
この記事のまとめ
- 介護の仕事は腰に負担がかかりやすく、腰痛になりやすい
- 腰痛になりやすい介護業務を知り、負担を軽減する対策をしよう
- 介護職の腰痛予防には、ストレッチやボディメカニクスを活用するのが効果的
腰痛にお悩みの介護職の方もいるのではないでしょうか?介護職は利用者さんを支えたり抱えたりすることが多く、腰への負担がかかりやすい仕事。腰痛対策には、ストレッチや介護環境を整えることが効果的です。この記事では、腰痛の原因になりやすい介護業務や腰痛対策を解説します。自宅や職場で手軽にできるストレッチも紹介するので、腰痛対策を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
介護職は腰痛になりやすい
ベッドから車いすへの移乗や入浴介助などで中腰の姿勢になることが多く、腰に負担のかかりやすい介護職は、腰痛になりやすい傾向にあります。
厚生労働省の「業務上疾病発生状況等調査(令和6年)第1表」によると、介護職を含む保健衛生業の負傷による疾病2,451件のうち、2,251件は腰痛(災害性腰痛)です。
また、レバウェル株式会社の「きらケア介護白書2022(p.11)」によると、介護職が仕事で大変だと感じることの第1位は、「腰痛になりやすいなど身体的負担が大きい(58.7%)」でした。介護職のおよそ6割が身体的な負担を感じていることから、腰痛への不安は多くの介護職が抱える問題といえるでしょう。
出典
厚生労働省「業務上疾病発生状況等調査(令和6年)」(2025年9月11日)
レバウェル株式会社「介護士のキャリアや外国人雇用などに関するレポート「きらケア介護白書2022」を公開しました」(2025年9月29日)
登録は1分で終わります!
▼関連記事
【介護職員の腰痛対策】痛みの原因と予防法、正しい介助方法について解説!
介護職が腰痛になる原因は4つある
介護職員が腰痛になるのには、「環境要因」「動作要因」「個人的要因」「心理的要因」が大きく影響します。以下で各要因について解説するので、腰痛にお悩みの方は、当てはまる項目がないかチェックしてみてください。
環境要因
環境要因とは、「職場が冷えている」「動線が悪く作業がしづらい」「暗くて作業がしづらい」など、職場の環境を指します。介護の仕事でいうと、介護ベッドが用意されておらず、無理な姿勢で介助をして腰痛になった場合は、環境要因といえるでしょう。
動作要因
動作要因とは、「重いものを持ち上げる」「腰を曲げたりひねったりする」「長時間、体勢が変わらない状態で仕事をする」など、身体の動作が原因になることです。介護職は、利用者さんの介護を行う際に正しい動作を意識しなければ、腰痛を患うリスクが高くなるおそれがあります。
個人的要因
個人的要因とは、「年齢や性別による体力や筋力の違い」「持病の有無」「運動習慣の有無」など、個人的な性質が腰痛につながることです。介護職は年齢を問わず需要がありますが、年齢を重ねることで体力に不安を感じる方もいます。
心理的要因
心理的要因とは、「職場の人間関係が悪い」「仕事にやりがいが感じられない」など、心理的な不満が原因となることです。腰痛とストレスは関係ないようにも思えますが、心理的な負担が身体の状態に影響することは珍しくありません。
出典
厚生労働省「腰痛予防対策」(2025年9月11日)
腰痛の原因になりやすい介護業務
前かがみや中腰など、長時間同じ体勢をとることは、腰への大きな負担になります。以下で、腰痛の原因になりやすい介護業務とその対策を解説するので、身体介護をする際は参考にしてみてください。
入浴介助
入浴介助は、利用者さんの身体を洗ったり支えたりする際に、前かがみや中腰、腰をひねるといった動作を行うので、腰痛の原因になりやすい業務です。床が濡れているので、転倒の危険性が高く、移乗や移動の際に足を踏ん張る体力も求められます。また、安全面により一層気を遣わなければいけないため、心理的な負担も大きくなりがちな仕事です。
入浴介助で腰痛にならないための対策としては、特殊浴槽や介護リフトを活用し、身体への負担を軽減すると良いでしょう。もちろん、入浴介助の方法は利用者さんの身体状況に応じて決めますが、安全のためには介護職員が無理をしないことも大切です。
特殊浴槽や介護リフトを使えば、利用者さんが横になったままや座ったままの状態で入浴介助を行えるので、利用者さんを支えながら洗身する必要がありません。利用者さんの全体重を支える必要がなくなるので、腰への負担を大きく軽減できます。入浴介助の危険性が高い利用者さんがいる場合は、職場で話し合って使用を検討してみてくださいね。
移乗介助
移乗介助では、利用者さんを抱えたり、中腰・前かがみの体勢になったりします。1人で車いすからベッドへの移乗介助をする際は、腰を痛める方も多いので注意が必要です。移乗介助では、利用者さんの姿勢を調整する際に、前かがみになったり、腰をひねったりする動作が多くなります。
対策として、部分介助の場合、できるだけ利用者さん自身の力を使って移乗できるように声かけをしましょう。利用者さん自身の力で身体を支えてもらうことで、介護職員にかかる負担を軽減できます。また、全介助が必要な方の場合は、福祉機器を利用したり、複数の職員で対応したりするのが効果的です。
トイレ介助
トイレ介助は、便座への移乗介助以外にも、下着の着脱や立つためのサポート、排泄の処理などで、前かがみや腰をひねる動作を行います。
車いすからトイレやポータブルトイレに移動する際に、利用者さんを抱えなくてはいけないので、腰へ負担がかかるようです。また、立った姿勢を長時間保てない利用者さんの排泄介助をする際は、身体を支えながら下着を着脱させるなど、負担の大きい姿勢になることがあります。
手すりを利用しつつ、利用者さん自身の能力を活かしながら排泄介助のサポートを行うと、腰痛になるリスクを減らせるでしょう。職員1人で支えると腰への負担が大きくなるので、利用者さんに声をかけながら協力してもらうことが大切です。利用者さんに手すりを掴んでもらい、負荷を分散させましょう。ほかにも、複数の職員で排泄介助を行うのも効果的です。
オムツ交換
オムツ交換は、前かがみや腰をひねる姿勢になることが多い作業です。利用者さんの身体の向きや位置を変えながら行うため、腰に負担がかかります。また、オムツ交換は、1日に何度も行わなくてはいけません。
腰痛予防の対策としては、ベッドを作業しやすい高さに調整すると良いでしょう。ベッドが低いと前傾姿勢になってしまいますが、位置を高くすれば腰にあまり負担をかけずにオムツ交換を行えます。
体位変換
体位変換もオムツ交換と同様に、前かがみ姿勢や腰をひねる姿勢になることが多い介助です。床ずれや血行不良を防ぐためには、2〜3時間ごとに体位変換をしなければならないので、作業回数が多く腰への負担も大きくなります。
対策として、ベッドの高さを調節するほかに、ベッドの片側だけではなく反対側に回って体位変換をするよう意識してみましょう。片側から無理に利用者さんの体位を変えようとすると、腰に大きな負担がかかってしまいます。必要以上に負担がかからないよう、力を込めやすい位置や無理な体勢にならない位置に移動して体位変換を行うようにしましょう。
出典
厚生労働省「介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」(2025年9月11日)
▼関連記事
介護職が腰痛で退職しても良い?予防方法や対策、おすすめの転職先を紹介
介護職がなりやすい「腰痛」の対策
ストレッチをしたり、ボディメカニクスの技術を身につけたりすることで、介護業務による腰への負担を緩和・軽減できます。ほかにも、福祉機器を活用するのも効果的です。ここでは、予防にも悪化防止にもなる腰痛対策を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
ストレッチをする
ストレッチは、腰痛対策に有効な方法の一つです。体をゆっくり伸ばすことで気持ちもすっきりします。ぜひ、就寝前や業務前にストレッチを行ってみてください。
日々の生活や介護業務の負担から、身体にゆがみが生じている可能性があります。ゆがみを放置すると、腰痛につながることがあるので、ストレッチやエクササイズを通じて、正しい姿勢になるように矯正するのも有効です。ただし、腰に痛みがあるときは無理にストレッチを行わないように注意しましょう。
寝たままできるストレッチ
仰向けになり、片ひざを両手で抱え、胸に近づけて2~3秒程度キープ。反対側も同様に数回繰り返します。1日に3~4セットすると良いでしょう。お尻まわりがほぐれるだけでなく、そけい部が圧迫されることで、下半身の血行促進効果も期待できます。
下半身のストレッチ
仰向けになったまま両膝を90度に曲げ、左右にゆっくり倒して腰まわりを伸ばしましょう。倒した足と反対方向に顔を向けると、さらに伸びが深まります。
手すりやいすを利用して立って行うストレッチ
片手で手すりやいす、机などに掴まり、反対の足をかかとがお尻につくように曲げ、曲げた足側の手で足の甲を持ちます。20~30秒間姿勢をキープし、左右それぞれ数回ずつ行ってください。
次に、両手で手すりやいすに掴まり、片足を軽く曲げながら反対の足を後ろに伸ばして、ふくらはぎを伸ばします。20~30秒間姿勢をキープし、左右の足を交互に複数回行いましょう。
身体を支える物があれば、立ったまま手軽にできるので、スキマ時間にも実行しやすいストレッチです。
腰まわりのストレッチ
長座の姿勢で足をクロスさせ、上体をねじってキープ。反対側も同様に数回繰り返します。お尻の外側をほぐすと同時に、お腹や腰まわりの筋肉を伸ばすことが可能です。
次に、足の裏を合わせて膝を外側に開き、そのまま前屈して姿勢をキープします。腰や背中の伸びを感じられればOKです。
ボディメカニクスの技術を身につける
腰に負担をかけない介護の方法を「ボディメカニクス」といいます。ボディメカニクスとは、全身の筋肉や骨、関節などの動きを利用し、最小限の力で介護を行う技術のことです。ボディメカニクスを活用することで、腰への負担を大きく軽減できるでしょう。
正しい介護技術の知識を身につけると、腰痛予防・軽減につながるだけではなく、利用者さんに安全・安心なケアを提供できるようにもなります。
以下では、ボディメカニクスをもとに、介護をする際に大切にしたいポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
下半身を安定させる
介助をするときは両足を肩幅程度に広げ、重心をまっすぐ低く落とすことで、姿勢が安定します。このとき、足の幅を広げすぎると腰がねじれやすく、逆に腰痛が悪化してしまうこともあるので注意しましょう。
適切な距離と角度をとる
利用者さんと自分の身体の重心をなるべく近くに持っていくこともポイントです。可能な限り相手に近づき、無理なねじれが生じない適切な角度で介助を行うことで、腰への負担を軽減できます。
平行移動を心がける
「なるべく平行移動を心がけ、上下運動による足腰への負担を減らす」「座るときは前かがみにならないよう垂直に腰を下ろす」などを意識するのも効果的です。平行移動を心がけることで、利用者さんを抱えた際に転倒するリスクを抑えることができます。
▼関連記事
ボディメカニクスの8原則を解説!介護現場で活用して腰痛を予防しよう
介護する環境を整える
ベッドの高さを調整したり設備の配置を見直したりして、介護環境を整えるのも、腰への負担を減らすのに効果的です。介護しやすいようにベッドの位置を動かすことで、動線が確保され、最小限の動きで介護ができるようになります。余計な動作を省けば、腰への負担の軽減が可能です。
ほかにも、室内が暗かったり室温が快適でなかったりすると、事故やケガが発生するおそれがあります。「足元が見えず転んでしまい、腰を痛める」「寒さで体が強張ったり、暑さで注意力が低下したりする」という可能性も。照明の明るさや室内の温度など、快適に介護を行える環境を整えるようにしましょう。
福祉用具・福祉機器を使用する
福祉用具や福祉機器を使用して腰への負担を軽減しましょう。リフトやスライディングボード、スライディングシートなどを活用することで、少ない力での介護が可能です。
正しい介護技術やボディメカニクスでカバーできない腰への負担を軽減できるので、使い方をしっかりと覚えて、福祉用具や福祉機器を積極的に利用しましょう。
コルセットを着用する
つらい腰の痛みには、応急処置として腰痛対策ベルトやコルセットを使うのも対策の一つ。痛みのある場所によってコルセットの着け方が違うので、正しい位置に装着することがポイントです。
ただし、ベルトやコルセットはあくまでも動作をサポートするもので、長時間着用し続けると、腰まわりや背中の筋肉が弱くなってしまう可能性があります。万が一に備えて持ち歩き、必要なときだけ応急処置として使用するのが望ましいでしょう。
▼関連記事
介護士に人気の腰痛対策ベルト
休息をしっかり取る
休息をしっかり取り、疲労を解消させることで、腰痛の予防になったり悪化を防げたりします。介護の仕事は腰に負担がかかる業務が多いので、疲労を解消しないまま働き続けると、積み重なった疲労から腰痛になってしまうことも。休息を取り、体を休ませることが大切です。
出典
厚生労働省「介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」(2025年9月11日)
急に腰痛になったときの対策
介護の仕事で日常的に腰への負担がかかっていると、突然腰痛に襲われるリスクも高まるので、急な腰痛への対処法を覚えておくと良いでしょう。
突然起こる腰痛とは、通称「ぎっくり腰」といわれる腰椎捻挫のこと。ぎっくり腰で動くことが困難な場合は、安静にすることが大切です。動ける場合は、できるだけ早めに病院を受診しましょう。
ぎっくり腰で動けないときは、横向きに寝そべり、膝を曲げてエビのような体勢で安静にします。仰向けになる際は、膝を立て、膝の下に枕やクッションなどを入れ支えてあげるようにすると良いでしょう。柔らかいベッドやソファーだと、腰が沈みこんで腰痛が悪化する可能性があるので、あまり柔らかすぎない場所で横になりましょう。
外出先でぎっくり腰になった場合は、ベンチなどで横になるか、腰を少し曲げながら壁によりかかります。動けるようになったら、カニのような横歩きか、お腹に力を入れつつ前かがみになり、安静にできる場所に移動しましょう。
出典
厚生労働省「介護業務で働く人のための腰痛予防のポイントとエクササイズ」(2025年9月11日)
腰痛に悩んでいる人は転職するのも効果的
腰痛に悩んでいる人は、腰への負担が少ない介護施設や事業所に転職するのも効果的です。グループホームやデイサービスは、寝たきりの利用者さんが少ない傾向にあるので、身体介護による体力的な負担が少ない職場といえます。
腰への負担が大きいと感じている場合、身体介護の少ない施設や事業所に転職することで、腰痛の予防や悪化防止につながるかもしれません。ただし、実際の仕事内容や利用者層は施設ごとに異なるので、事前に確認しておきましょう。
▶グループホームの求人一覧はこちら
▶デイサービスの求人一覧はこちら
介護職の腰痛に関するよくある質問
ここでは、介護職の腰痛に関するよくある質問に回答します。腰痛は介護職の職業病ともいえるものなので、悩んでいる方も多いかもしれません。腰痛を予防し、介護職として長く働き続けるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
介護職の腰痛予防にコルセットは効果的ですか?
コルセットは、正しい位置で装着することで、腰痛予防の効果を期待できます。しかし、あくまで予防や応急処置なので、コルセットだけに頼ることはあまりおすすめできません。腰痛を予防するには、ストレッチをしたり、ボディメカニクスを用いた介護技術を身につけたりすることが大切です。日ごろから身体の筋肉をほぐしたり、正しい介護技術で身体にかかる負担を最小限に留めたりすることで、腰痛になるリスクを軽減させられるでしょう。
介護職が腰痛になったらどうすれば良いの?
腰痛になったときは、安静に過ごしましょう。痛みが強く動くのが困難なときは、横向きに寝ると腰にかかる負担が軽減され、楽になるかもしれません。また、腰痛になった際は、病院を受診して、医師の指示に従うことが大切です。無理に動こうとすると、腰痛がさらに悪化してしまう可能性があるので注意しましょう。
腰痛で動けないときの対処法は、この記事の「急に腰痛になったときの対策」で解説しているので、腰に負担を感じている介護職の方はぜひご一読ください。
まとめ
介護の仕事は腰に負担のかかる業務が多いので、「腰痛」は多くの介護職が悩む問題です。腰痛には、「環境要因」「動作要因」「個人的要因」「心理的要因」という4つの要因が関係しています。
介護の仕事は、「腰をひねる」「前かがみになる」「中腰になる」という動作が多く、腰への負担が大きくなりがち。特に、入浴介助や移乗介助、体位変換などは、介護職の仕事の中でも腰痛につながりやすい業務です。
腰痛予防や悪化防止のためには、介護する環境の整備をしたり、身体的な負担を減らせるボディメカニクスの技術を身につけたりするのが有効といえます。ストレッチを行うのも良いでしょう。
対策をしても腰痛がつらく悩んでいる方は、業務における腰への負担が少ない介護施設や事業所に転職することも一つの選択肢です。
転職を考えている介護職の方は、レバウェル介護(旧 きらケア)にご相談ください。レバウェル介護(旧 きらケア)は、介護業界に特化した就職・転職エージェントです。専門のキャリアアドバイザーが、ヒアリングをもとにあなたの希望に合った求人をご紹介いたします。
豊富な求人を取り扱っているので、腰痛対策を行っている施設など、条件に合う求人も探しやすいでしょう。また、アドバイザーが転職への悩みやご相談にも対応いたします。ぜひ、お気軽にご相談ください!
登録は1分で終わります!
執筆者

「レバウェル介護」編集部
お役立ち情報制作チーム
介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点






