自立を支援するための介護技術とは?

ニュース 2016/07/08
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
186_TOP_元気なヘルパーさんとおばあちゃん
近年、介護の世界では「高齢者の尊厳を支えるケアの実現」という表現が多く使われるようになりました。これには「介護を必要とする方が、その人らしい生活を自分の意思で送ることを可能にする」という意味が込められています。介護を受ける方の自主性を尊重する介護サービスを提供するためには、介護する側にも適切な「介護技術」が求められます。
今回は、自立を支援するための介護技術について考えてみましょう。


「自立を支援するための介護」とは何か


そもそも「自立を支援するための介護」とはなんでしょうか?
要点となるのは、提供されるべき介護サービスが、介護を受ける方の「自主性」や「自立」を促すものであるということです。
これまでは介護というと「寝たきりになってしまった高齢の方を何から何までお世話するもの」というイメージが強く、自立や自主性という考えにはなかなか結びつかないことが多かったのではないでしょうか。しかし、時代の流れの中で介護の在り方は大きく変わりつつあります。
これからの介護では、何から何まですべて介護スタッフがお世話するのではなく、自分でできることはなるべくしてもらう、そのためにたとえ時間がかかっても、介護を受ける方自身の自主的な動作を見守るというスタンスを継続することによって自立の意識を高めていくというのが、基本的な考えとなるでしょう。

介護の「自立」


しかし、介護を受ける方が若く健康な人と同じようにすべて自分の意思で思うとおり行動できるわけではないというのも事実です。ですからまずは、介護においての「自立」の基準を考える必要があります。大切なのは、介護を受ける方自身が「自分の望む生活を送っている」と感じているか、ということです。Quality Of Life(生活の質の向上)という言葉で表されルことの多い、この充足感や幸福感について考える時、「何のために自分でできるようになった方がよいのか」「それができるとどんな目的が達成できるのか」「できない部分をどのようにサポートすると快適になるのか」という、介護の手を差し伸べる側の問いかけは非常に重要です。
介護を受ける方の「自分で決定したい」「自分でやりたい」という思いに寄り添い、できることを維持し、その範囲を広げていくために足りない部分を介護の手で補うということが、「自立を支援するための介護」だといえるかもしれません。
この考えを生活介護の現場に当てはめるには、介護を受ける方の状態に応じた適切な介護技術が必要です。次にその点を考えてみましょう。

ボディメカニクスを活用した介護技術


日々の暮らしでは、動作ひとつにしても、生活習慣やその人の身体状況によって個別性があります。そのため、介護を受ける方自身の力を引き出すためには、介護スタッフが正しい介護技術の知識を取り入れ、実践することが求められています。
身体介助をするにあたってまず知っておかなくてはならないのが、ボディメカニクスです。介護のボディメカニクスとは、身体の力学的原理を活用した介護技術のことです。人間の体のつくりは連動していて、運動機能と相互関係にあります。ボディメカニクスを理解していると、最小限の負担で最大限の効果を引き出すことができるといわれています。無理のない姿勢で動作することで最小の負担と労力で疲労が少なく、介護の仕事につきものの腰痛を防止することもできるのです。
では、どのようにボディメカニクスの原則を身体介助動作に活用することができるでしょうか。

実践的な介護技術


ベッドから車椅子への移乗、移動介助、シーツ交換、おむつ交換、体位変換など、中腰の姿勢が続く介護の現場で、ボディメカニクスを理解した介護技術を身に付けることはとても大切です。
ボディメカニクスの原理には、次のようなものがあります。

支持基底面積を広く


足幅を広く取ることで、安定させます。

重心を低く


膝を曲げて腰を落とすことで、重心が低くなり安定します。身体介助の基本姿勢です。

重心を近づける


できる限り密着接近し、介助を受ける方と介護スタッフの重心を近くに持っていくことで、移動が楽になります。

平行移動


平行に滑らせるような「平行移動」を心がけることで、前屈み、中腰の姿勢、上下運動による負担を減らすことができます。

てこの原理を使って


自分の全力で体を持ち上げるのではなく、支点を作って自分の体重をかけ、てこの原理を応用することで負担が少なくなります。

体を小さくまとめる


両手両足をまとめて体を小さくすることで、摩擦を減らし、スムーズに移動することができます。

起き上がる、立ち上がる、歩くなどの動作をサポートする移動介助のシーンでは、介護を受ける方自身に少しでも力があるところは、本人の自然な動作を妨げず、自立しようとする力を最大限活かせるようにすることが大切です。

介護技術を活かすために必要なこと


身体介助の場面で介護技術を効果的に活かすためには、介護を受ける方とスタッフの間に信頼関係が構築されることが必要不可欠です。
人は、信頼している相手でなければ、自分の体を安心してあずけることはできません。介護を受ける方にとっての自然な動作を妨げないためにも、一人ひとりの個性や病歴、生活歴などを理解することはとても重要です。
会話やスキンシップなどを通じてコミュニケーションをはかる中で、その方の思いや願いを汲み取ることができるようになると、目的を達成するための介護技術を用いたサポートもしやすくなります。
介護を受ける方自身の主体的な意欲を高めて潜在能力を引き出すためにも、膝を曲げる、頭を軽く持ち上げるなど、その方ができる動作をお願いして、こちらのサポートに「協力」してもらうことができるかもしれません。


長く病床に伏せてる方の中には、「自立」の意識が遠のいていることも珍しくありません。そのような場合でも、介護スタッフは「支援者」として寄り添うスタンスで介護にあたる必要があります。介護技術を用いた適切な介護は、介護を受ける方の「自分らしく生活したい」という思いを叶えるための現実的で有効な方法なのです。

関連ジャンル: ニュース

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「ニュース」の人気記事一覧

「総合」の人気記事一覧