この記事のまとめ
- 政策により、障がい者施設の給料は2024年以降上がる見込み
- 障がい者施設の給料は、これまでアップしてきた実績がある
- 障がい者施設の職員が年収を上げる方法は、資格を取得することなど
「障がい者施設の給料は今後上がるの?」と気になる方もいるでしょう。障がい者施設の介護職員の給与は、2024年2月以降アップしていく見込みです。この記事では、2024年の政策や障害福祉サービス等報酬改定によって、福祉・介護職員の給与がいくら上がるのかを解説します。障がい者施設の過去の処遇改善についてもまとめました。高給与な求人の選び方や年収アップの方法もご紹介するので、キャリアの参考にしてください。
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目次
障がい者施設の給料は2024年に上がるの?
2024年2月から、介護職員の賃金を月額6,000円上げるための政策が実施されています。この賃上げは、障がい者施設の介護職員も対象です。
年始から処遇改善を行うことで、障害福祉サービス等報酬改定による給与アップにスムーズにつなげる狙いがあります。2024年6月には障害福祉サービス等報酬改定が実施されるため、障がい者施設の処遇改善は継続する見込みです。
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2024年度障害福祉サービス等報酬改定による賃上げ
2024年度の障害福祉サービス等報酬改定は+1.12%の改定率です。障害福祉分野では、報酬改定の成果として、2024年度に2.5%、2025年度に2%の基本給アップを目指しています。
福祉・介護職員等処遇改善加算の見直しを実施
前述した報酬改定では、障害福祉サービス事業所で働く介護職員の賃上げを行うために、「福祉・介護職員等処遇改善加算」の見直しを実施します。加算の見直しは、障害福祉に関わる介護職員全体の給与アップが目的です。経験やスキルがある職員の処遇改善を重点的に行うことで、上位の加算を取得できる仕組みとなっています。
また、3種類に分かれている福祉・介護職員等処遇改善加算は一本化されるようです。一本化のメリットは、事務処理がしやすくなったり、ルールが明確になったりすること。制度が分かりやすくなれば、処遇改善加算を取得する事業所が増える可能性もあるでしょう。
障害福祉サービスに関する加算の新設・見直しを実施
自立支援や専門性の高いケアを行うことで取得できる加算の新設や報酬アップが行われます。具体的には、「グループホームから一人暮らしへの移行を支援する」「障がいがある子どもへの医療的ケア体制を充実させる」といった要件で取得できる加算が新設されるようです。
介護や医療の体制が充実している障がい者施設は、加算を取得することで収益アップを見込めます。専門的なケアを行うことで加算が取得できれば、スキルのある職員の給与に還元されるかもしれません。
出典
厚生労働省「医療・介護・障害福祉関係団体との賃上げに関する意見交換の資料について」(2024年2月6日)
厚生労働省「第45回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」資料」(2024年2月6日)
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障がい者施設の給料はこれまでアップしているの?
厚生労働省の「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果(p.79)」によると、障害福祉サービスの職員(常勤)の2022年の平均給与は33万8,680円でした。2022年の平均給与は、2021年と比べて1万9,150円アップしています。常勤だけではなく、非常勤の職員の平均給与も4,710円アップしたようです。
福祉業界の給与は増加傾向にあり、人材を確保するため処遇改善は今後も続くと予想できます。
出典
厚生労働省「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」(2024年2月6日)
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給料が高い障がい者施設の求人の選び方は?
障がい者施設の待遇は仕事に見合っていないという意見もあるように、「給料が安くて不満…」「もっと稼ぎたい!」と感じる方もいるでしょう。ここでは、障害福祉に携わる方が高給与の求人を選ぶ方法を解説するので、参考にしてください。
高給与の施設形態を選ぶ
厚生労働省の「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果(p.80)」によると、福祉・介護職員の支援内容ごとの平均給与は以下のとおりです。なお、ご紹介する平均給与は、基本給+手当+一時金(年額の1/12)で算出されています。
サービス内容 | 平均給与 |
障害福祉サービス全体 | 31万2,310円 |
短期入所(ショートステイ) | 33万9,490円 |
施設入所支援 | 36万5,790円 |
自立訓練(生活訓練) | 28万8,650円 |
就労移行支援 | 28万9,900円 |
就労継続支援A型 | 25万8,210円 |
就労継続支援B型 | 27万9,990円 |
共同生活援助・日中サービス支援型(グループホーム) | 29万900円 |
児童発達支援 | 27万8,590円 |
放課後等デイサービス | 26万1,280円 |
福祉型障がい児入所施設 | 38万8,580円 |
参考:厚生労働省「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果(p.80)」
「施設入所支援」や「福祉型障がい児入所施設」に従事する福祉・介護職員の平均給与は、全体平均より5万円以上高いという結果です。入所型の施設は、夜勤があることや、利用者さんに専門的なケアが必要なことから、給与が高いと考えられます。
障がい者施設は、仕事内容や給与が職場ごとに異なるので、事前にしっかり調べておくことが大切です。それぞれの障がい者施設のサービス内容は、「障害者支援施設とは?仕事内容や一日の流れ、高齢者介護との違いを解説!」を参照してください。
福祉・介護職員等処遇改善加算を取得する施設を選ぶ
福祉・介護職員等処遇改善加算を取得する障がい者施設では、基本給やボーナスなどに上乗せする形で、介護スタッフに処遇改善手当が支給されます。求人情報を見るときは、処遇改善加算を取得しているかチェックしてみましょう。
社会福祉法人が運営する障がい者施設は、処遇改善加算の取得率が特に高く、8割以上が取得しています。また、設立してからの年数が長い障がい者施設も、加算を取得している割合が高いようです。
出典
厚生労働省「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」(2024年2月6日)
障がい者施設の職員が年収を上げる方法は?
障がい者施設の職員が年収を上げる方法は、資格を取得することや勤続年数を重ねることなどです。以下で解説するのでチェックしてみましょう。
介護・福祉の資格を取得する
障がい者施設で働く介護職員の給与は、保有資格によって異なります。厚生労働省の「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果(p.88)」を参考に、福祉・介護職員の保有資格別の平均給与を以下にまとめました。
保有資格 | 平均給与 |
介護職員全体 | 31万2,310円 |
介護福祉士 | 34万1,070円 |
社会福祉士 | 35万5,240円 |
精神保健福祉士 | 33万9,180円 |
(たんの吸引等)認定特定行為業務従事者 | 36万6,950円 |
無資格 | 29万5,280円 |
参考:厚生労働省「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果(p.88)」
福祉や介護に関する資格があれば、無資格の場合より4万円以上平均給与が高くなると分かります。障がい者施設で働いていて「給料を上げたい」と思っている方は、資格取得を検討してみましょう。
介護福祉士は、障がい者施設で働きながら取得することもできます。無資格・未経験で就職してから最短3年で取得できる国家資格なので、給与アップを目指す方におすすめです。介護福祉士については、「社会人として働きながら介護福祉士になるには?資格取得のルートを解説!」をご覧ください。
認定特定行為業務従事者の資格を取得するには、喀痰吸引等研修と実地研修を修了する必要があります。研修後に、都道府県知事から「認定特定行為業務従事者認定証」の交付を受ければ、医師の指示に基づくたん吸引や経管栄養の処置が可能になるようです。医療的ケアが必要な利用者さんがいる障がい者施設において、業務に活かせる資格です。
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同じ施設で経験年数を重ねる
障がい者施設では、経験を積むことで給与がアップする場合も多いでしょう。同資料(p.89)によると、障害福祉サービスに従事する介護職員の、勤続年数別の平均給与は以下のとおりです。
勤続年数 | 平均給与 |
勤続1年(1年~1年11ヶ月) | 27万650円 |
勤続3年 | 29万3,730円 |
勤続5~9年 | 31万400円 |
勤続10年以上 | 36万1,700円 |
参考:厚生労働省「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果(p.89)」
障がい者施設では、勤続年数を重ねることで給与アップを狙えます。同じ施設に長く勤めたい方は、自分の希望する仕事内容や労働条件が叶う職場を選ぶと良いでしょう。
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管理職にキャリアアップする
障がい者施設で高給与を実現させたいなら、管理職を目指すのがおすすめです。前述の「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果(p.86)」によると、管理職以外の福祉・介護職員の平均給与は30万8,000円、管理職の平均給与は35万8,430円となっています。管理職にキャリアアップすると、月収がおよそ5万円上がる可能性があるでしょう。
障がい者施設の管理者になるには、経験や資格が必要になる場合が多くなっています。そのため、経験の浅い方がすぐに管理職になるのは難しいですが、長期的なキャリアプランを立てるときに目標にすると良いかもしれません。
出典
厚生労働省「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」(2024年2月6日)
障がい者施設の給料についてよくある質問
ここでは、障がい者施設の給料についてよくある質問に回答します。「障がい者施設の手取りや年収ってどれくらいなの?」と気になっている方はチェックしてみてくださいね。
障がい者施設の手取りの給料はどれくらい?
障害福祉サービスに従事する職員の、2022年の平均給与は33万8,680円でした。平均給与に0.8を掛けて手取り月収を算出すると、およそ27万円になります。なお、これは賞与や一時金を含む金額なので、毎月の手取りはこれより低い可能性が高いでしょう。あくまで参考値としてご覧ください。
障がい者施設で年収500万円稼げますか?
障害福祉サービスに従事する職員の平均年収は、約406万円です。障がい者施設で年収500万円稼ぐのは簡単ではないですが、働き方によっては年収500万円を達成できるかもしれません。
厚生労働省の「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果(p.86)」によると、施設入所支援の管理職の平均給与は42万5,820円で、年収は約510万円の計算。また、同資料(p.89)によると、勤続20年以上の福祉・介護職員の平均給与は41万7,270円で、年収にすると約500万円になります。障がい者施設では、管理職になったり、勤続年数を重ねたりすることで、年収500万円を達成できる場合があるようです。
ただし、障がい者施設の給与は施設形態や地域によって大きく異なることも理解しておきましょう。年収アップを目指す方は、「介護職で年収500万円を目指せる?高給与の施設へ転職した事例も紹介」も参考にしてみてください。
出典
厚生労働省「令和4年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果」(2024年2月6日)
まとめ
障がい者施設の給料は2024年以降上がる見込みです。2024年2月からは、障がい者施設を含む介護職員の給与を月6,000円アップさせるための政策が実施されています。2024年6月には「障害福祉サービス等報酬改定」が行われるので、処遇改善は続く予定です。
障がい者施設の職員の平均給与は、2021年からの1年間でおよそ2万円アップしました。障がい者施設のスタッフは需要が高いので、人材を確保するための処遇改善が行われてきた背景があり、今後も賃上げの動きは続くとみられます。
高給与の障がい者施設の求人を選ぶには、施設形態や処遇改善加算をチェックすると良いでしょう。福祉・介護職員の年収アップに有効なのは、資格を取得することや勤続年数を重ねることです。
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実
元介護士ライター
グループホームに2年、訪問介護事業所に3年勤務。多くの高齢者や、障害のある方の介護に携わる。訪問介護事業所では、サービス提供責任者の業務も担当した。2022年に介護福祉士を取得。現在は、知識や経験を活かして、介護職員の方に役立つ情報を発信している。