
この記事のまとめ
- 介護の仕事は、「医療、福祉」産業としてサービス業に分類される
- サービス業における介護業務の特徴は、「同時性」「無形性」「個別性」など
- 介護サービスで大切なのは、利用者さんに寄り添った対応をすること
介護業界で働く方のなかには、「介護職はサービス業」と聞いて違和感を持つ方もいるのではないでしょうか?サービス業というと接客業のイメージがあるかもしれませんが、サービスを提供して対価を得る産業のことを大きく分けて「サービス業」といい、介護職も含まれます。この記事では、サービス業の定義や介護サービスを行ううえで大切にすべきポイントを解説。介護の仕事について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
サービス業とは?
サービス業とは、「サービスを提供し、対価を得る産業のこと」です。産業は農業、林業、漁業などの第一次産業、鉱業、建設業、製造業などの第二次産業、そして第一次産業、第二次産業のいずれにも分類されない第三次産業に分かれます。この第三次産業に分類されるのが「サービス業」です。
総務省の「大分類項目表」によると、日本における産業は以下のように分類されます。
- 農業、林業
- 漁業
- 鉱業、採石業、砂利採取業
- 建設業
- 製造業
- 電気・ガス・熱供給・水道業
- 情報通信業
- 運輸業、郵便業
- 卸売業、小売業
- 金融業、保険業
- 不動産業、物品賃貸業
- 学術研究、専門・技術サービス業
- 宿泊業,飲食サービス業
- 生活関連サービス業、娯楽業
- 教育、学習支援業
- 医療、福祉
- 複合サービス事業
- サービス業(ほかに分類されないもの)
- 公務(ほかに分類されるものを除く)
- 分類不能の産業
介護の仕事は上記のなかの「医療、福祉」に含まれます。同資料(p.73、74)によると、「医療、福祉」の分野は、中分類として「医療業」「保健衛生」「社会保険・社会福祉・介護事業」に細分化されており、介護は「社会保険・社会福祉・介護事業」です。中分類のなかでも、事業によってさらに分類されています。
出典
総務省「日本標準産業分類(令和5年7月告示)」(2026年9月8日)
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介護職は「サービス業」に含まれるの?
前述のとおり、介護の仕事は、「医療・福祉」産業の「社会保険・社会福祉・介護事業」に含まれます。
総務省の「日本標準産業分類(p.477)」によると、「社会保険・社会福祉・介護事業」は、高齢者や障がいのある方、児童などに、社会福祉・介護などに関するサービスを提供する事業所であると定義されています。
そのため、利用者さんに介護サービスを提供する介護の仕事は、サービス業に含まれるといえるでしょう。
とはいえ、介護がサービス業というのに違和感を覚える人もいるかもしれません。そう感じる方は、「サービス業は接客業のこと」「介護は接客業ではない」というイメージで解釈をしている可能性があります。
たしかに、接客の仕事が多い「宿泊業、飲食サービス業」や「生活関連サービス業、娯楽業」は分かりやすいサービス業のイメージがあるかもしれません。
介護の仕事は利用者さんをサポートすることであり、商品を提供する接客業とは異なります。しかし、紛れもなくサービス業の一つです。介護業界で働く方は、「介護=サービス業」であることを知っておくと良いでしょう。
出典
総務省「日本標準産業分類(令和5年7月告示)(2026年9月8日)
サービス業としての介護の5つの特徴
サービス業には、ほかの産業にはないいくつかの特徴があります。ここでは、サービス業としての介護の仕事の特徴を「同時性」「無形性」「個別性」「新規性」「非反復性」の5つのカテゴリーに分けてまとめました。
1.生産と消費が同時に発生する「同時性」
サービスを提供する側と利用する側が同じ時間に同じ場所にいることが「同時性」です。介護の現場では、サポートする介護職員と介護を利用する利用者さんが同じ時間に同じ場所にいることで、介護サービスが成立します。
2.原型をとどめない「無形性」
「サービスは形のあるモノを提供するのではない」ということを「無形性」と表すようです。施設は形があるので目で見て確かめられますが、介護やリハビリ、レクリエーションなどのサービスには形がないので、目で確かめることができません。サービス業では、目に見えないサービスを提供し、相手はその価値を評価して報酬を支払います。介護サービスの必要性や価値を理解してもらうことが大切です。
3.ニーズに合わせた対応をする「個別性」
「個別性」とは、「サービスの受け手のニーズや状態に合わせる」という意味です。
介護の現場において、食事や入浴、排泄などの身体介護を行う際は、利用者さんの状況やニーズに合わせてサポートの内容を変える必要があります。たとえば、食事介助でも見守りのみで問題ない利用者さんもいれば、全面的な介助が必要な利用者さんもいるでしょう。どの利用者さんに対しても同じサービスを提供するのではなく、相手に合わせた柔軟な対応をするのが、サービス業で重視される「個別性」です。
4.ニーズに合わせて市場が誕生する「新規性」
「新規性」とは、「新しいサービスの開発や社会の価値観、生活習慣、欲求の変化などによって、提供するサービスの内容が変化していくこと」を指します。介護現場で求められるサービスは時代によって変化するものです。
新規性は「独自性」とも言い換えられます。介護施設が「利用者さんのニーズ」を独自に考えたサービスを提供するたびに、新しい市場が生まれるといえるでしょう。
5.介護職員によってサービスが異なる「非反復性」
「非反復性」とは、「同じサービスでも介護職員の技術や個性によってバラツキが起きること」を指します。これは、サービスを提供する介護職員が複数いるときに起こることです。
たとえば、同じマニュアルに沿って入浴介助を行う場合も、担当する介護職員が変われば、声かけや手順がすべて同じにはなりません。
サービス業を行う介護施設・事業所の種類
利用者さんの状態によって、利用できる介護施設・事業所が異なります。介護サービスは、主に「入居型」「通所型」「訪問型」の3種類です。以下でそれぞれの施設・事業所の特徴を解説するので、ご覧ください。
入居型施設
入居型施設では、自宅での生活が難しくなり、施設で生活する利用者さんに対して介護サービスを提供します。入居型の介護施設の種類は、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)、有料老人ホーム、グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などです。施設によって、自立している方や寝たきりの方など幅広い方が利用可能。提供するサービス内容も、施設ごとに異なります。
入居型介護施設は、24時間体制でサービスを提供するので、働く場合は夜勤があるのが一般的です。
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通所型施設
通所型施設では、自宅で生活しながら施設に通う利用者さんに対して、日帰りで必要な介護サービスを提供します。基本的に要介護・要支援の認定を受けている方が利用対象です。主にデイサービスとデイケアの2種類。デイサービスやデイケアでは、介護サービスやリハビリ、レクリエーションなどを提供し、心身の機能維持やリフレッシュを図ります。
通所型施設の働き方は基本的に日勤のみなので、規則的な生活を送りたい方や、夕方以降はプライベートの時間にしたい方に向いている職場といえるでしょう。
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訪問型事業所
訪問型事業所は、自宅や施設で生活する利用者さんに対して、訪問して介護サービスを提供します。身体介護や生活援助全般に対応する訪問介護や、簡易浴槽を持ち込んで入浴をサポートする訪問入浴介護などがあり、利用者さんは必要な介護サービスを利用することが可能です。
訪問型の介護事業所も基本的に日勤のみの働き方。また、担当件数を調整することで短時間勤務もでき、働く時間を調整しやすい職場といえます。
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介護職として働く5つのメリット
介護職は、需要が高く転職しやすかったり、やりがいを感じる場面が多かったりするなどの働くメリットがあります。
ここでは、介護職として働くメリットを解説するので、介護の仕事に興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
1.需要が高いため転職しやすい
日本は高齢化の進行によって要介護者が増加しているため、介護人材が不足しています。
レバウェル株式会社の「きらケア介護白書2022(p.38)」によると、約8割の事業所が介護職員の不足を感じているようです。介護人材の需要は非常に高く、介護サービス経験者であれば「即戦力になる」と期待されるので、転職しやすいでしょう。
また、介護業界に就職・転職をするのに資格は必須ではなく、無資格で応募できる求人も少なくありません。「未経験歓迎」「無資格OK」を掲げている職場は、働きながら介護のスキルを身につけられる傾向があるので、無資格・未経験の方も働き始めやすいでしょう。
出典
レバウェル株式会社「介護士のキャリアや外国人雇用などに関するレポート「きらケア介護白書2022」を公開しました」(2026年9月8日)
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2.シフト制で希望の働き方を選択しやすい
介護の職場はシフト制の場合が多く、自身のライフスタイルに合った働き方を選びやすいメリットがあります。
24時間体制の入居型の介護施設では、日勤(午前8時30分~午後5時30分)・遅番(午前11時~午後8時)・夜勤(午後5時~翌日午前9時)といった3交代制のシフトを採用する職場もあるようです。ほかにも、日勤(午前9時~午後6時)・夜勤(午後4時~翌日午前9時)などの2交代制のシフトもあります。
また、「フルタイムの正社員として働く」「パートとして短時間勤務をする」といった働き方があり、自分の希望を叶えやすいでしょう。
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3.やりがいを感じる場面が多い
介護の仕事では、「利用者さんから感謝の言葉をかけられた」「誰かの役に立っている実感がある」といった場面が多くあります。介護職は、利用者さんの身の回りのお世話やケアをするため、利用者さんやご家族から感謝されることが多い仕事です。
また、利用者さんとコミュニケーションを取るうちに表情が明るくなったり、できなかったことができるようになったりするのを近くで見ることで、やりがいを感じてモチベーションアップにつながることもあるでしょう。
4.資格取得でスキルアップ・キャリアアップを図れる
介護職に関連する資格には、「介護職員初任者研修」「介護福祉士実務者研修」「介護福祉士(国家資格)」などがあり、段階的なキャリアアップが可能です。また、介護のプロフェッショナルを目指すなら、認定介護福祉士や認知症ケア専門士の資格を取るのも良いでしょう。資格取得支援を行っている職場もあるので、働きながら費用負担を抑えてスキルアップを目指すこともできます。
相談援助の仕事を行いたいなら生活相談員やケアマネジャー、施設のマネジメントをしたいならリーダーや施設長を目指すのも良いかもしれません。介護職として働く際は、キャリアプランを立てて取得する資格を考えましょう。
5.長期的に勤めやすい
介護業界は40~50代以上で働いている人も多く、年を重ねても続けやすいのがメリットです。若いうちから勤めている人もいれば、子育てが落ち着いてから介護の道へ進む人もいます。また、出産や家族の介護などで一時的に現場を離れ、ブランクができた場合でも再就職しやすい傾向にあるため、ライフステージの変化に合わせて長く働き続けたい方にとって魅力的な仕事といえるでしょう。
介護職の年齢については、「介護職は何歳まで働ける?年齢制限や定年、ミドル・シニア世代の転職を解説」の記事で解説しているので、あわせてご一読ください。
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介護サービスを提供するうえで大切なこと
介護サービスを提供するうえで大切なのは、「利用者さんに寄り添った対応をすること」や「介護サービスで必要な接遇スキルを身につけること」です。以下で詳しく解説します。
利用者さんに寄り添った対応をする
高齢者の方に安心してサービスを利用していただくためには、一人ひとりに寄り添う姿勢が欠かせません。
介護職員は、利用者さんの性格や特徴をしっかり把握し、その方に合った対応を考える必要があります。言葉の裏にある気持ちを汲み取り、常に尊厳を守る意識を持つことで、より質の高い介護サービスを提供できるでしょう。
介護サービスで必要な「接遇スキル」を身につける
接遇とは、「もてなしの心でサービスを提供すること」です。サービス業である介護の現場では、あいさつや言葉遣い、表情、傾聴する姿勢、身だしなみといった接遇スキルが重要視されます。これらは利用者さんとの信頼関係を築く土台となるでしょう。スタッフの対応一つで安心感を与えることもあれば、不信感を抱かせることにもつながるため、常にプロとしての意識を持つことが大切です。
サービス業である介護職について理解を深めよう
介護の仕事は、単に身体介護や生活援助を行うだけにとどまらず、サービス業としてのホスピタリティが求められるでしょう。
介護職は、「サービス業とはどのようなものか」「介護職にはサービス業として何を求められているのか」について理解を深める必要があります。サービス業として相手に寄り添う姿勢を持つことは、利用者さんの安心や信頼につながるでしょう。信頼関係が築ければより良い介護サービスを提供できるようになるはずです。
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介護とサービス業に関するよくある質問
ここでは、介護とサービス業に関するよくある質問に回答します。「介護職ってサービス業なの?」と疑問に思う方は、ぜひご覧ください。
介護職はサービス業ではないの?
介護職はサービス業に該当します。サービス業と聞くと、飲食サービス業やアパレル業などの接客の多い職種をイメージする方もいるかもしれません。しかし、介護職も、利用者さんに「介護サービス」を提供するサービス業です。
「介護職は「サービス業」に含まれるの?」で詳しく解説しているので、興味がある方は、ぜひご一読ください。
介護にはどのようなサービスがありますか?
介護施設や事業所では、身体介護や生活援助、レクリエーションの企画・実施などの介護サービスが提供されます。介護施設・事業所は、入居型や通所型などの種類があり、施設によって提供するサービス内容に違いがあるので、事前に確認しておきましょう。有料老人ホームなどの入居型施設では、24時間体制で利用者さんを見守り、ケアを提供します。デイサービスやデイケアなどの通所型施設は、日帰りで施設に通う利用者さんに対して介護を提供するのが特徴です。
「サービス業を行う介護施設・事業所の種類」で各施設の特徴を解説しているので、ぜひご覧ください。
介護の職種一覧を知りたい
介護業界で働く職種は、「介護職員」「訪問介護員(ホームヘルパー)」「介護支援専門員(ケアマネジャー)」「施設長」「生活相談員」「看護職員」などです。介護業界ではさまざまな職種のスタッフが連携・協力しながらサービスを提供しています。
介護業界で働く職種については、「介護業界で働く職種一覧!仕事内容や必要な資格、給与をご紹介!」の記事で詳しく解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
介護職は、介護サービスを提供する仕事のため、サービス業といえるでしょう。介護の仕事は、「医療、福祉」産業の「社会保険・社会福祉・介護事業」に含まれます。「社会保険・社会福祉・介護事業」は、利用者さんに対して、社会福祉・介護などに関するサービスを提供する事業所と定められています。
介護職員は直接介護サービスを提供する仕事なので、利用者さんの気持ちに寄り添った対応や接遇スキルが求められます。介護の仕事のメリットは、やりがいを感じる場面が多かったり、需要が高く転職しやすかったりすることなどです。
「今の職場では自分の理想とする介護サービスが提供できない」「介護職への転職を検討している」という方は、レバウェル介護(旧 きらケア)にご相談ください。レバウェル介護(旧 きらケア)は、介護業界に特化した転職エージェントです。
専任のキャリアアドバイザーが、希望や条件に沿った介護求人をご紹介いたします。資格取得支援制度の有無や職場の雰囲気などもお伝えするので、働きやすさを事前にしっかりイメージでき、安心して転職活動を進められるでしょう。「どのような求人があるか気になる」という方も、お気軽にご相談ください。
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執筆者

「レバウェル介護」編集部
お役立ち情報制作チーム
介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点



