
この記事のまとめ
- ケースワーカーの仕事がつらくなっても、自分を責めて病む必要はない
- ケースワーカーは、仕事量や生活保護受給者の対応を大変に思うことがある
- ケースワーカーを辞めたいときは、退職すべきかを冷静に判断することが重要
「生活保護ケースワーカーの仕事って病むの?」と不安に感じている方もいるかもしれません。ケースワーカーの仕事は業務量が多く、大変に感じることがあるようです。この記事では、生活保護ケースワーカーの仕事を大変だと思う理由や、辞めたくなったときの対処法、転職する場合におすすめの職種を解説します。「ケースワーカーの仕事がしんどい…」とお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
生活保護ケースワーカーは病むって本当?
生活保護ケースワーカーにはきついと感じる業務もあるため、ネガティブなイメージがあり、病むのか心配な方もいるかもしれません。
実際に仕事を負担に感じるかどうかは、職場環境によって異なります。ケースワーカーは大変な部分もありますが、その分やりがいがあるので、まずは仕事に向き合ってみると良いでしょう。もしも、ケースワーカーの仕事がつらくなってしまったとしても、あなたに問題があるとは限らないので、自分を責める必要はありません。
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情報収集だけでもOK
生活保護ケースワーカーの離職率
生活保護ケースワーカーの正式な離職率は明確に発表されていません。総務省の「令和4年度 地方公務員の退職状況等調査(p.7)」によると、2022年度における、ケースワーカーを含む地方公務員の福祉職の普通退職者数は、2,911人でした。地方公務員全体の普通退職者数は6万784人おり、一般行政職では普通退職者数は14,802人、医療職では1万3,403人、教育職では1万3,515人います。
一般的な勤務先と同じように、地方公務員で離職する方も職種問わず一定数おり、ケースワーカーを含む福祉職の離職率が高いという根拠はありません。
出典
総務省「高齢対策」(2025年1月17日)
生活保護ケースワーカーの仕事が大変だと感じる理由
生活保護ケースワーカーの仕事が大変だと感じる理由として、仕事量の多さや窓口対応・定期訪問の精神的なストレスなどが挙げられます。
以下で、ケースワーカーの仕事が大変だと感じる理由を解説するので、ぜひご覧ください。
仕事量が多く対応に追われる
生活保護ケースワーカーの平均担当件数は80世帯ほどですが、自治体によってはそれより多くの件数を担当する可能性があります。職員1人当たりの担当件数がそもそも多過ぎると、大変に感じるでしょう。
また、窓口対応に時間を取られ、事務作業などの仕事を業務時間内にできず、残業になってしまう場合もあるようです。仕事量が多く対応に追われることで、生活保護受給者の方一人ひとりの悩みに寄り添う時間を十分に取れず、「思うようにサポートができない」と葛藤するケースワーカーもいます。
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生活保護受給者の方に怒鳴られることがある
電話対応や窓口対応をする際に、生活保護受給者の方にきつい言葉を掛けられ、つらくなってしまう場合もあるようです。生活保護の受給額に不満がある人やサポート内容に不満がある人のクレームに対応するのも、生活保護ケースワーカーの仕事の一つ。理不尽に怒鳴られたり、暴力を振るわれそうになったりした場合、仕事に負担を感じることがあります。
生活保護受給者の方の自宅が不衛生
ケースワーカーは、生活保護受給者の方の自宅を定期訪問し、生活状況や収入を把握する必要があります。しかし、受給者の方の自宅が不衛生なこともあるようです。訪問先の自宅で虫を発見したり異臭がしていたりすると、訪問が苦痛になってしまうこともあるでしょう。さまざまな状況の方の自宅に伺うため、潔癖症の方にとってはしんどいと感じる仕事かもしれません。
生活保護受給者の方が亡くなっていることがある
生活保護を受給している方の中には、高齢者や病気を患っている方もおり、生活保護ケースワーカーは、受給者が亡くなっている場面を目の当たりにする可能性があります。一般的に、日常生活を送るうえでご遺体を発見することはあまりないので、大きな精神的ストレスを感じることも考えられるでしょう。
福祉に関する豊富な知識が求められる
生活保護ケースワーカーは、法律や生活保護法、年金制度など福祉に関する豊富な知識が求められます。法律や制度は、時とともに変化していくので、常に勉強し続ける必要があるでしょう。しかし、多忙ゆえに勉強をする時間が取れず、徐々に仕事を負担に感じてしまうこともあるようです。
自分の対応が正しいか不安になる
生活保護ケースワーカーの仕事は、生活保護受給者の方の状況によってサポート内容が異なるので、必ず正解といえる方法がありません。福祉事務所での教育体制やサポート体制が不十分だと、自分の対応が正しいのか不安になってしまうこともあるでしょう。
ケースワーカーの仕事は、生活保護受給者の方の生活に関わる重要な仕事です。自分の仕事が正しいのか分からないまま仕事に追われていると、やりがいを感じられなくなる可能性があります。
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生活保護ケースワーカーの仕事を辞めたくなったら?
「もう仕事を辞めたい…」と一度考えてしまうと、視野が狭くなってしまうことがあります。辞めたいと感じたときは、感情的に退職せず、このままケースワーカーの仕事を続けるべきか否か、冷静に判断しましょう。
以下で、生活保護ケースワーカーの仕事を辞めたくなったときの対処法を詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
自分を精神的に追い詰めない
受給者の方の問題を解決できなかったり、日ごろから怒鳴られたりしていると、「私が駄目だから…」と自分を責めてしまうこともあるかもしれません。自分自身を精神的に追い詰めてしまうとネガティブになり、「辞めたい」という気持ちが強まってしまいます。
仕事がうまくいかないと自分が悪いと考えてしまうかもしれませんが、あなたに悪い点はなく、福祉事務所の教育体制やフォロー体制が不十分な可能性もあります。また、生活保護受給者の方が、ただ不満をぶつけてきているだけだったり、気性が荒い性格の人だったりして、あなた自身に不手際がないこともあるでしょう。改善できる部分があれば対応することも必要ですが、あまり自分を追い詰めないようにしてみてくださいね。
自分が潰れないように仕事だと割り切る
「ケースワーカーの仕事がきつい…」と感じている方は、自分が潰れないようにある程度は仕事だと割り切ることが大切です。受給者の方一人ひとりを全力でサポートするのが理想ですが、担当件数が多いほどそれは難しくなるでしょう。
多忙すぎて体調を崩したり、メンタルに不調が起きたりしないように、自分の健康と生活を第一に考えたうえで仕事をすることが重要です。
振り返る時間を取って状況を整理する
ケースワーカーを辞めたいと感じているときは、振り返る時間を取って自身の状況を整理してみましょう。次から次へと仕事をこなしていると、突然虚しくなったり、自信を失ってしまったりすることがあります。
完璧主義の方やまじめ過ぎる方、気持ちの切り替えが苦手な方は、燃え尽き症候群になりやすい傾向があるので、力みすぎていないか、力を抜ける部分はないか、客観的に振り返ってみましょう。
上司に悩みや不安を伝え解決方法を相談する
上司に悩みや不安を伝えて、解決方法を相談するのも良いでしょう。上司は、仕事内容や業務量を把握しているので、アドバイスをもらえたりサポートしてもらえたりする可能性があります。ケースワーカーの仕事に正解はありませんが、受給者の方への対応方法や効率の良い業務の進め方、書類作成のポイントなどを、上司の経験から指導してもらえるでしょう。
休日にリフレッシュする
休日に趣味を楽しんでリフレッシュするのも、ネガティブな思考を払拭するのに効果的です。「仕事がきつい…」「辞めたい…」と考えると落ち込んでしまうので、休日は気持ちを切り替えてみましょう。休日にリフレッシュするときのポイントは、一旦仕事のことは忘れること。休みの日は自分のための時間として考えましょう。
積極的に有給を使用して旅行に出掛けたり、映画を観たりして、しっかりと羽を伸ばして気持ちを切り替えることで、「そんなに悩むことじゃなかったかも」とポジティブになれるかもしれません。
異動願いを出す
「生活保護ケースワーカーの仕事を続けられない…」という方は、異動願いを出す選択肢もあります。ケースワーカーの仕事がきつくて辞めたくなっても、すぐに公務員自体を辞める必要はありません。
多忙ななか、一から転職活動を行うのは大変です。異動の希望が叶って別の部署に配属されれば、公務員という肩書や安定性を失わずに働き続けられます。
休職する
生活保護ケースワーカーの仕事が原因で、身体に不調が出てしまっているときは、休職してしっかり休養するのも一つの方法です。医師の診断がある場合は、診断書を提出しましょう。公務員は最大3年間休職できます。地方公務員の休職については地方条例で規定されているので、事前に確認しておきましょう。
転職する
「異動願いを聞き入れてもらえない…」「別の仕事がしたい!」という方は、転職を検討してみる選択肢もあります。つらい思いをしながら働き続けることはあまり良くないので、心身に影響が出てしまう前に対応を考えましょう。
ケースワーカーの仕事は忙しい傾向にあるため、意欲がなくなっているのに続けることは難しい場合もあります。やりたい仕事をしたほうがモチベーションを保てるので、疲れたときは自分が何をしたいのか改めて考えてみるのも良いかもしれません。
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生活保護ケースワーカーからの転職におすすめの職種
ここでは、「生活保護ケースワーカーの仕事が向いていないかも」「生活保護ケースワーカーの仕事を辞めたい…」と転職を検討している方におすすめの職種を紹介します。
社会福祉士
社会福祉士とは、介護施設や医療機関、児童福祉施設、地域包括支援センターなどで、福祉に関する相談業務や支援を行う人のことです。社会福祉士の仕事には、ケースワーカーの経験を役立てられるので、即戦力としての活躍が期待できます。
「福祉系大学・短大ルート」「短期養成施設ルート」「一般養成施設ルート」のいずれかで受験資格を取得し、社会福祉士国家試験に合格することで、社会福祉士になれます。受験資格は細分化しているので、自分に合った受験資格の獲得方法を事前に確認しておきましょう。
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生活相談員
生活相談員は、特別養護老人ホームやデイサービスなどの介護施設で働いています。利用者さんやご家族の相談に乗り、ケアマネジャーや介護職員などと連携して支援を行うのが仕事です。
「社会福祉主事任用資格」「社会福祉士」「精神保健福祉士」いずれかの資格を有しているもしくは、自治体の定める条件を満たしていると、生活相談員として働くことができます。社会福祉主事任用資格を取得しているケースワーカーは、すぐにでも生活相談員として活躍可能です。
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介護職員
介護職員は、介護施設で利用者さんの身の回りのお世話をする職種です。入居型施設や通所型施設、訪問介護事業所などさまざまな施設形態があります。利用者さんの要介護度も施設によって異なるので、自分に合った職場を見つけやすいでしょう。
介護職員は、無資格・未経験から始められる仕事です。しかし、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修、介護福祉士などの資格があると採用に有利になるので、取得に挑戦してみるのも良いでしょう。
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ケアマネジャー
ケアマネジャーとは、利用者さんのケアプランを作成したり、要介護認定の申請を代行したりする職種です。社会福祉士と同様に、ケースワーカーとしての経験が活かせる仕事といえます。
ケアマネジャーになるには、介護支援専門員実務研修受講試験に合格しなければなりません。介護支援専門員実務研修受講試験を受験するには、介護福祉士・医師・看護師など特定の資格に基づく業務を5年以上かつ900日以上経験するもしくは、相談援助業務を5年以上経験する必要があります。
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生活保護ケースワーカーの仕事に関するよくある質問
ここでは、生活保護ケースワーカーの仕事に関するよくある質問に回答します。ケースワーカーの仕事について知りたい方は、ぜひご覧ください。
生活保護ケースワーカーを辞めたいときはどうすれば良いの?
退職を決意したら、早めに上司に辞意を伝えましょう。最低でも1ヶ月前には伝えるのがおすすめです。退職時期は繁盛期を避け、引き継ぎの期間を十分に確保しましょう。退職を伝える際は、事前に上司にアポイントを取っておきます。また、辞めるかどうか悩んでいる段階で同僚や先輩に相談してしまうと、退職するという噂が広まってしまう可能性があるので、無闇に相談しないほうが良いでしょう。
生活保護ケースワーカーの仕事で楽しいことは何?
生活保護ケースワーカーは、問題を解決できたときや、受給者が自立した生活を送れるようになったときに、人の役に立てたことを実感できてやりがいを感じられます。また、最初はあまり話してくれなかった受給者の方と接していくうちに信頼関係ができ、気持ちや悩みを話してくれるようになると、喜びを感じられるでしょう。
まとめ
生活保護ケースワーカーは、仕事量が多かったり、受給者の方にきつい言葉を掛けられたりするのが嫌になってしまうことがあります。ほかにも、「亡くなっている受給者の方を発見してしまった」「受給者の方の自宅が不衛生で定期訪問に行きたくない」「福祉に関する勉強がしんどい」「自分の仕事が正しいのか分からなくなった」などの理由で、ケースワーカーの仕事をきついと感じてしまう場合があるようです。
生活保護ケースワーカーの仕事を辞めたくなったときは、自分を必要以上に責めず、ある程度は仕事だと割り切ることが大切です。燃え尽き症候群にならないためにも、一度自分の状況を振り返ってみましょう。上司に相談して仕事の進め方を工夫したり、休日にリフレッシュしたりして、メンタルを回復させるのも効果的です。「生活保護ケースワーカーの仕事を続けられない…」という方は、異動願いを提出したり、転職を検討してみたりする選択肢もあります。
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執筆者
「レバウェル介護」編集部
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介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点