護(旧 きらケア)」の強みです。キャリアアドバイザーが事業所と直接連絡を取っているので、職場の状況や担当する利用者さんの人数など、あなたの知りたい情報を提供できます。

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ケアマネの退職時のトラブルに関するよくある質問

ここでは、ケアマネの退職に関するよくある質問を紹介します。業務を引き継ぐためにどれほどの時間を設けたら良いのか、ケアマネの離職率がどれくらいなのかを知りたい方は、チェックしてみてください。

ケアマネが退職する場合、引き継ぎに必要な期間は?

ケアマネに求められる引き継ぎ期間として、少なくとも1ヶ月をみておくと良いでしょう。事業所が後任を見つけるには、できるだけ早期に相談する必要があります。職場によっては、就業規則に退職の申請時期を規定している場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。円満に退職するには、余裕を持った退職スケジュールを立てましょう。
ケアマネが退職時のトラブルを回避する方法」でも引き継ぎ期間について触れているので、あわせてご確認ください。

ケアマネの離職率は何%ですか?

公益財団法人 介護労働安定センターの「令和6年度 介護労働実態調査結果:事業所における介護労働実態調査 結果報告書 本編 第1章&第2章(p.8)」によると、2024年における介護支援専門員(ケアマネジャー)の離職率は10.4%です。同資料(p.7)によると、介護職員の離職率は12.8%、訪問介護員の離職率は11.4%。ケアマネの離職率は、介護職員や訪問介護員より低いと分かります。

まとめ

ケアマネが退職する際にありがちなトラブルは、上司や利用者さんから引き止められたり、人材不足により後任が見つからなかったりすることなどが挙げられます。また、業務の引き継ぎが不十分だと、後任が困ってしまう可能性があるでしょう。そのほか、利用者さんに対して、転職先の事業所へ移動するように働きかけることも、トラブルの原因となりかねません。

ケアマネがトラブルを回避して退職するには、引き継ぎ期間を考慮したうえで転職活動を始めると良いでしょう。人材がすぐ見つからないことを想定し、退職意思は上司に早く伝える必要があります。退職日や後任が決まったら、自分が退職した後も円滑に対応できるよう、引き継ぎは丁寧に行うと安心です。今まで接してきた利用者さんにも、後任を直接紹介するなど、念入りにフォローを行いましょう。

とはいえ、トラブル回避に努めても、問題が発生する可能性はあります。どうしても退職が認められない場合は、退職届を作成して退職の意思表示をしたり、内容証明郵便で退職届を送付したりするなど、客観的な証拠を残したうえで退職に踏み切る方法があるでしょう。また、自分で解決できないトラブルがある場合は、専門機関や弁護士などの専門職に相談して解決を図るのも一つの対処法です。

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執筆者

  • 「レバウェル介護」編集部

    お役立ち情報制作チーム

介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点

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※この記事の掲載情報は2025年8月19日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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