介護職の腰痛は労災認定される?欠勤や退職する場合についても解説!

介護職の悩み 2020年11月30日
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介護士の腰痛は労災認定されるのか?のイメージ

介護現場では腰に負担のかかる姿勢や動作が数多くあるため、腰痛は職業病ともいわれています。我慢できないほどの痛みに仕事を休んだり、辞めたりする方も多く、労災はおりるのか?と気になっている方もいるでしょう。結論を言えば「介護の仕事が腰痛の原因である」と証明できれば労災は適用されます。こちらでは、介護現場で労災認定される腰痛の症状、欠勤や退職する場合に労災は適用されるのかについて解説します。

目次

介護現場で労災認定される腰痛の症状とは

介護現場で職業病ともいわれる腰痛…労災は適用されるのか?と気になっている方は多いでしょう。労災は「介護の仕事が腰痛の原因である」と証明できれば適用されます。※
なお、介護現場で労災認定される腰痛は、災害性腰痛と非災害性腰痛の2種類のみ。こちらでわかりやすく解説します。
※注:労働基準監督署(労基署)の調査に基づき、労災認定の判断がされます

災害性腰痛

災害性腰痛は、仕事中の怪我などによる腰痛です。たとえば、ご利用者を車いすからベッドに移乗しようとした際、ギックリ腰になってしまった、というケースなどが該当します。仕事中の突発的な出来事で生じたことが明らかであれば、災害性腰痛とみなされ、労災認定されるでしょう。もしくは、腰にかかった力が腰痛を発症させたり、腰痛を著しく悪化させたりした原因だと医学的に認められれば労災が適用されます。

非災害性腰痛

非災害性腰痛は、腰に過度な負担がかかる仕事で、長い期間にわたって腰への負担が蓄積されたことによる腰痛です。慢性的な腰痛で、腰に過度な負担がかかる仕事をしている方が発症した場合、非災害性腰痛として認定されます。もしくは業務内容や働いた期間などから考え、仕事が原因と認められれば労災が適用されるでしょう。

介護現場の腰痛は、非災害性腰痛が多いようです。非災害性腰痛には加齢や筋力不足といった、介護の仕事以外の原因も考えられるため、なかなか労災認定されづらい傾向にあります。労災として認められるには、原因が介護の仕事によることが明らかで、医師から療養の必要があると診断されなければなりません。診察時には「いつからこの仕事を始めたのか」「いつからどんな症状があるのか」「勤務時間の長さ」「腰に負担のかかるケアの頻度」「持ち上げる重さ」など、できるだけ具体的に医師に伝えましょう。

腰痛で退職したり欠勤したりする場合

腰痛で仕事を欠勤したり、退職したりする場合、労災は適用されるのか?と気になっている方もいるでしょう。その際、労災はどうなるのか、こちらで解説します。

腰痛が原因で欠勤する場合

腰痛で欠勤する場合、労災認定されていれば休業補償給付の支給を受けられます。休業補償給付とは、休職期間中で収入を得られないときに給与の補償をする仕組みです。休職したり、有給休暇を使わずに仕事を休んだりしても、治療費とは別に給付金を受け取れます。安心して治療を受け続けることができるでしょう。

腰痛が原因で退職する場合

腰痛が原因で退職する場合、「退職してしまうと労災保険の給付を受けられなくなるのでは?」と考えている方もいるようですが、心配ありません。在職中に労災認定されていれば、退職後も療養や休職が必要なら、労災保険による給付を受給できます。
また、休職中に退職したとしても、以下の支給要件を満たせば給付は継続されるようです。

・仕事が原因の怪我などで療養していること
・療養のため仕事をすることができないこと
・療養中、賃金を支給されていないこと

なお、退職した後に別の施設や事業所に就職すると要件を満たせなくなるので、休業補償給付の受給はできなくなります。

介護職の腰痛の原因トップ5

介護スタッフが腰痛を発症する要因はいくつかあります。腰痛を治すには、その要因をしっかり把握することが大切です。こちらでは代表的な原因を5つ紹介しますので、腰痛に悩まされている方は自分に当てはまるものがないかチェックしてみてください。

移乗介助

移乗は、ご利用者をベッドから車いす、車いすからベッドといったように移動させたり、乗せたりする介助です。介護スタッフは、ご利用者の腰やお尻、膝などを支えたり抱えたりして移乗させます。その際、ご利用者を抱えるために前傾や中腰姿勢になるため、腰への負担が大きくなるようです。特に体の大きな方を移乗させるのは、介護スタッフの全身に大きな負担がかかります。

入浴介助

入浴介助では、1人で入浴できない方の入浴をサポートします。入浴は体を清潔にするだけでなく、血行を良くしたり、心身をリラックスさせたりするのに役立つ大事な介護業務。しかし、浴室は滑りやすく、「ご利用者を浴槽へ移動させる際にバランスを崩し、とっさに力を入れてしまって腰を痛めた」ということも多々あるようです。さらに、頭や背中を洗ったり拭いたりするときにかがんだり、ご利用者の身体を支えたりする必要があるため、腰に負担がかかります。

トイレ介助・おむつ交換

トイレ介助では、ご利用者が排泄を行う際、車椅子からトイレに移乗させます。移乗させる際にご利用者を支える必要があるほか、着衣の上げ下げなどで介護スタッフは中腰になることがあり、この動作が腰への負担になるようです。また、ご利用者の介護度が進んでトイレに座れなくなった場合、おむつを使用するようになります。そうなると、介護スタッフは寝た状態のご利用者のおむつ交換を行うために前傾姿勢の状態で作業しますが、この姿勢は腰への負担が大きく、腰痛の原因の一つとなっています。

体位交換

体位交換は、ご利用者が寝たきりで自分で寝返りできない場合、床ずれなどを防ぐために行います。その際、寝ているご利用者の肩や太ももの下から腕を入れて体位を変えるため、介護スタッフは必然的に前傾姿勢や中腰になることに。腰に負荷がかかりやすい体勢で作業を行うため、腰痛が発症しやすくなります。

更衣介助

更衣介助は、1人で着替えを行うのが難しい方の衣服の着脱をお手伝いします。その際、介護スタッフは着衣の上げ下げなどで中腰になることがあり、この動作が腰への負担になるようです。また、寝たきりのご利用者の場合は、前傾姿勢で腰をひねったり中腰になる動作が多くなります。さらに、身体に麻痺などの症状があるご利用者の場合は着脱させるのに時間がかかるため、介護スタッフの腰に負担がかりやすいようです。

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腰痛を防ぐ方法や治し方

腰痛は、腰への負担を減らすための工夫や改善をすることで、防いだり、症状を和らげたりすることができます。こちらでは、腰痛を防ぐ方法や治し方をご紹介するので、作業をする際の参考にしてみてくださいね。

体に負担のかからない方法で介護する

腰痛を防ぎ、早々に治すには体に負担のかからない方法で介護することが大切です。腰痛になりやすい方は、腰に負担のかかる介護を行っていることが多いので、ボディメカニクスの原理を意識してみましょう。ボディメカニクスとは、力に頼らない介護技術で、介助する側・される側の身体的負担を軽減できます。また、腰に負担のかかりにくい介護を心掛けても、長時間無理な体勢を続けると腰痛になりかねません。適度な休憩を取る、腰に負担のかかる業務をローテーションで行うなどの工夫をすると良いでしょう。

ご利用者の残存機能を活かす

腰への負担を軽減するには、ご利用者の残存機能を活かすことも大切です。介護をするうえで、介護スタッフの力はご利用者にとって大きな助けとなりますが、介護スタッフの使う力が大きいほど腰痛になりやすいもの。そのため、ご利用者の日常生活をすべてサポートするのではなく、できるだけご利用者の残存機能を活かして、自分でできることはできる範囲でしてもらいましょう。これは介護スタッフの負担が減るだけでなく、ご利用者の自立支援にも繋がります

筋トレやストレッチで体の状態を整える

腰痛を予防したり、痛みを軽減させたりするには、体のバランスを整えられる筋トレやストレッチなどが有効です。簡単なエクササイズや体操をするだけでも、腰まわりの筋肉をほぐすことができ、腰痛を予防できます。また、介護スタッフは同じ姿勢をとることが多く凝り固まってしまっていることもしばしば。体を動かすことで全身の柔軟性がアップし、心身のリラックスにつながるでしょう。

コルセットや福祉用具を活用する

腰痛に悩んでいる介護スタッフさんは、骨盤を正しい位置に保つ骨盤ベルトや、腰をサポートするコルセットなどをよく活用すると良いでしょう。
また、福祉用具を活用するのもオススメです。近年では介護スタッフがご利用者を持ち上げることなく、ご利用者をベッドや車椅子などに水平移乗させられる移乗シートやボード、電動リフト、多機能型車椅子などが開発されています。

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介護と腰痛は切っても切れない関係性

介護の仕事と腰痛は切っても切れない関係性にあります。なぜなら介護業務において、ご利用者を抱き上げたり、支えたりする動作はなくてはならないもの。そういった動作は腰に負担がかかるので、腰痛持ちの介護スタッフは後を絶ちません。腰痛が原因で離職を余儀なくされるケースもあるため、介護の仕事を続けたいのなら、腰痛との関係をよく理解しておくことが大切です。

今後の腰痛予防対策に期待

独立行政法人労働者健康安全機構の調査によると、腰痛症状のない介護スタッフは約10%。腰痛症状はあっても仕事に支障のない介護スタッフは約60%。腰痛により仕事に支障をきたした介護スタッフは約29%です。この結果を見ると、介護スタッフの多くは痛みに耐えながら介護の仕事を続けていることが分かります。国は介護スタッフを悩ませる腰痛を少しでも軽減しようと、介護ロボットといった介護補助器具の導入を助成したり、腰痛予防の講習や腰痛を発症した介護スタッフに対する支援をしたり、対策を推進していますが残念ながら全面的な解決には至っていないようです。今後の対策などに期待しましょう。

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まとめ

介護現場で労災認定される腰痛は、災害正腰痛と非災害性腰痛の2種類です。このどちらかに認定されれば労災が適用されますが、非災害性腰痛は仕事が原因だと言い切れないことも多く、労災認定されづらい傾向にあります。ただし、認定されれば仕事を休んだり、辞めたりしても、補償を受けることが可能です。腰痛持ちの介護スタッフは後を絶たず、痛みに耐えながら働いている方が大勢います。国としても介護職の腰痛予防対策を行っているので、今後さらなる改善策に期待しましょう。

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