この記事のまとめ
- 介護職員基礎研修は、介護職員初任者研修の前身にあたる資格である
- 介護職員基礎研修と初任者研修は、資格取得にかかる研修時間が違う
- 介護職員基礎研修と初任者研修は実務者研修を取得する際の免除科目が異なる
かつては介護に関連する資格がたくさんあり、上位の資格を取得するためのキャリアパスが非常に複雑でした。そのため、介護業界はさまざまな資格を一本化。初任者研修や実務者研修、介護福祉士へ集約するキャリアパスの明確化をはかってきたのです。しかしこれら資格について、違いを理解できていないという方は多いかもしれません。ここでは、介護職員基礎研修と初任者研修の違いについて詳しく解説します。
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目次
介護職員基礎研修と初任者研修の違いとは
介護職員基礎研修と初任者研修の違いについて、詳しく見ていきましょう。
介護職員基礎研修とは?
この介護職員基礎研修は、初任者研修や実務者研修の前身にあたる資格です。
そのため、2007年(平成19年)から2013年(平成25年)までのわずか6年間しか存在していません。
介護職員基礎研修のほうが初任者研修より科目数や研修時間が長いため、介護福祉士などの上位の資格取得を目指すときに免除される科目数や時間数が多くなります。
介護職員基礎研修のある方は実務者研修において、たん吸引医療ケア以外の研修がすべて免除されるのです。
介護職員初任者研修とは?
初任者研修は旧ホームヘルパー2級から移行したもので、受講時間も一緒です。
そのため、旧ホームヘルパー2級の方は初任者研修の資格と同等とみなされます。
初任者研修があるのとないのとは大違いで、資格手当などの優遇措置を設けている介護施設や事業所も少なくありません。
介護福祉士を取得するための実務者研修では、初任者研修で受講した科目が免除されます。
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介護職員基礎研修と介護職員初任者研修の違い
介護職員基礎研修と初任者研修は、研修時間が異なります。
介護職員基礎研修のほうが初任者研修より科目数が多く、研修時間も長いため上位にあたる資格と言えるでしょう。
現行の資格との位置関係では「初任者研修→介護職員基礎研修→介護福祉士実務者研修→介護福祉士」というキャリアパスになります。
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介護職員基礎研修が初任者研修に変わった理由・背景は?
前項で触れた通り、介護職員基礎研修は初任者研修と実務者研修(旧ホームヘルパー1級・2級)へ移行するための準備段階として設けられた資格制度です。
以前はさまざまな介護の資格があり、どの資格からも介護福祉士を受験する資格がありました。
しかし「介護福祉士としての介護の知識や技術がともなっていない」という批判が相次いだことから、介護福祉士の専門性を高めるためにより研修制度を充実させ、「初任者研修→介護福祉士実務者研修→介護福祉士」というキャリアパスの一本化が図られたのです。
かつてはホームヘルパー1級・2級以外にホームヘルパー養成研修3級など色んな資格があり、上位の資格を取得する際の受験条件などで混乱することがよくありました。
そういった混乱をなくし、介護のキャリアパスを明確にしようという目的も兼ねて集約されたわけです。
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介護人材が2025年までに約245万人必要
厚生労働省のデータによると、2025年までに約245万人もの介護職員が必要になるとされています。
ただ単に介護人材の数を増やせば良いのではなくて、より優秀な質の高い介護職員を増やすことが重要です。
そのためには、優秀な人材が介護の仕事に就きたいと思えるような待遇の改善、あるいは介護職全体の底上げを図らなければなりません。
キャリアパスを明確にする介護保険法施行規則改正はそのためのもので、下位の介護の資格保持者が上位の資格を目指しやすいように配慮しています。
出典
厚生労働省「介護人材確保に向けた取り組み」(2024年1月22日)
介護職員基礎研修と初任者研修では免除科目が異なる
介護職員基礎研修と初任者研修では免除科目が異なります。
こちらでは、実務者研修を取得する際、免除される科目をご紹介しましょう。
介護職員基礎研修の場合
介護職員基礎研修とホームヘルパー1級が1本化されて、介護福祉士実務者研修という資格になりました。
そのため、実務者研修の資格を取る際は、すでに受講している科目は免除されます。
【介護職員基礎研修のカリキュラム(合計400時間)】
- 生活支援の理念と介護における尊厳の理解:30時間
- 老人・障害者等が活用する制度及びサービスの理解:30時間
- 老人・障害者等の疾病、障害等に関する理解:30時間
- 認知症の理解:30時間
- コミュニケーションと介護技術:90時間
- 生活支援と家事援助技術:30時間
- 医療及び看護を提供する者との連携:30時間
- 介護における社会福祉援助技術:30時間
- 生活支援のためのアセスメントと計画:30時間
- 介護職員の倫理と職務:30時間
- 実習:140 時間
上記は介護福祉士実務者研修のカリキュラムとほぼ同じで、違いは新に加わった医療的ケア(喀痰吸引等研修)だけ。介護福祉士を受けるときには、医療的ケア(喀痰吸引等研修)50時間を受講することで実務者研修を受けたのと同じ扱いになるのです。
そのため、介護職員基礎研修が介護福祉士を受験する場合は受講が短期間ですむため、その分だけ受講費用も安くなります。
実務者研修450時間のうち400時間の研修が免除され、受講は50時間のみです。
介護職員初任者研修の場合
初任者研修は以下のカリキュラム130時間をすでに受講しているため、450時間のうちの320時間の受講で介護福祉士実務者研修の資格が取得できます。
【初任者研修のカリキュラム(合計130時間)】
- 人間の尊厳と自立:5時間
- 社会の理解 I:5時間
- 介護の基本 I:10時間
- 生活支援技術 I:20時間
- 生活支援技術 II:30時間
- 介護過程 I:20時間
- 認知症の理解 I:10時間
- 障害の理解 I:10時間
- こころとからだのしくみ I:20時間
450時間のうち130時間の研修が免除されるため、合計320時間の研修です。
なにも資格がない場合
資格をなにも保有していない場合は、以下450時間の実務者研修を受講する必要があります。
- 人間の尊厳と自立:5時間
- 社会の理解 I:5時間
- 社会の理解 II:30時間
- 介護の基本 I:10時間
- 介護の基本 II:20時間
- コミュニケーション技術:20時間
- 生活支援技術 I:20時間
- 生活支援技術 II:30時間
- 介護過程 I:20時間
- 介護過程 II:25時間
- 介護過程 III:45時間
- 発達と老化の理解 I:10時間
- 発達と老化の理解 II:20時間
- 認知症の理解 I:10時間
- 認知症の理解 II:20時間
- 障害の理解 I:10時間
- 障害の理解 II:20時間
- こころとからだのしくみ I:20時間
- こころとからだのしくみ II:60時間
- 医療的ケア:50時間
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介護職員基礎研修と初任者研修に関するよくある質問に回答します。「資格の違いがよく分からない…」とお悩みの方は、ぜひチェックしてみましょう。
介護職員基礎研修と介護職員初任者研修は何が違うの?
介護職員基礎研修と介護職員初任者研修では、カリキュラム内容と学習時間が異なります。
初任者研修の学習時間が130時間なのに対し、基礎研修の学習時間は400時間となっているため、介護職員基礎研修の方が専門性が高いといえるでしょう。また、介護職員基礎研修は、すでに廃止されている資格なので、新たに取得することはできません。
「介護職員基礎研修と初任者研修の違いとは」で、詳しく解説しているので、ぜひご一読ください。
介護職員初任者研修と介護福祉士実務者研修の違いは?
介護職員初任者研修と介護福祉士実務者研修の違いは、学習時間と資格の専門性です。どちらも無資格・未経験者が受講できる資格ですが、実務者研修の方がやや専門性が高く、取得までに450時間(約6か月)かかります。
基礎から介護について学びたい方は、初任者研修から取得を目指すのがおすすめです。介護福祉士実務者研修と介護職員初任者研修の違いは、「介護福祉士実務者研修とは?初任者研修との違いや取得するメリットを解説!」の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
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まとめ
介護職員基礎研修と初任者研修では、研修時間に違いがあります。
介護職員基礎研修のほうが初任者研修より科目数が多く研修時間も長いため、位置づけとしては介護職員基礎研修が上位と言えるでしょう。
介護職員基礎研修は初任者研修や実務者研修の前身にあたる資格ですが、介護職員基礎研修の研修内容は実務者研修とほぼ同じ内容です。
ただし、新しく加わった「たん吸引医療ケア」は介護職員基礎研修のカリキュラムにないため、実務者研修を取得するためには50時間の「たん吸引医療ケア」を受講する必要があります。
働きながら資格を取る方法教えます
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「レバウェル介護」編集部
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介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点