介護技術の基本!現場で役立つボディメカニクスの知識を身につけよう

介護の知識 2024年7月11日
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高齢者を介護ベッドから車椅子に移乗させる介護士のイメージ

この記事のまとめ

「介護技術の基本を知り、より良い介護サービスを提供したい」という介護職員の方もいるでしょう。介護技術は、介護を提供する側・介護を受ける側どちらにとっても大切な考え方に基づいています。本記事では、現場で役立つ介護技術の基本の考え方についてまとめました。また、ボディメカニクスを活用した介護技術や、介護技術を活かすための具体的な方法もご紹介いたします。介護のスキルアップにぜひお役立てください。

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目次

介護技術の基本とは?

介護技術の基本とは、介護を提供する介護職員が心掛ける基本的な考え方のことです。安全面を考慮することはもちろん、利用者さんの尊厳を守ること、自立支援を目指すことなど、介護職員として最低限押さえておかなければならない基本を5つご紹介します。

1.安全を確保しながら介助を行う

介護を行う前に、まずは安全を確保することが大切です。安全を確保する前に介助をすれば、利用者さを危険に晒してしまうリスクがあるだけでなく、介護職員自身も怪我をする可能性があります。歩行を介助する際は周りにつまずきそうな段差や障害物はないか、入浴介助をする際は浴室や湯船の温度は適切かなど、多角的に安全への配慮を行いましょう。

2.利用者さんの疾患・体調・心身の状態を考慮する

利用者さんの疾患や体調、心身の状態にも気を配りましょう。介護施設や事業所を利用する方は、一人ひとり抱えている疾患や介護度が異なります。片麻痺で片方の脚が動かしづらい方、耳が聞こえづらい方など、利用者さんの状況が異なれば、介助の方法も変えなければなりません。また、誰しも体調や気分がすぐれない日はあるもの。無理に介助をすれば、利用者さんの苦痛や恐怖心を抱かせる恐れがあり危険です。介助を行う際は、介護職員の都合に合わせるのではなく、利用者さんの状況に合わせるのも介護技術の基本といえます。

3.介助をする際は必ず利用者さんの同意を得る

介助を行う際は、必ず利用者さんに声がけし、同意を得てから行ってください。前述のように、利用者さん側の気持ちや体調を配慮する必要があるからです。「仕事だから」と利用者さんの身体を突然動かすのは、不快にさせるだけでなく信頼関係にも悪影響を与えかねません。「これから食事の時間なので食堂へ行くお手伝いをさせていただいてよろしいですか?」「右足から前に出していただいてもよろしいですか?」というように、介助の説明をしたうえで同意を得るようにしましょう。

4.利用者さんの自立を支援する介護を行う

利用者さんの自立を支援する介護を行うのも、介護技術の基本の一つです。介護を行う際は何から何まで介助してしまいたくなるかもしれませんが、それでは利用者さんの残存能力の低下につながり、廃用症候群を招くリスクがあります。利用者さんができることはご自身で行ってもらい、一人では難しいことを介護職員がサポートするのが自立を支援する介護です。利用者さんの残存能力を活かし、必要以上に介助しないことが利用者さんのADL(日常生活動作)の維持、さらにはQOLを低下させないことにつながります。

5.利用者さんの身体に触れる際は丁寧に行う

利用者さんの身体に触れる際は、優しく、丁寧に行いましょう。高齢者の方の皮膚や骨は弱く脆いのが特徴です。それほど大きな力を加えていないと思っていても、骨折やアザになってしまうこともあります。そのため利用者さんの身体に触れる際は、手のひら全体で優しく支えるようにしましょう。指先で雑に掴んだり、関節の可動域を考慮せずに動かしたりするのは避けてください。

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ボディメカニクスを活用した介護技術6選

介護のボディメカニクスとは、身体力学の原理を活用した介護技術のこと。活用することで、負担を最小限にとどめながら効率的に身体を動かすことが可能です。介護職の職業病である「腰痛」は無理な姿勢で大きな力が加わったときに起こりやすいため、ボディメカニクスの原理を上手く活用して介助の負担を軽減しましょう。

1.支持基底面積を広く・重心を低くする

支持基底面積とは、床と接する足元の面積のことです。この支持基底面積を広く取ることで自然と重心が下がり、体勢を安定させることができます。安全に安定した身体介助を行うための介護技術の基本姿勢といえるので、しっかり覚えておきましょう。

2.利用者さんにコンパクトな姿勢を取ってもらう

寝ている状態から起こしたり体勢を変えたりする際は、利用者さんにコンパクトな姿勢をとってもらいましょう。両手を胸の前に重ね、両足は膝を揃えて立てれば、身体を小さくまとめることが可能です。このような姿勢を取ってもらうことで摩擦が減り、移動がスムーズに行なえます。

3.手先だけで動かず大きな筋肉を活用する

寝ている利用者さんを介助する際は、手先だけで動くのではなく、腹筋やももの筋肉、おしりの筋肉など大きな筋群を活用するように意識してください。手先だけを使って介助するのは、一つの筋肉に掛かる負荷が大きくなります。また、手首や腰、背中などを痛める原因となるので、一点に負荷を集中させないよう大きな筋肉を同時に使いましょう。

4.介助者と利用者さんの重心を近づける

利用者さんとの距離が遠過ぎると、介助に大きな力が必要になります。介助する際は、できる限り利用者さんの側に寄り重心を近づけましょう。自身と利用者さんの重心を近づけるのは、楽に介助を行う介護技術の一つです。

5.てこの原理を利用する

仰臥位(仰向けに寝ている状態)から端座位(座る姿勢)を取ってもらう際は、無理に動かすのではなく、てこの原理を使いましょう。人ひとりを動かすには大きな力が必要ですが、支点を適切な位置におけば最小の力で動かすことが可能です。ただ全力で利用者さんの身体を持ち上げるのではなく、支点を作って力点に自分の体重を乗せることで、介助者に掛かる負担が少なくなります。

6.水平を保ったまま手前に引く

利用者さんを移動する際は、水平を保ったまま手前に引く「平行移動」を心掛けることも介護技術の一つです。斜めに動かそうとしたり持ち上げて移動しようとしたりする場合は、その分大きな力をつかう必要があります。自身の体重を乗せて平行に移動すれば、最小限の力で介助することが可能です。

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【介護の種類別】介護技術を役立てる方法

ここでは、介護の種類別に、介護技術を役立てる方法をご紹介します。介護技術を知っても、介護の現場で実践していくのはなかなか難しいものです。まずは、下記の具体例から介護技術の役立て方をイメージしてみてくださいね。

食事介助

食事介助は、単に「利用者さんに食事をさせること」ではありません。「介護技術の基本とは?」でお伝えしたように、利用者さんの安全を確保し、疾患や体調を考慮したうえで、必要なだけの介助を行うことが大切です。
たとえば、利用者さんの座る姿勢一つをとっても、安定した姿勢で座れているかを確認する必要があります。無理な姿勢でいれば、介護職員が目を離したすきに椅子から転倒したり、食べ物を上手く飲み込めずに誤嚥を起こしてしまったりする恐れがあるからです。
また、利用者さまが食べたくないものを無理に食べさせてはいけません。「○○がおいしそうですね。次はこちらを召し上がりますか?」のようにコミュニケーションを取り、同意を得たうえで利用者さまが難しい動作だけを介助しましょう。箸やスプーンを自身で持つことが可能な利用者さんならば、見守りに切り替える判断も必要です。

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排泄介助

排泄介助には、トイレの誘導やトイレまでの移動介助、着脱介助、おむつ交換などが含まれます。高齢の利用者さまのなかには、尿意や便意を感じにくい方も。自身で移動できる利用者さまの場合は、介護職員が適切なタイミングでお声がけをすることにより、おむつに頼らない生活を維持できるかもしれません。
さらに、安全面や衛生面、プライバシーなどへ配慮することも重要です。寝たきりの利用者さまの場合は、ベッド上でおむつ交換を行う場合があります。介護技術を活用して、安定した姿勢で丁寧に、そして迅速に行うことで、利用者さんの負担を少しでも軽減しましょう。また、オムツにシワやすきまがあると不快にさせてしまうので、しっかりと身体にフィットさせることも介助のポイントです。

入浴介助

入浴介助を行う際は、まず利用者さんの体調を確認しましょう。体温や血圧、表情などからいつもと違うことがあれば入浴自体を止める判断も必要です。体調に問題がなければ、浴室が寒過ぎないか、湯船やシャワーの温度が熱過ぎないか、床が濡れて滑りやすくなっていないかなど、安全面を考えてください。利用者さんがヒートショックを起こしたり滑って大怪我をしたりする恐れがあるので、十分に注意しましょう。また、入浴中は裸になるため利用者さまの羞恥心やプライバシーへの配慮も忘れてはいけません。

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着替えの介助

着替えの介助をする際は、「脱健着患」を心がけましょう。「麻痺などがある患側から着て、問題のないほうから脱ぐ」という意味で、介護技術の基本となっています。また、利用者さまの腕や足の可動域にまで気を配ることも大切です。高齢になると、腕を持ち上げたり後ろに向けたりすることが難しくなっていきます。無理に動かしてしまうと、脱臼や骨折につながる恐れもあるので気をつけてください。
また、衣類を選ぶ際は「今日はどれを着ますか?」と尋ね、選んでもらうのがポイント。おしゃれが好きな利用者さんであれば、QOLの維持・向上にもつながりますよ。

移動・移乗介助

移動や移乗介助の際は、利用者さんの疾患や体調、安全面を考慮したうえで、できることは自身で行ってもらいます。歩行をする際は、介護職員が斜め後ろに立ち、転んだりふらついたりした場合にすぐに支えられる姿勢を取りましょう。
麻痺を患っている方のなかには、杖をついて自分で歩ける方もいます。介護職員が楽だからと車いすに乗せて移動を続ければ、利用者さんのADLが低下していく恐れも。介護技術の基本は「利用者さんの自立支援」であることをよく考え、利用者さんに合わせた介助を行いましょう。

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介護技術のスキルアップを図るには?

介護技術をスキルアップさせるには、地道な勉強を積み重ねることが近道です。現場で経験を積みながら学ぶのも方法の一つですが、人材不足の傾向にある職場では細かい部分まで時間をかけて学ぶのは難しいかもしれません。スキルアップをしたいと考えるなら、積極的に学ぶ姿勢と向上心をもって行動してみましょう。

セミナーや職場の研修に参加して知識を増やす

まずは、介護技術を学べる外部のセミナーや職場の研修に参加して、知識を増やす機会を作ってみてください。介護職員として働く職場で研修や勉強会を実施しているなら、積極的に参加をしてみるのがおすすめです。職場によっては、参加費無料で実施しているので、経済的な負担はかかりません。また、外部のセミナーは、講義型やオンライン形式など、さまざまな形で実施されています。自宅でゆっくり勉強したいという方は、オンライン形式のセミナーを探してみましょう。

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コミュニケーション技術の向上を目指す

介護技術を効果的に提供するには、コミュニケーションスキルが欠かせません。利用者さんと介護職員との間に信頼関係が構築できなければ、怪我をさせてしまったり、不快感を与えてしまったりするおそれがあるからです。特に、入浴介助や排泄介助といった衣類の着脱をともなう介助には、利用者さんが介護職員に信頼を寄せていなければつらい時間になってしまいます。利用者さんの生活に寄り添った介護を行うためにも、一人ひとりの個性や病歴、生活歴などを理解したうえで、話したり傾聴したりするコミュニケーションスキルを磨きましょう

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より高度な介護資格を取得する

介護資格を取得するなかで、介護技術の基本から応用までを体系的に学ぶことが可能です。無資格の場合は「介護職員初任者研修」がおすすめです。介護技術の基本やボディメカニクスの活用方法などを実技を通して学べます。すでに初任者研修をお持ちなら、「介護職員実務者研修」「介護福祉士」とステップアップしていきましょう。実務者研修は介護福祉士を取得するために必須となる資格なので、順を追って取得していくことをおすすめします。

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介護技術に関するよくある質問

ここでは、介護技術に関するよくある疑問やお悩みにお答えしています。

介護技術の基本について知りたいです

利用者さんの周りの安全性を確保し、苦痛や恐怖を与えないことが介護技術の基本です。また、不快な思いをさせないためにも、利用者さんと信頼関係を築き、適切な声掛けを行います。介護による怪我を防ぐため、利用者さんの身体を支えるときは、優しく触れるようにしましょう。

>>介護技術の基本について詳しくはこちら

介護技術を高めるにはどうしたら良いですか?

施設内外の研修や勉強会に参加したり、上位資格を取得したりすることをおすすめします。また、尊敬する介護職員がいれば、その人の取り組み方をよく観察して、実践してみるのも手です。できることを少しずつ増やしていけば、着実に介護技術を高められるでしょう。

>>介護技術のスキルアップを図る方法をチェック!

まとめ

介護技術とは、安全面を考慮しながら利用者さんの自立を支援するために必要なものです。介護技術の基本が身についていなければ、利用者さんを危険にさらすだけでなく不快な気持ちにさせてしまうなど、介護がスムーズにいかないことも。また、安全に配慮できなければ、介護職員自身が怪我をする恐れもあります。介護技術をきちんと身につけたうえで、安全に・優しい介護を行うことが大切です。

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※この記事の掲載情報は2024年7月11日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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