ケースワーカーとは?資格・年収・ソーシャルワーカーとの違いも解説

介護の仕事 2022年12月27日
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高齢者とその家族がスーツを着た男性に相談しているイメージ

社会福祉に興味のある人のなかには、ケースワーカーの仕事について知りたい方もいるでしょう。ケースワーカーとは、公的機関において相談支援業務を行う公務員のことです。本記事では、ケースワーカーの種類や仕事内容などを分かりやすく解説します。また、ケースワーカーとソーシャルワーカーの違いや、相談援助業務に向いている人の特徴もまとめました。福祉業界の相談業務に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

目次

ケースワーカーとは

ケースワーカーとは、公的機関において相談支援業務を行う公務員のこと。具体的には、身体上・精神上・社会上などの問題を抱え、生活に支障をきたしている方の相談に乗り、課題解決に向けて適切な支援を行う役割を担います。勤務先によっては、相談を受けて必要な支援の申請を受け付ける面接担当と、相談者さまの元へ訪問し収入や生活状況を見て具体的な支援方針を固める地区担当に業務が分かれるのが特徴です。

ケースワーカーの仕事内容 

冒頭でお伝えしたように、ケースワーカーの主な仕事内容は公的機関における相談援助業務です。勤務先によって相談内容や対象者が異なるものの、福祉サービスを必要とする人の困りごとを把握し、援助の計画作成や福祉機関との調整を検討するのがケースワーカーの仕事といえます。

福祉事務所における生活保護申請の仕事内容

  • 申請者の収入や資産、家庭環境などの調査
  • 調査結果にもとづく具体的な援助方針の策定
  • 介護が必要な方の場合は施設入所の検討
  • 生活保護受給者への定期的な家庭訪問および収入や健康状態の確認
  • 受給者の状況による生活指導、自立支援に向けたアドバイス
  • 面接記録や報告書の書類作成、管理

ケースワーカーの相談者は、何らかの疾患のある方やご高齢の方、ハンデのある方、ひとり親の方、生活にお困りの方、そのご家族の方など、幅広いのが特徴です。一人ひとりの相談者に寄り添い、自立した生活ができるようサポートしていく仕事であるため、福祉に関する幅広い知識が求められます。

ケースワーカーとソーシャルワーカーの違い

ケースワーカーもソーシャルワーカーも相談援助業務を行う点では同じですが、ケースワーカーは公的機関で働く公務員に限られます。言い換えると、ケースワーカーは地方公務員試験に合格しなければなれません。一方ソーシャルワーカーとは、福祉の相談に乗る職業全般を指すのが一般的。公務員を指す場合もあれば、民間の相談援助員を指す場合もあります。

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ケースワーカーの種類

ケースワーカーには、「福祉事務所ケースワーカー」「医療ソーシャルワーカー」「児童相談所相談員」の3種類があります。下記で、それぞれの働き方をチェックしてみましょう。

福祉事務所ケースワーカー

福祉事務所で働くケースワーカーを福祉事務所ケースワーカーといいます。福祉事務所とは、都道府県と市に設置が義務づけられている行政機関。社会福祉六法(生活保護法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法)に従い、相談者の援助や更生を行っています。福祉事務所には、老人福祉指導主事や身体障害者福祉司といった福祉のスペシャリストが在籍。ケースワーカーは各種専門職や医療機関と連携を取りながら、相談者の問題解決を図ります。

医療ソーシャルワーカー

公務員の医療ソーシャルワーカーの勤務先は、国公立病院などの医療機関や保健所などです。主に医療や介護についての相談援助を行います。病院内で解決できなことがあれば適切な施設と連絡を取り、サービスの紹介に注力。患者さまの状況やニーズを病院で働く職員に共有し、サポートの改善に努めます。患者さまやそのご家族が抱える疑問や不安は、身体だけでなく日常生活や機能に関わるものなどさまざま。ケースワーカーは、相談者が安心できるよう親身に対応し、的確な支援を提案することが大切です。

児童相談所相談員

児童相談所で働くケースワーカーを児童相談所相談員といいます。児童相談所では0~18歳の児童やその家庭における問題解決をするために、調査・助言・援助を行います。相談内容は、不登校や非行、養育問題、子育ての悩みなどさまざまです。ケースワーカーは相談者と面談を行うことで、児童にとって最適な指導や援助の方法を探り、処遇を決定。児童やその家庭で困っていることを把握し、定期的に連絡を取ることで変化に対応しています。

ケースワーカーになるために必要な資格

ケースワーカーになるために求められるのは、社会福祉主事、社会福祉士、精神保健福祉士、児童福祉司などの資格です。

社会福祉主事の任用資格

社会福祉主事任用資格は、公務員が福祉事務所で福祉行政に従事する際に必要な資格です。社会福祉主事を取得するには、社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を取得するか、下記のように特定の教育機関・講習会で必要な講義を受講する必要があります。

  • 大学や短大において、厚生労働大臣が指定する社会福祉に関する科目を3科目以上履修して卒業する
  • 全国社会福祉協議会経営の中央福祉学院の社会福祉主事資格認定通信課程か、日本社会事業大学の通信教育課程を修了する
  • 指定された社会福祉主事養成機関において指定科目を修了し卒業する
  • 都道府県が実施する講習会で指定科目を修める

福祉事務所で働くケースワーカーになるには、地方公務員として採用されなければなりません。その後、「社会福祉主事」として配属されてはじめて、ケースワーカーとして活躍できます。

社会福祉士・精神保健福祉士

前述のとおり、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を保有していれば、社会福祉主事任用の資格があるとみなされます。福祉事務所で働くケースワーカーを目指すなら、どちらかの資格を取得しておくと良いでしょう。なお、資格を持たずに地方公務員試験に合格した場合は、福祉事務所に配属後に講習会に参加するなどの方法で資格を取得することも可能です。

児童福祉司の任用資格

児童相談所で働くケースワーカーになるには、「児童福祉司」の任用資格が必要です。児童福祉司も社会福祉主事と同様に任用資格のため、「児童福祉司」として配属されてはじめてケースワーカーとしての活躍ができます。なお、児童福祉司任用資格は、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を保有しているなどの要件を満たさなくてはなりません。

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ケースワーカーなどの相談援助業務に向いている人の特徴

ケースワーカーのような相談援助業務には、コミュニケーション能力や冷静な判断力が求められます。ここでは、相談援助業務にどのような人が向いているのか、特徴を5つ紹介するので参考にしてみてください。

1.コミュニケーション能力が高い

不安を抱えている人たちの内情を深く理解するには、相手の話に耳を傾けつつ、必要な情報をうまく引き出せるようなコミュニケーション能力が求められます。相談者には一人ひとり違った事情があり、考え方や直面している問題に違いがあるもの。相手の立場になって考え、的確な助言ができる人はケースワーカーのような相談援助業務に向いているでしょう。

2.人の役に立ちたいと考えている

相談援助業務には、「困っている人を助けたい!」という情熱が必要不可欠。相談者の悩みを聞き出すのが困難なこともあれば、世帯への介入が難しいことも多いからです。奉仕精神があれば、相談者からの信頼も得やすく、活躍を続けられるでしょう。

3.何事にも冷静に対処できる

思いやりを持って相談者へ接すると同時に、適切な距離を保ち冷静に判断できるかどうかも大切な要素です。ケースワーカーをはじめとする相談援助業務の仕事は、自分の力では解消できない難題と向き合う場面も多いでしょう。相談者へ適切な支援を行うためにも、感情に流されず臨機応変な対処をすることが重要です。

4.粘り強く努力できる

相談者のなかには、すぐには解決できない悩みを抱えている方も多いでしょう。長期的なフォローが必要になる場合もあるので、辛抱強く続ける姿勢が求められます。すぐには実情を話してくれない相談者に対しても、長く時間をかけてコミュニケーションをとることで、徐々に打ち解けてくれるようになります。相談者の実情が分かれば、適切な支援の方法を固められるでしょう。難題にぶつかっても投げ出さず、コツコツと努力していける人はケースワーカーのような相談援助業務に向いています。

5.事務作業が苦ではない

訪問調査や面接相談に加えて、事務作業もしっかりこなせるスキルが求められるでしょう。
相談援助業務を行う職種は、相談内容や支援状況の記録、支援申請の処理、保護費の決定、支給に関する事務手続きなど、デスクワークも多岐にわたります。相談業務よりもデスクワークの割合の方が高いこともあるので、事務作業が得意な人に向いているといえるでしょう。

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ケースワーカーなどの相談援助業務の平均年収

厚生労働省の職業情報提供サイト(日本版O-NET)によると、福祉事務所で働くケースワーカーの平均年収は403.7万円。医療ソーシャルワーカーの場合は409.7万円、児童相談所相談員の場合は403.7万円でした。

ここでは、ケースワーカーを含めた相談援助業務を行う職種の平均年収をまとめたので、それぞれ比べてみましょう。

職種平均年収
福祉事務所ケースワーカー403.7万円
医療ソーシャルワーカー409.7万円
児童相談所相談員403.7万円
老人福祉施設生活相談員403.7万円
福祉ソーシャルワーカー403.7万円
介護支援専門員/ケアマネジャー409.7万円

参考:厚生労働省「職業情報提供サイト(日本版O-NET)

福祉業界における相談援助業務には公務員であるケースワーカー以外にも、老人福祉施設生活相談員や福祉ソーシャルワーカー、ケアマネジャーなどがありますが、平均年収は同程度であるといえます。

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ケースワーカーなどの相談援助業務の仕事に就くには?

ここでは、ケースワーカーなどの相談援助業務の仕事に就く方法について解説します。ケースワーカーは公務員試験に合格しなければならないため、簡単に目指せる仕事ではありません。年齢制限によって、断念せざるを得ない人もいるでしょう。
もちろん、民間の生活相談員やソーシャルワーカーを目指す場合も、資格を取得するなどの条件を満たす必要はあります。それでも、年齢に関わらず目指せるメリットがあるので、これから相談援助業務を目指す方は幅広い選択肢を持っておくと良いでしょう。

公務員であるケースワーカーの場合

前述のとおり、ケースワーカーになるには福祉事務所などを設置する自治体において、地方公務員試験に合格する必要があります。公務員試験を受けずにケースワーカーを目指すことはできないので、こちらは前提として覚えておきましょう。公務員試験に合格後は、一般の行政職として採用され、その後福祉事務所や児童相談所、医療機関などに配属されることになります。

民間の生活相談員やソーシャルワーカーの場合

民間の生活相談員やソーシャルワーカーになるには、ケースワーカーと同じように、社会福祉士や精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格などが求められます。このほか、自治体によってはケアマネジャーや介護福祉士などの資格を持っていれば従事できる場合もあるようです。生活相談員の資格要件は「生活相談員の資格要件」、ソーシャルワーカーの資格要件は「ソーシャルワーカーには資格が必要?」で詳しく解説しているので、興味のある方はチェックしてみてくださいね。

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ケースワーカーに関するよくある質問

ここでは、ケースワーカーなどの相談援助業務に興味のある方によくある質問をQ&A形式でご紹介します。「ケースワーカーって何?」「給料は?」など、気になる方は参考にしましょう。

ケースワーカーを分かりやすく説明すると?

簡単にいうと、ケースワーカーとは「生活面の相談に対応し、課題の解決を目指して指導や支援を行う公務員」です。主に社会福祉や児童福祉に関連する業務を担当しています。ケースワーカーは、相談を受け付けて課題を整理する面接員と、生活状況の調査をする地区担当員に分かれるのが基本です。詳しくは、本記事の「ケースワーカーとは」をご覧ください。

ケースワーカーは公務員ですか?

ケースワーカーは公務員です。地方公務員として採用されたのちに、福祉事務所や児童相談所などへ配属されます。なお、ケースワーカーとして働くには、配属先によって社会福祉主事、社会福祉士、精神保健福祉士、児童福祉司などの資格が必要となるので、難易度は高めです。

ケースワーカーの年収はどれくらい?

ケースワーカーの平均年収は、約400万円です。職場の体制や経験年数といった要素で年収は変わるので、あくまで参考程度に捉えておきましょう。ケースワーカーの給料事情については、本記事の「ケースワーカーなどの相談援助業務の平均年収」で触れています。ケースワーカーなどの相談業務の収入面が気になる方は、関連する仕事の年収を比べてみましょう。

まとめ

ケースワーカーとは、福祉事務所や児童相談所、国立病院、保健所などの公的機関において相談支援業務を行う公務員のことです。相談者の幅広い不安や悩みに寄り添うためにも、高度な専門的な知識を持つケースワーカーが求められます。ケースワーカーのような相談援助業務は相談者の生活に寄り添う大変な仕事ですが、一人ひとりの課題を解消できたときは大きなやりがいを感じられるでしょう。

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