介護福祉士と保育士はどちらがいい?給与・将来性の違いや両方取得するメリット

転職ノウハウ 2025年3月11日
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この記事のまとめ

福祉系の仕事に興味のある方のなかには、「介護福祉士と保育士ではどちらがいい?」とお悩みの方もいるかもしれません。介護福祉士と保育士は誰かのお世話をするという共通点があります。しかし、必須の資格や目指し方、給与などさまざまな違いがあり、一概にどちらがいいとはいえません。この記事では、介護福祉士と保育士について、仕事内容や給与、将来性の違いを解説。ダブルライセンスのメリットもご紹介します。

目次

介護福祉士と保育士ではどちらがいい?

福祉系の仕事に就きたいと考えていて、介護福祉士と保育士どちらがいいか悩む人もいるかもしれません。

介護福祉士と保育士はどちらも同じ福祉系の仕事ですが、業務内容や必要な資格、給与、将来性に違いがあります。そのため、一概にどちらがいいとはいえません。自身の希望やなりたい将来像と照らし合わせ、自分に合っているのはどちらか考えてみましょう。

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介護福祉士と保育士の仕事内容の違い

介護士と保育士は、仕事内容や支援対象者が異なります。以下で詳しく確認してみましょう。

介護福祉士の仕事内容

介護福祉士は、高齢者施設や訪問介護事業所などに勤務し、高齢者など介護が必要な方の日常生活をサポートするのが仕事です。介護業務には、利用者さんの身体に直接触れて行う入浴介助や食事介助、排泄介助といった身体介護をはじめ、買い物や洗濯、料理などの生活援助もあります。

デイサービスや特養、有料老人ホームなど、勤務先によって提供するサービスは異なるものの、仕事内容に大きな違いはありません。

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保育士の仕事内容

保育士は、乳幼児(生後2ヶ月程度から小学校就学前)を預かり、食事や排泄、睡眠といった生活面のお世話や遊びを通して、成長をサポートするのが仕事です。保護者に代わり、トイレや衣類の着脱、歯磨きのトレーニングをしたり、散歩や運動、絵本の読み聞かせなどの活動をしたりします。また、迎えに来た保護者にその日の様子を伝えるのも保育士の仕事です。

勤務先は、保育園や保育所などの保育施設のほか、家庭福祉員(保育ママ)として自宅で働く方もいます。

介護福祉士と保育士の資格取得の難易度

ここでは、「保育士(国家資格)」と介護に関する唯一の国家資格である「介護福祉士」について、資格取得の難易度を解説します。介護福祉士は介護士になるのに必須となる資格ではありませんが、介護士としてのスキルを証明できる資格なので、チェックしておきましょう。

介護福祉士の難易度

介護福祉士国家試験の合格率と受験資格を以下にまとめました。

介護福祉士国家試験の合格率

厚生労働省の「第36回介護福祉士国家試験合格発表」によると、2023年度における介護福祉士国家試験の合格率は82.8%でした。8割以上の人が合格していることから、介護福祉士国家試験の難易度はそれほど高くないといえます。

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介護福祉士国家試験の受験資格

介護福祉士国家試験は難易度が比較的低いものの、受験するには以下の要件を満たさなくてはなりません。

介護福祉士の資格取得方法に関する画像

引用:厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法

介護福祉士の資格を取得するには、上記のルートがあります。たとえば、「実務経験ルート」の場合は、最低でも実務経験が3年間必要なので、すぐに取得するのは難しいのが実情です。

一方、介護福祉士養成施設や福祉系高校に通い、介護福祉士として必要な知識と技能を習得して卒業した場合は、実務経験が求められません。

実務経験ルート、養成施設ルート、福祉系高校ルートの詳細が知りたい方は、「最短で介護福祉士になるには?知っておきたい3つのルート」で、介護福祉士を目指せる3つのルートをチェックしてみましょう。

保育士の難易度

保育士試験の合格率と受験資格も確認してみましょう。

保育士試験の合格率

保育士国家試験の合格率は、20%前後といわれています。こども家庭庁の「保育士試験の実施状況(令和5年度)」をもとに、2023年度の合格率を算出すると、約26.9%という結果でした。4~5人に1人ほどしか合格できないことから、保育士試験の難易度は介護福祉士試験よりも高いと考えられます。

保育士試験の受験資格

保育士試験の受験資格は、学歴や経歴によって細分化されているのが特徴です。厚生労働省の「保育士になるには?」によると、以下のような図で表されています。

保育士になるには?に関する画像

引用:厚生労働省「保育士になるには?

指定保育士養成施設に通えば、試験を受けずに保育士資格の取得を目指せます。大学や短大、専門学校を卒業している方は、保育士試験を受験して合格すれば、保育士になることが可能です。最終学歴が中学・高校卒業の場合は、2年以上の実務経験が求められます。

試験の取得難易度は介護福祉士よりも高めですが、受験資格を満たしやすいのは保育士といえるでしょう。

国家資格を目指すならどちらも一定の大変さがある

ここまでお伝えしたように、介護福祉士も保育士も資格取得を目指すならどちらも一定の大変さがあり、簡単な道ではありません。「介護士と保育士どちらがいい?」とお悩みの方は、将来のキャリアビジョンをイメージしてみるのがおすすめです。次項からご紹介する、「給与」「将来性」などを参考に自分の将来を考えてみましょう。

介護福祉士と保育士の給与

介護福祉士と保育士の給与は、それほど大きな違いはありません。あえていうなら、介護士は資格手当や夜勤手当によって給与アップを目指しやすいので、保育士よりも高い収入を狙える可能性があるでしょう。

介護福祉士の平均給与

厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(p.18)」によると、月給・常勤で働く介護職員(ベースアップ支援加算取得事業所)の平均給与は、318,230円です。また、介護職員の給与は保有資格によって違いがあるので、以下で確認しましょう。

保有資格平均給与
介護職員全体318,230円
介護福祉士331,690円
介護福祉士実務者研修302,500円
介護職員初任者研修302,910円
無資格270,530円

参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要(p,18)

同じ介護職員でも、無資格の場合と介護福祉士の平均給与には、5万円近くの差があります。保有資格によって、基本給が上がったり、資格手当がプラスされたりする傾向があるためです。

介護職員の給与事情について詳しく知りたい方は、「介護職の給料はいくら?平均給与額や年収アップ方法、処遇改善の状況を解説」もチェックしてみてくださいね。

保育士の平均給与

政府統計の総合窓口e-Statの「令和4年度賃金基本統計調査一般労働者職種(小分類)(産業計)」から、保育士の平均給与を算出すると、326,141円でした。これは、きまって支給する現金給与額266,800円と、年間賞与その他特別給与額712,100円を12で割った59,341円(小数点以下切り捨て)の合計金額です。

前述した介護福祉士の平均給与(約33.1万円)と比較すると、保育士全体の給与はやや低いという結果。ただ、介護職員全体の平均給与は318,230円 で、保育士全体の平均給与のほうが高い金額でした。

なお、介護職員の平均給与と保育士の平均給与では扱っているデータが違うので、単純比較することはできません。給与は働く地域や職場によって異なるため、平均給与額はあくまで参考程度に捉えておきましょう。

介護士と保育士の将来性

介護士と保育士は、どちらもAIに取って代わられる仕事ではないうえ、人手不足により需要が高い状態であるため、将来性のある職種といえます。AIに代替できない仕事の特徴は、人を相手にするため、細やかな対応やコミュニケーションが必要不可欠なこと。まだ自分の意志をはっきり伝えられない乳幼児や、困っている利用者さん一人ひとりに合ったケアを行うには人の手が必要なので、今後とも需要がなくなることはないでしょう。

また、現在の日本では高齢化にともなう介護人材不足や、共働き世帯の増加による待機児童の問題が顕著で、介護士・保育士ともに需要が高い状態です。人材不足を解消するため、国は介護士や保育士の処遇改善を図っています。介護士や保育士には、賃金アップのための処遇改善加算という制度があり、加算を算定する事業所では給与改善が進められているようです。近年も処遇改善加算の見直しが行われており、多くの職員がスキルや経験に応じて賃金改善を受けられる環境が整備されつつあります。

介護福祉士と保育士のダブルライセンスのメリット

介護福祉士と保育士どちらがいいか悩んでいる方は、ダブルライセンスという選択肢もあります。ダブルライセンスとは、「複数の資格を保有すること」です。介護福祉士と保育士のダブルライセンスを目指すメリットには、以下のようなものがあります。

1.一部科目の免除制度が適用される場合がある

介護福祉士と保育士の受験科目には多くの共通点があるため、条件を満たせば一部科目の免除が適用されます。厚生労働省の「福祉系国家資格所有者の保育士資格取得への対応について(概要)」によると、保育士試験科目の免除について以下のような方策を講じています。

保育士試験科目の免除 (対象:介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士)
指定保育士養成施設で試験科目に対応した科目を履修した場合には、それに対応する試験科目の免除を行う。このうち、「福祉職の基盤に関する科目」に対応する試験科目(社会福祉・児童家庭福祉・社会的養護)については、他の福祉系国家資格を所有していることをもって免除を行う。

引用:厚生労働省「福祉系国家資格所有者の保育士資格取得への対応について(概要)

つまり、介護福祉士の資格を持っている場合、保育士試験の筆記試験のうち「社会福祉」「児童家庭福祉(子ども家庭福祉)」「社会的養護」の3つの科目が免除されます。また、保育士養成施設を卒業してから介護福祉士を目指す場合は、通常2年かかる指定養成施設での履修が1年に短縮されるなど、期間・費用面で有利になることも。一から学ぶよりも資格取得を目指しやすいはずです。

2.福祉の分野で幅広い知識が身につく

ダブルライセンスによって、介護・保育の分野を越えた総合的な観点から福祉サービスを考えられるようになります。保育士なら乳幼児、介護士なら高齢者や介護が必要な方というように、片方の資格だけではすべての年齢層に十分なケアを行えません。

近年、「幼老複合施設」といった介護施設と保育施設が一体化した施設が増えてきていることもあり、保育と介護、両方の観点を持つ人材は非常に貴重です。これから福祉分野で幅広く活躍したい方は、ダブルライセンスを検討してみましょう。

3.両方の資格があれば転職先の選択肢が広がる

引っ越しや家庭の事情で職場を変えなければならないときに、介護・保育どちらの求人も選択肢に入るのがダブルライセンスの利点です。地域によっては、「ご高齢者や介護施設が目立つ」「待機児童が多く保育士が不足している」などの特性があるもの。介護士と保育士の両方の求人から探せば、「仕事が少ない」という状況を回避できるでしょう。

また、「子育て中はパートで働きたい」「夜勤のみで効率的に働きたい」といった希望がある場合も、選択肢が多いほうが希望の職場を見つけやすいはずですよ。

未経験から目指すなら介護士と保育士どちらがいい?

高卒以上で未経験から介護士や保育士を目指す場合、「養成学校ルート」と「実務経験ルート」のどちらがいいか考えましょう。まずは、「最短でダブルライセンスを目指したい」「すぐに就職したい」など、自分の希望を洗い出してみてください。

最短でダブルライセンスを目指すなら保育士

最短でダブルライセンスを目指すなら、「保育士→介護福祉士」の順で養成施設へ通うのがおすすめです。前述のように、保育士資格を保有している場合は、通常2年の介護福祉士養成学校の課程が1年になるので、最短3年でダブルライセンスを目指せます(保育士養成施設の履修課程2年を含む)。

しかし、「介護福祉士→保育士」の順番では、履修課程の免除がなく、4年かかってしまうので気をつけてくださいね。

働きながら少しずつ資格取得を目指すなら介護士

「急に国家資格を目指すのは無理かも…」と不安な方は、無資格から少しずつステップアップできる介護士からスタートするのがおすすめです。介護士は無資格者や未経験者を歓迎する求人が多く、比較的早く就業を目指せます。さらに、働きながら「介護職員初任者研修」「介護福祉士実務者研修」「介護福祉士」というように段階を踏んで資格取得を目指しやすいのがポイントです。

保育関連の求人にも、無資格から働ける「保育補助」がありますが、介護士のように段階的に目指せる資格制度はありません。介護士の実務経験は、介護福祉士国家資格の資格要件にもなっているので、スキルや経験を積みながらスムーズに国家資格を目指せますよ。

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介護士と保育士どちらがいいかに関する質問

ここでは、介護士と保育士どちらがいいか迷っている人がよく抱く疑問に回答します。

介護士と保育士の処遇改善手当とは?

処遇改善加算とは、職員のスキルや経験に応じた賃金改善を行ったり、職場環境を改善したりするための制度。加算を取得する事業所では、職員に処遇改善手当が支給されます。これまでは、保育士と介護士いずれの処遇改善加算にも、手続きの煩雑さなどの課題があり、取得していない事業所もありました。そのため、より多くの職員が賃金アップの効果を受けられるよう、制度の見直しや改善のための議論が行われています。

保育士と介護福祉士を両方取得するメリットは?

保育士と介護福祉士の養成課程における履修内容には多くの共通点があるため、条件を満たせば一部の試験科目の免除が適用されます。また、保育士養成施設を卒業した方が介護福祉士の資格取得を目指す場合、通常2年かかる養成施設での履修が1年に短縮されるなど、学習期間や費用の面でも有利に働くことがあるようです。人手不足のため需要が高い保育と介護の資格を両方取得することによって、転職先や働き方の選択肢が広がるのが、最大のメリットといえます。詳しくは「介護福祉士と保育士のダブルライセンスのメリット」で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

「介護士と保育士どちらがいい?」と悩んでいるときは、自分自身の考え方や今の状況に合わせて、どちらがいいかゆっくり考えてみることをおすすめします。介護士も保育士もこれからの日本を支えるのになくてはならない存在です。AIに代替可能な仕事内容ではないため、どちらを選択したとしても長期的に活躍していけるはずですよ。

ただ、「今すぐ働きたい」「養成学校には通わず段階的にスキルを身につけたい」「無資格・未経験から働きやすい職場を選びたい」という人には、介護士がおすすめ。介護士の仕事には、無資格・未経験から携われる業務が多くあります。働きながら「介護職員初任者研修」「介護福祉士実務者研修」などの介護資格を取得すれば、資格手当による収入アップも狙えるでしょう。

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執筆者

  • 「レバウェル介護」編集部

    お役立ち情報制作チーム

介護職専門の転職支援サービス「レバウェル介護」が運営するメディア。現役の介護職とこれから介護職を目指す方に寄り添い、仕事や転職の悩み・疑問を解決する記事を制作している。これまでに公開した記事は1400記事(※)以上。制作チームには介護福祉士ライターも在籍し、経験をもとにリアルな情報をお届け。資格や介護技術など、スキルアップにつながる情報も発信中!(※)2023年10月時点

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※この記事の掲載情報は2025年3月11日時点のものです。制度や法の改定・改正などにより最新の情報ではない可能性があります。

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