
この記事のまとめ
口腔ケアについて「ケアを行う目的や効果ってなんだろう」「正しい口腔ケアの方法が知りたい」などと思われたことはありませんか?
この記事では、口腔ケアを行う目的や効果だけではなく、ケア用品や注意点、役立つ対応方法を解説しています。介護の仕事を始めたばかりの方や、口腔ケアについてあらためて理解を深めたいと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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高齢者介護における口腔ケアについて
高齢者介護における口腔ケアについて、どのような役割や種類があるのか、気になる方も多いと思います。ここでは、口腔ケアとはなにか、種類や歯磨きとの違いも合わせて解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
口腔ケアとは
口腔ケアとは、口の中の状態を清潔に保つことです。虫歯や歯周病など細菌によるトラブルを予防し、身体の健康維持・向上を目指すケアのことを指します。
2種類の口腔ケアとは
口腔ケアには、お口をきれいにするケアとお口の機能を高めるケアの2種類があります。
どちらも口腔ケアを行う上で、重要なケアです。
| 名称 | 内容 |
| 器質的口腔ケア | うがいや歯磨き、義歯や舌の清掃などにより、口腔内を清潔に保つケアのこと |
| 機能的口腔ケア | 口周りのマッサージや嚥下機能を鍛えるリハビリなどにより、口腔機能の維持・回復を目指すケアのこと |
口の中の汚れは、歯茎や頬の内側などの粘膜にも付着しており、多くの細菌が繁殖しています。繁殖した細菌は、口腔内トラブルだけではなく、誤嚥性肺炎などにもつながりかねません。器質的口腔ケアをしっかり行い、普段から口の中を清潔に保つことが重要です。また、機能的口腔ケアも合わせて行うことで、口腔機能の維持・向上が期待できます。
口腔 ケア と 歯磨き の 違い
「口腔ケア」とは、歯の有無に関係なく、口腔内全体や入れ歯などの清掃のことを指します。機能低下を予防するためのリハビリやマッサージを含め、幅広い意味で使われているのが特徴です。一方で、「歯磨き」とは、主に歯に対して歯ブラシを用いて清掃を行うことを指します。
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口腔ケアを行う目的
ここでは、口腔ケアを行う目的についてまとめているので、チェックしてみましょう。
口腔内を清潔に保ち、トラブルを予防する
口腔内を清潔に保つことで、虫歯や歯周病など細菌による口腔トラブルの予防が可能です。「歯周病により、入れ歯がうまく固定されない」「歯茎と入れ歯の間に食べ物が挟まり、痛みがある」などといった症状の改善にもつながります。
口腔機能の維持や向上
口腔ケアを行うことにより、口や舌の働きを維持・向上させることが可能です。また、話すことや食べることの機能アップも期待できます。
誤嚥性肺炎など感染症の予防
誤嚥性肺炎や心筋梗塞などの病気は、口の中の細菌が原因で発症してしまう可能性があります。口腔ケアは、病気の発症リスクを下げるだけではなく、感染症予防にも効果的です。
口腔ケアを行うことで得られる効果
では、口腔ケアを行うことでどのような効果が得られるのでしょうか。こちらも合わせて、ぜひチェックしてみてください。
虫歯や歯周病などの細菌予防
口腔ケアにより、口の中の細菌を減らすことで、虫歯や歯周病など細菌が原因の病気を予防することにつながります。
口腔内の唾液分泌と自浄作用の促進
口腔内の唾液分泌量は、加齢とともに減少していきます。しかし、口腔ケアをしっかり行うことで、唾液の分泌と自浄作用を促進することが可能です。唾液分泌量と自浄作用が促進されることで、口腔内の細菌や食べカスが除去され、口の中を清潔に保つことにつながります。
味覚の改善と食欲の促進
味覚は、唾液や水に溶けたものに反応します。口腔ケアにより、舌の汚れが取り除かれることで、味覚の改善や唾液の分泌、食欲の促進につながります。
口臭の予防と改善
口臭は、主に歯や舌の汚れなどが原因です。口腔ケアをしっかり行い、口臭の原因となる汚れを取り除くことで、口臭予防につながります。
認知症の予防
口の開け閉めや咀嚼を行うことで、脳の記憶部分を司る「海馬」に刺激を与えます。噛むことにより、海馬の神経細胞が増加するため、口腔ケアは認知症予防にも効果的です。
コミュニケーションの円滑化とQOL向上
口腔ケアを行うことで、口や舌の機能が向上し、発音が良くなります。また、口臭などの悩みが改善されるため、円滑なコミュニケーションが取りやすくなり、QOL向上が期待できるのもメリットです。
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口腔ケアの前に注意するポイントと役立つ対応方法
ここでは、口腔ケアの前に注意するポイントと役立つ対応方法についてまとめています。ぜひ、参考にしてみてください。
本人への説明と同意を得る(コミュニケーションの取り方)
まずは、本人への説明と同意を得ましょう。いきなり口元へ触れてしまうと、口腔ケアへの拒否がより強くなってしまう可能性があります。日常会話などから入り、安心感を持ってもらうことが大切です。また、無理に行うことも命の危険につながりかねません。嫌がる利用者さまには、「これから歯磨きをします」「お口の中がさっぱりするので、〇秒間だけ開けててもらえませんか?」などと説明し、同意を得ると効果的です。
口腔内のチェックを行う
口腔ケアを行う際は、日常的に口腔内に虫歯や腫れ、口臭や出血等がないかチェックを行いましょう。日常的にチェックを行うことで、早期発見につながり、歯科受診の対応などもすぐに行うことが可能です。
誤嚥しないよう安全な姿勢の確保
うがいの水や唾液で誤嚥しないよう、安全な姿勢を確保した状態で口腔ケアを行いましょう。あごを上げたまま行うと、誤嚥してしまう可能性があり、危険です。あごをしっかり引き、少しだけうつむいたような姿勢で行うと、誤嚥防止につながります。
一人ひとりの口腔状態に合ったケア用品を選ぶ
正しい口腔ケアを行うためには、一人ひとりの口腔状態に合ったケア用品を選ぶことが重要です。介護の現場で歯科往診などがある際は、歯科衛生士の方にアドバイスをもらうのも有効的なので、分からない方は聞いてみると良いでしょう。
介助しすぎずに見守る
介護者がなんでも手伝うのではなく、本人ができることは、なるべく自分でやってもらうようにしましょう。自立支援を促しながら、磨き足りない部分や最後のチェックを介護者が行うなど、バランスよく対応し、見守ることが大切です。
短時間で済ませる
口の中を見られることに抵抗感を感じる人は多く、高齢者の口腔内は乾燥もしやすいため、長時間のケアは負担になりかねません。不快感を感じさせないよう、なるべく短時間で済ませることが大切です。
使用する口腔ケア用品の準備
口腔ケアを行う際には道具が必要になります。一体、どのようなケア用品があるのでしょうか。使い方や選び方などのアドバイスも合わせて解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
歯ブラシ
歯垢の除去には、歯ブラシを使用します。高齢者は歯茎が弱いため、なるべく柔らかい歯ブラシを使いましょう。本人に合った使いやすい歯ブラシを選ぶことが大切です。また、手首を細かく動かすことが困難な方は、電動歯ブラシを使いましょう。歯磨きの最中に唾液が大量に出てしまう方は、吸引器つきの歯ブラシを使うこともオススメです。
歯間ブラシ
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れまで除去するのはなかなか難しいでしょう。そのような場合は、歯間ブラシを使うことで、歯と歯の間の歯垢を除去することができます。歯間ブラシには、I字型とL字型があり、ブラシ部分のサイズもさまざまです。本人に適したサイズの歯間ブラシを使うようにしましょう。
スポンジブラシ
スポンジブラシは、口を大きく開けることが難しい方に適しており、歯ブラシが届きづらい場所の汚れも除去しやすいメリットがあります。また、使い捨て可能なので、衛生的なのもポイントです。
舌用ブラシ
舌用ブラシは、舌苔(ぜったい)といわれる舌垢を除去するためのブラシです。ブラシ部分に毛が付いているタイプと付いていないタイプがあるため、本人に適したサイズやタイプのものを使うようにしましょう。また、使う際に強く擦ると舌を傷つけてしまう可能性があるので、ゆっくりと優しく行うのがポイントです。
入れ歯用ブラシ
入れ歯用ブラシは、入れ歯の洗浄に使用します。通常の歯ブラシよりも毛先が硬く、持ち手の部分も太くて掴みやすくなっているのが特徴です。硬さやサイズが異なる2つの種類の毛が付いているものが多いため、細かい部分まで磨くことができます。
ガーグルベース(うがい受け)
ガーグルベース(うがい受け)は、寝たままの姿勢でもうがいがしやすく、口元にもフィットしやすい形になっています。軽い作りにもなっているため、握力の弱い方や高齢者でも使用可能です。
口腔用ウェットティッシュ
口腔用ウェットティッシュは、口腔内の汚れを拭き取るために使用します。スポンジブラシと同様、使い捨て可能なのがポイントです。
保湿剤
保湿剤は、口腔内の乾燥や口臭、歯周病など口腔トラブル予防のために使用します。
ジェルタイプやスプレータイプ、マウスウォッシュタイプなど種類もさまざまなので、口の中の状態に合わせて使い分けましょう。
口腔ケアの方法
ここでは、口腔ケアの方法についてまとめています。ぜひ、介護の現場でも実践してみてください。
うがいを行う
まずは、うがいをし、口の中の汚れを落としましょう。うがいには、口の中の汚れを洗い流すだけではなく、口腔内を潤す効果もあります。頬を片方ずつ膨らませながらブクブクし、最後は全体を膨らませてしっかりブクブクしましょう。その際、誤って水を飲み込まないよう注意し、誤嚥を防止することが大切です。
歯を磨く
歯ブラシは鉛筆を持つようにして、小刻みに動かしながら磨きます。歯と歯茎の間など、歯垢が溜まりやすい部分は入念に磨くよう意識しましょう。力を入れすぎると、歯茎を傷つけてしまうため、ゆっくりと丁寧に磨くことが大切です。
舌のケア
舌ブラシを使用し、舌苔と呼ばれる汚れをきれいに落としましょう。ケアを行う際は、舌を傷つけないよう、奥から手前にゆっくり動かし、優しく行うのがポイントです。
口腔清拭(せいしき)
体を起こすのが難しい場合や水を口に含んだ状態でいられない方には、口腔清拭を行いましょう。スポンジやブラシを湿らせて、口の中の汚れを除去します。指を奥まで入れすぎると痛みを感じたり、嘔吐してしまうことがあるので注意が必要です。
入れ歯のケア
入れ歯のケアを行う際には、入れ歯用ブラシを使用しましょう。まずは、水ですすぎながら汚れをブラシで落とします。その後、専用容器に水と洗浄剤を入れて保管しましょう。研磨剤は入れ歯を傷つけてしまうため、入れ歯専用の歯磨き粉を使って磨くことが大切です。
唾液腺マッサージ
唾液腺と呼ばれる部分(耳下腺、顎下腺、舌下腺)を優しくマッサージし、唾液の分泌を促しましょう。食事前に行うと食事がしやすくなり、むせ込みも予防できるため有効的です。
身体状況に応じた口腔ケアの介助
利用者さまのなかには、片麻痺がある方や寝たきりの方、認知症が進行し意思疎通が困難な方などがいらっしゃいます。そのような方々への介助方法について説明していきます。
片麻痺がある方
まずは、麻痺のある部分や本人に残されている能力を確認しましょう。本人が少しでも歯磨きできる際は見守り、仕上げ介助のみを行うなど、臨機応変に対応することが大切です。
また、麻痺側は食べかすが残りやすいため、麻痺側を特に意識したケアを行いましょう。
全介助(寝たきり)の方
本人の状態に合わせて、ベッドの頭側を15度~30度ほど上げ、あごを引いた状態にします。起こした体がずり落ちないよう、足元にはクッションなどを入れて、なるべく楽な姿勢が取れるようにしましょう。全介助(寝たきり)の方は口腔機能の低下が見られ、誤嚥を起こしやすいため、特に安心と安全を考慮してケアすることが大切です。
認知症が進行し意思疎通が困難な方
認知症が進行すると、理解力や判断力などが徐々に障害されていくため、ケアに無関心になったり、抵抗されることもあります。本人が拒否や抵抗をする場合は、無理に行わず、一度その場から離れて様子を見ましょう。声かけを行い、時には手を握るなどスキンシップを取りながら、安心してもらえるケアを意識することが大切です。また、口頭説明での理解が困難な場合は、介護者と一緒に歯磨きを行うようにしましょう。
総義歯(歯が一本もない)の方
総義歯の方は、入れ歯の清掃のみで、口腔内はうがい程度で済まされてしまう場合が多いです。しかし、入れ歯と接触する部分には多くの細菌が繁殖しており、しっかりケアを行わないことで、誤嚥性肺炎など全身疾患の原因になってしまいます。また、口臭や歯周病などの原因にもなりかねません。たとえ歯が一本もなく、総義歯であっても口腔ケアを行うことは、さまざまな病気へのリスクを下げるためにも大切です。
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介護現場における口腔ケアに関するよくある質問
ここでは、介護現場における口腔ケアに関するよくある質問を紹介します。口腔ケアに興味のある方は、参考にしてみてください。
介護における口腔ケアのやり方は?
口腔ケアは、まず利用者さんの同意を得てから実施します。利用者さまの中には、口腔ケアに不快感を感じる方もいるため、長時間にならないように注意したり、口腔ケアの必要性を説明したりすることが大切です。また、誤嚥を起こさないよう、安全な姿勢で行いましょう。口腔ケアは、「うがいをして口腔内の汚れを落とす」「歯ブラシで歯を磨く」「舌ブラシで舌のケアを行う」「口腔清拭を行う」「入れ歯のケアをする」「唾液腺マッサージを行う」などがあります。詳しく知りたい方は、この記事の「口腔ケアの方法」を参考にしてみてください。
介護職員が口腔ケアを行うのに資格は必要ですか?
口腔ケアは、資格がなくても行うことは可能です。しかし、資格を取得することで根拠に基づいたケアが行えるようになり、介護の質を上げられるでしょう。口腔ケアが学べる資格には、一般社団法人総合健康支援推進協会が実施する「介護口腔ケア推進士」や特定非営利活動法人日本介護予防協会の「介護予防指導士(R)」があります。「介護口腔ケア推進士」は口腔ケアに特化した資格で、「介護予防指導士(R)」は介護予防を学ぶカリキュラムに、口腔ケアの講義が組み込まれています。興味のある方は、資格取得を検討しても良いでしょう。
まとめ
口腔ケアを行う際は、本人の口腔状態に合ったケア用品を使用し、正しく使いましょう。
高齢者介護における口腔ケアでは、感染症や認知症予防、誤嚥性肺炎など病気の発症リスクを下げる効果が期待できます。また、汚れを除去し、口腔環境を整えることで、コミュニケーションの円滑化やQOL向上につながるのも、大きなメリットです。一人ひとりの身体状況に応じたケアを行い、安心感を与えられるようなコミュニケーションをとることが大切です。口腔ケアをする側もされる側も、安全で気持ちのいいケアが行えるよう意識しながら、介助をしていきましょう。
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おいもッコ
元介護士ライター
グループホームを中心に、有料老人ホームやデイサービスなどの施設で約7年半ほど介護士として勤務。リーダー業務なども経験しながら、多くの認知症高齢者や介護業務に携わる。2021年に介護福祉士を取得。現在は今までの経験を活かし、「元介護福祉士ライター」として介護士さんに共感してもらえるような、お役立ち情報などを発信している。







