介護で役立つ傾聴スキルとは。共感を示すコミュニケーションの方法

介護の知識 2021年10月7日
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傾聴とは、相手の話に耳を傾け共感を示すことで、精神的な安らぎを感じてもらうコミュニケーション技術です。介護士さんが傾聴のスキルを身につけると、利用者さんのニーズを把握したり、会話を通して利用者さんに楽しんでもらったりすることができるようになります。この記事では、介護の現場で役立つ傾聴についてご紹介します。

目次

傾聴とは

傾聴とは、人の話にじっくりと耳を傾けるコミュニケーション技術です。傾聴は、主にカウンセリングやコーチングで用いられますが、ビジネスや介護現場でも活用されています。

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介護における傾聴の効果

傾聴は、相手が思っていることを全て受け入れることで、話し手の心の負担を軽くする効果があります。特に、介護施設を利用される高齢者は社会や人との交流が少ないため、自分の思いに耳を傾けてくれる人がいることが、精神的な安らぎにつながります。
適切な傾聴は「自ら会話をしようとする意欲」を引き出し、利用者さんが心を開いて話せるようになる効果も期待できます。傾聴を通して相手の気持ちに寄り添うことで、信頼関係の土台が築けるでしょう。

介護における傾聴の基本的なポイント

利用者さんに安心して心を開いてもらうには、どのような点に気を付けて傾聴すれば良いのでしょうか?ここでは、傾聴の基本的なポイントをご紹介します。

1.相手を否定しない

傾聴で大事なのは、相手の話を否定しないことです。話に事実と違う部分やおかしな点があっても、「それは違う」「でも」と否定したり、自分の考えを押しつけたりせず、最後まで耳を傾けましょう。傾聴では、相手の話を否定も肯定もせずに、ただそのまま受け入れて、相手の気持ちに寄り添うことが大切です。
高齢者は以前に話した内容を繰り返すこともありますが、そんなときも「それは前に聞きましたよ」と言うのではなく、最後まで耳を傾けましょう。

2.相手の話をさえぎらない・最後まで聞く

相手の話をさえぎって「私の場合は…」と自分が話し始めてはいけません。相手が話そうとしていることを先回りして話したくなる気持ちもわかりますが、話を最後まで聞くことで信頼関係が築けます。相手が一通り話し終えたところで質問をして、会話を広げていきましょう。

3.共感を示す

話を聞くときは、肯定的な関心を持つことと、相手の立場を想像することを意識し、「それは大変でしたね」と共感を示しましょう。
共感と同意は別物なので、全てに感情移入する必要はありません。傾聴では、あくまで相手を受容し、理解していると伝えることが重要です。

※共感するときの注意点

共感を示すときに、「わかります」と安易に伝えてしまうと、「そんなに簡単にわかるはずがない」と思われる可能性があります。相手が何かに対して悲しんでいたり、怒っていたりするときは、「悲しいですね」「大変でしたね」など、相手の感情を言語化し、共感してみましょう。

4.話が途切れたときは待つ

利用者さんの中には、病気の影響でスムーズに会話をすることが難しかったり、考えをまとめるのに時間がかかったりする人もいます。そんなときは、無理に会話をするのではなく、相手が話せるようになるまで待ちましょう。時間を共有するだけでも利用者さんに安心感を与えることができますよ。

5.相手との適切な距離を保つ

悩みを聞いていると、「解決してあげなくては」という気持ちになる人もいますが、問題を解決するのはあくまで利用者さん自身であり、介護士さんではありません。介護士さんは解決の方法を一緒に探すという立ち位置で、利用者さんに寄り添いましょう。

傾聴のスキルを磨く資格

傾聴のスキルを磨くには、ここまでにご紹介したポイントを意識してみましょう。また、さらに専門的な知識を身につけたい方は、資格の取得もおすすめです。
傾聴に関する資格のひとつ「高齢者傾聴技能士」は、高齢者の話を聞く専門スキルを身につけたスペシャリストで、スキルアップを望む介護士さんやカウンセラーを目指す方に人気があります。有資格者は高いコミュニケーション能力を身につけた傾聴のプロとして、介護現場でスキルを発揮できるでしょう。

傾聴とあわせて身につけたいコミュニケーション術

ここからは、介護士さんが覚えておきたいコミュニケーション術をお伝えします。傾聴とあわせて使ってみることで、利用者さんの不安を解消し、深い信頼関係を構築できます。

言語コミュニケーションのポイント

言語コミュニケーションは、言葉によるコミュニケーションを指しています。言語コミュニケーションでは、以下のような点に気を付けましょう。

挨拶

笑顔で挨拶をすることで、親しみやすさが伝わり利用者さんに安心してもらえるでしょう。
利用者さんは職員のことをよく見ており、挨拶をせずに無言でいると「近寄りがたい人」と思われてしまいます。笑顔で挨拶をすることで、親しみやすさが伝わり利用者さんに安心してもらえるでしょう。挨拶をするときは相手と目を合わせ、はっきりとした声で「おはようございます」「こんにちは」と言うのがポイントです。車椅子の方や座っている方に挨拶するときは、膝をかがめて視線を合わせましょう。

言葉遣い

親しみやすさは重要ですが、「~だよね」「~できる?」といった友達と話すときのような話し方は、相手に不快感を与える可能性があります。相手が目上の人であることを忘れず敬語を使いましょう。
また、「~しなさい」という強く命令するような口調も、相手に威圧感を与えます。何かを提案するときは、「~しませんか?」「~しましょう」という風に、相手が受け入れやすい表現を使いましょう。

話し方

利用者さんと話すときは、声の大きさや話すスピード、口調にも気を配りましょう。声の大きさは一人ひとりの状態に合わせて調整し、忙しくても早口にならないように気を付けてくださいね。口調は淡々とした話し方に聞こえないように、適度な抑揚をつけると良いでしょう。

否定的な言葉を使わない

利用者さんと接するときは、相手を傷つける否定的な言葉を使わないよう気を付けましょう。たとえば、「それをしてはいけません」と言うのではなく、「それは私がやっておくので大丈夫ですよ」「私に任せてくれると嬉しいです」と言い換えるだけでも、相手に与える印象は変わります。

非言語コミュニケーションのポイント

非言語コミュニケーションは、言語以外のコミュニケーション手段です。人とのやり取りの中で非言語コミュニケーションが占める割合は大きく、利用者さんの目線や動作から相手の気持ちを察したり、身振り手振りを使って自分の気持ちをより強く伝えたりできます。

表情

利用者さんと話すときは、笑顔を意識しましょう。同じ話をするのでも、笑顔があるのとないのでは相手の受け取り方が違ってきます。ただし、利用者さんが悲しみや怒りを感じているときは笑顔を控えて、相手の立場になって共感を示してください。

目線

高いところから見下ろすように話すと、「高圧的で怖そう」という印象を与えてしまいます。利用者さんとは、同じ高さで目線を合わせて会話をしましょう。

姿勢・動作

傾聴するときは相手の方に体を向け、しっかり話を聞いていることを伝えましょう。腕組みや貧乏ゆすりなど、ついやってしまう癖がある方は注意してくださいね。

まとめ

介護現場における「傾聴」には、相手の気持ちに共感することで、利用者さんに安心感を与える効果があります。傾聴するときは、相手の話をさえぎったり、否定したりせず、相手の立場を想像して肯定的な反応を示すのがポイントです。
また、利用者さんとやり取りするときは、表情や目線、視線といった非言語コミュニケーションを意識すると、より相手の気持ちに訴えかけられます。

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監修者

  • 小﨑 有惟

    社会福祉士/ケアマネージャー/介護福祉士

大学では社会福祉学科専攻。卒業後は、デイサービスセンターや特別養護老人ホームの生活相談員、介護福祉士として勤務し、多くの認知症高齢者や終末期ケアに携わる。その後、結婚を機に退職。現在は育児をしながら、介護にまつわる記事の執筆や監修などに力を入れている。

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