
この記事のまとめ
- 潜在介護福祉士とは、福祉以外の分野の仕事をしている介護福祉士のこと
- 潜在介護福祉士の人数は約12万人で、介護福祉士の2割以上を占める
- 潜在介護福祉士が介護職に復帰するための支援は、再就職準備金貸付事業など
「潜在介護福祉士とは?」「潜在介護福祉士はどれくらいいるの?」という疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。潜在介護福祉士とは、介護福祉士の資格を保有しているにもかかわらず、福祉分野の仕事に従事していない人のことです。この記事では、潜在介護福祉士の意味や人数を解説します。復職しづらい理由や再就職の支援制度もまとめました。復職をお考えの介護福祉士の方は、ぜひチェックしてみてください。
目次
潜在介護福祉士とは
潜在介護福祉士とは、介護福祉士の資格を持っているにもかかわらず、福祉・介護・医療の分野で仕事をしていない人のことです。かつては介護福祉士として働いていた人であっても、何らかの事情で離職したままであったり、別の分野の仕事をしたりしている人は潜在介護福祉士に含まれます。
潜在介護福祉士がいる一方で、介護業界は慢性的な人手不足が深刻な状況です。厚生労働省の「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると、2026年度に必要とされる介護職員の人数は、約240万人と推計されています。今後必要な介護を提供するためには、2022年度の介護職員数である約215万人から、4年間で25万人も介護職員を増やさなければならない計算です。
危機的な介護人材不足の打開には、未経験の介護職員の入職支援や育成とともに、即戦力となり得る潜在介護福祉士の活躍が重要な鍵といえます。
出典
厚生労働省「介護人材確保に向けた取組」(2025年6月11日)
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潜在介護福祉士の人数はどれくらいなのか
潜在介護福祉士の人数は、2020年時点で少なくとも約12万人にのぼります。公益財団法人 社会福祉振興・試験センターの「介護福祉士就労状況調査結果(p.47)」によると、介護福祉士のうち、潜在介護福祉士の可能性のある方の人数は次のとおりでした。
- 介護・福祉・医療以外の分野で仕事をしている人…40,589人(7.0%)
- 現在、仕事をしていない人…80,154人(13.8%)
※調査対象は、2020年時点で登録のある介護福祉士の有資格者1,377,091人で、その内、有効回答数は582,319人。
介護福祉士の有資格者のなかで、「介護・福祉・医療以外の分野で仕事をしている人」と「仕事をしていない人」の人数を合計すると、約12万人。回答を寄せた介護福祉士の資格保有者の2割以上が、介護の現場から離れて潜在介護福祉士になっているという実態です。
また、同資料(p.61)によると、現在、福祉・介護・医療分野以外の分野で就労している潜在介護福祉士のおよそ4割が、介護・福祉などの分野で「ぜひ働きたい」「条件が合えば働きたい」との意向を持っていることが分かります。このことから、介護福祉士としての復職に前向きでありながら、実際には別の分野で就業している潜在介護福祉士は多いといえるでしょう。
出典
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「令和2年度就労状況調査結果」(2025年6月11日)
なぜ介護福祉士として復職しづらいのか
介護福祉士としての復職を前向きに検討しているにもかかわらず、別の職種として働いていたり就業していなかったりする潜在介護福祉士は多くいます。潜在介護福祉士が介護現場に復帰しづらいのは、心身の不調や職場の人間関係への不満などにより退職したため、復職に慎重にならざるを得ないのが要因のことがあるようです。
現在違う分野で働く方が潜在介護福祉士になった理由
公益財団法人 社会福祉振興・試験センターの「介護福祉士就労状況調査結果(p.60)」には、潜在介護福祉士が「福祉・介護・医療分野の職場を辞めた理由」が記載されています。離職理由を多い順に挙げると、以下のとおりです(複数回答可)。
- 心身の健康状態の不調(42.1%)
- 職場の人間関係や雰囲気に問題があった(36.1%)
- 給与や賃金の水準に満足できなかった(36.1%)
潜在介護福祉士は、心身の負担や人間関係の問題、労働条件への不満などの理由で、福祉の仕事から離れることがあるようです。
また、介護福祉士として復職する際に最も重視することは、「給与や賃金の水準」の割合が最も高い24.8%、次いで「職場の雰囲気や人間関係」が20.8%でした。福祉業界の給与水準や職場環境に不安があり、復職に慎重になる潜在介護福祉士は少なくありません。
現在就労していない方が潜在介護福祉士になった理由
同資料(p.64)には、現在就労していない方が潜在介護福祉士になった理由も記載されています。離職理由を多い順に挙げると、以下のとおりです(複数回答可)。
- 心身の健康状態の不調(40.9%)
- 職場の人間関係や雰囲気に問題があった(27.4%)
- 給与や賃金の水準に満足できなかった(19.3%)
現在就労していない方の場合も、健康上の理由や職場への不満から、潜在介護福祉士になった方が多いようです。
また、同資料(p.63)によると、現在就労していない理由は、「心身の健康状態の不調(25.9%)」「家族等の介護・看護(17.6%)」「働く必要がない(17.5%)」などです。
潜在介護福祉士の復職のためには、介護職員の負担軽減や柔軟に働ける環境の整備を行うことや、その取り組みを周知することが必要と考えられます。
出典
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「令和2年度就労状況調査結果」(2025年6月11日)
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介護福祉士の再就職にはどのような支援制度があるのか
ここでは、復職を希望する潜在介護福祉士への支援制度をご紹介します。
再就職準備金貸付事業
再就職準備金貸付事業は、介護職員の再就職に必要な資金を貸し付けることによって、潜在介護福祉士などの復職を支援する国の取り組みです。貸付金額は最大40万円で、復職後に介護職員等として2年間勤務すれば、貸付金の返済が全額免除になります。
厚生労働省の「介護職として再就職をお考えの方、初めて働くことをお考えの方へ(再就職準備金、就職支援金のご案内)」によると、再就職準備金貸付事業の対象者は、以下の条件をすべて満たす方です。
- 介護保険事業所等での勤務経験が1年以上ある
- 介護福祉士・実務者研修・介護職員初任者研修のいずれかの資格または、相当する資格を保有している
- 介護保険事業所等に介護職員として再就職した
- 都道府県福祉人材センターに届出を行い、再就職準備金利用計画書を提出した
介護業界における1年以上の実務経験がある有資格者は、再就職準備金貸付事業を利用できる可能性があります。要件の詳細は都道府県によって異なる場合があるため、居住地域の社会福祉協議会に確認すると良いでしょう。
準備金は、介護に関わる書籍の購入や引っ越し費用などに利用できるので、復職を検討している方にとってメリットが大きい制度です。
出典
厚生労働省「介護職として再就職をお考えの方、初めて働くことをお考えの方へ(再就職準備金、就職支援金のご案内)」(2025年6月11日)
自治体による再就職支援事業
都道府県や市区町村は、潜在介護福祉士といった介護職員の復職支援を目的に、研修などを実施している場合があります。たとえば、兵庫県が実施する「介護職再就職支援講習」の内容は、以下のとおりです。
| 対象者 | 介護福祉士・実務者研修・介護職員初任者研修などの資格を保有しており、復職や介護現場への就職を検討している人 |
| 研修期間 | 講義・演習2日間、実技1日間(実技はオプション) |
| 費用 | 無料 |
| 定員 | 各講座30名 |
| 学習内容 | 最新の介護保険制度に関する講義や介護技術の演習、実技 |
参照:兵庫県「令和7年度介護職再就職支援講習の開催について」
介護現場への復職を希望しているものの、ブランクに不安を感じている潜在介護福祉士の方にとって、最新の制度を学んだり介護技術を習得できたりすることの利点は大きいでしょう。興味がある方は、自身が居住する自治体のWebサイトを確認してみてくださいね。
出典
兵庫県「令和7年度介護職再就職支援講習の開催について」(2025年6月11日)
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潜在介護福祉士に関するよくある質問
ここでは、潜在介護福祉士に関するよくある質問に回答します。介護現場への復職を検討している潜在介護福祉士の方は、ぜひ参考にしてみてください。
潜在介護福祉士復職支援プログラムとは何ですか?
潜在介護福祉士復職支援プログラムとは、介護業界で現在就業していない潜在介護福祉士などの復職を支援するために、無料で実施されていた事業です。2025年6月現在は開催されていません。
潜在介護福祉士の復職支援について詳しく知りたい方は、この記事の「介護福祉士の再就職にはどのような支援制度があるのか」もチェックしてみてくださいね。
介護福祉士会とは?
介護福祉士会とは、国家資格である介護福祉士を持つ人が組織する職能団体のことです。全国組織である公益社団法人 日本介護福祉士会に入会する際は、同時に都道府県の介護福祉士会にも入会しなくてはなりません。入会金・年会費を納めれば、介護福祉士会が主催する研修に会員価格で参加できたり、会員専用の保険に割安な保険料で加入できたりするメリットがあります。
まとめ
介護福祉士の資格があるにもかかわらず、介護業界で就業していない「潜在介護福祉士」の人数は、少なくとも12万人以上にのぼります。潜在介護福祉士は、心身の不調や賃金に対する不満などから離職せざるを得なくなった方が多いため、復職に意欲を持ちながらも慎重になってしまう傾向にあるようです。
潜在介護福祉士に対し、国や自治体は再就職準備金貸付事業などの支援制度を設けています。人材不足が深刻な介護業界では、制度を利用して介護福祉士が復職を果たし、再び介護業界で活躍することが期待されているようです。
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執筆者

「レバウェル介護」編集部
お役立ち情報制作チーム
介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点


