【入浴介助マニュアル】手順や注意点、時間短縮のコツ

介護の知識 2021年10月7日
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入浴介助の経験が浅い介護職の中には、正しい流れについて理解しているか不安な方もいるのではないでしょうか。入浴介助は事前の準備をしっかりと行い、快適さやプライバシーに配慮したサポートが求められます。そこでこの記事では、入浴介助の手順や注意すべきポイントをご紹介します。入浴介助を安全に取り組みたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

入浴介助の目的

入浴介助には、清潔さの維持・感染症予防・リラックス効果の3つの目的があります。それぞれの特徴についてチェックしてみましょう。

清潔を保つ

お風呂に入る目的の第一は、体を清潔に保つこと。入浴をせずにいると体臭がきつくなってしまい、利用者ご自身や周囲の人々を不快にさせてしまいます。身体を清潔に保つことで、社会的な関係を良好にする効果も得られるでしょう。

感染症を予防する

入浴を通して皮膚を清潔にすることで、細菌感染を防ぎます。皮膚感染症や尿路感染症などを防ぐため、こまめな入浴で清潔さを保つことが大切です。

リラックスする

適温のお湯につかると副交感神経が働いて体の緊張がほどけ、リラックス効果につながるとされています。血液の循環も良くなり、代謝機能を高められるでしょう。また、普段は関節の痛みなどで体を動かしづらい方も、お湯の浮力によって少ない負担で手足を動かすことができ、体をほぐせます。

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入浴介助は大変?介護士の心がけ

入浴介助の際は、無理に入浴を促さないことや安全性を優先することが重要です。下記では入浴介助の際に、介護士さんが心がけるべきポイントについてまとめました。

体調が悪いときは無理しない

利用者さんの体調が悪いときは、無理に入浴させることは避けましょう。入浴の代わりに蒸しタオルで身体を拭いたり、ドライシャンプーを使ったりといった手段もあります。また、足浴だけでもリラックス効果を得られるのでおすすめです。

安全を優先する

入浴介助はご利用者が転倒しないよう、安全に配慮することが大切です。シャワーチェアは脚がしっかりしているものを選び、転倒防止マットは浴室と浴槽用にそれぞれ用意します。

できることは自分でやってもらう

利用者さんが自分でできそうなことがあれば、自分で行ってもらうように促しましょう。自分で洗いたいという希望は尊重し、背中などの洗いにくい部分をさりげなく手伝います。

心のケアにも目を向ける

入浴介助は裸の体を他人に任せるという大変デリケートな場面であり、利用者さんへの細やかな心づかいが必要です。よく知らない人に裸の体をゆだねるというのは、利用者さんにとって抵抗感のある行為です。リラックスして入浴してもらうためにも、日頃からのコミュニケーションで信頼関係を築くことが求められます。

入浴介助の準備マニュアル

高齢者の入浴介助を行う前に、バスタオルや着替えなどの準備が必要です。具体的には、どのようなアイテムを事前に準備しておけば良いのでしょうか。

事前に用意するもの

  • バスタオル
  • ボディタオル
  • 浴槽や浴室用の転倒防止マット
  • シャワーチェア
  • 保湿剤や爪切り
  • オムツや尿とりパッド
  • 着替え

準備不足だと、入浴介助中に取りに行かなければなりません。ご利用者を1人にしておくと事故につながる場合もあるので、準備は必ず入浴介助の前に済ませておきましょう。

介護士が使うもの

  • 防水エプロン
  • ゴム製のサンダルや長靴
  • 手袋

バスルームは滑りやすいので介助側も注意が必要です。濡れても良い服装で入浴介助に取り組みましょう。

入浴介助の手順と事故を防ぐ注意点

体力の衰えた高齢者の入浴介助には、細やかな注意が必要です。入浴前から入浴後までの処置について、基本的な手順と注意点を確認しましょう。

入浴前の流れ

入浴前には、ご利用者の健康状態をチェックします。体温・血圧・脈拍は正常であるか、体調や顔色に変化はないかを確認してから入浴を促しましょう。ご利用者に入浴の意思があるかもきちんと確認を取ることが大切です。先述のように体調が悪い場合は入浴を強要せず、足浴や清拭に切り替えましょう。

入浴前の注意点

入浴介助では、転倒事故が起こりやすい傾向にあります。脱衣所につまずきの原因になる障害物がないか、浴室に泡が残って滑りやすくなっていないかなどを確認しましょう。

浴槽にはあらかじめ38度~40度程度のお湯を張っておきます。ヒートショックを防ぐため、脱衣室と浴室は暖めておきましょう。ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が急上昇、または下降してしまう現象のことで、脳出血や心筋梗塞を招く要因となります。また、食事の前後1時間の入浴は避けるようにしましょう。

入浴中の流れ

介護職がシャワーの温度を確認し、利用者さんの足元にかけて適温であるかを確かめます。シャワーの温度は突然変わってしまう場合があるので、使用中は常に介護職の指が流水に触れているようにしましょう。また、足元は冷えやすい部分なので、洗髪中・洗体中はお湯を張った洗面器に浸けておくと良いでしょう。首の後ろにタオルをかけておくのも冷え予防に効果的です。

入浴直前に火傷の事故防止のため、介護職が浴槽に手を入れ、湯温を確認しましょう。高齢者の入浴は、身体に負担の少ない半身浴が基本です。お湯の高さは利用者さんの心臓より上にならないようにします。のぼせる可能性もあるので、浴槽に浸かっている時間は5分程度が目安です。

洗う順番

心臓に負担をかけないよう、身体の端から洗うのが良いとされています。頭部から身体に向かって洗うように心がけましょう。身体に傷や火傷などの異常がないかを確認しながら洗うのが大切です。

髪や頭皮を洗う場合は指の腹でマッサージするように行い、シャンプーが残らないようしっかり流します。身体はボディタオルやスポンジ、素手などで傷つかないようにやさしく洗いましょう。自分でできる部分は行ってもらい、プライバシーにも配慮します。

入浴中の注意点

手すりがある場合は積極的に掴んでもらいます。バランスを崩さないようゆっくりとした動作を心がけるのが大切です。

浴槽に入る動作に不安を感じる人も多いので、移動する際には「腰を支えますよ」というように丁寧な声かけを行いましょう。声をかけずにシャワーを流し、驚いた利用者さんが転倒してしまうという事例もあります。介護士さんは動作一つひとつに対して声かけをし、安全確認を怠らないようにしましょう。

入浴後の流れ

入浴後は湯冷めしないよう、すぐにバスタオルで体を拭きます。血圧の変動によりめまいを起こす可能性もあるので、利用者さんには椅子に座ってもらい、ゆっくりと着替えをサポートしましょう。

入浴後の注意点

足の裏が濡れていると、転倒の原因になるので注意が必要です。また、脱水症状を防ぐためにも、必ず水分補給を行いましょう。ご利用者は入浴で疲労していることもあるため、体調の変化に目を配るようにします。

入浴介助の種類

入浴の方法には、利用者さんの身体の状態に合わせていくつかの種類があります。

一般浴(全身浴)

自力で歩行可能な人や、手すりなどをつかんで歩行できる人たちが、共同浴場を利用する入浴方法です。介護士さんは洗髪や背中を流すなどの最低限の手伝いをし、なるべく利用者さん自身に洗ってもらうようにします。

一般浴(全身浴)で使用する福祉道具

・入浴台(バスボード)

腰をかけてから浴槽へ入れるようにし、転倒防止を図る道具です。浴槽をまたいで入浴するのが不安な方への利用に適しています。

・浴槽内椅子

浴槽内に設置する椅子です。お湯に浸かったり立ち上がったりするのをサポートします。

機械浴

座って入浴するタイプ(チェアー浴)

専用の椅子に座ったまま入浴します。浴槽の壁が開き、椅子ごと入ることが可能です。椅子が上下しないので安心感があり、身体への負担を減らせます。「足を上げて浴槽に入れないが、安定して座った姿勢が保てる」という方に向いている方法です。

寝て入浴するタイプ(ストレッチャー浴)

ストレッチャーにベルトで身体を固定し、寝たまま入浴する方法です。ストレッチャーが上下に動き、湯船に入ります。寝たきりの方や座った姿勢が安定しない方でも入浴が可能です。服を脱いだ状態で寝かされるので羞恥心を伴いやすいというデメリットもあり、タオルを用意するなどの配慮が求められます。

中間浴(リフト浴)

立つことは難しいけれど、座った状態でなら安定を保てる人が使う入浴方法です。車椅子から上下左右に移動する椅子タイプのリフトに移動し、入浴を行います。椅子が動くので利用者さん、介護士さん双方の負担を減らすことができますが、慣れていない利用者さんはやや不安を感じることも。中間浴を利用する際は、利用者さんに「椅子が動きますよ」と一声かけると良いでしょう。

シャワー浴

浴槽で入浴する代わりにシャワーで体を清潔にする方法です。体力の消耗が少ないため、湯船に浸かるのが難しい方にも対応できます。

シャワー浴で使用する福祉用具

・シャワーチェア

洗体中の足腰への負担を軽減するための道具です。背もたれや肘掛けのついたタイプがあり、姿勢を維持しやすい特徴があります。

・入浴用車椅子

キャスターや車輪が付いており、洗い場で使用できます。浴室まで移動し、そのままシャワーを浴びることが可能な車椅子です。

まとめ

入浴介助の目的には、清潔さの維持・感染症予防・リラックス効果の3つがあります。ご利用者の入浴介助を行う際は、無理に促すことなく心身状態に合わせて対応することが大切です。入浴前は健康状態と入浴の意思があるかをしっかりとチェックしましょう。入浴中は心臓に負担がかからないよう身体の端から洗い、プライバシーに配慮しながら介助を行います。入浴後は湯冷めと転倒をしないように、バスタオルですぐに身体を拭きましょう。

監修者

  • 篠田 浩行

    介護福祉士/ケアマネージャー

愛知県出身S58.12.28生まれ。老人保健施設、特別養護老人ホームなどで10年以上介護の仕事に関わった後、管理職も経験。現在はこれらの経験を活かし、介護情報ブログの運営や執筆業にも携わる。介護職員や在宅介護者が元気になれるよう、介護・お役立ち情報などを発信中。

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