この記事のまとめ
介護の現場でよく見聞きするQOLやADLという言葉。「介護とどうつながっているの?」「ケアを行ううえで重要ってどういうこと?」と考えたことはありませんか?この記事では、QOLやADLの内容についてだけではなく、高齢者の介護におけるQOLと対策方法を解説しています。あわせて、介護の現場でどのように活かせるのかもご紹介しているので、改めてケアの方法を見直したい方やQOLやADLについての理解を深めたいと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
QOLについて
介護業界に関わっていると、見聞きすることが多い「QOL」という言葉。ここでは、QOLと「3つの質」の意味についてご紹介します。
QOLとは
QOLとは、クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life)の略称です。日本語では、生活・人生・生命の質(3つの質)などと訳されます。一人ひとりが生きている環境のなかで、可能な限り快適な生活を送ることや、充実した生き方をすることを指し、人の生活や人生においての「幸福」「満足」などを意味しています。また、高齢者の介護におけるQOLでは、「利用者さま一人ひとりがその人らしく生きる(生活する)こと」が幸福や満足につながるとされています。
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QOLに影響を与える要素とQOL低下の原因
ここでは、QOLが影響を与える要素とQOL低下の原因について、いくつか例を挙げてまとめています。どのような要素がQOLに影響を与え、なぜQOLが低下するのかチェックしてみましょう。
QOLに影響を与えている要素
QOLに影響を与えている要素 | 例 |
---|---|
肉体的要素 | 運動量が落ちる・体が痛む・身体機能の低下 |
精神的要素 | 気分の落ち込み(抑うつ)・認知機能の衰え・意欲低下 |
社会的要素 | 身の回りの人との関係が悪化する |
経済的要素 | 収入が不安定になる |
QOLに影響を与えている要素はいくつかあります。運動量が落ち、体の痛みや身体のさまざまな機能の衰えが生じる肉体的要素。気分の落ち込み(抑うつ)や認知機能の衰えが生じ、意欲が低下する精神的要素。身の回りの人(家族や友人、職場)との関係が上手くいきづらくなり、社会への参加が減る社会的要素。経済的な環境(収入)が不安定になりやすくなる経済的要素などです。これらの状態が悪いと、身体だけではなく、心にも大きなストレスや負担を感じ、QOLの低下につながります。
QOLとADL
QOLと同様に、「ADL」という言葉も介護の現場でよく見聞きすることが多いです。ここでは、ADLの意味と内容、QOLとのつながりや影響などをまとめたので、参考にしてみてください。
ADLとは
ADLとは日常生活動作(Activities of Daily Living)の略称です。日常生活を過ごす上で必要な、食事や排泄、更衣・整容、移動、入浴などの基本的な動作のことを指します。
高齢者の身体活動のレベルや障害の程度などを知る上で、重要な評価指標にもなっています。
QOLとADLの関係
上記で述べたような、QOLが低下しやすくなるいくつかの要素は、ADLにもつながっています。ADLが低下すると活動量が減り、身体や精神的な部分、周りの人との関係や社会参加も少なくなり、経済的な部分への影響も発生しやすくなります。ADLが低下するとQOLも低下し、反対にQOLが向上するとADLも向上するため、どちらも深くつながっています。
ADLがQOLに与える影響
ADLが上がれば、日常生活での活動意欲が向上します。たとえば、食事を摂る際に手に力が入りづらい利用者さまがいたとしましょう。食事がしづらいことで、食欲の低下だけではなく、食べることで得られる満足感や楽しみ(QOL)も低下してしまいます。ADLを上げるために、手を動かす運動やリハビリを行えば、食事が摂りやすくなり、QOLの向上にもつながるでしょう。
反対に、ADLが下がり、手を動かしづらくなると、食べる楽しみや満足感(QOL)を得ることは難しくなります。食事を食べないことによる身体や精神的な部分へのダメージは、ADLとQOLの低下だけではなく、さまざまな要素に影響します。
ADLが向上することで得られるメリット
ADLとQOLの向上は、一人ひとりの希望や思いを叶えることにもつながります。たとえば「杖をつかずに歩けるようになりたい」「自分の力だけで着替えられるようになりたい」など、人それぞれ目標や目的は違います。歩行訓練やスムーズに着替えができるようリハビリを行うことで、目標にも少しずつ近づき、意欲が出始めます。目標の達成や希望が叶うことで、今後への自信や意欲が湧くため、ADLとQOLの向上や維持にもつながります。
しかし、ADLとQOLは深くつながっていますが、ADLが向上したからといって必ずQOLが向上するとは限りません。一人ひとりの思いや状態によっても変わるため、バランスを上手く取りながら、状況を判断することが大切です。
利用者さまのQOL向上のために介護職員ができること
利用者さまのQOL向上のために介護職員ができることをまとめました。普段のケアを行ううえでも大切なことなので、参考にしてみてください。
利用者さま一人ひとりの声に耳を傾ける
たとえ、同じ環境で暮らしていたとしても、利用者さまが抱いている思いや目的は一人ひとり違います。QOL向上には、「利用者さまがその人らしく生活できること」が重要です。まずは、利用者さま自身が持っている希望や目標を聞きましょう。利用者さまの気持ちを把握することで、どのようにしたらADLとQOLが向上するのか考えることができます。また、利用者さまが安心したケアを受けられるようにすることも、ADLとQOLの向上にとって大切です。利用者さまとしっかりコミュニケーションを取り、QOL向上に活かしましょう。
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利用者さま一人ひとりに合うケアを、可能な限り行う
利用者さまにとって、生活する環境が整っていることは、安心して生活を送るうえでも大切です。整っている環境で一人ひとりに合ったケアを行うことは、QOL向上にもつながります。また、「良いケア」を勉強して知っておくことや、対応の上手いスタッフから教えてもらうことも利用者さま一人ひとりに合ったケアを行ううえで、有効といえます。利用者さまの思いやできることを理解し、一人ひとりに合った可能な限りのケアを行うようにしましょう。
介護職員同士や他の職種との連携を図る
排泄や入浴などのケアでは介護職員が担当しますが、理学療法士や看護師などの他職種(医療など)との関わりもあります。一人ひとりに合ったケアの提供ができるよう、他職種との連携を図り、知識や意見を共有することは、利用者さまの生活や健康を支えるうえで非常に重要です。他の職種との連携を図ることで、チームとしての専門性を高めるだけではなく、ケアの統一性を持つことにもつながります。
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できることはなるべく自分でやってもらい、見守る
利用者さまへの理解を深めるために、意思や希望を聞くことも大切ですが、できることを知るのも大切です。QOLの低下を防ぐために、自立支援(可能な限り自分の意思や力で生活できるように支援すること)や本人の意思を尊重したケアを意識しましょう。「介護のしすぎ」が、その人らしさを奪い、活動の意欲やQOLを下げてしまう原因のひとつにもなり得ます。自分でできることはなるべくご自身でやってもらい、介護職員が介護しすぎないようにすることが大切です。
まとめ
介護におけるQOL向上には、まず、利用者さま一人ひとりの意思や希望を把握し、コミュニケーションをしっかりと取ることが大切です。QOLやADLを向上させるために、本人の思いやできることを理解し、状況を判断しながら、一人ひとりに合ったケアを行いましょう。
また、自立支援を促すためにも介護しすぎずに、時には見守りましょう。医療などの他の職種や介護職員同士で連携を図りながら、一人ひとりが「その人らしく生活できること」を考え、ケアを行うことも大切です。QOL向上を意識した、質の高い介護を目指しましょう!
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おいもッコ
元介護士ライター
グループホームを中心に、有料老人ホームやデイサービスなどの施設で約7年半ほど介護士として勤務。リーダー業務なども経験しながら、多くの認知症高齢者や介護業務に携わる。2021年に介護福祉士を取得。現在は今までの経験を活かし、「元介護福祉士ライター」として介護士さんに共感してもらえるような、お役立ち情報などを発信している。