
この記事のまとめ
- 社会福祉士国家試験に合格するには自分に合う勉強方法を見つけることが大切
- 社会福祉士試験の特徴は、出題範囲が広いことや全科目群で得点が必要なこと
- 試験勉強で何から始めたら良いか分からないときは、参考書を活用しよう
社会福祉士国家試験の勉強方法にお悩みの方もいるのではないでしょうか。試験に合格するには、スケジュールを立てて計画的に学習を進めることや、インプットとアウトプットをバランス良く行うことが大切です。この記事では、社会福祉士国家試験に合格するための勉強方法を7つご紹介します。勉強の始め方や流れ、独学のメリット・デメリットも解説するので、社会福祉士の資格取得を検討している方はぜひご一読ください。
目次
社会福祉士とは
社会福祉士とは、「社会福祉士及び介護福祉士法」によって定められた国家資格です。取得することで、専門性を持って医療・福祉に関する相談援助業務を行うことができます。相談援助業務以外に、関連機関への連絡・調整、利用できる制度やサービスの紹介なども仕事内容です。
社会福祉士が活躍する分野は、高齢者福祉や児童福祉、障がい者支援、生活保護など多岐にわたります。医療・福祉における専門的な知識や技術を活かし、サポートが必要な方への相談援助を行うのが、社会福祉士の役割。働く現場によっては「ソーシャルワーカー」と呼ばれることもあります。
▼関連記事
社会福祉士資格を取得する7つのメリットとは?取得方法やルートも解説!
【福祉系のおすすめ資格一覧】20種類を紹介!取得方法や難易度も解説
登録は1分で終わります!
社会福祉士国家試験に合格するための勉強方法7選
ここでは、「社会福祉士国家試験に合格するための勉強方法が知りたい」「どんな勉強方法があるの?」とお悩みの方に、社会福祉士国家試験に合格するための勉強方法7選をご紹介します。ぜひ試験対策にお役立てください。
スケジュールをしっかり立てて計画的に学習を進める
社会福祉士国家試験に合格するために必要な勉強時間は、一般的に300時間ほどといわれています。受験する社会人や学生の方は、仕事やほかの勉強と両立させながら学習を進めなければならないこともあるでしょう。
「忙しくてなかなか勉強時間が確保できなかった」「もっとしっかりスケジュールを立てておけば良かった」という状況にならないためには、試験日から逆算して勉強のスケジュールをしっかり立てて、計画的に学習を進めることが大切です。スケジュールを立てる際は、「基本をいつまでに覚えれば良いか」「解くのにどのくらいの時間が必要か」などを確認しておくと良いでしょう。
過去問を解く
試験で合格を勝ち取るためには、試験問題に慣れることが重要です。過去問を解くことで、出題傾向や頻出問題が把握できるだけではなく、実際の出題形式に慣れることもできます。また、自身の苦手分野や時間配分などが把握できるのもメリットです。
過去問を解く際は、最新のテキストや参考書を使うようにしましょう。古いテキストや参考書だと、法改正された部分や最新の情報が記載されていないことがあり、対策し切れない可能性があります。スムーズに学習を進めるためには、最新版の過去問やテキストに取り組むことが大切です。
インプットとアウトプットをバランス良く行う
社会福祉士試験は出題範囲が広いため、インプットとアウトプットのバランスをうまく取りながら学習を進めましょう。インプットすることばかりに集中してしまうと、覚えきれない部分ができてしまったり、時間がかかってしまったりすることもあります。
インプットしたら、一度アウトプットして知識が定着しているか確認し、理解できていないと感じる部分は復習するようにしましょう。この作業をバランス良く行うことで、少しずつ知識が定着していくはずです。
苦手科目の復習をしっかり行う
社会福祉士国家試験では、すべての科目群において1点以上得点する必要があります。そのため、苦手科目がある場合は復習をしっかり行い、確実に得点を取れるようにしておくことが大切です。
苦手科目を復習するために、問題を解く際に分からなかった部分にチェックを付けたり、ふせんを貼っておいたりするのもおすすめです。次に同じ問題を解くときや苦手な問題を集中的に勉強したいときに、間違えた部分だとすぐに分かると、苦手な問題を復習しやすくなります。
スキマ時間を有効活用する
働きながら勉強をしている社会人や、ほかの勉強と両立しながら取り組んでいる学生の方の中には、「なかなか勉強する時間を取れない…」と悩んでいる方もいるかもしれません。
普段の学習だけではなく、スキマ時間を有効活用することも、試験範囲を網羅して合格に近づくための大きなポイントといえます。休憩時間や通勤・通学時に、参考書や専用のアプリなどを使って勉強するのがおすすめです。
模擬試験を受けてみる
合格を勝ち取るためには、しっかり勉強することに加え、本番の雰囲気に慣れることも重要です。模擬試験を受けることで、本番と同じ出題形式で問題を解いたり、時間配分を確認したりできます。
また、模擬試験を受けた時点での自分の実力が把握できるのもメリットです。集中的に勉強すべき部分が明確になれば、苦手科目の克服につなげられます。
自分に合った勉強方法で取り組む
社会福祉士の勉強方法には、「独学する」「スクールに通う」「通信講座を利用する」といった方法があります。それぞれメリット・デメリットがあるので、自分に合った勉強方法で取り組むのが良いでしょう。
独学で勉強するメリット・デメリットについては、この記事の「社会福祉士国家試験の勉強を独学で行うメリット・デメリット」の項目で解説するので、ぜひチェックしてみてください。
勉強を始める際は、苦手科目からではなく、得意科目から取り組む選択肢もあります。最初に苦手科目から勉強し始めてしまうと、内容を理解できなかったり、モチベーションを維持しづらくなったりすることも。得意科目から始めて少しずつ自信をつけながら、苦手科目を克服していくとスムーズです。
社会福祉士国家試験の4つの特徴
ここでは、社会福祉士国家試験の4つの特徴をご紹介します。「どんな特徴があるの?」と気になる方は、ぜひチェックしてみてください。
出題される問題が広範囲にわたる
社会福祉士国家試験は、社会保障や介護保険制度、生活保護制度、保健医療サービスなどの科目を含めた全19科目から出題されます。ほかの福祉系の資格に比べ、出題される問題が広範囲にわたるのが特徴です。試験の難易度が高い傾向にあるため、相応の学習時間が必要になるでしょう。
出題形式が問題ごとに異なる
出題形式が問題ごとに異なるのも社会福祉士国家試験の特徴です。問題は、五肢択一式を基本とした多肢選択式で出題され、マークシート方式で解答します。問題ごとに「正しいものを1つ選びなさい」「適切なものを 2つ選びなさい」と指示される内容が異なるため、しっかりと問題文を読むことが大切です。
合格基準は60%程度正答すること
社会福祉士国家試験は、1問1点の129点満点です。合格基準は問題の60%程度のため、78問程度の正答が合格の目安となります。ただし、その年の試験の難易度によって合格点は補正されるため注意しましょう。
厚生労働省の「第37回社会福祉士国家試験合格発表」によると、2025年に実施された社会福祉士国家試験の合格率は56.3%でした。半数以上が合格していると聞くと、「そこまで難しくないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、難易度が低いとはいえません。
社会福祉士国家試験を受けるには、福祉系大学・短大での指定科目を履修したり、実務経験を積んだりし、受験資格を満たす必要があります。要件をクリアした人のうち半数しか合格できないと考えると、一定の難しさがあると考えられるでしょう。
出典
厚生労働省「第37回社会福祉士国家試験合格発表」(2025年4月1日)
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「受験資格(資格取得ルート図)」(2025年4月1日)
すべての科目群で点数を取らなければならない
すべての科目群で点数を1点以上取らなければならないことも、社会福祉士国家試験の特徴です。1つでも点数が取れていない科目群があれば、不合格となってしまいます。苦手科目がある場合は、最低でも1問以上は必ず正解できるように学習することが必要です。
出典
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「[社会福祉士国家試験]試験概要」(2025年4月1日)
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「[社会福祉士国家試験]過去の試験問題」(2025年4月1日)
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「[社会福祉士国家試験]合格基準」(2025年4月1日)
社会福祉士の資格は働きながらでも取得を目指せる?
「社会福祉士の資格って働きながらでも取れるの?」と気になる方もいるかもしれません。結論から述べると、社会福祉士の資格は働きながらでも取得を目指すことが可能です。働きながら社会福祉士の取得を目指す際は、まず自分が受験資格を満たしているか確認しましょう。
社会福祉士の受験資格を得るためのルートは12パターンあり、大学や短大を卒業しているか、実務経験はあるか、など経歴によってルートが異なります。社会福祉士の資格取得ルートは「社会人が社会福祉士になるには?一般養成施設の選び方も解説」で解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
「受験資格は満たしているけど、働きながら勉強できるか不安…」という方は、通信講座や通学講座などを利用するのも一つの手です。通学講座では、分からないところを講師に直接質問できます。通信講座では、通学より受講費用が安い傾向があるのがメリットです。それぞれの講座には、異なるメリットがあるので、どちらが自分に合っているか考えてみましょう。
特に、働きながら社会福祉士の取得を目指す際は、費用や自身の生活スタイルなどを考慮したうえで、無理のない方法を選んでくださいね。
出典
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「受験資格(資格取得ルート図)」(2025年4月1日)
社会福祉士国家試験の勉強は何から始めるべき?
まずは、参考書の内容に一通り目を通しましょう。何度か参考書を読み込むことで、勉強すべき範囲を把握でき、基本的な知識をインプットすることが可能です。
参考書を読み込んだあとは、過去問を解き、インプットした知識をアウトプットしましょう。分からない問題がある場合は、その都度、参考書などを使って調べることが大切です。過去問は最低でも3年分は解くようにすると、知識が定着し、問題の傾向なども掴めるでしょう。
国家試験の3ヶ月前くらいには、実力を把握するために、模擬試験を受けてみるのもおすすめです。苦手な分野があれば、時間を計りながら、今まで解いた過去問を再び解き直してみましょう。時間を計ることで、自分がどのくらいのペースで問題を解いているか把握できるため、対策がしやすくなります。
なお、上記はあくまで勉強方法の一例なので、自分に合った学習方法や流れで進めましょう。
社会福祉士国家試験の勉強を独学で行うメリット・デメリット
「社会福祉士国家試験の勉強って独学でもできるの?」「独学で勉強するメリット・デメリットって?」と気になる方もいるかもしれません。ここでは、社会福祉士国家試験の勉強を独学で行うメリット・デメリットをまとめているので、ぜひチェックしてみてください。
独学のメリット
社会福祉士国家試験の勉強を独学で行うメリットとして、以下のようなことが挙げられます。
費用を抑えられる
独学の場合、ほかの方法で勉強するよりも費用を抑えられます。
- 独学:約1万~1万5千円(教材費など)
- 通信講座:約5万~10万円
- 一般養成施設の夜間通学:約40万~60万円
- 大学や専門学校などに通学:約100万~400万円
上記の金額はあくまで目安で、実際に負担する費用は、スクールや勉強方法、職場などによって異なります。
時間や場所を選ばず自分のペースで学習を進められる
通学の場合、どうしても講師やほかの生徒のペースに合わせて授業が進みがちです。しかし、独学であれば、時間や場所を選ばず自分のペースで学習を進められます。苦手科目に時間を割いたり、仕事やプライベートに合わせて勉強時間を調整したりできるのが、独学のメリットといえるでしょう。
独学のデメリット
社会福祉士国家試験の勉強を独学で行うデメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
最新の知識や情報を入手しにくい
社会福祉士国家試験の問題は、最新の法改正や制度をもとに出題されます。通学や通信講座であれば、教材に最新の情報が記載されていたり、講師が教えてくれたりするかもしれません。しかし、独学の場合は、最新の知識や情報をキャッチしにくい可能性があります。
書店に並ぶ参考書や問題集すべてに最新の情報が記載されているとは限らないため、学習内容の判断が難しいのがデメリットといえるでしょう。
不明な点があっても質問できない
通学講座では講師に直接分からない部分を質問でき、通信講座では、メールや質問フォームで講師とやり取りができるといったサポートがあります。しかし、独学の場合は、不明な点があっても質問できません。すべて自分の力で解決する必要があるため、その分時間のロスにもつながってしまいます。
モチベーションを維持するのが難しい
前述のように、社会福祉士国家試験に合格するために必要な勉強時間は、一般的に300時間ほどといわれています。独学の場合は、周りに自分と同じ立場にある仲間や指導してくれる講師がいないため、長期間にわたってモチベーションを維持するのが難しいと感じることもあるようです。
モチベーションを維持し続けるためには、独学でも勉強を継続できる環境を自分なりに整える必要があります。
社会福祉士の勉強方法に関するよくある質問
ここでは、社会福祉士の勉強方法についてよくある質問に回答します。勉強や資格取得について気になる方は、ぜひチェックしてみてください。
社会福祉士国家試験の合格に必要な平均勉強時間は?
社会福祉士国家試験の合格に必要な勉強時間は、一般的に300時間ほどといわれています。毎日2時間の勉強を行えば約5ヶ月、毎日1時間の勉強を行えば約10ヶ月程度の期間が必要です。しかし、これはあくまで目安なので、自分に合った無理のないスケジュールを立てましょう。学習のスケジュールを考えるときは、試験日から逆算して計画を立てるのがポイントです。
社会福祉士の資格取得は難しいですか?
厚生労働省の「第37回社会福祉士国家試験合格発表」によると、2025年に実施された社会福祉士国家試験の合格率は56.3%でした。半数以上が合格しているとはいえ、出題される問題の範囲が広かったり、出題形式が問題ごとに異なっていたりすることから、難易度は高めと考えられます。そのため、しっかり勉強したうえで試験に臨まないと資格取得は難しいかもしれません。
社会福祉士試験の難易度については、「社会福祉士試験の難易度は?合格率や試験内容、効果的な学習方法を解説」の記事で解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
出典
厚生労働省「第37回社会福祉士国家試験合格発表」(2025年4月1日)
社会福祉士国家試験に向けたおすすめの勉強方法はありますか?
まずは参考書の内容に一通り目を通し、知識のインプットに努めましょう。その後、過去問を解き、知識をアウトプットします。過去問は、3年分以上解くことで知識が定着し、問題の傾向を掴めるでしょう。また、苦手科目の復習やスキマ時間の有効活用、模擬試験の受験などを行うことで、合格へ一歩近づけるはずです。勉強を始める前にしっかりスケジュールを立て、自分に合った方法で計画的に進めることが大切です。
この記事の「社会福祉士国家試験に合格するための勉強方法7選」でも解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
社会福祉士国家試験に合格するための勉強方法として、「スケジュールをしっかり立てて計画的に学習を進める」「過去問を解く」「インプットとアウトプットをバランス良く行う」といったことが挙げられます。ほかにも、「苦手科目の復習」「スキマ時間の有効活用」「模擬試験を受ける」といった方法もおすすめです。社会福祉士を受験するときは、自分に合った方法で勉強に取り組みましょう。
社会福祉士国家試験は、出題範囲が広く、難易度が高い傾向にあります。また、すべての科目群で点数を取らなければ不合格となってしまうため、苦手科目の克服は必須です。
働きながら社会福祉士の資格取得を目指す場合、まず自分が受験資格を満たしているか確認しましょう。勉強には、「独学」「通学」「通信」といった方法があるので、費用や自身の生活スタイルなどを考慮したうえで、無理のない学習方法を選ぶことが大切です。
社会福祉士国家試験に合格するためには300時間ほどの勉強時間が必要といわれています。独学ではモチベーションを維持しづらかったり、講師に質問ができなかったりといったデメリットがあります。しかし、通学や通信よりも費用を抑えられる点や、時間や場所を選ばず自分のペースで学習を進められる点は、メリットといえるでしょう。
「資格を取ったら、すぐに社会福祉士として働ける職場に転職したい!」というご希望や、「仕事と資格の勉強を両立させやすい環境がある職場で働きたい…」というお悩みがある方には、介護・福祉業界に特化した転職エージェントのレバウェル介護(旧 きらケア)がおすすめです。将来的に社会福祉士として働ける求人をご紹介いたします。
専任のアドバイザーからアドバイスを受けられるため、自分の希望条件に合った勤務先を探すことが可能です。利用にかかる費用はすべて無料で、面接対策や条件交渉などもしっかりサポートします。まずはお気軽にご相談ください。
登録は1分で終わります!
執筆者
「レバウェル介護」編集部
お役立ち情報制作チーム
介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点