介護における自立支援は、高齢者介護の中核に位置付けられている、非常に重要な考え方です。介護に携わる人にとっては聞き慣れた言葉かもしれませんね。ですが『じゃあ自立支援って具体的にどんなことなの?』と聞かれたら、きちんと答えることができるでしょうか?普段何気なく口にしていることも改めて考え直してみると、自分が知らない部分が浮かび上がってくるものです。介護における自立支援について、今一度考えてみましょう。
この記事のまとめ
- 自立と自律の違いは他者の手助けを受けるか自己決定ができるか
- 自立支援を行う介護職員は利用者さんの自己決定権を尊重し見守ることが大切
- 何でも利用者さんにさせるのが自立支援ではなく、待つ姿勢も必要
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目次
自立支援ってどんなこと?
“じりつ”には二つの漢字が当てられます。“自立”と“自律”です。それぞれの意味を調べてみると、前者は他者からの制約や援助を受けずに独り立ちしていること、後者は自分で立てた規範に従って行動すること、といった意味が書かれています。
もう少し噛み砕いて考えてみましょう。“自立”の場合、誰の手助けも借りず、自分一人の力でやっていくことといえるでしょう。一方の“自律”ですが、こちらは他人からの手助けの有無は関係がありません。大事なのは『自分で自分をコントロールすること』です。つまりたとえ車椅子を介護士に押してもらっているとしても、それがその人自身の選択である以上、その人のことを“自立”していないということはできても、“自律”していないと非難することはできないのです。一般的に介護が目指す自立支援は自己決定、つまり“自律”支援だということができるでしょう。
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自立支援とほど遠い介護はどんなもの?
介護において、いくら自律支援という理想が掲げられていても、絵に描いた餅で終わってしまうことも多々あります。介護の現場は常に時間に追われており、『本人にしてもらうより介護士がしたほうが早い、だから介護士がやればいい』という考え方を、未だに持っている介護士もいます。結果として自分でできることまで介護士がしてしまう「過剰介護」となり、本人のやろうとする意欲を奪ってしまう状況が生まれてしまうのです。
その一方でなんでも自分でやってもらおうとするのも、問題をはらんでいます。例えば自分で靴を履けるけれども、きちんと履くまでに1時間もかかってしまう人がいるとしましょう。この人にすべてをやってもらうのが、自立支援といえるでしょうか?介護者が『自分のことは自分でしないと』と放っておくと、この人はおそらく靴を履くのが嫌になって、やがて外出しなくなってしまうでしょう。
『なんでも自分でする』ことだけが自立じゃない
先の章でみてきた通り、介護における自立支援は決して簡単なものではありません。介護の側が主体となってなんでもやってしまうことが問題なのはもちろんですが、一方で介護者がなんでも自分でやってもらおうとして任せっきりにしてしまうと、そのことが悪影響を及ぼすケースも考えられます。
ここで最初の定義に立ち返ってみましょう。高齢者介護における自立支援とは、“自律”支援であるということを述べました。これを先ほどの例に置き換えてみましょう。この人は自分で靴を履こうとすると1時間かかります。ですが介護士に頼めばすぐにできますよね。このようなときに本人が『手伝ってもらえますか?」と一言声をかける、あるいは介護士の側から『手伝いましょうか?」と声をかける。そうすることで本人が納得して介護を受けられる環境ができあがります。その結果この人は外出の機会を逃すことなく、外出を楽しむことができるでしょう。
なんでも自分でしてもらうことだけが自立支援ではありません。できることはしてもらいつつも、介護士は側に付き添って相手の潜在的なニーズを汲み取ること。この“側で待つ”姿勢こそ、介護士が取るべき自立支援といえるのではないでしょうか。
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