
この記事のまとめ
- 終末期ケア専門士とは、臨床ケアのスペシャリストを目指すための民間資格
- 終末期ケア専門士認定試験の合格率は、6割~7割程度
- 終末期ケア専門士を取得するメリットは、終末期ケアの知識が身につくこと
「終末期ケア専門士とはどんな資格?」と気になる方もいるのではないでしょうか。終末期ケア専門士とは、日本終末期ケア協会が認定する民間資格です。取得の過程で、日常生活の援助だけではなく、終末期ケアの知識やスキルも学べます。この記事では、終末期ケア専門士の概要や取得方法を解説。受験資格や試験内容、合格率もご紹介します。勉強方法や取得するメリットにも触れているので、ぜひ参考にしてください。
介護資格の種類29選!取得方法やメリットを解説します目次
終末期ケア専門士とは
終末期ケア専門士とは、日本終末期ケア協会(JTCA)が2020年に開始した、臨床ケアのスペシャリストを認定する民間資格です。取得の過程で、食事介助や排泄介助といった日常生活の援助だけでなく、生と死や終末期の概念、延命治療の意思決定のサポートなど、終末期ケアに関する知識を基礎から身につけられます。
終末期ケア専門士の資格制度
終末期ケア専門士になるには、終末期ケア専門士認定試験に合格しなければなりません。資格を維持するには、5年ごとの更新が必要です。
資格の更新は、日本終末期ケア協会の資格更新システム「ココリンク」(月額550円)という専用アプリで行います。「ココリンク」での動画視聴やセミナーへの参加などによって必要な単位を取得することで、資格の更新が可能です。また、実地でのセミナーや研修への参加でも単位を取得できます。
「ココリンク」加入者は資格の更新にかかる費用が免除になりますが、未加入者は更新料として5,500円がかかるので注意が必要です。
終末期ケア専門士の役割
終末期ケア専門士の役割は、余命の短くなった利用者さんや患者さんが、最期まで自分らしく過ごせるようサポートすることです。利用者さん本人だけでなく、ご家族の精神的な苦痛を和らげる支援も行います。
厚生労働省の「第1編 人口・世帯 第2章 人口動態:第1-25表 死亡数・構成割合,死亡場所×年次別」によると、近年医療機関で逝去する方の割合は減少。介護老人保健施設や介護医療院、老人ホーム、自宅などの生活の場で逝去する方の割合が増加傾向にあることが分かります。
終末期ケア(ターミナルケア)の知識を持つ人材は、医療の現場だけではなく、介護施設・事業所でもスキルを活かして活躍できるでしょう。
出典
厚生労働省「第1編 人口・世帯 第2章 人口動態」(2025年9月1日)
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終末期ケア専門士の取得方法
終末期ケア専門士を取得するには、受験要件を満たしたうえで、終末期ケア専門士認定試験を受験し、合格する必要があります。試験合格後に認定登録をすると、認定証と認定バッジが郵送で届くようです。
終末期ケア専門士認定試験の受験資格
終末期ケア専門士を受験するには、以下のいずれかの資格を取得したうえで、その資格に基づく実務経験を2年以上積む必要があります。
- 医師
- 歯科医師
- 看護師
- 保健師
- 薬剤師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- 臨床工学技士
- 歯科衛生士
- 管理栄養士
- 介護支援専門員(ケアマネジャー)
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 臨床検査技師
- 公認心理師
- 救急救命士
- 放射線技師
- 介護福祉士
- 准看護師
- 臨床心理士
受験の対象者は、医療・介護・福祉に関する資格と実務経験がある人です。資格取得の日(免許登録日)から実務経験の申告日までの期間が2年以上必要で、見込みでの申告はできません。受験申請には、資格証明書の画像添付が必要です。
なお、常勤・非常勤の雇用形態は関係なく実務経験として含められます。過去に勤務していた施設も合算でき、最大4ヶ所まで申告可能です。
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終末期ケア専門士の資格取得までの流れ
終末期ケア専門士認定試験は、年に1度、10月ごろに3週間~1ヶ月ほどの期間実施されます。申し込み期間は3月下旬ごろ~9月下旬ごろまでで、合格発表は11月~12月ごろです。
終末期ケア専門士の資格取得までのスケジュールを以下にまとめたので、参考にしてみてください。
| 時期 | 内容 |
| 3月下旬~9月下旬ごろ | Webサイトより受験申し込み・受験料の支払い 専用アプリにて実務経験の申告 |
| 8月中旬ごろ~ | 専用アプリにて希望の受験日時・試験会場の予約 |
| 10月 | 終末期ケア専門士認定試験 |
| 11月ごろ | 合格発表(郵送とアプリで通知) |
| 12月 | 認定登録 |
| 1月 | 認定証発行 |
日本終末期ケア協会のWebサイトで申し込みをすると、1週間前後で申し込みに関する書類が届き、アプリから実務経験の申告をします。申し込み期間は6ヶ月程度ありますが、定員に達すると締め切りとなるため注意しましょう。
試験会場は、日本全国に300ヶ所以上あります。会場の予約は先着順で、選択する会場によって予約可能な受験日が異なる場合があるようです。
終末期ケア専門士認定試験の内容
終末期ケア専門士認定試験では、日本終末期ケア協会の「終末期ケア専門士公式テキスト」の内容や、時事問題から90問出題されます。択一または択多の選択問題で、試験時間は90分。マウスでのクリック操作が中心のパソコンでの試験です。
「終末期ケア専門士公式テキスト」では、以下の内容が学べます。
- 1.概論
- 2.終末期におけるチームケア
- 3.日常生活を支えるケア
- 4.身体症状とケア
- 5.意思決定支援
- 6.家族ケア
- 7.スピリチュアルケア
- 8.グリーフケア
- 9.看取り期のケア
- 10.終末期を取り巻く社会資源
- 11.疾患別終末期ケア
基本的な知識から応用的な知識まで、終末期ケアの実践に必要なノウハウを幅広く学ぶことが可能です。なお、試験内容の中心となる公式テキストは、内容が見直されて改訂されることがあるため、最新版を活用しましょう。
終末期ケア専門士認定試験の勉強方法
公式テキストでの自己学習のほか、日本終末期ケア協会が実施する「終末期ケア専門士試験対策WEB講習会」の受講も有効な勉強方法です。オンラインでいつでも受講できる動画での講習がメインなので、通勤中などにも視聴できます。働きながら試験に向けた勉強をしたい人には、魅力的な方法かもしれません。
なお、過去問は公開されていませんが、予想問題集などのテキストがあるようです。
終末期ケア専門士の資格取得にかかる費用
終末期ケア専門士認定試験の受験料は、11,000円(税込12,100円)です。資格の認定登録料は11,000円(税込12,100円)で、配送料や各種手数料は別途となっています。また、公式テキストの価格は5,500円(税込6,050円)です。
試験対策Web講習会を受講する場合は、受講費用が19,800円(税込21,780円)必要。受講費用のほかに、アプリでの受講に必要なシリアルコードの配送料や、各種手数料が別途かかります。
なお、上記は2025年9月現在の情報です。終末期ケア専門士に関する最新情報は、日本終末期ケア協会のWebサイトからチェックできます。
出典
一般社団法人日本終末期ケア協会「日本終末期ケア協会」(2025年9月1日)
終末期ケア専門士認定試験の合格率
日本終末期ケア協会の「合格状況・受験会場地域一覧」をもとに、終末期ケア専門士のこれまでの合格率をまとめました。
| 開催年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
| 第1回(2020年) | 2,310人 | 1,516人 | 65.6% |
| 第2回(2021年) | 3,775人 | 2,623人 | 69.5% |
| 第3回(2022年) | 4,013人 | 2,689人 | 67.0% |
| 第4回(2023年) | 4,451人 | 2,720人 | 61.1% |
| 第5回(2024年) | 5,353人 | 3,512人 | 65.6% |
参考:一般社団法人日本終末期ケア協会「合格状況・受験会場地域一覧」
終末期ケア専門士認定試験の合格率は、6割~7割ほどという結果でした。受験者数は年々増えており、それに伴い毎年合格者数も増加しています。
出典
一般社団法人日本終末期ケア協会「合格状況・受験会場地域一覧」(2025年9月1日)
終末期ケア専門士を取得するメリット
終末期ケア専門士を取得するメリットは、終末期医療(ターミナルケア)の知識が身につくことや、他職種との交流ができることなどです。
終末期ケア(ターミナルケア)の知識が身につく
終末期ケア専門士を取得すると、終末期ケア(ターミナルケア)に関する知識を身につけられます。
終末期の心身の状態や希望する過ごし方は、人によって異なるため、専門知識を持ったうえで柔軟なサポートをすることが重要です。正しい知識に基づいたケアを行うことで、利用者さん・患者さんやご家族のニーズに答えられる質の高いサービスを提供できるでしょう。
また、介護施設で働く職員は、病棟に勤務する医療従事者に比べると終末期ケアに携わる機会が少ない傾向があります。介護職が終末期ケアや看取りについての正しい知識を持ち、ほかの職員が対応に悩んでいるときに適切なアドバイスを行うことで、職場全体のケアの向上につながるでしょう。
ターミナルケアについて詳しくは、「ターミナルケア(終末期医療)とは?緩和ケアとの違いや介護職の役割を解説」の記事をチェックしてみてください。
他職種と交流できる
終末期ケア専門士の試験に合格すると、日本終末期ケア協会の専用アプリ「ココリンク」を利用できます。「ココリンク」では、終末期ケア専門士の取得者同士でSNS上で交流ができたり、勉強会に参加できたりするので情報交換が可能です。
終末期ケア専門士の取得者には、看護師やリハビリ専門職、医師などさまざま職種の方がいるので、交流することで多角的な視点を取り入れたケアを実践できるようになるでしょう。
出典
日本終末期ケア協会「ココリンクについて」(2025年9月1日)
上位資格の取得を目指せる
終末期ケア専門士の取得後、要件を満たした方は「終末期ケア上級専門士」という上位資格の取得を目指せます。終末期ケア上級専門士とは、終末期ケアの知識だけでなく、チームマネジメントや職員への指導方法などについても学べる資格です。終末期ケア専門士に合格し、認定登録後に専門アプリ「ココリンク」で継続的に学習している方が受験できます。
また、終末期ケア上級専門士の上位資格として、「JTCAアドバンスインストラクター」という資格も用意されているようです。
終末期ケア専門士を取得した介護職が活躍する職場
終末期ケア専門士を取得した介護職は、以下のような職場で活躍しています。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護付き有料老人ホーム
- グループホーム
- (看護)小規模多機能型居宅介護事業所
- 訪問介護事業所
- 病院
終末期ケア専門士を取得した介護職が活躍するのは、主に看取りケアを行う介護施設や事業所です。入居型施設だけでなく、訪問介護などで自宅での看取りをサポートする場合もあります。また、終末期ケアの専門性を活かして病院の看護助手として働く道もあるでしょう。
▶特別養護老人ホームの求人一覧はこちら
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終末期ケア専門士についてよくある質問
ここでは、終末期ケア専門士についてよくある質問に回答します。終末期ケア専門士の資格取得を考えている方は、参考にしてみてください。
終末期ケア専門士の加算って何?
「終末期ケア専門士加算」という介護保険制度上の加算があるわけではありません。ただし、事業所が提供する終末期ケアのサービスには、「看取り介護加算」や「ターミナルケア加算」といった介護報酬の加算があります。
「看取り介護加算」は、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホーム、グループホームなどにおける終末期ケアが対象です。一方、「ターミナルケア加算」は、介護老人保健施設のほか、訪問看護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護における終末期ケアが対象。医療行為を中心としたサービスが一定の要件を満たした場合に加算されます。
終末期ケア専門士は国家資格?
終末期ケア専門士は国家資格ではなく、日本終末期ケア協会が認定する民間資格です。ただし、受験には国家資格などに基づく業務の実務経験が必要なので、専門性の高い資格といえます。
終末期ケア専門士は比較的新しい資格で、2020年に第1回試験が行われました。資格取得の過程で、終末期ケアにおける日常生活の支援や精神的なケアについてなど、終末期ケアに関する幅広い知識を学びます。
終末期ケア専門士は取得しても意味ない?
終末期ケア専門士を取得すると、利用者さんやそのご家族に科学的根拠に基づいた終末期のサポートを実践するのに役立つため、意味のない資格ではありません。また、終末期ケア専門士の資格を保有していることで、終末期ケアについての専門知識やスキルが身についている証明にもなります。
まとめ
終末期ケア専門士とは、日本終末期ケア協会が認定する民間資格です。取得の過程で、人生の最期が近づいた利用者さんやそのご家族に対して、身体的・精神的な苦痛を和らげながら自分らしく生きることを支援するための知識を学びます。そのため、終末期ケア専門士は、臨床ケアにおけるスペシャリストといえるでしょう。
終末期ケア専門士を取得するには、要件を満たしたうえで「終末期ケア専門士認定試験」を受験し、合格しなければなりません。これまでの認定試験の合格率は、6割~7割ほどです。
終末期ケア専門士を取得した介護職は、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護付き有料老人ホームなど、さまざまな施設や事業所で活躍しています。住み慣れた自宅や施設での看取りを希望する方は多いので、終末期ケアの知識を持った介護職の需要は今後も高まるでしょう。
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執筆者

「レバウェル介護」編集部
お役立ち情報制作チーム
介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点



