介護職のメンタルヘルスケアを考える~ストレスコーピングとは?~

仕事 2016/11/09
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仕事上のストレスを抱えがちな介護スタッフにとって、日々のストレスに上手く対処することはとても大切なことです。今回はセルフケアによるストレス対処法「ストレスコーピング」について考えてみましょう。

ストレスコーピングとは何か?


ストレスコーピングとは、ストレスを感じた時の問題の捉え方や、ストレスの要因や自分の感情への働きかけによるストレス対処法のことです。
「問題に対処する、切り抜ける」という意味の英語「cope」に由来しているこのメンタルケア方法は、現代のストレス理論を説いたアメリカの心理学者、ラザルス博士によって提唱されました。ストレスを感じる状況や特定の問題に対して、効果的な対処行動を取り、ストレスを適切にマネジメントすること、それがストレスコーピングです。


ストレスコーピングの種類


ストレスコーピングにはいくつかの種類があります。

問題焦点(解決型)コーピング


ストレスの原因や要因となる人や環境を「ストレッサー」といいます。問題焦点コーピングは、ストレッサーそのものに働きかけ、解決を図ろうとする方法のことです。ストレスを引き起こす状況を問題として捉え、何らかの解決策によって状況そのものを改善しようとする対処行動といえるでしょう。

例えば、介護の職場で自分が介護を担当している利用者の方にたびたび怒鳴られるという状況が起こったとして、それに対してストレスを感じているとしましょう。そのような時に、直接相手に「やめてください」と伝えて、問題となる状況が再発しないように働きかけたり、上司に状況をうったえて配置転換をしてもらうなどの対処行動が問題焦点コーピングです。自分自身がストレスフルな職場をやめるというのもこれに含まれるでしょう。

情動焦点コーピング


感情の処理に焦点を当てた対処行動で、ストレスに対して感じた自分の気持ちや感情を、誰かに聞いてもらったり相談することで、気持ちの整理をする感情発散型と、ネガティブな感情を誰にも言わず自分の中に溜め込んでしまう感情抑圧型の2つがあります。前者の方がメンタルヘルス的には良い方向に働きますが、私たち日本人はどちらかというと、後者のように我慢や無理を重ねてしまいがちではないでしょうか。




認知的再評価型コーピング


ストレッサー自体を直接変化させたり排除しようとするのではなく、自分の考え方や感じ方を良い方向に変えようとする方法、いわゆるポジティブシンキングによる対処行動のことです。また、ストレッサーと適切な距離を置くなど、最善と思われる適応方法を探すこともこれに含まれます。

社会支援探索型コーピング


ストレスとなっている問題を、上司や同僚、家族、友人など信頼できる人に相談したり、アドバイスを求める対処行動のことです。「介護職ならではの悩みを相談して誰かに感情を受け止めてもらいたい、共感してもらいたい」という情動焦点コーピングの一歩先に進み「どうすれば問題が解決するのかを知りたい」という思いからくる対処行動といえるでしょう。

気晴らし型コーピング


私たちがよく使う「ストレス発散」という言葉がこの方法に当たります。
趣味、運動、旅行、カラオケ、エステなど、問題とは直接関係無い行動でストレスを緩和させようとする対処行動のことです。
ストレスを強く感じる状況下では、現実的に考えて、問題そのものを解決することが難しい場合が多いため、このストレス解消方法が最もポピュラーなのではないでしょうか。

こんなストレス発散は逆効果!


時にはストレス発散方法として、誰かにストレッサーに対する愚痴や悪口を言うということがあるかもしれません。これは一見ストレスを緩和するように思えるのですが、怒りや苛立ちといったネガティブな感情にとらわれてしまうことが多く、解決につながること少ないため、実はコーピングには逆効果。相談しているつもりがいつの間にか延々と愚痴を言い続けていないか、気をつけてみるとよいかもしれません。
また、自分の心身を害するような行為…過度な飲酒、やけ食い、薬物の摂取なども、良くないストレス解消法です。

ストレスコーピングの実践方法


次に、ストレスコーピングの具体的な実践方法について考えてみましょう。
自分の内側にストレスを溜め込むと、冷静に物事をみることが難しくなり、融通もきかなくなってしまうことがあります。そういう時はいったん冷静になって現状把握することが大切です。

1.ストレスが起こる原因を把握する


どんなことがストレスだと感じているのかを自覚するために、まずはストレスの原因だと感じることを書き出してみることをおすすめします。

2.ストレッサーによって起こっている自分の反応を把握する


イライラする、眠れない、胃が痛い、涙が出るなど、ストレスを感じている自分にどんなことが起こっているのかを知りましょう。

3.状況改善のためにプラスになる人間関係を大切にする


ストレスの原因に関わる人間関係が自分にとってマイナスかプラスかを判断してください。例えば、自分の相談に対して文句を言ったり厳しく叱咤するような人との関係はマイナス、共感を得られたり相談に乗ってもらえる人間関係はプラスなど。ストレスコーピングでは、プラスに働く人との繋がりを大切にすることが重要です。

4.意識を変えてみる


例えば、介護の職場で仕事を押し付けられて忙しいのは理不尽だと感じたとします。そんな時は「自分だけが忙しいのではないく、他の介護士もみんな忙しいんだ。自分にできることは積極的にやってみよう。自分なりに工夫できそうなことはないか?」と思うことができるでしょうか。ほかにも、誰かに言われたことに傷ついたり腹を立てて自分の心が消耗してしまう前に「あの人はああ言うけれど、事情を全部知っているわけではないのだから、気にしないようにしよう」と思うことができるでしょうか。

自分の意識や捉え方を変えると、問題そのものがなくなったりストレッサー自体が変化していなくても、ストレスの感じ方が違ったり軽くなったりするのを実感できる、これがストレスコーピングの最も特徴的な対処法なのです。

ここで大切なのは、自分の気持ちを無理やり押さえ込んで我慢するのではなく、意識的に積極的な考え方に思いを転換するようにするということです。ストレス下でポジティブな考え方を実践するのは、たやすいことではないかもしれませんが、少しずつでも前向きな考え方をくせづけしていくことで、柔軟な適応力が身についてゆくのです。

ストレスマネジメント力を強めることができるストレスコーピング。もしあなたが今、介護の仕事で何らかのストレスを感じているとしたら、置かれている状況や問題に応じて、さまざまなストレスコーピングを組み合わせて実践してはいかがでしょうか。

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