社会福祉士試験の難易度は?合格率や試験内容、効果的な学習方法を解説

介護の資格 2025年3月5日
  • この記事をシェアする
  • facebook
  • X
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
社会福祉士難易度に関する記事のタイトル画像

「社会福祉士国家試験の難易度ってどのくらい?」と気になる方もいるかもしれません。2023年度に実施された社会福祉士国家試験の合格率は、58.1%でした。この記事では、ほかの介護・福祉系の資格と比較した社会福祉士の難易度をご紹介します。社会福祉士国家試験の合格基準や、難易度が高いといわれる理由についても解説。効果的な勉強方法もまとめたので、受験を考えている方はご一読ください。

目次

社会福祉士国家試験の難易度

社会福祉士は、福祉系の国家資格の中で比較的難易度が高い資格です。ここでは、社会福祉士国家試験の合格率や合格基準について見ていきましょう。

社会福祉士の合格率

厚生労働省の「第36回社会福祉士国家試験合格発表」によると、2023年度の社会福祉士国家試験の合格率は、58.1%でした。34,539人の受験者のうち、20,050人が合格しています。過去10年間の合格率推移は下表のとおりです。

開催年度合格率
2014年度(第27回)27.0%
2015年度(第28回)26.2%
2016年度(第29回)25.8%
2017年度(第30回)30.2%
2018年度(第31回)29.9%
2019年度(第32回)29.3%
2020年度(第33回)29.3%
2021年度(第34回)31.1%
2022年度(第35回)44.2%
2023年度(第36回)58.1%

参考:厚生労働省「S2 受験者・合格者の推移

近年は合格率が上昇傾向で、10年前から合格率は2倍になっています。ただ、それでも6割に満たないので、難易度は高い資格といえるでしょう。

社会福祉士の合格基準

公益財団法人 社会福祉振興・試験センターの「[社会福祉士国家試験]合格基準」によると、社会福祉士国家試験の合格基準は、総得点のおよそ60%以上です。1問1点の129点満点なので、78問程度の正答が合格の目安になります。
ただし、問題の難易度によっては合格基準が補正されることもあるので、余裕を持って得点できるように準備しておきましょう。

ほかの福祉系資格との難易度比較

ここでは、社会福祉士とほかの福祉系資格の難易度を比較できるよう、2024年度の合格率と合格基準をまとめました。なお、勉強時間の目安はあくまで参考程度にご覧ください。

資格名2024年度合格率合格基準勉強時間目安
社会福祉士58.1%総得点の60%程度を基準とし、問題の難易度で補正300時間
精神保健福祉士70.4%総得点の60%程度を基準とし、問題の難易度で補正250時間
介護福祉士82.8%総得点の60%程度を基準とし、問題の難易度で補正250時間

参照:厚生労働省「第37回社会福祉士国家試験合格発表」「第27回精神保健福祉士国家試験合格結果を公表」「第36回介護福祉士国家試験合格発表

2024年度に行われた国家試験では、介護福祉士の合格率は82.8%、精神保健福祉士は70.4%でした。ほかの福祉系の国家試験と比較すると、社会福祉士は難易度が高いといえるでしょう。

▼関連記事
【2024年】介護福祉士国家試験の合格率は何%?過去推移と難易度を解説

▶資格取得支援の求人一覧ページはこちら

働きながら資格を取る方法教えます

アドバイザーに相談する(無料)

社会福祉士国家試験の難易度が高い理由

ここでは、社会福祉士国家試験の難易度が高いといわれる理由についてご紹介します。「合格するのは難しそう…」と不安な方は、チェックしてみてください。

合格基準が厳しいため

社会福祉士国家試験の合格基準は、総得点の60%程度です。ただし、問題の難易度によって補正されるので、合格点は年によって異なります。
得点しなければいけない基準が高いことから、「難易度が高い」と感じる方もいるようです。

科目群すべてで点数を取らなければならないため

社会福祉士国家試験に合格するには、6科目群すべてで得点する必要があります。総得点で合格基準を満たしていても、いずれかの科目群で得点していないと合格にはなりません。
科目群の分類については、次項でご紹介しているので、チェックしてみてください。

出題範囲が広いため

社会福祉士国家試験の出題科目は19科目(6科目群)となっており、福祉系資格のなかで最も多くなっています。出題科目は、以下のとおりです。

1.医学概論、心理学と心理的支援、社会学と社会システム
2.社会福祉の原理と政策、社会保障、権利擁護を支える法制度
3.地域福祉と包括的支援体制、障害者福祉、刑事司法と福祉
4.ソーシャルワークの基盤と専門職、ソーシャルワークの理論と方法、社会福祉調査の基礎
5.高齢者福祉、児童・家庭福祉、貧困に対する支援、保健医療と福祉
6.ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)、ソーシャルワークの理論と方法(専門)、福祉サービスの組織と経営

前述のとおり、社会福祉士国家試験では、すべての科目群で得点する必要があります。出題範囲を満遍なく勉強する必要があることから、難易度が高いと感じることもあるでしょう。

出題形式が多肢選択式だから

社会福祉士の難易度が高い理由として、出題形式に多肢選択式が含まれることが挙げられます。社会福祉士を含む、福祉関係の国家試験の試験内容は以下のとおりです。

資格名出題科目数問題数出題形式
社会福祉士19科目150問五肢択一または多肢選択式
精神保健福祉士16科目163問五肢択一または多肢選択式
介護福祉士11科目125問五肢択一

五肢択一の試験は、5つの選択肢のなかから正しい回答を1つ答える形式です。一方で、多肢選択式とは、複数の項目に対して、回答候補から正しいものを選びます。多肢選択式のほうが問題が複雑なため、難易度が高いと感じる方もいるでしょう。

合格に必要な勉強時間が長いため

合格に必要とされる勉強時間の確保が難しいと感じる方もいるようです。
社会福祉士国家試験に合格するには、およそ300時間の勉強が必要といわれています。働きながら取得を目指している方のなかには、時間確保が困難という方もいるでしょう。

法律・制度の改正にあわせて知識をアップデートする必要があるため

社会福祉士国家試験では、最新の情報をもとに問題が出題されます。特に、再受験する場合は、前回の試験から制度や法律の知識をアップデートする必要があるでしょう。最新のテキストで勉強しないと、覚えたことが古くなっている恐れがあるので注意が必要です。

社会福祉士国家試験の試験概要

ここでは、社会福祉士国家試験の試験概要をまとめました。社会福祉士国家試験の受験を考えている方は、チェックしてみましょう。

出題形式

社会福祉士国家試験は、午前・午後の2部構成で実施されます。試験内容は五肢択一の129問が出題され、制限時間は225分です。

試験科目

公益財団法人 社会福祉振興・試験センターの「[社会福祉士国家試験]試験概要」によると、第37回(2024年度)社会福祉士国家試験で実施された試験科目は、以下の19科目です。

  • 1.医学概論
  • 2.心理学と心理的支援
  • 3.社会学と社会システム
  • 4.社会福祉の原理と政策
  • 5.社会保障
  • 6.権利擁護を支える法制度
  • 7.地域福祉と包括的支援体制
  • 8.障害者福祉
  • 9.刑事司法と福祉
  • 10ソーシャルワークの基盤と専門職
  • 11.ソーシャルワークの理論と方法
  • 12.社会福祉調査の基礎
  • 13.高齢者福祉
  • 14.児童・家庭福祉
  • 15.貧困に対する支援
  • 16.保健医療と福祉
  • 17.ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)
  • 18.ソーシャルワークの理論と方法(専門)
  • 19.福祉サービスの組織と経営

最新の試験科目については、公益財団法人社会福祉振興・試験センターの「[社会福祉士国家試験]試験概要」から情報をチェックしましょう。

社会福祉士国家試験の受験資格

社会福祉士国家試験を受けるには、受験要件を満たすことが必要です。「福祉系大学ルート」「短期養成施設ルート」「一般養成施設ルート」のいずれかを満たすことで、受験資格を得られます。いずれのルートも実務経験のみでは受験資格を得られず、通学を伴う勉強が必要です。

社会福祉士国家試験の受験資格の画像

引用:厚生労働省「社会福祉士の資格取得方法

たとえば、福祉系ではない大学を卒業してから社会福祉士国家試験の受験資格を得るには、一般養成施設等で1年以上勉強する必要があります。
なお、社会福祉士国家試験の受験資格については「社会人が社会福祉士になるには?一般養成施設の選び方も解説」の記事で詳しく解説しているので、ご参照ください。

また、厚生労働省の「社会福祉士養成課程における教育内容等の見直しについて」によると、新カリキュラムの「実習及び演習の充実」という視点から、社会福祉士国家試験の受験資格に必要な実習時間が変更されています。旧カリキュラムでは、必要な実習時間は一か所で180時間でしたが、新カリキュラムでは二か所で240時間とされました。
なお、試験内容についても新カリキュラムに対応し、科目が変更されているのでご注意ください。

社会福祉士国家試験の受験申し込み手続き方法

社会福祉士国家試験を初めて受験する場合、まずはインターネットかはがきで、試験センターに「受験の手引き」を請求しましょう。
受験の手引きが届いたら、申し込みに必要な書類を確認し、記入します。受験申し込みの期日に間に合うように、必要書類の郵送と受験手数料の支払いを行いましょう。

社会福祉士試験に合格するための学習ステップ

社会福祉士国家試験の合格に効果的な学習方法として、「過去問を解く」「テキストや参考書は最新のものを選ぶ」などが挙げられます。
以下で詳しく解説するので、社会福祉士国家試験の勉強方法にお悩みの方は、ご一読ください。

1.試験日から逆算して勉強計画を立てる

社会福祉士国家試験の合格には、学習時間の確保が重要です。前述のとおり、社会福祉士国家試験の合格に必要な勉強時間は300時間ほどといわれています。充分な学習時間を確保するために、逆算してスケジュールを立てましょう。

2.最新のテキストや参考書で学習する

試験勉強する際に使用するテキストや参考書は、必ず最新のものを選びましょう。古いものを使用すると、法改正の情報が更新されていない可能性があります。特に、再受験を考えている方は、前回の参考書を使用しないよう気をつけましょう。

3.過去問を活用して試験の形式に慣れる

過去問を活用するのも、効果的な勉強方法の一つです。過去問を解くことで、実際の試験問題に慣れやすくなります。出題傾向を掴むことにもつながるので、何度か解いておくのがおすすめです。

4.苦手科目を重点的に学習する

社会福祉士国家試験の効果的な勉強方法として、苦手科目を重点的に勉強することも挙げられます。
社会福祉士国家試験では、6科目群すべてで得点しないといけません。苦手分野に勉強時間を割くことで、「総得点では合格だけど得点していない科目群がある」という事態を避けられるでしょう。過去問や問題集で間違えた問題を復習して、完璧に理解するようにしましょう。
社会福祉士国家試験は、対策用のアプリも展開されています。すきま時間を使って繰り返しインプットすると、記憶に定着しやすくなります。

5.模擬試験を受ける

社会福祉士国家試験の本番を迎える前に、一度は模擬試験を受けるのがおすすめです。模擬試験で雰囲気を経験することで、本番で過度に緊張するのを防げる可能性があります。また、試験の時間配分や様式も経験できるので、本番でスムーズに問題を解きやすくなるでしょう。

なお、社会福祉士は働きながらでも独学で取得を目指すことが可能です。社会福祉士国家試験の勉強方法について、詳しくは「社会福祉士国家試験に合格するための勉強方法7選!独学でも取得できるの?」の記事もチェックしてみてください。

【参考】社会福祉士国家試験の合格者の内訳

ここでは、合格者の内訳をご紹介します。「年齢を重ねてから合格できるか不安…」「自分と同じルートで合格した人はどのくらい?」という方は、チェックしてみてください。

男女別の合格率

区分男女合計
人数(人)6,185人13,865人20,050人
割合(%)30.8%69.2%100.0

参照:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第36回社会福祉士国家試験の合格発表について(p.3)

2024年度に行われた社会福祉士国家試験では、合格者のおよそ7割は女性でした。受験者数も女性の割合が多いことが理由となっています。

年齢別の合格率

区分人数割合
~308,494人42.4%
31~403,526人17.6%
41~504,380人17.6%
51~602,860人14.3%
61~ 790人3.9%
合計20,050人100.0%

参照:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第36回社会福祉士国家試験の合格発表について(p.3)

2024年度に行われた社会福祉士国家試験では、30歳未満の合格者が最も多く、全体の4割ほどを占めています。
また、41歳以上の合格者は全体の35.8%となっており、ミドル~シニア世代の合格率も高いといえるでしょう。

受験資格別の合格率

区分福祉系大学等卒業者養成施設卒業者合計
人数(人)11,181人8,869人20,050人
割合(%)55.8%44.2%100.0%

参照:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「第36回社会福祉士国家試験の合格発表について(p.3)

福祉系大学等卒業者のほうが、養成施設卒業者よりもわずかに多いようです。ただし、例年大きな差はないため、どちらのほうが合格しやすいということはないといえます。

社会福祉士に関するよくある質問

ここでは、社会福祉士に関するよくある質問にお答えします。「社会福祉士国家試験についてもっと知りたい」という方は、ご一読ください。

社会福祉士とは何ですか?

社会福祉士とは、生活に困難がある方に対して、相談援助を行う知識やスキルを有していることを証明する国家資格です。「社会福祉士」を名乗るには、社会福祉士国家試験に合格し、資格登録する必要があります。社会福祉士の仕事内容は、高齢者の方や障がいのある方などが適切な支援を受けられるようにサポートすること。利用者さんへの相談対応や、福祉・医療サービス提供者との連携を行います。社会福祉士の職場は、福祉サービスを提供する施設や事業所、行政機関などです。
社会福祉士の仕事内容について、詳しくは「ソーシャルワーカーと社会福祉士の違いを解説!仕事内容や必要な資格とは?」の記事をご参照ください。

社会福祉士国家試験は一発合格できる?

社会福祉士は難易度が高い資格といえますが、一発で合格できる可能性は充分にあります。公益財団法人社会福祉振興・試験センターの「第36回社会福祉士国家試験の合格発表について(p.3)」によると、2023年度の社会福祉士国家試験の合格率は58.1%となっており、半数を超えていました。決して簡単に合格できる資格ではありませんが、充分な勉強時間を確保すれば、一発で合格する可能性を上げられるでしょう。社会福祉士の難易度については、この記事の「社会福祉士国家試験の難易度」をチェックしてみてください。

社会福祉士の資格を取得するメリットは?

社会福祉士の資格を取得することで、仕事に役立ったり転職に有利になったりするというメリットが得られます。社会福祉士は、障がい福祉の分野において、支援業務に必要な知識を証明できる国家資格です。資格を取得することで、活躍の幅が広がるといえます。また、職場によっては資格手当がつき、給与アップにつながることもあるようです。
社会福祉士を取得するメリットについて、詳しくは「社会福祉士資格を取得する7つのメリットとは?取得方法やルートも解説!」の記事をご参照ください。

社会福祉士試験の難易度を偏差値で表すとどれぐらい?

社会福祉士国家試験の難易度を偏差値で表すと、57程度になるといわれています。偏差値は50が平均値とされているため、社会福祉士は決して難易度が低い資格ではないといえるでしょう。また、同程度の偏差値といわれている資格として、宅建士や測量士が挙げられます。なお、偏差値は試験の難易度や合格率によって変動するため、あくまで参考程度にご覧ください。社会福祉士の難易度が高いといわれる理由については、本記事の「社会福祉士国家試験の難易度が高い理由」もご一読ください。

まとめ

公益財団法人社会福祉振興・試験センターの「第36回社会福祉士国家試験の合格発表について(p.3)」によると、2023年度の社会福祉士国家試験の合格率は、58.1%でした。
ほかの介護・福祉系の国家資格と比べると、精神保健福祉士の合格率は70.4%、介護福祉士は82.8%となっています。社会福祉士国家試験の難易度は、比較的高いといえるでしょう。

社会福祉士国家試験の難易度が高いといわれる理由には、「試験科目が多い」「科目群すべてで得点する必要がある」などが挙げられます。
充分に勉強時間を確保したり、過去問や模擬試験を活用したりすることで、合格する可能性を上げられるでしょう。

働きながら社会福祉士の資格取得を目指している方は、「レバウェル介護(旧 きらケア)」にご相談ください。レバウェル介護(旧 きらケア)は、介護専門の転職エージェント。介護や福祉業界に詳しいアドバイザーが、あなたのお悩みを丁寧にヒアリングします。「資格取得支援のある職場に転職したい」「社会福祉士の資格を活かして働きたい」など、ぴったりな求人をご紹介することが可能です。サービスはすべて無料なので、お気軽にお問い合わせください。

働きながら資格を取る方法教えます

アドバイザーに相談する(無料)

執筆者

  • 「レバウェル介護」編集部

    お役立ち情報制作チーム

介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点

関連記事

関連ジャンル: 介護の資格

この記事をシェアする

  • facebook
  • X
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

※この記事の掲載情報は2025年3月5日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

「介護の資格」の人気記事一覧

「総合」の人気記事一覧

新着記事一覧